2020/08/06 のログ
ご案内:「風紀委員会留置所」に園刃 華霧さんが現れました。
園刃 華霧 > ここは風紀委員会留置所。いわゆるブタ箱ってやつ。
ま、ロクデナシの吹き溜まりってとこだな。
かくいうアタシもロクデナシなわけだけど。
住環境はあんまり良くないらしい。
アタシに言わせれば、飯が食えて寝られりゃ十分なんだけどな。
おっと、話が長かったか?

ようこそいらっしゃい、この楽しい監獄へ

ご案内:「風紀委員会留置所」に葉山翔一さんが現れました。
園刃 華霧 >  
「っテー……」

昨日殴られた頬がまだズキズキする。
本気で殴られたのなんていつぶりだろうか。

「誤魔化スの、めんどくサかったナ、ホント……」

誰かが侵入して、殴って帰った、とかだいぶ外聞が悪い。
まあ其の辺もあって割と誤魔化しは素直に受け入れてもらった。
ああなんて素敵な暗黙の了解か。

「……痛いモンは痛いけドな……」

思わず、頬を抑える。

葉山翔一 > 二級学生を脱したある時に聞いたある話。
それを確かめようと風紀委員会の建物に異能を使い忍び込み。
伝手で手に入れた地図を手にある場所へと向かい。

「俺なら兎も角…何であんたが留置所なんだ?」

目的の場所に到着し、目的の人物を見つければ異能を解除し姿を現し。
しかも怪我をしている様子に呆れたように声をかけて。

園刃 華霧 >  
「ァん……?」

突然の気配と、突然の声。
少し警戒しつつ、しかし聞き覚えあるなあ、と思ってみれば……

「って、葉山クンじゃナいの! マジか。
 いヤ、ひっさシぶりぃ!」

場と状況にふさわしくない、楽しそうな笑顔で手を振った。
いや、ホントまじでなんでいるのさ。

「……ってか、なンで此処に? まさカ、つかまっタ……?」

相手の疑問はそっちのけで、似たような質問をやりかえした。

葉山翔一 > 「俺だよ、久しぶりだな。
元気そうで何よりだ」

普通では先ず来ないような場所で軽く手を上げて挨拶を返し。
念のためにセンサーの類がないかと確認をして近づいて。

「捕まったなら一人で来ないって。
忍び込んだに決まってるだろ?捕まってるって聞いてな」

答えが返ってくればいいという程度の気持ちで問いかけ。
元気そうな様子にほっとし、バックから冷えた保冷剤を取り出し頬を冷やせとパスして。

園刃 華霧 >  
「っト、さんきゅ。いヤー、ちべター……」

保冷剤を受け取れば、早速頬に当てる。
あー……ひんやりが気持ちいい……

「オイオイオイ、マジか。忍び込むとカ……
 いヤ、いクら警戒緩めダからッテ無茶スんナぁ。
 ソれこそ、捕まったラ損だゾ? 違法販売どコろじゃスまんゾ?」

呆れたような声。
しかし、顔は何処か笑っていた。

「……ンで。『馬鹿』やったヤツんとコに、なンでわざワざ来てクれたのサ?」

相手をゆるりと見つめて、問いかける。

葉山翔一 > 「気にすんなってサービスだ、サービス」

留置所に何時だけでなく頬に殴られた後。
本当に何をやってたんだと眺めて。

「マジだから今いるんだろ?
これでもそう言うのに向く異能持ちなんだよな、俺って。
まー、大丈夫だろ。少々騒ぎにはなるんだが逃げる手はたっぷりとな?」

やっぱ知ってて見逃したのかと違法販売と聞けば苦笑を浮かべるが感謝。
しかし直ぐに笑みを浮かべると何時ものトランクケースとは違う、バックを叩いて。

「そりゃな、あの時に判ってて見逃してくれた恩人が捕まったって聞いたんだ。
会いに来るぐらいはするだろ?それに色々困ってるなら差し入れもしようと思ってな」

何処までが本気か判らない笑顔を浮かべ、そんな理由を告げる。

園刃 華霧 >  
逃げる手はたっぷりある。そう、豪語する相手。
まあアタシの居るところは比較的ゆるい場所だし、大丈夫、かな……?

