2020/06/19 のログ
ご案内:「第6学生食堂」に黒藤彩子さんが現れました。
ご案内:「第6学生食堂」に戸田 燐さんが現れました。
黒藤彩子 > 学校の敷地は広い。だって学園島なんて言われるくらいなんだもん。
考えてみれば当たり前で、その当たり前にびよんびよんと紐づいて学生食堂も広いし、一杯ある。
此処はそんな幾つかある学生食堂で、幾つもあるのにお昼時ともなれば沢山の人で芋洗いめいてくる。

「そいえばさ~トダーリン入院したんだって?どしたんよ一体~木にでも登っておっこちた?」

券売機で海老天丼(900円)とエビ天丼(500円)を見てから後者を選び、夕焼けみたいに真っ赤な髪の毛のおっちゃんに渡しながらに友人に問う。
この島だと噂はくるくるまわりまわって色々と耳に入って抜けていく。たとえば風紀員のお兄さんが全裸で大暴れしたとかも耳にオニューなこと。

戸田 燐 >  
「人斬りと交戦して斬られた」

事も無げに言う。
券売機でよく見ないで日替わりメニューAを買う。
こういう場合、日替わりを選んでおけば無難であり、ハズレはない。

「落第街とかロストサインには気をつけてね、本当」

食券を渡して言う。
あれはあれで大変だったのだけれど。
良い出会いに恵まれた入院でもあった。

あと病院食の味を覚えていられる間は健康でいたいと願うし、ご飯が美味しい。

黒藤彩子 > エビ天丼と日替わりAの食券を受け取ったおっちゃんは厨房に略語めいた合図を出す。
奥まった所でまた別の人が手際よく何かをしている。

「へえー人斬りに」

配膳を待ちながら注力していたから隣の声に最初は平然と声が出て

「へえー!?」

次にはすっとんきょうな声が出て、数人の視線に射られる。

「うわー大丈夫だったの?……いや大丈夫だから此処にいるんだろうけど」
「ろすとさいん……ってなんだっけ?落第街は知ってるけどさ」

歓楽街の奥が落第街。なんてのは皆知ってる。日向じゃあ無い日陰の街。
日陰、路傍の石も紛れて消える何も無い所。あんまり、すきじゃない。
自然とすっぱいものを食べた時みたいにしぶったい顔になる。

「でもトダーリンってば大冒険さんだなあ。初めて会った時も包帯ぐるぐるだったし」
「もっかして異能を強くしたいとか、そういう?それなら訓練施設とかもあるじゃんか」

ムシャシュギョー。時代劇チャンネルでカタナひとつで旅する男の人をみたことがある。
トダーリンが実はそういう趣味なのかなあ。と思って訊ね、配膳されたエビ天丼を受け取る。
エビ──は、棒状で、衣に包まれていて、しっぽはみえなかった。

戸田 燐 >  
先んじればこれ、制す。
テーブルの席を取る。
両手を消毒して神経質にテーブルを拭きながら。

「声が大きいわよ彩子……」
「死に掛けたけど生きてるし、ロストサインは悪の組織ね」

肩を竦めて席から戻ってきて。
食事の完成を待つ。ああ、良い匂いがする。

「好きで包帯ぐるぐる巻きになってるわけじゃないわよー」
「釣りに行ったら帰りにゴブリンの軍隊に遭遇したり」
「道に迷ったら違法薬物の売人と別に人斬りがいただけで」

訓練施設……
訓練施設に通う女子ってのはどうなのだろう……
女子力とか………どうなのだろう……?

配膳された日替わりAには。
謎の食べ物がさもメインメニューでございという顔で皿に君臨していた。

「え……今日の日替わりA、ベラのカレー磯辺揚げ定食なの…?」

背景が宇宙になる。
あれですか、あの異次元みたいな色した魚の。ベラの。
カレーの。磯辺揚げの。定食の。

黒藤彩子 > 「悪の組織と戦って、生き残った。……うーん、まるで物語みたい」
「でも、話を聞くとトダーリンって巻き込まれ体質って感じだねえ。カエルにも降られたし」

小鬼の群に宝石蛙に、悪の組織と人斬り。ジャンルが色々混ざった渦潮のような出来事の真ん中にいる夏空の人に苦笑だってする。
ともあれ、配膳されたエビ天丼を持って席について、フォークでエビ天を突き刺して齧る。海老天の味がした。
はて、400円の差は何処にあるんだろう?と首がゆらゆらと傾ぐ隣では、トダーリンが夏空よりももっともっと遠い所にいるようになっていて。

「うおーいトダーリン。だいじょぶ?意識が迷子になっておるぞう。とゆうかベラってなに?エビと交換する?」

トダーリンの面前で手を振って見せ、ついでにきらきらと異能の白色光を瞬かせて確認なんかしつつトレードを提案してみるんだ。
エビ天丼にはエビ天が3本乗っているから、1本くらいならトレードだって耐えられるのだ。

戸田 燐 >  
「じょーーーーーーうだんじゃないわよぉ」
「私は平穏と静寂を愛する青春志望一般女子生徒なのに…」

平穏と静寂はどこに行った。
とりあえず勉強は図書室でやろう。静かだし。

「ううん……私はベラと向き合う時間が来たのよ…」
「ベラ! イカモノ食い(なんでも食らいつく)の下魚!」
「ヘンテコ色に魚体を輝かせる謎の魚………」

ヴー、と唸りながら恐る恐るベラを一口大に箸で切る。

「今まで釣れても捨ててたからなぁ………」

目を瞑ってそれを口の中に放り込む。

「んん?」

お、美味しい! 淡白ながらしっかりとした味がついた身肉!
ややついてまわる臭みをカレーの香りが打ち消し!!
青海苔が典雅に纏め上げている!!

