2022/03/02 のログ
ご案内:「落第街『リバティストリート』」にスティールバイソンさんが現れました。
■スティールバイソン >
落第街。リバティストリート。
その外れ……まぁ、盗難車や廃車。
あるいはその両方に該当する車が集められた車両の墓場。
そこで小規模な抗争が起きた。
なんで過去形かっていうと。
「ガハハ!! 俺様がバイソンスーツを着て負けるわけねェだろうが!!」
俺様たちとその部下が軽く“敵”を一蹴したからだ。
金属製の角を指先でピン、と弾いて周囲を睥睨する。
倒れているのは俺様たちを舐め腐った『番牌屋(ばんぱいや)』の半グレ崩れども。
爽快、爽快ッ。
ご案内:「落第街『リバティストリート』」に龍さんが現れました。
■龍 >
歓楽街の奥の奥、普通の生徒はまず近寄らない。"近寄れない"。
道無き場所に人は踏み込まない。
存外、本能的に人気のない場所は物好き以外寄らぬというもの。
では、進んで進み入るのは誰か。致し方ない理由か、或いは……。
「おぉ、随分と派手にやってるねぇ」
"狂人"だろう。
女は爛々と金の瞳を輝かせ、廃車の山から猛牛の群れを見下ろしていた。
事は終わった後だが立っている方の具合はどうか。
一つ、二つ……さて、見た目だけではわからない。
「サイボーグ……ではなさそうかなぁ」
鉄の奥に"氣"は感じる。
それなら良い。女は一足、鉄くずから飛び降り
ゆるりと音なく、猛牛の群れの前に降り立った。
「どうも。素敵な衣装ね?パーティーはまだやっているかな?」
■スティールバイソン >
抗争の場に現れたのは。
女。それも大陸の伝統衣装を着た。
身の安全とか考えねェのか。
パッと見はイカれているわけでもなさそうだが。だが…
「なんだァ………?」
黄金の瞳。夏の終わりのような深い緑の髪。
そして……これをパーティと形容するイカれた感性。
落第街で女が鉄火場に単騎で行動する時は七割、死ぬほど強いパターンだ。
「てめェどこの用心棒だ? 蟠桃会か? それともキッドナッパーか?」
銃を隠し持っている可能性を考えて角の裏側のスイッチを押す。
顔面部分が金属のマスクに覆われる。
「タダモノじゃあねェようだな……」
「痛い目見て雇い主を吐いてもらおうか」
■龍 >
猛牛は吼える。
上げられる名前はどこかで聞いたことあるような無いような。
わからない。"喧嘩相手には事を欠かない"故、多すぎて覚えきれない。
「おぉ、怖い。私も曲がりなりにも女の子ではあるんだけどなぁ……」
鉄仮面から放たれる敵意が肌に触れる。
重畳、良い気迫だ。そうで無ければ、此処に来た意味がない。
飄々とした態度を崩さぬ一方で、ゆるりと釣り上がる口角。
「──────……そう刺激してくれるな。"儂"も興奮する」
女子生徒の裏にいる"兇手"の渇き。
一息吐けば女の体を薄らと浮き上がる朱色の闘氣。
ちりちりと焼け付くような気配。
そして、女に似つかわしくない狂暴性を隠す事無く
兇手は獣の笑みを浮かべた。
「どれ、一つ闘牛と行こうか。
布は儂自身。突いてみせい」
これはまさに頃合いの赤。
ほれほれ、と両手を大袈裟に煽って手招き。
■スティールバイソン >
「自分がただの女だって主張するヤツにロクなのはいねぇ!!」
特に落第街には。
肌で感じる何か。闘気か、殺気か。
スーツ越しにはわからないが。
コイツは何の勝算もなく俺様にかかってくるアーパー女じゃねぇな。
「このテルミナスセブンのスティールバイソン様相手に…」
「よくも吠えてくれやがる!!」
「そういうのをなァ、浅瀬に赤波っつーんだよ!!」
■スティールバイソンの部下 > 『ボス、浅瀬に仇波です!!』
■スティールバイソン >
「………まぁ、とにかく考えが浅いヤツは針小棒大に騒ぎ立てるもんだ…」
ゴホン、と咳払いをして。
「とにかく! 後悔するんじゃねェぞ、女ァ!!」
相手に向けて両手を突き出して前進、襲いかかる。
掴めば終わりだ、この膂力と硬度ッ!! 負ける理由がねえ!!