「はー、流石に、そウいう奥の手は色々あンのな。
 なラ、アタシに捕まっタのはそーとー運が悪かっタのネー。」

けらけらと屈託なく笑う。
いやはや、よりによってこんな奴に捕まるなんてかわいそうなことで。

「……って、いヤ、マジか……マじで……?
 いや、ン―……いや、嬉しい、ケど……
 ……アタシが言うノもなんダけど……はやっち、馬鹿だロ?」

ほんの僅かの見逃し。不良風紀にしてみれば、"いつもの"ちょっとした"サボり"。
其の程度で、わざわざこんな無茶するなんて本当、なんというか……ねえ?
思わず、真顔で聞く。

「ン、でも感謝すル。はやっち、愛してル-!」

そして、一転、感謝の笑み。あまり大騒ぎになって目立たない程度にはしゃいでみせた。

「しっかシ、差し入れ、カー……ン―……何がいル、か……
 そーイや、そンなこと出来るッテことは……商売の方、上手くイッテるんカな?」

ふと、聞いてみた。
そういえば、自分がこんなだし。あの辺の見回りは別のやつがやってたりして軽快厳しくなってたりしないだろうか、と
少し気にしてたんだった。

葉山翔一 > 「やばい場所で商売をするからどうしても準備はするんだよ。
あの時は本当に予想外だったんだよ…まさか学生相手で風紀に見つかるとかな…」

本当に運が悪かったと素直に認め。
それと同時に見つけたのが目の前の相手でよ型っという運の良さもある。
他ならばよくて商品を失くしていただろうから。

「嘘やシャレでここまでくるほど酔狂でもないっての。
馬鹿なのは否定しないけどな。園刃が配ったアレで俺も助かった口だ、恩ぐらい返させろ」

最初は見逃してもらい、そして自覚はないだろうが相手がやった事でうまく二級生徒から脱する事も出来た。
ならば少々無茶をしても借りは返すもんだろうと意外に律義。

「気にしなくていいぞ。次は来れるかわかんないしな」

真顔が笑みに変わればテレを隠すように手を揺らして返し。
今回は潜り込めたが次はうまくいくか判らないと。

「大体必要そうあのはあると思うから言ってくれ。
まあ、それなりにうまくいってるな。真っ当に学費を払えるぐらいには稼げてる」

商売場所の見回りをする生徒は変わってしまい、相手程物分かりはよくない奴。
だが物には案外弱く、例の粉で大目に見て貰っていると笑って。

園刃 華霧 >  
「うン……? あレ?
 ってことハ、ひょっトして正規学生になッタん? あんマ、最近の情報ナいんダ。
 いや、ここ数週間くらいの間は、アタシ、『馬鹿』シてたかラ真っ当にコッチの仕事シてなクてサー。
 ま、その結果が此処入り、ナんだケド……」

相手の話をまとめて推察するに、そういうことっぽい。
いや、それならめでたいことだ。

「……うン? なら尚更、こんなトこ来てる場合じゃナくなイ?
 まージで、バッカだなァ……」

何かに気づく。
呆れつつも、柔らかい笑みを浮かべる。

「ン―……そーナー……急に、ラジカセとか、缶ジュースとカ、ラジコンとか増えテも、
 びっくリさせルだろーシー……ま、ちょっトした食いモンとカ、かナー……
 あと、今は保冷剤、トー」

