2020/06/13 のログ
ご案内:「スイーツキングダム」にエルピスさんが現れました。
ご案内:「スイーツキングダム」からエルピスさんが去りました。
ご案内:「スイーツキングダム」にエルピスさんが現れました。
ご案内:「スイーツキングダム」からエルピスさんが去りました。
ご案内:「スイーツキングダム」にエルピスさんが現れました。
ご案内:「スイーツキングダム」にレイチェルさんが現れました。
エルピス >  
今日は仕事も多かったし、"多少は贅沢をしてもよいだろう。"
"そう言えば、スイーツ屋がリニューアルしたっけ"。
"折角だから足を運んでみよう。"

そう思って足を運ぶ。
多少の混雑はしていた。

『ただいま混雑しておりましてぇ、ご合席をお願いしてもよろしいでしょうかぁー?』

特に珍しいことではないから、承諾した。
そして────

エルピス >  
 
今に至る。
 
 

レイチェル > エルピスが案内されたテーブルには、風紀委員の赤い制服に身を包んだ女が座っていた。
二人のテーブルには既に種類様々なデザートが置かれている。
甘味の山を間に挟みながら、さてようやく本格的に話をしようといった状況である。

「しかし、仕事の合間に久々に来てみれば、まさかお前と出くわすとはな、エルピス」

少しの間、魅惑のスイーツを前にして、腕を組みながら、何かを思案するように目を閉じていたレイチェル。そうやって口を開けば、同時にそっと片目を開けて、彼の方を見やるのであった。

エルピス >  
「あはは……僕もびっくりだよ。うん。」

 気を落ち着かせるようにイチゴと生クリームが乗ったタルトを口に運ぶ。
 うん、甘くておいしい。そう思ったのか口元が緩む。

「お久しぶり、レイチェル。
 ……お互い、だいぶ変わっちゃったかな?」

 まずは無難な所から切り出そう。
 そのような思惑のもと、口を開いた。

レイチェル > 「ま、あれから随分と色々あったからな……」

一瞬遠い目をするが、本当に、ほんの一瞬であった。
目の前に相手が居ることを忘れない。
エルピスに向けて、誤魔化すように口の端を上げて見せれば、ふっ、と柔らかな息が漏れる。
そしてそのまま、目線は手元のロールケーキへと移る。
キウイがまるごと入ったロールケーキである。
ふわふわとした生地に包まれたキウイが、
店の鮮やかな照明に当たって瑞々しく煌めいている。

そこへフォークをすっと入れて、口へ運んだ後にレイチェルは語を継いだ。

「時が経つってのは残酷なもんだな。
……お前と貴子とオレで、一緒に甘いもの食べに行ったのが懐かしいぜ」

エルピス >  
「本当に、ね。足搔たってままならない。
 ……一年生からやり直しても、それは結局自分だけ。」

 遠い記憶に想いを馳せる。
 タルトを食べ終えれば次はチーズケーキだ。
 四角く一口大に切られたチーズケーキはバイキングでは食べやすく有難い。

「初めて会ったときは別のお店だっけ。
 ……貴子ちゃんがなかったら、今もギスギスしてたかな。」

レイチェル > 「……1年生からやり直した、だ? また酔狂なことをしたもんだな。
……って、まぁオレも4年生になっちまってるし、人のこと言えねぇけどな」

単位は全て修得済みである。卒業しようと思えばできた。
しかし外の世界から飛ばされてきた彼女には、学園の他に居場所などない。
またここを去る理由も同じく、ない。
寧ろ、数々の戦いを通して、この島を、学園を守り抜いていきたいという気持ちが
強かったレイチェルは、親友の卒業を見送ってここに残ることを選択したのだった。

次は苺のロールケーキだ。固くなりがちになった表情も、
甘味を入れれば少しは解れるというものだ。
それが、旧知の縁との相席ともなれば、尚更であろう。
ケーキ、そしてエルピスに目をやり、奥に満足そうな光を浮かべるレイチェル。


「だろうな。当時のオレは、公安にいい印象持ってなかったからな。
ま、今も好きかって言われりゃ、はいそうですと簡単に頷ける訳じゃねぇが、
ここを維持するにはあいつらの力も必要不可欠だからな。
……ところでお前、まだ公安に居るのか? あまり話は聞かねぇが……」

