2020/07/07 のログ
ご案内:「ソロール:落第街 スラムの一角」に園刃華霧さんが現れました。
■園刃華霧 >
アタシには、何もなかった
親も 兄弟も 育ての主も
だから――
一人で生きてきた
一人でやってきた
一人でどうにかしてきた
アタシには、何もなかった
くつろげる家も 暖かい食事も 柔らかなベッドも
だから――
自分で手に入れてきた
自分で奪ってきた
自分でどうにかしてきた
■園刃華霧 >
アタシには、何もなかった
何も、なかった
だから――
全て 己の力で どうにかしてきた
異能が目覚めたのは、いつだったか――
食い物を盗んで、
腕にたくさんかかえて、
どうにか全てこぼさないように、
そう、願ったときだったか
金目の物を奪って
追われて追い詰められ
あらがってやろうと
そう、決意したときだったか
■園刃華霧 >
生きていくために 全てを 手に入れてきた
言葉はどうだったか
あいつも こいつも そいつも
同じクズのくせに
一丁前に言葉が使えた
アタシは――
言葉も 持っていなかった
だから 盗んだ
あいつも こいつも そいつも
全部 聞いて
全部 盗んだ
■園刃華霧 >
それなら、今は?
今は――
■園刃華霧 >
「風紀……いヤ、今は『トゥルーバイツ』だけドな」
ぽつり、と言葉にして……
崩れ落ちた建物の前に立つ
目的の場所だ
■園刃華霧 >
自分が手に入れた”家”は
吹けば飛ぶようなもので
すでに跡形もなかった
そして自分が”今”を手に入れた此処も―ー
「ハ、なっツかシー……すっカりボロにナってヤんの。
あっちモ、こッチもサー。
跡形もネ―じゃンか」
けたけたと けたけたと 笑う
■園刃華霧 >
そこは、かつてとある違反部活が根城としていた場所
そこは、かつて風紀委員によって壊滅させられたとされる場所
そして、そこは――
・・・・
――アタシを そっちに入れろ!
そう、風紀委員に迫った場所
■園刃華霧 >
アタシは 手に入れた
違反部活を襲い 荒らし
やってきた風紀委員を前に
自分を入れろと
その位置を 奪い取った
二級学生の救済、という話も知ってはいた
上手くすれば、それに乗れるかもしれない、なんて話も
しかし――
誰かに もらうなんて 真っ平だった
■園刃華霧 >
「けド、まさカ……はハ。
こッチから手ーだス側にナるたー思わンかったワ」
自分の左腕を見る。
そこにあるのは、林檎に噛み付いて絡みつく蛇のエンブレムが入った腕章。
「ヒヒ、しっかシ、予想以上にあっサり通っタよナ、この話。
あかねちんが話上手なノか、それトも……『舐められ』てンのか。
ま、両方だローな」
一応、曲がりなりにも風紀委員として所属していた自分が、いかにも怪しげなあかねの部隊に入る。
そんな話が簡単に通るものだろうか、と少しばかり気にはしていたのだが。
どうせ、元二級学生。
掃いて捨てる塵同然、とでも思われているんだろうか。
まあ、好きにするといい。
認めたのはそっちだ。
後で後悔して泣いても知らない。
■園刃華霧 >
「マ、それデこそ燃えルってモンだけド……」
はた、と……
珍しくやる気に溢れている自分に、また気がつく
嗚呼、そうか――
「アタシ、タイクツしてたンかネ……」
なるほど、と思った
アタシには 何もなかった
何もなかったから 手に入れてきた
家も 食事も 仲間も
手に入れて 満足してきた
でも――
足りなかった
「『真理』……イい、獲物じゃンか」
くつくつと、笑う。
■園刃華霧 >
「マ―、でも……死ぬカもシれンな。
ま、そンなん昔からソーだったシ」
あかねの話を総合すれば、失敗して死ぬ方が可能性は高いと思う。
そこに反逆するのが面白いのだけれど。
もちろん、過去の記録などは見ていない。
そんなもの、見るだけ無駄だからだ。
どうせ、博打みたいなものだ。
賭けるなら全部のチップの大勝負。
あとは、準備だけして結果を待つだけ。
でも、だからこそ――
「ケジメ……だケは、つケっか……いちお」
ぽつり、とつぶやいた。
■園刃華霧 >
「ヤ、しかシ。せーせーシたワ。
きレーさッパ消えてンなら、気軽ニいけルってワかったシな!
ひひ、案外、りおちーの仕業か、これ?
だったラ、あンがとサん。だナ!」
げらげらげらげらげらげらげらげら
笑う
哂う
嗤う
ひとしきり笑って……そのばをかぎりに
立ち去った
ご案内:「ソロール:落第街 スラムの一角」から園刃華霧さんが去りました。