にた、と……急に意地の悪い顔になる。

「ねーネー、下着とかー、あルー?」

突然何いい出してんだコイツ

葉山翔一 > 「なったよ。お陰で真面目に学生をやれるようになった。
って事は数週間前に馬鹿してって……一体何をやったんだ?」

留置所入りは流石に凄いぞと、何をやったのかと。
そして懐から偽造ではない生徒証を見せてこの通りと。

「万が一捕まっても二級に戻される事はないだろ?
多分大丈夫だって」

万が一見つかっても迷惑はかけないと告げ。
笑ってるぞと告げながらも笑い返して。

「そんなのでいいなら幾らでもあるぞ。
あー…その辺は誰が持ってきたになるか……、食べ物と保冷剤だな?」

判ったとバックを漁り保冷剤や保存の効くビスケットなどの食べ物を取り出し。
続いた言葉には一瞬固まり。

「コンビニに有るのでいいならな?ただサイズの文句はなしだぞ?」

その笑みに固まり困ったような呆れたような顔をして。
場所次第では需要がある品物なだけに一応はあると返して。

園刃 華霧 >  
「ン……ァ―……ン―……はやっち、落第街方面のコトも少しは知ってルよネ?
 『トゥルーバイツ』って、聞き覚エ、あル? アレなンだけド……わっかルかなァ?」

やや思案げな口調。
珍しいといえば珍しい物の言い方であった。

「うワ……マジか、マジだ。おめデとサん。
 ひひ、そいツは、マジでめデたい……!」

楽しそうに、楽しそうに、目を細める。
今や、誰も見向きしなくなって久しい気がする、制度。
それがまだ生きて動いてくれているなら、本当に……反逆してた甲斐があったというもの。

「うンうん、この程度ならまア、誤魔化し効くシね……
 さッスがにサー、飯は食えルけど寮がネぇ。食えるダけマシだケど。」

ほくほくとした笑顔で食料を受け取る。
いや、ほんと嬉しいこれ。

「エー、既製品ー。まーしょーガない、あるダけマシ、と……
 でも、サイズかー。試着とかアりー?」

けらけらと笑いながら続ける。

葉山翔一 > 「そっちがメインの売り場だからそれなりにはな。
あー…あれか……あの話を聞いて姿をくらましたのが何人か知り合いにいるんだ」

勿論知ってると微妙な顔を見せ。
思案気な口調に自分が把握するよりもやばい話だったのかと理解し。

「マジもマジ、大マジだ。
園刃のお陰だよ、ありがとうな」

恐らく出会っていなければその話を聞いても胡散臭い嘘だと相手にしていなかった。
それを思えばあの時に出会えていてよかったと感謝を見せて。

「誤魔化しが効くなら缶詰も置いてくか?そこそこあるぞ。
そこは食わせてやるからって考え何だろうな…」

やっぱり量がないのかと…入りたくはないと思い。
オマケだとペットボトル入りの水も数本差し出して。

「むしろな……俺にどんな顔で可愛いの買えっていうんだ?
馬鹿言ってると押し倒すぞ……全部やるって」

試着する気かと困った顔を見せて。

園刃 華霧 >  
「知り合い、ニ……か……そう、カ……したラ、知らナいのも、ナんだナ。
 ちょっとダけ、話しテおく、ナ。」

ただの噂話。
誰が行ったかもよく知らない。
其の程度の関わりであれば、右から左でも良かったかもしれない。
けれど、知り合いが関わっているなら……大雑把なところだけでも、知っておくべきだ、と思った。

「 多分、消えたヤツは帰って来なイ。
 あッチじゃ、まあ良くアる話じゃアるけド…… そうイうのとはマたちょっと違う、無茶な賭けヲしたノさ。
 こっちジャ"自殺志願者の群れ"っテ扱いナ。 アタシはたまタま、最後までいかナいで済んデ……
 そンで、メイワクかけタ分の"反省"込みデ、此処に居る」

