2022/01/15 のログ
霧島 孝介 > 「バイオハザード知らねぇのかよ!!…生き残ったら、貸してやる!」

心強い味方が来てくれたからか、余裕が出来たようでそんな冗談を告げる。
まずは生存者の救助。まだ目の前には寄生体が数十体いるが、同じ要領で突き進む!

「俺なんて、褒められるほど強くねぇって!!」

ルーン魔術を使って、出来る限り寄生体を回避するが増幅された身体能力と凶暴性をかいくぐるのは至難の業。
ネイルガンの弾薬が尽きれば、弾倉を作り出して装填し、乱射する。
しかし、目の前の寄生体の壁を押し通るには―――
 
「…!?流石、ナイスだ!」
(ネイルガンじゃ足りねぇ…なら!)

ヴァニタスが目の前に躍り出て、前方の道を切り開く。
そのチャンスを逃すまいと、刀とネイルガンを蒼い光に戻して、新たな武器を生成する。

作り出したのは柄付きのグレネードのような形の装置。
それを複数、壁に左右に飛ばされた寄生体たちに投げれば、弾頭部がアンテナのように展開し、電流が流れる。
電気は寄生体を壁や地面、はたまた寄生体同士を磁力の力でくっつけて、動きを拘束する。

「っ…!あぁ!行ってくる…!」

彼の姿を見れば、一瞬息を呑む。返り血が付いてないことを疑問に思うが、後回し。
そして、廃屋への道が切り開けば中へと入っていく。

霧島 孝介 > 中はボロボロながらも一般的な家具類が揃っている。電気は通っておらず、暗い。
一歩踏み出せば、血溜まり。鉄臭い匂いに、嫌悪感がするが、ともかく…

「…誰かいませんかー!?」

声を張り上げ、廃屋内を探索する。
てっきり廃屋内も寄生体が無数にいると思ったが、驚くほど静か。

小型のドローンを飛ばして、周囲を探索すれば、タンスの中から反応が。
そちらへ向かって開けて中を確認すれば、ガタガタと震える小学生くらいの女の子と弟と思われる男の子。
パッと見、花はなく、凶暴化していないことから寄生されている様子はない

「良かった。もう、大丈夫!さ、こっちへ――――――」

と少女たちに手を伸ばした瞬間、視界がブレる。
身体が大きく揺れて、勢いを付けて移動し、廃屋の壁を突き破って
ヴァニタスの前まで飛んでくる。

「がッ…はっ!!」

目を見開き、背中に感じた痛みに悶える。
何が起きたかわからない、多分、『投げ飛ばされた』―――!
廃屋に大きく空いた穴を見る。

そこから、ドシン、ドシンと地面に響く重い音が聞こえて―――

『虚無』 > 「いらん、そもそも借りる手段もない」
 
 お互いに家も知らないだろうがと付け加える。
 そして相手の強くないという言葉にはハッと鼻で笑う。

「強くない奴がこんな場所に乗り込んでくるわけがないだろう」

 だから最低限自信はあるはずだという予想。大きく間違いではないはずだが。さて、彼が廃屋に飛び込んだと同時。扉の前で仁王立ちで立ちふさがる。
 拒絶能力。その本懐は守りの能力。回転の速い打撃という特性も合わされば扉の防衛は容易い。はずだった。
 
「……救助成功というわけじゃなさそうだな。大物か?」

 穴の中には目線は向けられない。まだこちらに迫ってくる感染者が無数にいる状態だ。
 だから言葉を選び、最低限必要な事だけを聞く。

「こっちに来ているな?」

 その大物が中にいる生存者に食いついたのか、こっちにヘイトが向いているのか。その差は重要だ。こっちに向いているのならどうにでもなる。だが生存者に向いているならかなり厄介だからだ。

寄生された巨漢 > ドシン、ドシン。
地ならしのような足音が近づいてくる。
壁の中の暗闇からぬっと手が出てくる。

太く、丸い手が木製の壁を掴めば、メリメリと音を立てながら破壊し、姿を現す。
現れたのはスキンヘッドで上半身が裸の肥満体形の男であった。
左目には赤黒い花を生やし、寄生されていることが分かる。