持っていたフォークの先をすっとエルピスに向けて、首を傾げるレイチェル。
フォークの先の苺がぽとりと、皿の上の柔らかく白い海に落ちた。

エルピス >  
「公安から離れて」
「1年からやり直して」
「落第街で便利屋をやってる。」

 全ての問いに対して首を横に振った。
 表情には嫌と苦の色が浮かんでいる。

「色々と嫌になっちゃってね。
 難しいことから離れて気楽に生きたいって思ったら、こうしてた。」

 視線を落とす。やさぐれてしまったような雰囲気だ。
 気を紛らわすようにチョコレートケーキを口に運ぶ。

「レイチェルは丸くなったね。
 ……あっ、ううん。性格の話だよ?」

レイチェル > 「成程……人生を一度――」

生クリームの上に落ちた苺めがけて、フォークをくるりと90度回転させる。
的確に皿の下に落ちた苺に刺す。
レイチェルの視界で重なる、正面に座るエルピスの顔と、赤い苺。

「――やり直した、って訳か」

改めて苺を口へと運びながら、ゆったりとした口調と共にレイチェルは頷く。
目の前のエルピスの表情から何かを察したのか、あまり深い追求はしないようだ。
ただ、静かな瞳と口元で、彼の話を真剣に聞くのみだった。


暫しの、沈黙の後。


「昔の道に、今でも縋り付いているオレとは真逆だな」

そう言って、皿の上に残された生クリームに目をやったレイチェルは、
軽く伸びをして、フォークを置いた。白いカップに入った珈琲を啜ると、
音を立てずに机へと戻す。

「てめぇ、オレの身体の話だったら風穴開けてたぜ……
なんてな。昔のオレならそんな風に口にしてたかもしれねぇが、まぁ」

視線を斜め下にやりながら、胸の下で腕を組む。
レイチェルの胸は、また随分と成長しているようだ。
昔は、邪魔くせぇ、とよく言っていたものだが、
おそらく、今でもその認識は変わらないのだろう。

「大人しい、ってか? そんなに意識してなかったが。立場が変わったからか、な。
風紀には下も沢山入ってきた。面倒を見てやらないといけねぇ連中が沢山居る。
いつまでも前線張って、好き放題暴れまわってる訳にはいかねーだろ?」

エルピス >   
「そう。『やり直し』。
 今度は気ままに生きるんだ。って。」
 
 救い上げられる苺を眼で追うようにして、ようやく視線を戻す。
 
「……だね。レイチェルとは真逆かな。
 縋り付けなかったし、皆の為に頑張れなくなった。
 落ちぶれちゃった。」

 おどけるように笑ってみせる。
 痛々しさと憑き物が落ちたような明るさが混ざりあった、
 何とも言い難い笑顔だ。

「うん。多分そうだからだと思う。
 レイチェル、上に立ってから『視点が増えた』。」

 "当時のオレは、公安にいい印象持ってなかったからな。"
 "ここを維持するにはあいつらの力も必要不可欠だからな。"
 "まぁオレも4年生になっちまってるし、人のこと言えねぇけどな"
 "昔のオレならそんな風に口にしてたかもしれねぇが"

 レイチェルの言葉を脳内で反芻する。
 ……物事を多くの視点から見ようとしている。
 再会したエルピスがレイチェルに抱いた印象は、そのようなものだった。

「あっでも、一年生の間ではまだまだ評判みたい。
 この前会った一年生の子、話の流れでレイチェルの話をしたら結構はしゃいでたよ。

『あの時空圧壊《バレットタイム》』
『コーラーオブブラック』
『ロイヤルハリヒア(ジャッカルハント)』
『“黒鉄の戦塵”レイチェル・ラムレイのこと?』

 ってね。……また二つ名増えたの?」

レイチェル > 「良いんじゃねーか? 気ままに生きるってのは」

ふぅ、と少しだけ深い息をついて、レイチェルはエルピスの目を見やる。

「縋り付いたものから手を離すことは、簡単なことじゃねぇ。
 オレは、お前の選択を落ちぶれた選択とは思わねぇさ。
 昔の道に縋り付いてるオレ、新しい道に着地したお前。
 オレたちは真逆の道を選んだが、オレもお前も、悲観する
 ことはねぇさ。ただの選択だからな。後は、オレたちがそれぞれ、
 選んだ道を『正解』にしていくしかねぇだろ。道が正解かどうかは、
 選んでから決まるもんだと思うぜ」

どっちも正解の道になればいいがな、と呟きつつ。
さて次は、アップルパイである。ただのアップルパイではない。
はちみつがたっぷり入った、甘い甘いアップルパイで、この店の
名物である。

