2022/02/19 のログ
ご案内:「薄暗い部屋」に羅刹さんが現れました。
ご案内:「薄暗い部屋」に『調香師』さんが現れました。
■羅刹 > まだ太陽が照らす昼間
その日の光も、届かない落第街の部屋の中で金髪の男が来客を待っている
護衛もつけていないのは、これから会う相手が信のおける相手だからか
来客の方にも、少人数の護衛を付けてはいるが本来は必要ないのだろう
それがわかっていて尚付けるのは、男なりの身内に対する誠意だ
「入れ」
護衛の一人が、連れてきた旨を告げてドアをノックすれば
中から、男は入室の許可を出す
部屋の中は、薄く電灯が付いた打ちっぱなしのコンクリート
そこにソファが二つ向かい合わせに置かれ
いくつかの飲料が、その間のガラステーブルに置かれている
「よォ。久しぶりだな」
この相手に、威圧も何もする理由が無い
そのため、重苦しい声というよりは多少軽い声で言葉を投げかけよう
■『調香師』 > 「ごきげんよう」
落第街を時々、何かを探すように彷徨うフードを被った小柄な姿
その姿、見かけた者は大抵忘れ、噂話になっている程度だが
『縁者』にその軽度の忘却異能は適用されては居ない
縁故に手繰り寄せたい交流機会というものを、今日得る事が出来た
私自身が、足跡以外は残さない優秀な伝達手段
「今日も、拾ってくれてありがとうね?」
またまた大きなバスケットを脇に置いて、彼女は首を傾ける
銀糸より薄く、儚い髪。その笑みの存在感の薄さも、普段通り
■羅刹 > 「相変わらず、つったところか」
足跡から全てを知れる……などという能力者も居そうではあるが
そんなところまで心配しても仕方が無いだろう
「いや。構わねえよ。暇してる奴を宛がっただけだ」
戦闘が起こっていない以上、戦闘員に出番はほぼ無い
組織の内面はほぼ現状維持に回されているためだ
「でけぇ荷物だな。近況報告だ、つったろうに」
不釣り合いとも思えそうなバスケットを見て苦笑
今日のところは、この協力者に変わりないか、あるいはこちらの状況を伝える機会だけのつもりだったが
また、何を持ってきたのやら
■『調香師』 > 「相変わらずだよ。この荷物も含めて」
どんなお出かけの時も一緒に居る、そんなバスケット
いつから愛用していた物か忘れる位に、自然と収まっていたもの
童話から抜け出した様な可憐さを合わせ持ちながら、
相対する相手はどう考えても『読者』には合わなかろうに
「あまりにずっとずっと貯め込んでた日記だから、
普段通りじゃなくってもこんな風にはしてたと思うけどね
ずっと、一言も連絡が来なかったけど、思ったよりは大丈夫そう
失ったものは『尻尾』どころじゃ、ないみたいだけれど」
バスケットの中から、使い切った手帳、真新しい手帳を何冊か取り出していく
一つ、調香師の手ではなく何者かの設計図を書き連ねった手帳も存在するが
■羅刹 > 「それもそうだ。
機能性なら背負う方が良いんだろうが、こだわりだな」
相変わらずの大きなバスケット
それは僅かに、安心するものでもあった
いくら男が思考を回していたとはいえ、目まぐるしく様々な事が変わったものだから
「ああ。雑に生き残っているだけだな
…は。また溜め込んだもんだ。………これは?」
積まれていく手帳たち
新古入り混じったそれらを見てまた微かに笑う
これだけ使えるということは、商売は繁盛していたようだ。それならそれでいい
いくら何でも何もない日を連ねてここまでにはなるまい
とは言っても気になるのは、手帳の中に紛れる設計図だ
制止されなければ、専門ではないものの、その設計図の意味を推し量るため
一枚手に取って、目を通してみよう
■『調香師』 > 「私がこの落第街で探してる、もう1人かな?」
口調の程は簡単に、続けて吐く息は、彼女にしては重く
それは人間の手で書かれた物とは思えない程精緻でありながら、
掠れた箇所が印刷ではなく肉筆であると理解しうるだろう
その日記帳で全てを書き記せなかった故に、全貌こそそこには無いが、
俯瞰しうる視点があるのなら、それは『人の形』に繋がると理解し得るか
「ここ暫くは、たくさんの事が変わっちゃったから
やっと出来た余裕の中で、時々探しては見てるんだけどね」
噂は時々聞くのかもしれない。しかしその姿は見つからず、と
■羅刹 > 「―――――…………」
短く頷く。
なるほど、その相手の為…詳しいいきさつまでは知る由もないが
落第街に居るというなら義肢や機械の身体…というのもわかる
その設計の手伝いでもしたのか、と結論付けて
「ああ。落ち着きすぎて気持ち悪いくらいだ。
何なら、人を出してやろうか」
梟はもうほとんど機能してはいないが、人手を出すことくらいは可能だ
特徴を伝えれば、片手間に探す人数を増やすことくらいはできる
どちらにしても動けないのだ。その程度はいいだろうと提案する
■『調香師』 > 「ありがとう、でも情報なら出過ぎる位だから
あなたも聞いた事あるとあると思うよ
この落第街で『慈善』を続ける子供の話
本人曰く『夜の夢』、メア様の噂話」
曰く、異常なまでの献身体質。ボランティアから夜伽まで
落第街の一角が崩壊した後も、確かに彼女は無事だった筈なのだが...
