2020/06/21 のログ
ご案内:「落第街 大通り汚い屋台」に園刃華霧さんが現れました。
園刃華霧 > そこには、薄汚い屋台が鎮座して居た。
ボロボロの本体、薄汚れて擦り切れた暖簾。
かろうじて読める字で「らーめん」と書いてあった。
女は迷うことなく、そこへ向かって歩いていく。

「よー、ジジィ。まダ生きてルか?
 くたバってネーの?」
独特の抑揚、独特の発音でしゃべるその女は暖簾を手で押しのけ屋台の店主である老人に話しかけた。

老人 > 「ケッ、小娘が。来んなって言ってるだろうが!
てめぇはおてんとさんが当たるとこへ行ったんだろう?
なんでこんなところに毎度戻ってきやがる!嫌がらせか!」
屋台の老人が女に向かって悪態をついた。

園刃華霧 > 「ソ―冷たいコトいウなヨー、ジジィ。昔のことダって謝っタだロー?
 いいカら、ラーメン一杯くレよー。そレとも、客になンも出せナイのジジィ?」
悪態をつく老人にも臆することなく、へらへらと言葉を続ける。
そして老人がにらみつける中、平気で席についた。
他に、客は居ない。

老人 > 「口の減らねぇ小娘だ。お代はあるんだろうな?
 なきゃ、客じゃねえ。もちろん、金なんて此処じゃゴミクズみてえなもんだぞ? わかってんだろうな?」
ぎろり、と睨めつける。
もちろん金銭自体は機能してはいるはずだが、扱いにくさも折り紙つきだ。

園刃華霧 > 「もちろんアるヨ。ほラ、クズ野菜。」
どさり、と袋いっぱいのそれを投げ出すように置く。
至極真面目な態度だ。
実際、袋の中には大量のクズ野菜が入っていた。

「好きだろ、ジジィ?」
けけけ、と笑った。
いつもの厭味ったらしい笑いよりは、少しだけ柔らかい。

老人 > 「……こんなんじゃラーメン一杯しかやれねーぞ」
中身を確認して、老人は丼をとりだす。
それと麺の両方をお湯を張った鍋につっこんだ。

園刃華霧 > ぐらぐらと、煮立つ鍋の中に踊る麺。
その間に老人は丼を引き上げ、タレを落とし、スープを張る。
ネギを刻み、備える。
今!
最高のタイミングで麺をあげ、スープに投入。
ネギを散らして仕上げた。

園刃華霧 > 「お、これコレ……いたダきまース」
ぞんざいに目の前に突き出された丼の前に華霧は喜色を浮かべる。
一緒に出された薄汚い箸をとって、一気にすすり上げ始める。
ズズズズゥッッ

老人 > 「なーにが、これこれ、だ。クソ小娘。
 こんなクズラーメン、なにが嬉しいんだよ。
 食ったらさっさと帰りやがれ」
老人は相変わらず悪態をつく。

園刃華霧 > 「ンー……クズ野菜と、クズみタいなガラでスープとっタ、クズクズラーメンだロ?
 知っテる知ってル。クズうめー」
ズズズズズ、とはばかることなく麺をすすり上げる。
その姿は、本当にうまそうであった。

「ナー、ジジィさー。最近、景気どうヨ? まあ、ココで相変わらずクズクズラーメン売ってルし、くたバりぞこなってルのはわかるケド」
そして食べてる途中で指し箸しながら問う。
お行儀悪いですよ。

老人 > 「あ? 景気なんて昔から最悪のままに決まってるだろ。
 てめーが食い逃げしてたクソガキの頃から変わらねーよ。
 いや、今でもクソガキか」

園刃華霧 > 「ァー、だカらその辺のことハ謝っタだろー?
 いヤだネ―記憶力がないジジィはサー。もうボケたカ?
 んじゃ、最近みたもノとかモ忘れテそーダな?」
けけけけ、と笑う。
謝ったと言う割には反省の色がない。

「賽子、とカ。見たことアる?」
何気ない調子で口にする。

老人 > 「はン?賽子? 博打場いきゃ、腐るほどあるだろうが。
 てめぇこそボケてんのか小娘。」
そこまでいって、ふと思い当たったような顔を老人はした。

「……いや、待て。なんか最近、妙にイキってる連中が賽子をかき集めてるって話は聞いたな。
 魔法の賽子だ、とかなんとか。眉唾もんだけどな」

園刃華霧 > 「あ、ソ。そっカー。ジジィの記憶力も捨てたモんじゃなかったカー。
 いや良かったよカった。」
ズズぅ……
スープもすすり終わった。
この辺が潮時だろう。
席を立つ。

「ふぃー、ごちソーさン。ジジィ、その賽子にハ近づかンほーガ、多分いいゾ。
 眉唾じゃアるが、マジモンって話もアる。じゃナ」
ひらひらと手を振って、屋台を後にした。

ご案内:「落第街 大通り汚い屋台」から園刃華霧さんが去りました。