2021/12/13 のログ
ご案内:「学生街 高級マンションの一室」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「学生街 高級マンションの一室」に比良坂 冥さんが現れました。
神代理央 >  
暫しの間、落第街に足を運ぶ機会が減ったとはいえ。
風紀委員としての仕事が無くなった訳では無い。
寧ろ、次の出動前に片付けておかねばならない仕事。
今のうちに出来る仕事。片付けておく書類。溜め込んでいた書類。
出席日数を稼ぐ為の講義への参加。エトセトラ。

一つ始めるとあれやこれや。
結局、今日も夕食と風呂まで済ませてパジャマにまで着替えておきながら。
ニュース番組をBGM代わりに、リビングのソファでタブレットと向かい合う少年の姿。

「………そろそろ来年のシラバスも考えておかないといけないかな。
アイツらの正規生徒への申請も、ぼちぼち考え始めなければならないし…」

端末の画面と、耳に届くニュース番組の音声に神経を集中させている少年は。
まあ、要するに。とっても無防備だった。

比良坂 冥 >  
「……まだ仕事してるの?」

のろのろとした口調で、その背中から声がかかる
もう十分に聞き慣れただろう、少女の声だ

バスルームから出てきたばかり、ほこほこの冥が後から覗き込むようにして、その肩口に表れる

「もっとゆっくり、すればいいのに」

こちらもこちらで一日のことを大方済ませ、ゆったりとした部屋着姿
かけられた声はいつもどおりののんびりした口調だが、
声色は少しだけ厳し目…というよりも拗ねたような言葉振りだった

神代理央 >  
肩に微かに感じる重さと、鼻腔を擽る石鹸の香り。
少しだけ驚いた様に小さく身を跳ねさせるが…まあ、これまでも無かった事では無い。
直ぐに小さな苦笑いと共に、タブレットを脇に置いて少女に視線を向ける。

「一つ始めるとつい、こう…次も、他の事も、と思ってしまってな。
急ぎの仕事はあんまり無いんだが……ほら、そろそろ来年度の講義の事も考えておかないといけないし」

腕を伸ばして軽く少女の頬を撫でながら、穏やかな声色で言葉を返す。
拗ねた様な口調である事に気付けば、苦笑いを少しだけ深くして――

「ほら、おいで?」

と、自分の隣をぽふぽふと叩くだろうか。

比良坂 冥 >  
「ずっとお仕事してるんだもん」

冥はそう言いつつ口を尖らせていたが、おいでと優しげな声色で促されれば素直にその隣へと
ぼふんと腰を降ろして、身を寄せる
落第街で拾われてからそれなりに時が経ち…少なくとも、少女の中ではもうその距離はほとんどないに等しかった
すっかり懐いた捨て猫のようにぴたりとくっつき、互いの距離を0未満にしてゆく
それは猫というほど可愛いものでもなく、もっと何か……──なのかもしれなかったが

「おうちでくらい、ゆっくりすればいいのに」

まだ少し湿った髮からふわりとソープの香りが漂う
そんな近くから向ける目線はもっと構って、寂しい、というどこか動物めいたもの

神代理央 >  
「…し、仕事だけじゃないぞ?学校の勉強とかも…一応…」

まあ、それも義務感でやっていれば仕事みたいなものなのだろうか。
少女に返す言葉も無く、困った様な苦笑い。
だから…と言う訳でも無いが。過度に距離を詰める少女に、あれやこれやと言う事は無い。
少女がこうして身を寄せて来るのも、珍しいことでは無いのだし。
・・・此方も年頃の男子であるので、少しは慮って欲しいな、とは思うのだが。

「…まあ、そうだな。急いでいない仕事を、あくせく頑張る理由も無いか。
今日はこれでお終い。もう、仕事も勉強もしないから。
だから、お話しようか、冥。何時も構ってやれない分、沢山、な?」

脇に置いた儘のタブレットに、もう手を伸ばす事は無い。
視線を少女に向けた儘、クスリと微笑んで。

「……でも、余り夜更かししちゃ駄目だからな?」

比良坂 冥 >  
──少女にしてみれば、この距離はまだ遠い
飽くまで今の自分を彼を阻んでいるものがまだ何枚かある、という意味で
そもそも"そうなること"を期待せず距離を縮める女も…まぁいるにはいるのかもしれないけれど
少女の期待と意図は、明白
自分をより『意識させる』ことで己を律している、危うい精神構造の持ち主
それが冥だった

「…ん」

今日はこれでお終い、と告げる理央に少女は満足げに頷いて見せる
いつも構ってもらえない分、沢山
それだったら、寝てしまうのは…

「やだ、勿体ないから夜ふかしする」

そう言うと仄かに体重を預け、凭れ掛かるようにして

「…そうだ、この前みたいに、理央とどこかに一緒にいきたいな……でも、忙しいかな……」

この前、というのは
ひっそり尾行していたら少年の行きつけのお店に入ってしまったあの日のことだった
普段はまず入らない、見知らぬ世界での彼を見て、持て成してもらって…それから
──愛し合ったのだと、少女は理解していた
だからもっともっと、ああいった時間を紡いで、繋いで……
求めあって溶けあって、離れられなくなるまで───