■龍 >
「呵々、頭まで筋肉で出来てはおらんだろうな?」
おつむの方はまぁ……言及するのはやめておこう。
土煙を上げ、猛牛が文字通りの猪突猛進。
双角に見立てた巨手は虚栄では在るまい。
そう言う意味では、女も大層"馬鹿"の自覚がある。
動かざること山の如し。
照りつく朱色の氣、命の光があるべき人の底力を引き立てる。
「─────破ッ!!」
一喝、轟音。
力と力がぶつかり合い、衝撃が互いの腕を巡って全身に迸る。
まさしく生命にダイレクトに響かせてくれるこの快楽は
何物にも代えがたいものだろう。
鉄の猛牛を、女はその両手で受け止めたのだ。
「いやはや、期待以上。では力比べと行こうか?
男女と言わず……」
「闘いは力比べでないとなァッ!!」
狂笑。
兇手は歓喜に吼える。
自らの氣で高めた力を、肉を軋ませ
指を、手を握り合いの力比べ。
圧倒的体格差の異様な絵面。
だが女にとって、力に満ちた握り合いは恋人の手繋の如く甘美に感じていたのだ。
■スティールバイソン >
頭まで筋肉と言われれば頭に血が上る。
「俺様をコケにしてんのかテメェ!!」
激昂して相手と手四つに組む。
「バカがァ!! 犬が西向きゃ尾は東ッ!!」
「この体格差で─────……」
力が。
拮抗した。
バカな、バカなバカなバカなッ!!
俺様の異能で!! クソ重てェ金属製のスーツを着込んで!!
女の細腕と手四つで互角なんて……
「あ、あっていいハズがねェェェェェ!!!」
力任せに押し切らんと全身に力を入れる。
■龍 >
「ぬぅ……!!」
ギリギリと足が地面に沈む。
骨が軋み、肉が悲鳴を上げている。
心地良い痛みだ。成る程、伊達や酔狂では在るまい。
単純な力では押し負けよう。認めよう。
「いやはや……っ!流石だ、な!」
とは言え、潔しとすれど唯で潰される気は毛頭無し。
両手を掴んだまま、たん、と地を蹴り深緑が舞う。
風を切り、腕を軸にサマーソルトキックだ。
女の細足と言えど、氣に強化された力だ。
その鉄塊越しと言えど、痛みは確かに伝わるが、さて。
■スティールバイソン >
押し切れるッ!!
そう思った瞬間。
「がッ!!」
金属音と衝撃、そして痛み。
顎を蹴り上げられて手を離し、蹈鞴を踏んで後方に下がる。
■スティールバイソンの部下 > 「ボス!! 大丈夫ですか!!」
■スティールバイソン >
「テ、テメェらは手を出すな!! 蹴散らされるのがオチだ!!」
怒りに鋼鉄の仮面の下で表情を強張らせて。
「暴虎馮河も大概にしやがれッ!!」
サイドステップ。
「世の中はな、テメェみてぇなのが大立ち回りできるほどケレン味たっぷりにできちゃいねェんだよ!!」
近くにあった軽自動車を蹴り飛ばす。
「死にやがれええええええええぇぇ!!!」
これで潰れたカエルになっちまえ!!
■龍 >
「……ふぅ」
着地、一息。
「見事な剛腕。危うく諸手が砕けると思ったわ。
いや、すまんな。これが力比べであれば潔く死んでやったが……」
生憎是は闘いだ。
凶手と猛牛が渇きを潤す血を求める故の摂理。
ふふ、と軽く両手を振るってわざとらしく肩を竦めた。
まだ腕が痺れ、痛みがじんわり広がっている。
回復まで、数刻か……。
「呵々、まさしく猛牛よな」
頭にたっぷり血が上っておる。
怒れ怒れ。背中で腕組み、軽く首を回した。
挑発ついでに、余裕の表れだ。
それを崩さんとばかりに轟音と共に鉄塊が飛んでくる。
腕は使えぬ。では────……。
陰りに合わせ、兇手は腰を低く落とし……
「────疾ィッ!!」
足を軸に巻き上げる土埃。
全身の肉を総動員し回転、舞い上がる朱は烈火の如く。
迫る鉄塊を迎え撃つは"靠撃"。
背による衝撃が撤回をへこませ、今度は逆方向に飛んでいく。
『如果蛙被损坏<蛙のように潰れてくれるなよ>─────?』
まさに、意識はしていない意趣返し。
■スティールバイソン >
「なッ」
確かに蹴り飛ばした車両は。
大きくフレームを歪ませながらこちらへ返ってきた。
「ぐぬあああああああああああぁぁぁぁ!!!」
轟音。
軽自動車に押し潰されてジタバタと手足をばたつかせる。
「こ、この女ァ………!!」
騒ぎに乗じてブチのめした敵対組織の連中も逃げてやがる。
クソックソクソクソ!!