ひとまずは、そこまで。
それ以上踏み込むかは相手次第。

「風呂も洗濯も週1とカだヨ。 アタシは昔で慣れっコだけド、こーやッテ人が来るとアレかねえ?
 ……消臭剤、みタいなの、要るカ? アー、でもアカラサマに匂いスんのも……ン―……?」

鉄格子に近づいて、臭う?とかしつつ……ちょっと悩み始めた。
乙女の悩み方としては少し方向性が間違ってる気もする。

「えー、ソこは見立てタりとかシないのー?
 あと、ざーンねん。此処、鉄格子あルんダなー? 押し倒すのむずかしーゾ―?」

鉄格子越しに、目の前に立ってけたけたと笑った。

葉山翔一 > 「あの話を聞いて夢でも見るように行っちまったな。
もしかして詳しいのか?」

風紀委員だけあってその辺りは詳しいのかと興味を見せ。
もしかすればあの一件以来見ない知り合いがどうなったのかを知っているかもという期待を持ち。

「……そうか……帰ってこないか。
無茶な賭けで自殺志望者の群れ扱いって事は賭けにならないほどの無茶苦茶だったって事か…。
関わってない俺が言うのもないだが…そこまで行かないでくれてよかったと思うな。
関わった知り合いが一人でも戻って来たなら嬉しい事はないよ」