「……理央のお仕事がなくなればいいのに」

神代理央 >  
「…勿体無いから…って。別に私は逃げたりはしないのに」

クスクス、と笑いながら首を傾げる。
・・・まあ、少女の気持ちも分からなくも無いので、それ以上小言を言う事は無い。
凭れ掛かる少女の髪を、さらさらと撫でながら言葉を落とすだけ。

――尤も、『分からなくもない』ということそのものが既に間違っている…というより。
単に、構ってあげられていない少女が寂しい思いをしているんだろう…という思考である事は、既に『間違えている』のだが。

「……お出かけ、か?そうだな。もうすぐクリスマスだし……」

この前、の言葉に記憶を手繰り寄せて、可笑しそうに笑みを零す。
そんな事もあったな、なんて。楽しそうに笑いながら。

「いいよ。行こうか、お出かけ。クリスマスのお出かけ、冥としたいなって思っていたし。
偶には、しっかりエスコートさせて欲しいな。色々と、準備しておくからさ」

少女の真意に気付かぬ儘。
それでも、少女の願いを叶える為に。
告げられた"願い事"に、小さく頷いた。
どうせ、暫く落ち着いているのだ。一日くらい、開ける事は容易い。
クリスマスイブやクリスマス当日、という確約は流石に難しいかもしれないが――

「……寂しい思いをさせてるのは、悪いと思ってる。
だけど、私の仕事もきっと、誰かの役に立っている仕事…だと思うから。だから、許して欲しいな。冥」

触り心地の良い少女の髪を撫でながら。
そっと、その耳元に唇を寄せて囁いた。

比良坂 冥 >  
「……帰ってこない日もあるし」

ぽそ、と小さな反論
それでも『逃げたりしない』という言葉に安堵を覚える
"これまでの人"は、みんな逃げてしまったから

「クリスマス…?」

それを聞いた冥は目を丸くする
それはあまりにも自分に似つかわしくないイベントの一つだった

「…それは、……嬉しい、かも…」

頬に薄く朱をさしながら、眼を伏せる様子は年頃の少女の可愛らしい反応にも見える

「…うん」

「(理央の仕事がなくなるなら…本当はそれが一番いいんだよね…?)」

彼の、風紀委員としての仕事
それは秩序を乱す者がいるから発生するもので…
……あの時、あの風紀委員から聞いたその話が本当なら、彼…理央は相当に無茶なやり方をしている、と
そんいう"悪い噂"を、同じ組織の人がしている
そんな仕事なら、なくなってしまったほうが、良いに決まっている

「……許すよ。でもその分、一緒にいれる時は…私のことたくさんたくさん、愛してくれる…?」

耳元で囁かれると僅かに擽ったそうに、昏くなりかけていた瞳は薄く光を帯びて、再び彼を見据え、その身体ごと擦り寄って
口にした言葉は、明確に"友人以上の距離"を求めるものだった

神代理央 >  
「…それは、まあ…。悪かった…というか、悪いと思ってる、けど…」

事実なので何も言い返せない。
最近、執務室の仮眠セットも随分充実してきた。
もう少しちゃんと家に帰る様にしないとな…とは、何時も思うのだが。

「ああ、クリスマス。…まあ、私もそうそう縁のあるイベントじゃないけどさ」

サンタクロースは年齢が一桁の時には信じていなかった。
というよりも、欲しいと言った玩具は何でも買い与えられていたので、願う事が無かった、と言うべきか。
まあ、何にせよ。自分も疎いイベントであるのは確か。
だからこそ、と言うべきか。少女には、それを楽しんで欲しいのだ。

「クリスマスが近づけば、街中カップルだらけだ。
…私達も、負けない様にしないといけないな?」

なんて、悪戯っぽく笑いながら。
頬を僅かに朱く染めた少女に、くすくすと笑みを零す。
髪を撫でていた掌は、朱い少女の頬を軽く撫でるだろうか。

「……ああ、勿論。二人きりの時間も、中々作ってあげられないからな。
二人でいる時くらいは目一杯、冥の事を愛してあげる。
それくらいしか、私には出来ないからさ」

擦り寄る少女を拒む事も無く。
それどころか、少し身体を動かして、小さく腕を拡げて。
『友人以上』の距離を求める少女を、受け入れる。

認識の齟齬があるにせよ、理央の中で冥は
『極度に寂しがり屋の少女』なのである。
なら、自分に出来る事は、少女を受け入れて、不器用な愛情を注いで。
そして何れ――多くの友人と出会いを得て。自分の元から巣立っていく。
そうなってくれればいい、と思うから。

比良坂 冥 >  
バツが悪そうにしつつも
クリスマスの話題となれば、自分を思ってくれていることが十二分に伝わってくる
けれど、まだ
そう、まだ…

少し、違う

「──クリスマス、一緒に過ごして…」

「("本物の恋人"に、なれるかな…)」

頬を撫ぜられ、広げられたその胸へと、身を委ねる
互いの体温、心音の伝わる距離
猫のように──その身を這う蛇のように──身体を擦りつけながら…

「……私は、理央がいないと寂しくて、死んじゃいそう…」

「……理央は、私がいなくなったら、 …寂しく思ってくれる?」

求めるのは、止り木ではなく安住の地
巣立ちを求められている少女は、その実に永遠の安息を得られる蜘蛛の巣へと呼び込む音色
少女が不安を吐露しているようにも聞こえる言葉