目を見張るのはその大きさ…2m、いや3mはゆうに超えているだろうか

先ほど霧島を吹き飛ばしたのはこの男だった。
自分が吹き飛ばした男と寄生体を相手取る狼の仮面の男を見て、ニャチャアとボロボロの歯を見せて笑う。

「へっへっへ、ダメだよぉ~俺のコレクションに手を出しちゃア?」

気持ち悪い笑いを浮かべながら、ドシンドシンと足音を鳴らして二人に近づいてくる。

霧島 孝介 > 「ゲホッ、はぁっ、わ、からん…!」

せき込みながら、彼の問いに応える。
穴の方を見据えれば…出てきたのは肥満体系の巨漢。

コイツ…コイツが…俺を投げたのか…!?
異能の影響か、生物兵器のせいか、常人ではありえない身長。
それに目を見張る。

他の寄生体が廃屋に居なかったのはコイツのせいか…!
気付けば、大勢いた寄生体が怖気づいたように襲い掛かるのをやめていた。

「……やるぞ、一緒にやれるか…!?ヴァニタス…!」

明らかに、こちらに敵意を持った行進に息を呑み、立ち上がる。
ヴァニタスの方へ視線を向ければ、手に蒼い光を集めて、覚悟を決める。

『虚無』 >  
「……ここでやれないといったら本当の意味でクズになってしまうからな。幸いにも他の奴らは萎縮したらしい」

 やれると頷くと手にパチパチと紫電の光が走る。
 さて、切断有効、焼却有効。そして肥満体。ここまで苦手要素が重なるともはや笑いが出てくる。

「俺の能力は拒絶と肉弾戦。言ってしまえばあの手の相手との相性は極端に悪い」

 時間をかければ、周囲への被害を考慮しなければ勝てる相手かもしれない。だがこの状況下。後ろに生存者がいる状態でそれはできない。
 相手の手を見て。

「さっきから見ている限り武器を作り出す能力か? だったら……攻撃は任せる。トドメは……無理してさせとはいわん。タイミングが合えば俺がやってやる」

 一般人に人を殺せ等と強要するのはどう考えても違うので一応そういう。だがどうするかは彼次第だろう。
 さて、そういい終わると同時。甲高い金属音と同時に高速移動。巨体の足元まで一気に潜り込むとその足を薙ぎ払うように足払いを仕掛ける。
 だが能力の乗ったそれの威力はコンクリートだろうと打ち砕く威力を持つ。

霧島 孝介 > 「はは、本当、頼りになる…!寄生…されてるとはいえ、そこは人間…だなっ…!」

呼吸を整えながら、口元の血を拭う。
周りの寄生体を見て、好都合と言わんばかりに笑えば
よしっと、拳を握り込めば、使う武器を決める

「…マジか。
 アンタならあのデブを一撃で宇宙まで吹き飛ばしてくれそうって期待したんだけどな…!」

紫電の光が走る手を見る。
彼の発言から、その期待は叶いそうもなく、連携して倒すしかないと腹を括る。

「あぁ……いや、覚悟を決める時だ。
 …小さな女の子を、人間をコレクションって言い切る奴は、倒さなきゃいけねぇ…!」

未だに殺しは躊躇する、がやるしかない。
彼が高速移動するのに合わせて、大きな鉈を生成する。
足裏のルーンを発動させて、跳躍。そのまま巨漢の首を斬り落とそうとする。

寄生された巨漢 > 「ぐっふっふ~!ダメだなぁ!もっと腰を入れて蹴らなきゃ!」

重心を低くして、ヴァニタスの蹴りを受ける。
無傷、とまでは行かないが大きなダメージが入っている様子はなく
不敵な笑みを浮かべて、拳を鳴らす

「君も!こんな小さな包丁じゃ俺のカミソリにすらならないよぉお!」

見かねた霧島が首を斬ろうとするが、その鉈を受け止めて、握力で砕く。
そして、二人を同時に視界にとらえれば、両方の手を振りかぶって

「顔面崩壊パンチ!!!」

上から、拳を振り下ろして顔面に叩き込もうとする。

『虚無』 >  
「周辺の被害を考慮しないなら殺せるだろうが……後ろの子供に被害が行くわけにはいかないだろう」

 宇宙までという言葉にはそう言い切る。こういう時に融通の利かない威力設定の異能は使いにくいことこの上無いのだ。
 相手の覚悟を決めるという言葉を聞けば。

「わかった、信じるぞ」

 そう切り返す。もし相手が躊躇するようならそれを前提に動かなければならなかった。だが覚悟を決めるといった以上は……それを信じるだけだ。
 肥満男の動きを見る。もし彼が覚悟を決めていないのなら1本だけを回避してカウンターでよかった。そうすればダメージは回避できただろう。だがそれをしない。

「お前こそ俺を倒したいなら大砲でも用意しておくべきだったな……!!」

 霧島の前に立ち、その拳を両方ともまともに受ける。防御にリソースを全て裂く。体に鈍い痛みが走り体がぐらつくが。それでも倒れはしない。その拳をしっかりと握りしめ押さえつける。

「5秒は持たせる。やれ!」

 相手の体重を考慮すればそれぐらいが限度だろう。早く仕留めろとそう告げて。

霧島 孝介 > 「そ、そうだな…!」

そんな大規模な技なの?とちょっとびっくりしつつも
今は目の前の巨漢に集中。あいつを狩らなければこっちが死ぬ。
これまでにない真剣な眼差しで

「…あぁ、俺もアンタを信じる!!」

自分の覚悟を信じてくれたヴァニタスを信じる。
そう決めて、跳躍からの攻撃をしたが…防がれて、絶望の表情に変わる。
着地をした瞬間、迫りくる巨大な拳に歯を食いしばって目を閉じて

