2022/11/22 のログ
ご案内:「常世総合病院―個室―」に追影切人さんが現れました。
追影切人 > 【破壊者】との戦いから数日――アレから、応援に来た風紀の連中に病院へと担ぎ込まれた。
速やかに除去されたが全身に劇毒を喰らった事と、最後の激突の余波で数箇所骨に罅が入っていた事。
あと、明らかに一部骨が折れていたのもあり、検査の意味合いも込めて晴れて入院だ。

「……くっそ退屈なんだが…だから病院は苦手なんだよ…。」

ぼそり、とベッドに寝転がりながら無味乾燥な白い天井を見上げてぼやく。
まぁ、そもそも病院が好きな患者なんて殆ど居ないように思うけども。

あの後、”上”から連絡があり…そりゃまぁこっぴどくお小言を頂いた。
結果的に、最後の激突で全体のごく一部とはいえ歓楽街を吹き飛ばしたのだから無理も無い。
それもだが、虎の子の一人が痛み分けであの男を始末出来ていない、というのがやはり最大の理由だろう。

(ハッ、俺がくたばろうがどうせ”予定調和”だろうに…いい加減、廬山の奴に回せば話が早ぇのによ…。)

まぁ、アイツは例の規約を破った監視対象の二人の対処を任せられているのだろうが。

追影切人 > 男は、何処まで行っても【駒】であり【備品】であり【所有物】である。
飼い殺し、風紀の狗、都合の良い正義の”始末屋”。…馬鹿馬鹿しい、と吐き捨てる。

(んなのはとっくに分かってんだよ…昔、レイチェルの奴とタイマンで負けて無様に倒れた時点で。)

その時点で、追影切人は”死んでいる”。今ここに居るのは、残骸や抜け殻みたいなものだ。
能力を半分奪われ、都合の良い駒(もの)として扱われる――それが現在の己だ。

この男に正義も悪も無い、”何にも無い”。あるのはただ、今も昔も”何かを斬りたい”という純粋な欲求(ねがい)。
斬れればそれで満足で、他には何も要らない――と、昔は思っていたものだが。

「やーーっぱ、『人の心』なんざ理解するもんじゃねぇわ…どうにも切れ味が鈍っていけねぇ。」

【恩人】は自分を獣から人に戻したがっていたが、それは多分間違いだ。
――戻るも何も、元から人”ではない”のだから戻るもクソもあったもんじゃない。
結果的に人間として生まれ落ちただけの、人の形をした刃に真の意味で人の心なんて――分かるものか。

反動を付けて、ベッドから上半身を起こすと携帯端末を軽く弄る。
着信やらメールやら、どれもクソッタレな”上”の連中のものばかりだ。くたばれ。

追影切人 > ちなみに、退屈すぎて何度か脱走を敢行したのだが――ここの看護師連中に毎度とっ捕まって無理だった。
何でもこの病院の看護師連中は、猛者すら笑顔で余裕綽々で取り押さえる化物揃い…らしい。
眉唾かと思ったが、実際体験してみると確かにその噂もあながち間違いでもない気がする。

(明らかにこっちの脱走ルートを先読みして待ち伏せしてたり、勘が矢鱈良いんだよなぁ。
動きも、そこらの風紀の連中より速ぇし綺麗に正確に関節技極めてきやがるし…。)

次に脱走したらベッドにベルトで縛り付けると宣告されたので、今は大人しくしている…つもり。

「…こういう退屈も切れ味が鈍るってもんだろ…本当、俺も堕ちたもんだ。」

追影切人 > 「…取り敢えず、やっぱりまともな得物を手に入れてリベンジするしかねぇか…【雷切】が宛てにならねぇとなると…。」

一つ、武器保管庫から【A級】レベルの得物を幾つか借りるか。
ただ、これは男の戦い方や性質上”無事に返還されない”可能性もあるから難しい。

二つ、左腕の”コレ”をもっと有効活用するか。こちらの方がまだ現実的な気もするが。

「うだうだ悩んでもしょうがねぇし、退院したらどっちも当たってみるか…。」

異能が完全ならば然程問題では無いのだが、半分しかない現状は何かで補うしかない。
再びゴロン、とベッドに横になりつつこれからの事をぼんやり考える…”これから”?

「…これからも何も、やる事は変わんねぇんだよなぁ。」

斬りたいモノ、斬ると決めたモノを必ず斬ってみせる。
それが己の望みで生きる指針で、追影切人という男の全てと言っても過言では無い。
人の心を或る程度得ても、昔より切れ味が鈍っても、そこだけはブレない絶対的基準点。

追影切人 > 第一級監視対象【凶刃】。特級の”なり損ない”にして防止役の一人。

――その刃の矛先は、”今はまだ”風紀の敵へと向けられていた。
だが、風向き一つでその刃の矛先が自分達の喉元へと突きつけられている事を。

(まぁ、仮に上の連中を残らず斬り殺せたとしても、気分は晴れねぇだろうが)

何というか、それはそれで”つまらない”。斬るならもっと派手にやりたい。

どのみち、その刃に『鞘』は無い。何時でも抜き身で何時でも何かを斬っている。
血糊も、錆びも、刃毀れも、一切合財関係なく、無窮の刃は数多の何かを斬り続ける。

「…取り敢えず寝るか…。」

意識がストン、と奈落に落ちるように眠りに落ちる。刃は夢なんて見やしない。

追影切人 > ――今はまだ、何処にも鞘は無い。
ご案内:「常世総合病院―個室―」から追影切人さんが去りました。