2019/07/21 のログ
ご案内:「中華料理店『万楽』」にさんが現れました。
> 中華料理店『万楽』...常世島歓楽街に存在する人気中華飯店である。クーラーがガンガンに効いた店内で、1人の男が何かを貪り食っている。

「........。」

男はただ黙々と大皿に乗った紅い何かを食い散らかす。周りに食べかすが散乱し、レンゲと大皿が触れるカンカンという音が煩わしい。だが男を注意する者はいない。

店内には男1人だけだった。他の客はもちろん、店員さえも店の外。全員驚きを隠せない表情で男の方を凝視している。

男が食べていたものは麻婆豆腐...と言うにはあまりにも...というか赤を通り越して赤黒いと言った方が正しいモノだった。

超超超激辛麻婆豆腐。小学生が悪ふざけで考えたとしか思えない『万楽』の裏メニューである。店主自らガスマスクを装着し、通常の麻婆豆腐に高濃度唐辛子ソースを大量に加え入れ、唐辛子の粉末をこれでもかというほど混ぜ込んで完成。

結果として調理の過程で発生した強烈な「唐辛子の辛味」が気体状となって店内にいた人たちに襲いかかり、店外へと追い出してしまったのだ。

ご案内:「中華料理店『万楽』」にさんが現れました。
> 店主も調理が終わるとそそくさと店外に逃げてしまった。ガスマスクを付けててもきつかったらしい。

そんな悪魔の麻婆豆腐を貪り終えた後、男はこう言い放った。

「うっすいナァ....。」

男は不機嫌そうに席を立ち、店の扉から外を出た。

明らかに食い逃げ、明らかに風紀委員出動案件...だが男を引き止める者はいない。

男の顔があまりにも不気味な笑みを浮かべていたから。男の右手に血がべっとりと付いていたから。

店外の人間は1人として動かなかった。

動けばヤツに殺される、確証がないのにそう思ってしまったから。

「腹ごなしに1人か2人殺ってくカァ...。」

男がそう言って、店外の人々の方に笑顔を向けた瞬間、

男の姿と店外の客たちのうち2人の姿も消えていた。

代わりに消えた2人の客の立っていた地面に夥しい量の血痕が残されていたという。

ご案内:「中華料理店『万楽』」からさんが去りました。