聞けばかなりの大きなことだったようだ。
しかも反省込みで監禁されるなら余程の事、これ以上は首を突っ込まない方がよさそうだと首を振り。

「そこはもっと気を使ってやれよな……ホントに、週1とかパワハラもいいとこだろ。
消臭剤な?ちと待ってくれ」

相手は近づいてくれば少しなと返し。
それならばと匂いを取るメインの炭の消臭剤と汗拭きシートなどを取り出し、本当に何でも持ってきた様子で。

「そんな相手がいる訳ないだろ……。
判ってる、冗談だよ。……この手の鍵なら開けれなくはないけど警報が鳴ってもだしな」

鉄格子越しでは押し倒しなど出来ないもの。
冗談だと肩を竦めて笑うのを見返して。

園刃 華霧 >  
「マ、それデも……行ったヤツは、きっト満足シてるヨ。
 全員、全てヲ承知の上で……何度も、確認シた上で……そレでも、選んダ連中だかラ、な。」

騙されたわけでも、何も知らないままでもなく。
本当に、自分の想いに殉じた。
それであれば、結果が最悪だったとしても。
そこに救いは有るのではないか。

「えー、はやっち、そのマメさ使えば、カノジョの一人も作れルだろーニさー。
 ま、作る気がナいのカもだケど」

へらっと笑う。
そして受け取った品々を眺め……

「やー、そっカ。汗拭き、わっすレてたワ!
 意外とあリがたいヨなー。いヤ、気が効くナー」

思わず早速使おうとした。

葉山翔一 > 「そりゃそうだろ。そう考えないで言った奴はただの阿呆だ。
承知して確認して……それで戻ってこれないって判って選んだんだ」

その覚悟で行ったのなら何も言えない。
覚悟のない自分とは違い自分を押し通したのだから。
結果的に帰って来なかったが納得しているなら立派だと。

「ないない、先ず出会いがないからな…うん。
作りたいとは思ってるんだけどな」

二級を脱したばかりで余裕もないと肩を落とし。
折角なのでアオハルをエンジョイしたい気持ちは確かにあり。

「それなら一応汗はどうにかなるだろ?
後で使ってくれって……おい!」

早速使おうとすることに声を思わずあげ、ワザとなのかと突っ込みそうになる。

園刃 華霧 >  
「そっカそっか。ま、正規学生にナったンなら、これカらっしょ!
 探せ探セ! きっとどっカに良いの居るッテ!」

ひひひ、と笑う。
まあ二級学生のときは、違法な商売もってこともあってそんな余裕もなかったかもな。
そう思えば、まあアオハルとやらを謳歌してくれ、ほんと。

多分きっと楽しいから。

「……ン? ああ!」

そして服をずらして、汗拭きを突っ込みかけ……
つっこみを入れられて気づいた。
割と素だった。

「気になる?」

けら、と笑って手は止めた。

葉山翔一 > 「何気に正規学生の方が大変なんだよな、主にテストとか…。
まあ……時間を見つけて探してはみる」

今までは関係なかった成績という問題が出てきて大変だと笑い。
違法は商売に比べれば楽ではあるがそれでも大変。
その合間に頑張ってみると告げて。

「今のは狙ってかそれとも素か?」

また揶揄ったなと目の前で始めようとする事。
突っ込みに止まった姿に呆れた目を向けて。

「ない奴は同性趣味だろ」

正常な男子を揶揄うなとジト目になって。

園刃 華霧 >  
「ひひ…そーナ。テストはマジ大変だわ。
 アタシも最初苦労シたなァ…」

懐かしそうに笑う。
それでも、得られるものの大きさは計り知れない。

「ァ―……いや、これ、マジ、素……」

本当に素だったので、自分も反応に困った。
冗談だったことにしておけばよかったか……

葉山翔一 > 「先ずはその辺りになれないと探すも何もないんだよな…。
やっぱ苦労したのか」

つまりは慣れるまでは楽しむ時間が少ない。
それを知れた瞬間であり。

「……そこは嘘でも冗談ッて言えよ。
反応に困るだろ……」

マジかとどう反応していいか判らなくなり、そっと背中を向けて。

園刃 華霧 >  
「……ひひ、冗談冗談、からかッテたんダよ!
 ……ヨシッ!」

ヨシ、ではなかった。
明らかに空気がちょっと、こう……
駄目だった。
どうしよう。あ。

「ア、アー……そーダ。そろそロ、時間やバくなイ?
 ってカ、見回り、一応、あルしね。ま、ほとんド形だけ、だけドさ。」

これは事実でもある。
事実でも有るのだ。
決して気まずい空気を荒れしたりしようとしたわけではない。

葉山翔一 > 「そうだな、冗談だよな。
そう言う事にしといてくれ」

完全に空気があれとなってしまい、誤魔化すように乗るが…。
やはり空気は変なまま、困ったように頬を掻き。

「時間?あ、あぁそうだな。言われてた時間がそろそろ来そうだ。
見回りは流石に買収できなかったし…そろそろ逃げるな」

今日の見回りには見つかると確かに面倒になる。
そうなる前に、この微妙な空気もあり撤収しようと決め。

「次は外で会えるの祈ってるぞ。まあ…収監が長引くならまた差し入れ持ってくる、それじゃな」

そう言うと異能を発動させ姿を消し、見張りが来る前に撤収として…。

園刃 華霧 >  
「うン、そういウことにシておいテ」

いや、やりすぎたなーって思ったけれど、こんな微妙な空気に成るとは……
トモダチだからってちょっと余裕持ちすぎたかね?

「アー……流石に、そろそロ、出たいナ。
 うン。今度あうときは、外でお願いシたいネ。
 あと、まだなンか売ってンだろ? 今度はちゃんト買わせてナ」

消えていく相手に向かって、聞こえているかはわからないが
声だけはかける。
見えるかどうかもわからないが、手も振って。

葉山翔一 > 背後から聞こえる声には何も返さずに留置所を抜け出し。
次に会う時は本当に外でと願い。
今は他の風紀委員に見つからない事を願い建物内を静かに走る。

その後は無事に抜け出したか見つかり大脱走となったかは運しだいで…。

ご案内:「風紀委員会留置所」から葉山翔一さんが去りました。
ご案内:「風紀委員会留置所」から園刃 華霧さんが去りました。
ご案内:「風紀委員会留置所」に園刃 華霧さんが現れました。
園刃 華霧 > ここは風紀委員会留置所。いわゆるブタ箱ってやつ。
つまり、『馬鹿』の集会所ってわけだ。
鉄格子越しにも色んなものが見えるんで、意外と面白いぞ?
ま……入らないに越したことはないんだけど。

