2022/04/16 のログ
ご案内:「転移荒野 月の湖」にセレネさんが現れました。
セレネ > 待ちに待った満月。
4月の満月はピンクムーンと呼ばれるらしい。
転移荒野、島にある危険地帯の一つ。
そのとある湖の畔に立ち竦む人影。背には淡い銀月色の光を放つ双翼が生えている。

その人影が一歩、湖へと足を出す。
普通ならそのまま水に濡れるが、不思議な事に足は沈む事なく水面を踏み締め、
何事もないかのように水の上を悠々と歩き始めた。
今日は…いや、満月の夜は特別だ。月の魔力が満ちる夜は己の舞台だ。
種族によって、若しくは人によっては嫌われる日だが、月の女神である己にはこれ程機嫌が良くなる日はない。

セレネ > 湖の半ば程まで歩けば、立ち止まった。
空には見事な丸い満月。水面にはそれを鏡のように写し取った月が浮かんで居る。
己は水面に浮かんだ月の上に立つ。
波打つ水面、静かになれば一つ深呼吸をした。

焼ける痛みは憎悪の、呪いの痛み。
先日貰った椎の実のお陰で大分痛みは減ったものの、根本的な消滅までには至らなかった。
だから今、身体に残っている怨嗟を浄化する。

左手にはいつの間にやら淡い蒼月色の弓を持ち、その手を真上に掲げる。
手慣れた手つきで矢を番える。いや、正確には番える矢などない。
――が、右手には徐々に黒く暗く靄がかった矢が形となって現れる。
弦を引く。キリキリと張り詰めた音がする。
限界まで引き切れば、その黒い矢を、己の中に残っていた不浄、怨嗟を。
空高く射ち上げた。

ご案内:「転移荒野 月の湖」に八坂 良彦さんが現れました。
八坂 良彦 > 転移荒野の見回り任務中、遠くから水面の反射を見たと思った後で。
その水面を各章に人影が動いているのを見つけて、急いで駆け寄っていく。
其処で見たのは、ローブを目深にかぶり背中に翼をもつ人物。

「…えーと、なんか、凄い事なってる気もするけど、其処の人ここら辺危ないから戻ってきてくれないか?」

水面を歩く相手を見て、少し大きめに声を掛ける。
似た事は出来るだろうが、あそこまで静かに水面を歩くことは自分では無理だろし。
何よりあそこ迄大きな翼をもつ相手を見たのは初めてで。

一瞬うかんだのは、天使やそう言った存在だったのだが、この学園だといてもおかしくないな、と気を取り直す。

セレネ > 『……。』

矢を射ち上げた直後、声を掛けられてフードの下の蒼を瞬かせる。
まさかこんな所に人が…?いや、居てもおかしくはない、が。
顔を其方に向ければ、そこに居たのは小さな人影。
正確に言えば、顔見知り。以前会ったのは”暴動”があった閉鎖区画だったか。
フリーの右手を一瞬喉へとやり、変声の魔術を自身へかけて。

「君、風紀の人間かい?こんなところまで警邏とは恐れ入るね…。」

きちんと魔術が掛かったのを確認すると口を開いて言葉を返した。
今はフードで顔を隠している。声を変え、口調も変えた。
…己をよく知る人物でなければ、一目で看破は難しいだろう。

「あぁ、心配してくれるのは有難いけど大丈夫だよ。
こう見えて…ほら、人間ではないから。」

言いつつ、背に生えている双翼を指差してみせた。

八坂 良彦 > 声を聞いて、聞き覚えが無いなと思いながら。

「今日の当番だったんだよ…で、目の強化しながら監視してたら、そちらさんが見えたんで。
急いで来たって訳なんだけど」

自分の身体強化は強化する部分を限定すればその部分の能力が全身に強化を掛けるよりもかなり上昇する。
見回り中だったので、性格には目と耳を強化していたのだが、其処は言う必要もなく。
目のあたりをこんこんと、叩きながらそう告げて。

「あぁ、うん、人間じゃないのは流石にみてわかるけど、だから大丈夫とはならないだろ。
このあたりは魔物もでるし、怪異も発生する、それに対する見回りだし、誰かいたら流石に簡単に放置したら、役目果たせてないって話になるし。
いや、何かすることがあって、邪魔になるなら見回りに戻っても良いんだけど…流石に、女性一人でってのは心配でな」

軽い会話の感じで、相手に悪意はなさそうだと判断したのか、はぁ、と息を吐いて一度空を見て、相手を見て。
ローブを着て判り辛いが、体の輪郭や少しの動き、覗く口元から女性だと判断した様子で、そう言って腕を組む。
はたからみればどちらがより心配かと、そんな状況に見えるかもしれない。

セレネ > 「目の強化…ふぅん。そこまでして誰かを守りたいんだね。
此処は学園の管轄外だろう?何があっても自己責任じゃないか。」

風紀や公安、生活等その他表の組織は基本学園側の管轄だ。
その風紀がまさかこんな所まで警邏しているとは思いもしていなかったが。
目の近くを軽く叩く彼に、蒼を細めて。

「責任感の強い子なんだね。
うん、此処が如何に危険な所なのかは重々分かっているつもりだよ?
分かった上で来ているんだ。此処は人の目が殆どない所だから。」

そう言葉にすれば、一度空を見上げた相手の目に映るかもしれない。
己が空へ射た矢が月の光に浄化されて弾けるのを。
弾けた光は雫となり、月色の雨となって降り注ぐ。
とはいえそれは水ではない。だから服が濡れる事もない。
――ただ、月の光の雨が落ちるだけだ。

相手は声を変え、ローブを纏っている己を女性であると判断したようだ。
…成程、なかなか侮れない。人を見る目はあるようだ。