「……お互い、後悔だけはしたくねーもんだな」

フォークをサクサクと入れれば、とろりと中のはちみつが
溢れ出てくる。黄金色の至福である。

「っと、辛気くせー話になったな。汝の進む道に幸あれ、ってな」

そう言って、取っていた皿の一つをエルピスに差し出す。
その上には、はちみつアップルパイが乗せられていた。
うめーぞ、と一言加えつつ、笑みを浮かべるレイチェル。

「……って、オレの二つ名、まーた増えてやがんのか……
 最近、一年生からじろじろ見られてるとは思ってたがよ」

エルピス >  
「あはは。ありがと。
 ……うん。そう言ってくれると嬉しいな。」

 差し出されたアップルパイに手を付ける。
 この店に来たのならば食べずにはいられない、上等なはちみつを丁寧に練り込んだ甘い甘いアップルパイだ。

「そうだね、気を取り直していこっか。後悔は最小限にしよう。
 レイチェルの道にも幸があるように祈ってるよ。──んっ、美味し。」

 これにはエルピスもにっこりである。
 レイチェルの後押しもあり、かなり気を取り直したように見える。

「それだけ魅力的になったんじゃないかな?
 一年生からしたら頼れる先輩って、凄くカッコよく見えるし。」

 アップルパイを食べ終えた所でドリンクに手を付ける。
 甘いチョコレートにミルクを練り込んだ、甘い甘いチョコレートドリンクだ。

「……レイチェルが手掛けた後輩と、僕がぶつかっちゃうこともあるのかなあ。
 学生証は正規だし、無作為にガサ入れされてもちょっと怒られる程度になるように気は払ってるけど、
 現場で会うとそうもいかないし……昨日も正義感が強い、血の気が多そうな風紀委員さんと出会ったっけ。」

 呑気に昨日の話題を上げる。世間話の体だ。

「大人の風紀委員さん……ほら確かあの麻雀大会開いたあの人、あの人がペアじゃなかったら多分交戦してたし。」

レイチェル > 「……ま。結局のところオレが言いてぇのは、これだけだ。
 『前向いて、元気出しな』」

彼女なりに、エルピスのことを励まそうとしたようだ。
アップルパイを食べるエルピスを見て、満足そうに笑みを浮かべる。

「ったりめーだろ。オレは自分の道は必ず正解にして見せる。
 ……ま、ありがとな」

口調は軽やかに、笑いながらそう口にする。
それは、自分自身に言い聞かせる一言だったかもしれない。
最後に礼を言うと、話題の切り替えに乗っかるレイチェル。


「そんなもんかねぇ。ま、オレとしちゃ、必要以上にじろじろ
 見られたり、追っかけられたりしなきゃ何でもいいけどな」

後頭部で腕を組み、天井を見ながらため息をつくレイチェル。
やれやれ、と言わんばかりの、吐息の混じった声色である。

「……ま、そういうこともあるんじゃねぇか。
 って、何でも屋ってお前、何やってんだよマジで」

腕を解き、前にぐっと身体を乗り出して、呆れた声を出すレイチェル。

エルピス >  
「うん──その言葉、ちゃんと覚えておく。
 前を向いて元気出すよ。そして、どういたしましてかな。」

 ストロー越しにドリンクを飲み干す。
 満足そうにお腹をさすった。

「色々やってるよ。マイナーな備品の調達とか猫探しとか特売の同行とか……」

 指を折りながら数える。

「あ、デート代行とかもしたっけ。どの道供給供給過多だから、大した依頼は来ないよ。……ふぅ、ご馳走様。」

 席を立って、軽く伸びをする。
 私闘とかもあるが、ある程度は誤魔化す。

「それじゃあ僕は行くよ。
 またね、レイチェル。お互いに、選んだものを正解にしよ。」

 自分の伝票だけ掴み取り、立ち去った。

ご案内:「スイーツキングダム」からエルピスさんが去りました。
レイチェル > 「ま、そういう依頼だったら何も言わねーけどよ……」

と、呆れた声はそのままに、肩を竦めるレイチェルであった。
さて、そろそろ珈琲を飲み終えれば退店、といったところか。
その珈琲も、残すところ、あと一口だ。

「ああ、互いにな……」

去っていくエルピスの背中を見ながら、最後の一口を啜るレイチェル。
この後はまた、風紀に戻って大量の事務作業が待ち構えている。
肩を数度回した後、レイチェルも静かに席を立つのであった。

ご案内:「スイーツキングダム」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「スラムの一画」にエリク・スタンさんが現れました。
エリク・スタン > 「……!?」

突然、エリクは見知らぬ場所で目を覚ます。
仕事の途中でスラム街を歩いていたら、突然背後から誰かに殴られた気がした。

「…いててて。」

意識が覚醒すると、頭が痛い。
どうやら殴られて気を失ったのは間違いない様だ。
両手は手錠を掛けられ、壁に座らされている。

「ここは一体、どこなんだ?」

妙に静かな場所である。
埃っぽく、誰もいない。
明りもなく、この時期にも関わらず涼しい事から地下だろうかと推測。

「えっと、状況を確かめないと。」

本当に誰も居ないのか。
エリクは周囲を見渡す。

エリク・スタン > (保留)
ご案内:「スラムの一画」からエリク・スタンさんが去りました。