ここまでいいようにあしらわれて!!
舐められて!! 終われるかよぉ!!
必死に自動車から這い出して荒い息を吐く。
「このパワーで………」
相手に頭部装甲についた金属製の角を向ける。
「この重装甲でッ!!」
猛牛の奥の手、全身全霊の突撃。
「負けられるわけがねぇんだよォォォォォ!!!」
角で刺されるか、轢かれて吹き飛ぶか。
避ければ手が出る足が出る!!
即死だけはしてくれるなよ、クソ女ぁ!!
ご案内:「落第街『リバティストリート』」に龍さんが現れました。
■龍 >
「────呵々」
怒れ、猛れ。
そうで無ければ"闘牛"は盛り上がらない。
手の回復は十二分、腰を落とし正中構え
猛牛迎え撃つは佇む龍。
喉で笑い、地に平足を。
『有理贏、無理輸<理在れば勝ち、理無くば負ける>』
即ち、勝機在り。
ただ一つ、一点の拳に朱色が集まり
猛火の如く猛り上がる。
深緑突風靡き、重鉄の目前。
「───────!」
一閃。
突進に合わせた渾身の突き。
"冲捶"。八極を表す技が一つ。
爆発、即ち一撃必殺。
その極意を表すべく、拳が角を迎え撃つ────!
■スティールバイソン >
衝撃。
それも、生ぬるい衝突では起きない。
力と力のぶつかり合い。
音を立てて、折れた角が地面に突き刺さった。
「グ、ヌウウウウウウゥゥ!?」
互角、だがこの強度の角をへし折るとは!!
直接食らっていれば昏倒……
いや、まさか。
「グ、グハハハハハ……」
野太い声で笑い。
笑ってるよな。笑いになってるよな…?
「白けたぜ……今日は見逃してやらァ」
上擦った声で折れた角を拾って。
「冬浅し……風花散らすや雪催(ゆきもよ)い」
「寒い時期に大暴れってのも疲れるもんだ」
「互角の勝負……楽しませてもらったぜ…」
そう言うと部下たちを手招きして。
こそこそと話す。
話がまとまると。
「いつまでも単身無茶はしてると人生が後悔するからな!!」
「じゃあな!!」
てにをは狂った言葉をしどろもどろに言い切って走って逃げた。
なんだよ無敵のメタルスーツって!!
高い金払ったのに女に角折られてんじゃねーか!!
■龍 >
激突。
まさに兇手その名に違わず、鋼さえ粉砕して見せた。
とは言えよもや、女の柔肌には過ぎたるもの。
柘榴が裂けて真っ赤に染まっているではないか。
「…………」
冷やかな眼差しが己が果汁を一瞥し
兇手はニヤリと笑みを浮かべた。
「そうさな、喧嘩としては十分よ。
"儂"も十分楽しんだ。今は満足だ」
戯れとしては十分すぎる程楽しんだ。
"死合い"成れば作法も変わる。
敢えて、女は何も言うまい。
流麗、髪を靡かせ腕を組んだ。
「あ、因みに女の子の秘密。
表で喋ったら殺しちゃうぞー♪」
喧嘩が終われば明友と人は謂う。
既に空気はがらりと変わりにあっけからんと女は冗談を口にした。
にこにこ上機嫌に笑ってはいるが、本当に冗談かはさておき。
「ご忠告ありがとう、牛さん。また会おうね?」
喧嘩相手は多いに越した事は無い。
去っていく相手の背中を見送り、軽く伸び。
「さて、と……」
此方も帰るとしよう。
踵を返し、金の流し目は何気なく空を見やる。
「原形毕露……そっくりそのまま返すよ、牛さん」
鋼の鎧に隠されていたもの。
あれで悪者のつもりなんだろうか。
だとしたら───────。
否、言わぬと言った。
手を包む緑の生氣に癒されながら、今日は大人しく表に帰るとしよう。
ご案内:「落第街『リバティストリート』」から龍さんが去りました。
ご案内:「落第街『リバティストリート』」からスティールバイソンさんが去りました。