で、なんだっけ?
ああ、そうそう。ようこそ『悪』の部屋へ。
まあなんにもないけど、ゆっくりしてってよ。
なんてな。

ご案内:「風紀委員会留置所」に神代理央さんが現れました。
園刃 華霧 >  
――は、ハ、 、アタシは……ア シは、『  』を……っ
 

園刃 華霧 >  
「……ッ!?」

がばり、と起き上がる。
心臓がひどく脈打っていた。

「……ァ―……」

頭をかく。
嫌な夢を見たようだ。
詳細は覚えていないが……きっと、覚えていてもろくでもないような、夢。

「……やれ、やレ……」

一息溜息をつく。
気づけば、酷い寝汗をかいていた。
こんなコトは珍しい。

「……汗拭き、貰っテおいテ正解ダったナー」

ごそごそと、汗拭きを取り出して寝汗の処理を始めた。

神代理央 >  
謹慎を終え、正式に登庁して最初に向かった場所。
それは、自分では『止められなかった』少女であり、誰かが『止めてくれた』少女が収監された拘置所。
折り目正しい風紀委員の制服を纏い、見張りの委員に邪魔の入らぬ様に付け届けをして。
革靴が廊下を叩く硬質な足音と共に、少女が居る場所へと現れて――

「……すまない、身だしなみ中だったか?」

コツリ、と足音を止めて訪れた先の少女は、寝汗を拭っている様子。
タイミングが悪かったかな、とちょっと首を傾げながら取り敢えず声を掛けてみるだろうか。

園刃 華霧 >  
響く革靴の音。
やってきた男。
それは、この何処か暗い場所には似つかわしくない『折り目正しさ』。
見知った顔だった。
ひとまず、手を止める。

「……………いヤん」

服をはだけて寝汗を拭っていたわけで、状況としてはちょっとアレ。
とりあえず、言うだけ言ってみた。
かなり棒読みだったので、風情(?)もなにもあったものではない。
くそ、動揺の一つもされてればもうちょっとどうにかしようがあるのに。

「や、ま。いーケど。っていウか、おひサ。
 りおちー、ドったノよ。こンなとこマで」

手を止めたまま、とりあえず聞いてみた。
予想外といえば、予想外。
色々客が来ていたから、可能性はないわけではなかったけれど。
かの人物は外に出てからかなー、とちょっと思ってたりはした。

神代理央 >  
「………フッ」

情緒もへったくれもない言葉を向けられれば、一瞬きょとんとした様な表情を浮かべた後――鼻で笑い飛ばした。
もう少し恥じらいをある態度でもされれば別だが――そういう反応が返ってくると思わなかったから、此方も普通に声を掛けた訳で。

「久し振りだな。廃神社で会って以来か。
何、ブタ箱にぶち込まれた可哀相な同僚を笑いに来た…とでも言えば、満足かね?
……それと、声をかけたのは私だからあれだが。はしたないから衣服は整え給えよ」

クスリ、と小さく笑みを零しながら、鉄格子へと近付く。
ごそ、と懐から取り出したのは、データカードとメモ用紙。

「……預かり物を返しにな。外に出てからでも良いかと思っていたんだが…まあ、預かり物だしな。
データカードの方は一応コピーを取らせて貰ってる。お前も使う事があるかな、と思ったから、オリジナルは返すがね」