「死…っ…ん、だかと思った!!助かったヴァニタス!!」

一瞬、走馬灯がよぎったが、気付いたら彼が前に立ってくれて、攻撃を防いでくれた。
このチャンスを逃すまいと、砕けた鉈を光に変換する。
新しい武器を作り出す。

この武器は――――


『人殺し』が出来るヤツは、いつでも『殺す』覚悟を持ってなくちゃいけねえ


「…出来たよ」

蒼い光が集まり、武器を形作る。
出来たのは銀色の球体。それを巨漢の頭に投げつける

寄生された巨漢 > 「あァ”!?」

ヴァニタスに拳を防がれて、不機嫌そうな声を上げる。
頭と腕の血管が浮き出て、筋肉が盛り上がっていく。

「んな、チャチな異能で俺のパンチを防いでんじゃねェ!ぶち殺すぞ!!」

明らかに異常な筋力、フィジカル。
それでヴァニタスを押しつぶそうとする。
一瞬で潰れないのはひとえにヴァニタスの異能と経験と身体能力のおかげだろうか

すると、目の前に銀色の球体が飛んできて

「へっへ~?なんだその球ァよ!ビー玉遊びでも…ベッ」

無視してヴァニタスを潰して肉餅にしようとした矢先、銀球が顔面に命中。
すると、銀球を中心に巨漢の上半身が『爆縮』する。
対消滅のような黒い真空の爆発が起こり、巨漢の上半身を削り取って、腕と下半身だけを残してベチャっと倒れる。

『虚無』 >  
「その通り。俺のは自分しか守れないチャチな異能だよ、まぁそれを抜けないお前のパンチなんてそれ以下って事だがな」

 相手の長髪に長髪で返す。押し込まれるのをなんとかこらえ、そして。

「俺の異能は防御が本命だからな。かばう以上死なせはしないさ……少し、痛むが」

 消え去った相手を見てふぅと一息吐き出す。
 相手を反対に吹っ飛ばすという事をできない以上ある程度はダメージをこっちに通す必要がある。罅くらいは骨に入ったか。

「さっきのは爆弾か。中々面白い技だった。さて……最後の仕事が残っているな」

 通りに目を向ける。まだ終わりじゃない。子供もいるし。主が消えた以上。

「……さっき話したな。子供は任せる」

 外の感染者が息を吹き返す。こちらへと寄ってくる群れ。子供をつれたまま群れの突破は難しいだろう。そしてそれを護衛するだけの戦力は負傷した自分にはない。
 だから、隣の瓦礫を破壊する。ガラガラと崩れ、廃屋と自分を寸断した。

「違う道にも少数はいるだろうが。この数よりはマシだ……流石にそれくらいなら子供連れでもできるだろう。2度目だ。信じるぞ」

 本来、自分の目的を考えるのであれば彼を囮に子供を連れて自分だけで逃げるのが正解なのだろう。だが彼ならやってくれるそう信じた。
 自分1人なら怪我込みでもあの群れは何とかなるはずだ。
 瓦礫はそのままガラガラと崩れ。自身と敵の群れを覆い隠した。

ご案内:「落第街 閉鎖区画」から『虚無』さんが去りました。
霧島 孝介 > 「はぁっ…はぁ…!」

血だまりの中に、男の遺体が沈むのを見て、歯を食いしばる。
人殺しをしてしまった。でも、ここでやらなかったら…
そんな複雑な気分に陥るが、それを嚙み締めている余裕はなく

「本当…助かった。
 恩人だよ。アンタは…」

かばってくれたヴァニタスに頭を下げてお礼をする。
彼が居なかったら、今頃、パンチを食らって全身骨折じゃすまなかっただろう。
そして、彼の言葉にまだ子供たちが残ってることを思い出して

「…あぁ!信じてくれ、俺もお前を信じる。死ぬなよ!!」

息を吹き返す寄生体が群がってきたが、彼の発言から囮になってくれることを察す。
崩れ落ちる瓦礫が彼を覆い隠す前に叫んで、廃屋の方へ振り返る。

(絶対生き残れよ、ヴァニタス……!)

唇をきゅっと結んで、子供達の救助へ走り出す。

その後は、子供達を救出し、閉鎖区画の突入地点へ寄生体を倒しながら戻る。
子供達は無事保護され、自分も生還した。


風紀委員に案内され、雑多に置かれた椅子に座って休む。
あんな悪党とは言え、人殺しをしてしまったと頭を抱えて、自責の念に駆られていたら…

『お兄ちゃん、ありがとう!』

助けた少女と少年が笑顔でそう言ってきて、そんな悩みなんて吹き飛んでしまった。

ご案内:「落第街 閉鎖区画」から霧島 孝介さんが去りました。