2023/01/07 のログ
■神樹椎苗 >
「――ええ、ここで待っててくれればいいです」
運転手に待っててもらうよう伝えて、タクシーを降りる。
空地の中の神社は、すでに廃れているようで、社を手入れするような人物も訪れていないのは想像に難くない。
「ふむ――形はまあ残ってますが。
ここにはもう、神はいないみてーですよ」
ボロボロになった鳥居をくぐらないように迂回して、敷地の中に入っていく。
社にはやはり、何の気配も感じられなかった。
■希 > 「えへへ、穴場かなって」
ちょっと異界探検した時に迷い込んだのは秘密。
「私たちらしいかな、って」
古ぼけた、そこに目をやれば。
■神樹椎苗 >
「穴場は穴場、でしょうが――ふむ」
私たちらしいか、と言われれば。
たしかに、これなら何の気兼ねもする必要はないが。
「――バカですね、空っぽの社に祈ったりすれば、なにが居つくかわかったもんじゃねーですよ」
崩れそうとまではいかない古い社は、まだまだ、拠り所にするには十分だろう。
それにここは、異界と隣り合わせの常世渋谷。
なにに住みつかれるか分かったものじゃない。
となれば。
「はあ。
それじゃあ、ここはひとつ、保護者気取りの誰かさんに祀られてもらうとしましょうか」
ポンチョの中から、小さな包み紙を取り出す。
中には、集めておけば役に立つかと拾っておいた、銀月の色の髪の束。
それを、社の中の祭壇に置いて、戻ってくる。
「これで変なもんが住み着く事もねーでしょう。
それに、しいやお前が祈るのにも丁度いい相手です」
といって、社の前に向き直って、幼女を手招きする。
■希 > 「ん?カミサマついた?」
何となく何かしてるなあってのを眺めながら
「よいしょ、と」
珍しく息のかかる、距離で。
肉食めいた、何かしらを、予期させて。
■神樹椎苗 >
「さて――どうでしょうね」
少なくとも格は高いと椎苗は見ているが。
それに、『黒き神』との相性も悪くない。
「――で、なにしてんですか」
やけに近くまで寄って来られる。
と言うか、近すぎるのではなかろうかという距離。
当然、椎苗は警戒心バリバリである。
■希 > 「んー、抹殺のらすとなんとか」
神社の側で、ちょっと強引めに抱き寄せてみたり。
「なかよくなりたく、て
■神樹椎苗 >
「あーーーーーーーー、はいはいはい、そこまでです、非合法ロリ。
それ以上やったら、その晴れ着ひん剥きますよ」
抱き寄せようとする妹分に精一杯抵抗しつつ。
「お前、またなにか変な本でも読みやがりましたね?
ええい、仲良くなるの方向性がちげーんですよ、こらもう」
ぐいぐい、と押しのけてから。
おでこと軽く、ぺちんとはたいた。
■希 > 「友だちより、もっと」
本にはたしか
「なかよくなって、ステップアップ、てき、な?」
ぺし、とはたかれ。
「むー、だめ?ともだち?」
■神樹椎苗 >
「それは、しいを相手にやるステップアップじゃねーです。
それと、お前にはまだはやいので、帰ったら即刻処分する事ですね」
ぐりぐりぐり、とほんのり寒さで赤くなった妹分の頬を指先で押しのけて。
「まったく――友達だなんだ、というかですね」
押しのけた後、むずかしい顔で腕組みをし。
「もう、家族みてーなもんでしょう。
でもなければ、こんなに世話なんて焼いてやらねーですよ」
と、呆れたようにため息一つ。
■希 > 「むぐぐ、うごご」
モチモチのほおを突かれながら
後でしーなちゃんにあげよう、本と。
「あれ、じゃあ最後にやる、お泊りで一発キメるって違うの!?」
何を決めるか知らないけど、書いてないし
「家族、かぞく、しーなちゃんが、家族、んー」
考えつつ
■神樹椎苗 >
「なんでお前はそういうしょーもないものに影響されんですか。
もっと教養身に着けやがれです」
お泊りで一発キメたいのはこっちの方だと言いたい椎苗である。
「ほら、もうそんなしょーもない事はいーんです。
ちゃんとお参りして、帰りますよ。
一年の始まりくらい、真っ当にしやがれってんです」
はぁー、とまた大きなため息。
■希 > 「んー、しーなちゃん一発って何?」
無邪気に返しながら
「はーい、しーなお姉ちゃん」
イタズラめいて、そう返して
にれい、にはく、いちれー、と歌いながら
■神樹椎苗 >
「数の単位です」
相手にしないのである。
「はいはい、しっかり祈願しとくんですよ」
歌いながら手を合わせる横で、静かに手を合わせる。
特に、これと言って願う事はないが――。
■希 > 「むー、あ、例のアレ!」
しーなちゃんの彼氏、一発殴るってことか、と納得して。
「んー」どうか、なかよしに、ずっといられますように、祈りを捧げて
■神樹椎苗 >
「どこのドレですか」
また変な事でも考えてるんだろうとため息が増える。
が、それはそれとして。;
「――お祈りは終わりましたか?」
手を下げて、隣を見る。
うっかり知人を祀ってしまったが、まあ、それなりには利益もあるだろう。
なにせ、やたらと世話焼きなヒトなのだ。
■希 > 「んー、じしょー彼氏とか言ってた」
自称ってなんやねん、とは思うが
「ろりこんやろーはぶんなぐる、しーなちゃん言ってた」
しゅっしゅっ
「終わったー、ありがと、しーなちゃん」
くるくると、振袖姿で廻る
■神樹椎苗 >
「あー」
――まあ、子供がじゃれつくくらい、どうにかなることもないだろう。
「はいはい。
その恰好ではしゃぐんじゃねーですよ。
おしとやかに出来ないと、大人のれでぃにはなれねーですよ」
そう言いながら、踵を返して待たせてあるタクシーに向かう。
今度は、鳥居を迂回する事もなく、まっすぐくぐって。
■希 > 「えへへ」
多分きっと、大丈夫、多分、きっと、フルパワーとか、出さなければ
「おっとっと、あぶない、れでぃになる、よていだったよ」
ゆっくりしずしず、ついて歩いて
■神樹椎苗 >
「ええ、その調子で着替えるまでおしとやかにしてるんですよ」
さてさて、いつまで持つことやらと思いつつ。
二人でタクシーに乗り込めば、微笑ましそうな運転手が真っすぐに寮へと送ってくれるだろう。
「――まあ、たまには悪くねーですね」
そんな、やんちゃ娘に振り回された、初詣なのだった。
ご案内:「ある冬の日」から希さんが去りました。
ご案内:「ある冬の日」から神樹椎苗さんが去りました。