2020/07/22 のログ
ご案内:「Wish upon a star」に日ノ岡 あかねさんが現れました。
日ノ岡 あかね > 7月22日深夜0時。
日付変更と共に……あかねは常世島の一望が見渡せる丘の上で、静かに笑う。
手に持っているのは古びたポラロイドカメラ。
ゆっくりと、ファインダーを合わせ……惜しむようにシャッターを切る。
吐き出された写真は……鞄に仕舞わない。
そのまま、丘の上の廃墟……かつて、『トゥルーサイト』と呼ばれた違反部活のアジト。
その一つ目を象ったエンブレムの横に……張り付けた。

「時間ね」

スマートフォンを手に取る。

「『トゥルーバイツ』、総員に通達。約束の刻限は来た」

空を睨み、月を見据え、あかねは。

「勝率は実に1%……『届いた』わ、これ以上は外からの介入を招くだけ、いい頃合いよ、『真理』に挑む刻が来た!!」

吠える。

日ノ岡 あかね > 「『計画』を改めて通達するわ、本日より『デバイス』の使用を全面解禁。どこでも使っていいわ」

デバイス。それは、華霧のつれてきたとあるマッドサイエンティストと……『トゥルーバイツ』に集めた技術者達の努力の結晶。
《窓》接続デバイス。
『トゥルーバイツ』全員に配布したそれ。
それを使えば……この常世島の『どこから』でも『真理』に挑める。
『真理』への直通回線。
超小型化した最新の《窓》の形。
以前は「まとめて儀式」を行って失敗したが……これなら被害範囲は通話する本人だけ。
『真理の声』を聞けるのは、『デバイス』を持つものだけなのだから。

「全員が陽動で、全員が本命よ。元から私たちは同じ目的のために集まっているだけ……元から自殺も同然の博打、誰か一人でも『至れた』ら……まぁ、運が良かったってことでね」

これなら、まとめて一網打尽などという事はない。
そも、通常業務は今だって行っている。
個人の活動範囲内。
正規人員を動かす暇は与えない。
書類上で片付けるまでの時間を稼がれたらおしまい。
だが……そんな時間は与えない。

「委員会、特に風紀委員会は理央君が暴れてくれたおかげで過激派も穏健派も今は何をするにも及び腰。公安は静観みたいだし、生徒会が動く口実はそも与えていない。今ならまだ博打が打てるわ」

日ノ岡 あかね > 「前にも説明した通り……《窓》に接続して『真理』と通話できるのは持ち主本人だけよ。間違っても《窓》に他人を巻き込まないでね。一人でも巻き込んだら途端に生徒会介入の口実を与えて『一秒かからず鎮圧』されるわ、セーフティとして半径5m以内に自分以外の生体反応があると起動しないから、ちゃんと誰もいないところで使ってね」

常世島生徒会は、これだけ恐ろしい異能者の集団を統括する組織。
事後でしか動かないとはいえ……事後になってしまったらどうにもできない。
どんなに小さかろうと《窓》は《門》の一種。
《門》由来の災害という口実を得れば、『真理』に挑む暇など恐らく与えてもらえない。
故に……それは細心の注意を払う。

「『デバイス』の使用可能期間はどんなに引き延ばしても26日まで。それ以上は《窓》への接続経路は確保できないわ。今回だって予算ギリギリまで魔石やらなにやら搔き集めて『これ』なんだから……それ以上は無理。あと、『真理』に繋がるまでの時間は起動してから早くても数十分、下手すると数時間掛かるわ。生体反応があるとその度に中断だから、気を付けてね。繋がるまでの前回進捗が引き継がれるとは限らないわ」

何より、そんなに時間を与えたら委員会が正規で動くための書類を揃えてしまうだろう。
急ぐ必要がある。
それ以外に手はない。

日ノ岡 あかね > 「これは自殺同然の無謀な挑戦をするだけ。普通なら何とも思われない、だから、もし私達を止める人達がいるとしたら……『総勢数十人の集団自殺を完全な自分の意志だけで止めたいと考えるお人よし』だけよ。それはアナタ達を大切に思う誰かかもしれない、だから、そんな人にとめられたときは……自分で考えて『選んで』ね」

今回は『トゥルーサイト』のように一度にやるわけじゃない。
それぞれが個人で選ぶ、選べる。
また……『真理』への接続を分散させることで、被害を最小限にする。
土壇場で『諦める自由』もある、『ギリギリまで待つ自由』もある。
そのための……『デバイス』だ。

「私達を止める誰かに剣を向けるか。話をするか。その末に真理に挑むのも、諦めるのも自由。時間は少ないけど……全然ないわけじゃない。まだ時間は幾許かあるわ。だから」

あかねは、目を見開いて……呟く。

「みんな、よくかんがえて」

『デバイス』を奪いにくるのは「自分の意志で選んだ善人」か「自分の意志で選んだ悪人」だけ。
安い餌で失せる悪人は出来る限り掃除した。
そのための『話し合い』そのための『色分け』、そのための風紀委員会元違反部活生威力運用試験部隊。
あかねは盤面を整えるために出来る限りそれを利用した。
まぁ、相互利用だ。
風紀委員会から文句を言われる筋合いもない。

日ノ岡 あかね >  
 
「『私達』が『私達』だから『私達』を行う話……今回最期の出し物よ、さぁ!」
 
 
「運命を……塗り替えましょう!!」
 
 

日ノ岡 あかね > 一方的に告げて、通話を切り……スマートフォンも破壊する。
元々、『トゥルーバイツ』用の専用回線だ。
成否関わらず、『トゥルーバイツ』は解散の憂き目を見るだろう。
もう必要がない。
何より、これ以上持っていても……足がつくだけだ。

「ま、風紀への義理は果たしたし……上からしても、これだって織り込み済みでしょうしね」

元々、『トゥルーバイツ』にいた人員は『真理』なんて『どうしようもないもの』に頼るしか道がない連中だ。
風紀からしても、出来れば『消えて欲しい』に違いない。
なら……それをあかねがまとめて、ハーメルンの笛で導いたところで、何の不都合があろうか。

穏便に不穏分子と違反部活生と危険な異能者を排除できる。

……元々、好都合なのだ。誰にとっても。

日ノ岡 あかね > 「元違反部活生威力運用試験部隊と態々切り離したのだって……ようはトカゲの尻尾切り。全部掌の上」

承知の上。
そんなことは当然。
そんなことは当たり前。
だが、それでも。

「……掌の上でくらいは、好きに踊っていいわよね?」

日ノ岡あかねは……躊躇わない。
ただただ、笑う。

……そんなことは、重要ではない。

日ノ岡 あかね >  
 
「『始めましょう』、私が私を『始める』ために」
 
 
「私はあかね、日ノ岡あかね」

日ノ岡 あかね >  
 
「私は……運命程度に屈しはしない」
 
 

ご案内:「Wish upon a star」から日ノ岡 あかねさんが去りました。