2021/12/26 のログ
ご案内:「Free1」にレイチェルさんが現れました。
ご案内:「Free1」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「風紀委員会本庁 レイチェルデスク前」にレイチェルさんが現れました。
レイチェル >  
「うし、っとぉ……」

風紀委員会本庁、いつもの仕事部屋。
落第街での炊き出しを終えたレイチェルは、
白い箱を手に再びここを訪れていた。

白い箱の中身は手作りのチョコレートケーキだ。

共用の冷蔵庫を開き、
それを空いているスペースに丁寧に入れる。
あまりそこに座ることがない誰かの机を見やった後、
当の本人へ端末からメッセージを入れた。
ちょっと遅い時間だが、
まぁ……気付いた時に見てくれればいいだろう。
そう思って送信した。

「サンタクロースの任務完了……ってとこか」

いや、先ほどまで自分はトナカイだったのだが。
子どもたちに散々引っ張られて、
てんやわんやだったが、悪い気はしていない。
引っ張られた頬がまだちょっとひりひり痛む気がする。
……子どもの暴力には逆らえないものだ。
頬に手を当てながら、ひとつ溜息をつく。
でも、口から出たのは清々しい溜息だった。


この夜には、
きっと沢山のサンタクロースが居るのだろう。
想像しただけで、微笑ましいものだ。
自分もまたその一人というわけだが。

何だかんだ言って、特別な日だってんなら
乗っかるのも悪くない。

レイチェル >  
「しっかしやっぱり……良いもんだな」

様々な委員会から集った有志の生徒たちとの出会いは、
レイチェルにとって新鮮な風を吹き入れる出来事だった。
シチューを食べに来ていた、懐かしい顔のことも
思い出しながら、
今は誰も居ない部屋で一人満足げに微笑む。
もう少し外を出歩いてみようと思えた。そんな一日だった。

100人前のシチューを作るのは骨が折れたし、
子どもたちに引っ張られたところは痛むが、
決して悪くない疲労感に襲われていた。


「さて、もうちょいと……仕事してくか」

ここ最近は年末ということもあり、なかなか忙しい。
連日遅くまで明かりをつけて仕事する羽目になっていた。

この時期、どうしても気が抜ける者達が居るもので、
様々な事件が起き、跡を絶たない。
それだけでなく。
最近は斬奪怪盗ダスクスレイ……だなんていう奴も現れたりで、
騒ぎは収まることをしらない。

……少し前に、あいつが関わった報告書を目にした時は
心臓が止まるかと思ったけど。

 
「……しかしこれ、どうすんだよマジで」

手元に残った茶色のパーカー――
先ほどの炊き出しで無理やり渡された
トナカイをモチーフにしたそれを、
広げてはしげしげと眺める。

……ご丁寧に赤鼻までつけやがって。

レイチェル >  
「しかしまぁ、クリスマスの後はすぐに正月が来るんだよな」

年越しこそは、華霧を誘ってみてもいいだろうか。
遠慮せず……そう言って貰えたから、ちょっとだけ勇気がわいた。


改めて、卓上カレンダーを見やる。

クリスマスだの正月だのバレンタインだの。
イベントというものは何とも慌ただしいもので。

自分が住んでいた世界じゃ、こうも沢山の行事は無かった。
関係が無かった、といった方が良いのかもしれないが。
飴玉とチョコレートよりも、血と硝煙に彩られていた。
いつだって。

だからこうして……様々なゴタゴタがあるにしても、

何だかんだで楽しく毎日が過ぎていく。

そんな、この学園がやはり恋しくてたまらないのだ。

レイチェル >  
「うし、じゃあ……片付けるとすっか」

もう、心配はかけられねぇから。
ばっちり終わらせて、ぐっすり眠ってやる。

自分のデスクの椅子を引いて、とさっと座れば
大きく伸びをする。
窓の外を見やれば、まだ明かりがついていた。
空は少しばかり曇っているように見えるが、
まぁ、それでも悪い光景じゃない。
島が平和だからこそ、この光景が作られているのだから。

ひとまず、目の前の書類を片付ければ一段落。
オレも明日からは、ちょいと楽しませて貰うとしよう。

そう、明日からの学園生活も楽しみだ。
いつだって今日は過ぎ去り、誰も知らない明日がやって来る。

そんな当たり前の事実に、
思わず笑みが溢れるのだった。

ご案内:「風紀委員会本庁 レイチェルデスク前」からレイチェルさんが去りました。