「私にはまだ、彼女に返さなきゃいけない物があるだけなの
本当は、急いでる訳じゃない。落ち着かないだけなの
捧げられたものの重さを、私もあの人も理解しきれていない
そんな気持ちがあるだけだからね」
日記の中には色々な名前、交流が連なっていく
時に、『調香師』の事を欲した者の名前も
薫様と呼ぶ相手は彼女を『メロウ』と名付け、
ありす様と呼ぶ相手は彼女を『ニンフ』と名付ける
特に、薫様と記す相手への日記には、主人への敬意を示す言葉もちりばめられ、
その関係がいかな方向に進んだ物かを察しうるのかもしれない
■羅刹 > 「それだけ言うなら、お前にとっちゃ相当…………メア?」
話を聞けば、引っ掛かる名前
あれはいつだったか
作戦前にも関わらず、やけに組織が緩んだことがあった
直接会ってはいないが、その時に関わっていた人物の名前が、メアであった覚えがある
「…………、それなら猶更だな
あの時は虫一匹好き勝手にさせるわけにはいかなかったが…、身内が世話になってんなら話は別だ」
以前は状況が状況であった
あの時に、『献身』だなどと言われてもはいそうですか、と組織が常駐する建物に入れるわけにはいかなかった
だが…協力者も世話になり、情勢も落ち着いたのなら色々と変わってくる
日記に眼を通しながら、言葉を続ける
「情報があるのに見つからないっつーことは、単純に人が足りねぇのも原因だろ
見た目がそれほど怪しくねぇのを貸すから、好きに使え
―――…………、なるほどな。……全く。そう繋がるか」
協力を勝手に申し出てから、日記に色濃く残る名前にく、と笑う
それなら、『受けて』貰うのも悪くない
「後ろ盾っつーほどでもねぇが。何かあったら言えよ。こいつにゃ、俺も眼ぇ付けてたからな」
以前、一度…この薫さま、とも話したことがある
その相手が身内と懇意なら、それもまた支援すべき相手だろうと
■『調香師』 > 「そういう笑み、顔。私はちゃんと見てるんだからね
ありがとうと思いながらも、素直に口にさせてくれない感じ」
両指を口の前で合わせながらも、じっとりとした目
目を付ける、身内として絡めようとする、そこまでは良い
それ以上、『望んでいた景色』を歪められてはたまった物ではない
信用してはいるが。時に貴方は『人が悪い』という事も知ってはいる
...と。ここまでのやり取りは戯れの様な物だ
悪いようにはされない。そこだけは間違いない、筈
「私、薫様に『ここ』との関係を伝えてないんだよね
だから、あなたも伝えちゃダメだよ。興味は止められないけど
私のお店は、『人の為』にあるんだから」
根本的に、目的が食い違うが故。情報は委ねてもそれ以上は渡せない
あの人に握られた片手を大事にする、そんな釘を刺しておくとしよう
■羅刹 > 「そうか。」
いつもの、と思われそうな口上を吐き出せば
返ってくるのは、大事なものを裏側に引き込みすぎないようにする健気な願い
そんな純粋な思いは、受け取ろうとしていなくとも、届く
「金を出してる俺が、店を取り上げる…なんて言い出さないとわかってて言ってやがるな?
見ない内にいい性格になったもんだ。
…心配すんな。わざわざ身内の尾を踏むようなことはしねぇよ
もし偶然会っても恍けてやるさ」
く、く、と笑う
目につくもの全てを無茶苦茶にしたいわけでもないのだ
するな、と言われたことを何の利益も無くするわけもない
「店を維持するための金は出してやる。その内自分で賄えるようになるかもしれんがな
契約通り、情報を流す限りは手伝うさ。…逆に言えば、『賄えるようになれば』離れても構わねえ」
どちらにせよ、情報を受け取ってはいるものの、渡してはいない
精々の情報が顔位だが、顔はもう知れ渡っているし
無理矢理に相手を縛り続ける理由も今はない
「いい顔するようになったな。拾った時とは大違いだ」
だから、そんな言葉でこの話題を一時〆るとしよう
■『調香師』 > 「叶う夢だとは思ってなかったからね
それでも機会があったから、私はなんでも掴んだの
ここでしてもらった事を忘れる訳じゃない
私は人の為に。これは『あなたの為』に
その一回のお願いを、果たしたい。それだけは変わらないから」
締めくくられた会話、自分の口も閉ざして
「ここに居る人のそこそこは損とか得とか、そう言うのじゃないんでしょ
それを分かっててそう言える人。私は『ひどい人』って言っちゃうから」
やっぱりもう一言余計に挟んでしまう
当然、貴方の言う通りなのだけれども
案外初めから打算だらけなこの女の姿
■羅刹 > 「ああ。…好きにしろ。離れるも離れないも、お前の自由だってだけだ」
どんな思いがあっても
それを汲み取りすぎても、だめだとわかっているから
好きにしろ、は…わかりにくい礼の表れだ
「…どうだかな。
少なくとも、妙なのを抱えてるのは事実だ。お前の事じゃなく、な」
懐から煙草を取り出して火を点け、一息に煙を宙へ吐く
「俺は酷くて悪い奴だ。それも、変わらねぇよ
誰も正義だなんて、思っちゃいねえ」
当たり前の事を確認してから、バスケットに目を向ける
「少し、眠る。いい香か何かあるか」
好き勝手にそう言ってから、ソファに深く身を預けよう
■『調香師』 > 「勿論。その様な注文も
それがあなたの為になるのなら...」
本命と言える注文の形
彼女はバスケットの中から荷物を漁る
そうして提示される会話は、
お店の中とは変わらず、話の機微から方向を探る
訪れた側が店主として。奇妙な関係が繰り広げられていた事だろう
貴方が眠ったその後に、彼女がその場を離れる時まで
ご案内:「薄暗い部屋」から『調香師』さんが去りました。
ご案内:「薄暗い部屋」から羅刹さんが去りました。