鉄格子の隙間から彼女からの『預かり物』を差し出しつつ、穏やかな口調で言葉を紡ぐだろうか。

園刃 華霧 >  
「クッソ……エイジくん辺りだっタら、愉快なくらイ動揺しタだろーニ……
 鼻で笑ウか、フツー……? 乙女の半脱ぎ見てンだゾ?」

そうはいいながらも、こちらも笑ってる。
まあこういう相手だと分かってるし、反応も想定内。
いや、動揺してくれたら面白かったから想定外でも歓迎では有るんだけど。

「ァー……そレか。出たら、とは思って……いや、オイ。
 なンでコピーとか取ってンの? プライバシーとか、何処いってンの?」

服を整え、データカードを受け取り……
ちょっと待て待て。何考えてるこいつ。

神代理央 >  
「…確かに、山本は動揺するだろうな。あの愉快な髪形が面白いくらいに揺れるんじゃないだろうか。
…ふむ?動揺して欲しかったのなら、最初からやり直してやろうか」

と、冗談を飛ばしながら。
差し出した物を受け取った彼女が衣服を整える間視線を逸らせつつ、投げかけられた言葉には思い至った様に。

「……む、すまない。ちょっと別件で、保護対象の二級学生のデータがどうしても必要だったんだ。
勿論、仕事以外に他用も悪用もしていないが…そうだな、直ぐに破棄しておこう」

殺し屋との一件の後。
二級学生の保護はどちらにせよ取り組むべき課題でもあった為、ナチュラルに仕事が倫理観を上回る少年は、予備としてコピーを取ってしまっていた。

されど、彼女の指摘を受ければちょっと申し訳なさそうに眉尻を下げつつ。いっそ不気味な程素直に彼女の言葉を受け入れて、コピーは破棄すると伝えるのだろう。

園刃 華霧 >  
「いッや、ホント。たまに、年上ッテこと忘れソ―になンだよなーあのアフロマン。」

ちょっと前に来た時に、言ってみたセリフ。
本気でもないけれど、それはそれで面白いか、と思わないでもなかったアレ。
結構な動揺してたのは面白かったなあ。

ところで

「……?」

ふむ? いや、確かに色々と問題は有るけれどあくまで心情の話。
であれば、仕事として必要なら、そういうものだ、と返ってくるかと思ったが……
妙に素直な反応だ。ちょっと気持ち悪い。
いや、変化、といえば其の兆しは廃神社で会ったときも気配は存在した。
でも、なんだろう。これは……

「ン……いや、そうハいったけどサ。必要なラ、とってオけよ。仕事ナんだロ?
 ……っていうか、サ」

首をひねる。
ひねるが……答えなんて出るわけない。
そもそも、頭はあんまり良くないのだ。
だから

「りおちー。どうシた、マジで。
 なンかあったカ?」

聞いてみた。

神代理央 >  
「私もだよ。最初は『山本さん』って呼んでたからな。
寧ろ山本の方が、私やお前を先輩として良く立ててくれるからなあ。そういう点では、年の功があると言うべきなんだろうか」

うんうん、と頷きながらもアフロマンという珍妙な名前には思わず吹き出してしまう。
風紀委員アフロマン。特撮のヒーローの様だ。売れなさそうだが。

「……なんだ、そんな不思議そうな顔をして。
まあ、お前が構わないなら利用させて貰うが…」

こう、考え込む様に首をひねられては此方もちょっと居心地が悪い。
顔に何かついているかな、とまで思い始めたその時、彼女から投げかけられた言葉に、一瞬動きを止める。

「……んー…そうだな。あったような、なかったような。
まあ、あれだ。同僚の意見を聞き入れて、忠告に従って。
…お前みたいな同僚でも、その、頼りにするくらいには、頭が柔らかくなったかも知れないな」

殺し屋との一件は、彼女が牢にいる間の出来事。
それ故に、どう説明したものかとちょっと悩んでみたが。
結局、自分自身の変化を簡潔に伝えて、肩を竦める方向で落ち着いた。彼女の事を頼りにしている、と告げるのはちょっと口ごもっていたが。