「……美味しいわこれ」

黒藤彩子 > 「だよね。よかった。トダーリンがそーゆー武闘派じゃなくってあんしん」
「平穏と静寂なら~……そうそうテスト勉強に行った図書館は結構よかったよ。よく眠れた」

文脈がズレた気がして言葉の後に考え込む。いや、大丈夫大丈夫。おけまるおけまる。
柔らかく断られたエビ天をもう一口と齧って御飯も食べて、トダーリンのベラの説明を聞くのだ。

「おおカラフル魚。いーじゃーん綺麗でさあ。きらきらしてるの好きだなあ」

脳内に描かれる虹色の魚。何だかいい感じの形で、きっと素敵に煌めいて。

「捨てるの勿体無いって~でも、その言い方だと食べても美味しくない感じ?」

だからトダーリンに注意しようと思ったら、意外にも美味しいらしい。

「ぬはは、綺麗で美味しいなら無敵じゃんか。私もこの間虹色の石ころを拾ったけど流石に食べれないしな……」

喜んでいる横で室内模様を思い出して渋い顔。
10人が視たら20人くらいは梅干を食べたような顔って言いそうな感じ。

戸田 燐 >  
「ほら? 私? 武闘派気取るにはちょっと───か弱いから?」
「寝たんじゃない」

テスト勉強はしなさい。
でも図書館って空調が効いているからね。眠くなる。

「キラキラしているというか、ギラギラしているというか…」

個人的には食欲をそそられる見た目ではないのだけれど。
これだけ美味しいのなら。次から食べてみようかな。

「虹色の石ころ? って……どうしたの浮かない顔して」
「何か悩み事?」

渋面を作る彼女に聞いてみる。
なんだかんだで定食は美味しい。

黒藤彩子 > 「えー、そーお?カエル取る時とか氷のしゅばーんって恰好良かったよ?」
「でも眼鏡かけてるし武闘派とは確かに違うかもわからん……いや、眠るのには深い訳が」

具体的にはお部屋で眠るにはベッドの上が大惨事だったのだ。

「ほら~悩みというか……彼方此方歩いてるとさ、なんかこう……おけまるな感じのものがあるじゃんか」
「そーゆーのを拾ってたら寮母さんからばちこり怒られて──」

いい感じの石から木の棒に始まり、木彫りの狸とか達磨とか壺とか埴輪とか土偶とかetc.etc
結果ベッドの上まで占領されちゃって激おこライトニング寮母さんにより退寮の危機が到来したときた。
その後、サミヤン先生(朝宮小春先生の意)に手伝って貰って色々整理をし、
蒐集した色々とお別れをしたりしなかったりして整理をしたのが最近のこと。

「──みたいな感じなものだから、夜も眠れずに昼にぐっすり」
「しかもしかも何だか寮母さんの目線があれから険しい……!」

うむ、と頷いて2匹目のエビを頬張る。海老っぽい食感に甘辛味が大変マッチしている。また食べようと思う。
抽選に当たって入寮が叶ったと言うのにあわや退寮の危機なんてことは忘れておきたい。

戸田 燐 >  
「あれは……まぁ………異能が戦闘向けなせいで…」
「眼鏡=非武装人間みたいなイメージは何……?」

そして彼女から悩み事を聞けば。

「なるほどなるほど……ぶっちゃけおっけてぃんぐー」
「ワンチャン、エンカある、マジ卍、テン上げー」

なるほどなるほど………物を拾う、収集癖があるわけで。
それで困っていると。

「……私とルームシェアでもする?」
「同じ部屋にいれば、掃除と整頓は手伝えるわ」
「ちょうど一人でずぅっといるの、寂しかったしね」

「あ、家事は分担ね」

黒藤彩子 > 「いっつさげぽよー」

おういえーとトダーリンと緩やかに片手でハイタッチ。相互理解という奴が此処に成り立ったのだった。

「それはありがたいなあ!サミヤン先生にも手伝って貰ったんだけどちょっと大分厳しめでさ~」
「今度フリマに色々出してみようとも思うし、今度から拾うのは良い感じの石くらいにするし」
「大丈夫大丈夫トダーリンに整頓のお世話はかけないぞう。そうだお近づきの印に蚊取り豚のトントン君を進呈しよう!」

