2021/11/18 のログ
ご案内:「浜辺の片隅」にシャンティさんが現れました。
シャンティ > 常世島釣り専門チャンネル「TOKOYO FISHIING LABO」が送る毎年恒例イベント。
「11月釣り祭り」が始まります!

そんな言葉が女の目に入ってきた。特に興味はなかったが、新しい刺激にはなるかもしれない、と思った。そうはいっても、特段知識も経験もないので一通り本に目を通してから此処にやってきた。


「ん……この、辺り……で、いい……の、かし、らぁ……?」

小さく首を傾げる。読みかじった知識があるとは言っても初心者である女は、いまいち感覚が掴めない。少し考えてみたが、やがて考えても無意味だと思い、岩礁に腰を下ろす。


「えぇ、とぉ……針、が……こう、でぇ……餌? うぅん……練り、で、いい……って、いわれ、た、けど、ぉ……」

完全に手探りで準備を続ける。当然のことながら、手付きはおぼつかなく、もたついた動きであった。

シャンティ > 道具を魔術で複製することも出来はするが、リアルに再現するには知識が乏しい。故に、女は店でレンタルしてきた品を使っていた。


「ん……こう……? こう……? うぅん……えぃ……と……」

変わらぬ気怠い口調で、小さく気を入れてどうにか準備を整える。


「あと、は……えぇ、と……海、に……針を、なげ、こむ……?」

手順を確認するように小さく口にして、やはり首を傾げる。


「え……ぃ」

しばし考えてみたが、結局、気持ちを固めて……小さな掛け声とともに針を放った。

シャンティ > ぽちゃり、と投げられた浮きと針は水面に着水する。非力なため、そこまで遠くには飛ばなかったが。

「さ、て……これ、で……待て、ば……いい、の、よ、ねぇ……?」

女は、ただ待つことには慣れていた。ずっと、ずっと待ち続けていたのだから。

「……ん……けれ、ど……いつ、まで……待て、ば……いい、の、かし、ら……魚、が……食い、つく、ま、で……だった、かし、らぁ……?」

勘所は文章だけでは分かりづらい。おそらくきっとそうであろう、というぼんやりとした知識で当たりをつける。


「浮き、とか……見る、の、よ、ねぇ……海、の……中、直接、みる、の……は、ずる、よ、ねぇ……多分……?」

せっかくならば、楽しもう、と考える。であれば、流儀もできるだけ本式に沿うことにする。
[3d6→1+2+5=8]
シャンティ > [1d10→5=5]
シャンティ > HIT
<小さい キラキラした カレイ>

シャンティ > 「ん……?」

ピクピクと引かれる浮き。わずかに引っ張られる竿の感覚が、超常の本だけではなく、手に直に伝わってくる。


「ぇ、と……これ、ひっぱ、れば、いい、の……かし、ら……?」

釣り上げ時、というのがいまいちまだ掴めない。


「え、と……ん……」

軽く、竿を引っ張ってみる

シャンティ > 「……あ、らぁ?」

持ち上げられた針の先には……なにも、なかった。


「ん……小さ、い…キラキラ、な……カレイ……かかって、た……は、ず……な、の、にぃ……」

小さく息をつく。やはり初めてではこんなものか、とも女は思い直す。


「……ま、ぁ……もう、すこ、し……せめ、て……一回、くら、ぃ……釣れ、る……まで、は……やって、み、よう、か、し、らぁ……?」

もはや何もついていない針を眺めて、つぶやく。

シャンティ > 「え、と……それ、じゃ、あ……まず、餌、を……つけ、なおし、てぇ……」

のろのろと、もたもたと、慣れない手付きで練り餌をつけ直す。たかが練り餌、されど練り餌。大きさはどの程度がいいか、さっきのは小さくなかったか、と、そんなことを思いながら女は作業を続ける


「……ん、こう……?」

どうにかこうにか、新たな準備が整う。


「じゃ、あ……もう、一回……? え、ぃ」

相変わらず、力の入らない掛け声とともに竿を振るう。

ご案内:「浜辺の片隅」に杉本久遠さんが現れました。
杉本久遠 >  
 「TOKOYO FISHIING LABO」が送る毎年恒例の釣りイベント。
 長年参加しては、ろくに釣れず雰囲気だけ楽しむ、雰囲気釣り人、杉本久遠。
 この日、久遠は練習の息抜き(妹兼トレーナーの指示で強制休養日)に、浜辺へとやってきた!
 ――練習のある日と変わらない行動パターンだ!

「ふむ、今年は賑わってるな。
 少し人が少ない所でも探して――」

 ふらふらと、浜辺を散歩していると、見覚えのある背格好の女性を見かけた気がした。
 声を掛けようかと、しばらく逡巡した後、一度引き返してから軽く駆け足で戻ってくるのだった。

「――よう、釣れてるか?」

 彼女が近づく久遠に警戒しないようなら。
 そのまますぐ隣まで近づいて、彼女の頭にハットをかぶせようとするだろう。
 気づかれて振り向かれれば、そのハットを持ったまま、どことなく気恥ずかしそうな表情を見せるに違いない。

シャンティ > 「ん……」

釣りの極意は静かに待つこと。眉唾な話とも言われているが、かの太公望も釣りをして待った、と言う伝承が有る。斯様に釣りとは……そのようなことを女はつらつらと考えていた。

手にはまだ何の感覚もない


「……あ、ら?」

それでも、辺りの動きを見ていないわけではない。いや。見たくなくても見えてくる。その中に、特筆するべきことは……一人の男が近づいてくること。女にとっては見知った相手。彼が何を考えているかまでは読めない、が。どこか機嫌は良さそうなことまでは見える。それであれば特に警戒は要らないだろう。

そのように判断した時、ちょうど当たりのような気配がくる


「……きた……か、しら、ぁ……?」

そして、男もまたたどり着く。

「……ふふ。あた、り……か、しら、ね?」

声をかけられ、わずか顔を向けた。

杉本久遠 >  
 釣りをしている姿も、絵になるなと思った。
 美女はなにをしても似合う物だと妹は言っていたが。
 彼女だからこその、雰囲気というものがある。

「――ぉ、おう、当たりみたいだな。
 焦らないで、しっかり食いついて引っ張られてから、ゆっくり巻き戻すんだ」

 顔が見えると、嬉しくなる。
 声を掛けつつ、手に持ったハットの行先に迷いながら、隣に並ぶ。
 ハットの行先はカバンの中になってしまった。

「近くまで引き寄せたら、オレが掬おうか。
 見たところ、タモは用意してないようだしな」

 そう隣に並んで一緒に様子を見つつ、自前の道具の中から網を引っ張り出した。