トントン君とは先日拾ったなんかいい感じの豚さん型の蚊取り線香入れである──というのは閑話休題《それはともかく》として
私は諸手を上げて万歳をして、また周囲の視線を集めて身を屈めるんだ。

「はて、しかし家事となると料理とか?お洗濯とか?私テキトーだけどだいじょぶ?だいじょばない?」

女子寮の部屋は全部一様に同じではないらしい。トダーリンのお部屋はどんな感じだったかなと、頬に指をあてた感じで思い出しモード。

戸田 燐 >  
「さーげーぽーよー」

ハイタッチ。そして味噌汁に手をつけると、塩加減が絶妙だった。
カレー磯辺揚げに味噌汁をつける感性、イエスね。

「それでも良い感じの石は拾うのね………」
「フリマで売れるものは売っていいと思うけど」
「蚊取り豚はいいですぅ……多分蚊取り線香入れるやつだし…ま、とにかく申請ね」

ベラの芳醇な身肉を味わっている。
ああ、食べ終わるのが勿体無い。

「私、乱読家なの」
「だから月に一度かそれくらいのペースで本をたくさん手放すから」
「それを手伝ってくれればなーって」

黒藤彩子 > 「ふっふっふ、石ころにも色々あるんだぞうトダーリン。イイカンジの石はイイカンジなんだから」

トントン君を断るトダーリンに歯を見せるようににいっと笑う。
そう、石ころにも色々ある。だから路傍の小石を必要とする人がいるって信じてて、信じたい。
誰にも必要とされないものなんて無い。きっと何か、輝かしいものがあるに違い無い。
石屑の如きものだって、誰かにとっては石は石でも宝石で、屑は屑でも星屑で。
そう思うと自然と手が伸びてしまう。今までも、きっとこれからも。

「河原とか特におけまるな奴が……おおトダーリンってばやはり眼鏡をかけているだけはある……」
「つまりついでに勉強も出来るというワケだ。これはもしかして私は凄く運勢がキテいるのでは」
「これならば前期考査の考課表、少なくとも五割は〇になるぞう」

トダーリンが勉強家(?)と判明をし私の鼻が上機嫌そうに鳴って、椅子を近づけて彼女に人慣れした猫みたいに身を寄せる。
宛らベラを狙うようにも見えて、その実狙うは彼女の頭脳。夏空のように鮮やかな髪に梳くようにも触れて猫のように笑う。

「勝った……一学期、完……!かは兎も角としーてー。それじゃあ午後の授業が終わったら早速諸々の準備する?」
「トダーリンのシャンプーなんかも気になるし。こんな時期でも指通りがいいなんてずるいぞう」

湿気の多い時期にしっちゃかめっちゃかになる癖毛としては、髪質だって羨ましい。
友達から一歩進んだ感じになって、些か嬉しく、馴れ馴れしくはしゃいでしまって。トダーリンのお皿にエビ天だって謙譲しちゃう。

戸田 燐 >  
「イイカンジの石がイイカンジなのはトートロジーでは…?」

まぁ、私も子供の時には良い感じの木の棒を拾って(男の子とチャンバラをして)いた。
そういう機微がわからないわけではない。
彩子は純粋なのだ。だから、目と髪を治すことを諦めていない。

今はもう手放したものを、彩子が拾ってきた。そんな気がした。

「勉強は真面目にしてるわよー、眼鏡が勉強できなくてどうするの」

もちろんこれは冗談なのだけれど。
擦り寄ってきたので彼女の皿にベラのカレー磯辺揚げの残りを乗せる。
彩子は良い匂いがする。お日様の匂いだ。

「ええ、わかったわ。そうと決まれば善は急げ」
「シャンプーはねー……オリーブオイル入りの…」

そんなことを話して、エビ天をもらう。
これからもこんな感じで、二人の生活を分け合うのかと思うと。
少し、嬉しいな。

黒藤彩子 > 「と……なに?」

とーとろじー。なにそれ?と瞳を瞬いて問い返す。
トダーリンの夏色の視線と私の冬空の視線が行き交って、丁度良い気がして、もう一度瞬く。

「ぬはは、やっぱり?ちなみに私は視力はめっちゃいいぞう。両方とも2.0!」
「もっともこれから落ちる予定だけど。いつかは眼鏡を買いに行くかもしれないなあ」

するりと離れて貰ったベラをフォークに刺して、口に運ぶと成程美味しい。
私には美味しいか、美味しくないかくらいしか味を表現できないけれど、カレー風味が中々におけまるな味。

「オリーブオイル……」

そして脳裏に浮かぶのは揚物になったトダーリンの姿。いや揚物じゃないな、衣を纏った姿。
海老天の尻尾のように綺麗な髪の房が出ているのが浮かんで、危うく笑いそうになっちゃう。
彼女の言うシャンプーがそんなものじゃないことは、勿論後で判ったりもするし
引っ越し作業でテンヤワンヤしてしまうのだけど、それはまたもう少し後の話なのだった。

ご案内:「第6学生食堂」から黒藤彩子さんが去りました。
ご案内:「第6学生食堂」から戸田 燐さんが去りました。