園刃 華霧 >  
「………」

鉄面皮、とはいわないがゆるい感じになっている。
アフロマン、で笑うとか思わなかった。
渋い顔して、そういうのイクナイ、くらいかな、と思っていたが。

いや、これは……うーん

「今、ちょっト言うのノ迷っやダろ?
 頼りにシてるって」

じーっと恨みがましそうな顔で見つめてみせる。
本心はともかくとして、だ。


「……そレは、それハ。
 いヤ、そンだけ変わっテ、なーンもなかっタ、は嘘だロ。
 ……ま、いいニくいってンならいいケどさ。」

割に大雑把に説明する内容を確認。
めちゃくちゃ柔らかい、というか……話し方もなにか違う。

んー……

「……で。データカードと、メモ。
 こレくらイなん? 用事?」

神代理央 >  
「…迷ってないぞ。頼りにしている。いや、本当に。
いざという時の為にロッカーに常備してる割りばしくらい頼りにしてる」

などと、それは一体どうなんだみたいな例えを真面目な顔で告げつつ。
恨みがましい表情を向けられれば、冗談だと言わんばかりに笑って見せるのだろう。

「言い難い訳じゃ無いんだが…うーむ。私は簡潔に説明するのが下手糞な部類だからな。
殺し屋に狙われて、非武装の殺し屋に異能を使ったのが動画で拡散されて、査問会にかけられて、恋人と一時的に離れて、公安にちょっと目をつけられて、知り合いと色々話をして、恋人と和解した後、殺し屋を逮捕した。
……うん、すまん」

事実を列挙する事は、説明とは言わない。
それ故に、指折り直近の出来事をちょっとしょんぼりと肩を落とすのだろう。

「個人的な用事はあと一つ。それと、仕事の話が一つ」

用事はそれだけか、と問われれば、しょんぼりとしていた表情を真面目なものへ。

「個人的な、と言っても大したことじゃないんだが。
お前は、真理に『空っぽ』を埋めて欲しかった、と言った。
だが、今お前が此処に居るという事は、その『空っぽ』は何かしら満たされる様な。
満たされると言わずとも、真理に挑まずとも良い、と思える様な事があったんだろう?」

それは、己の弱さを『殺し屋』に突き付けられたからこそ、彼女に尋ねたかった事。
真理に挑もうとした彼女が、それを諦めた理由。

「お前を埋めたものは。真理から手を離した理由は。一体何だったんだろうかと、個人的な興味があってね」

園刃 華霧 >  
「うッワ―……扱い、悪ッッ!!」

思わず叫ぶ。
まあ、こんな軽口を叩けるのも楽しいものだ。
悪くはない。


「……いヤ、うん。アタシも悪かっタ。ってイうか、激動すギんだロ……
 何人分の人生体験シてんダってレベルじゃんか、それ……
 アタシの件とか、マジで霞むンだけど……りおちー、こっち、入っテおく?」

事実を列挙され、あまりの無茶苦茶さに流石のアタシも苦笑するだろ、こんなの!
思わず、真顔で聞いてみたりする。
鉄格子の中へ、ご招待。

しかし、真面目な話となれば切り替える。

「ァー……そレ、か」

なるほど。
そこに"個人的な"興味を持つのね。

「そコ、話すなラ……そーダなぁ……
 そもソも、『空っぽ』から話サないと、ナんだケド。
 りおちーってアタシの昔、どンくらい知ってる?」

まずは前提から確認。
なにしろ、自分でも言い草がブレるくらいによく分かってなかった話だから、きちんと説明しないと話が通らない。

神代理央 >  
「何を言うか。割りばし常備しておくのは便利なんだぞ。
私は全く使わないが。昼飯くらいなら外食するし」

と、投げ交わす軽口。此処が拘置所で有る事を忘れてしまうような、冗談の応酬。
同僚と交わすこういうやりとりは、確かに、悪くない。


「…それ程の事でも無かったとは思うんだが…。というか、流石に真理に挑もうとしたお前の密度には負けるぞ。
え、やだ。さっき言っただろ査問会かけられたって。そっち入るの結構冗談にならないからやだ」

鉄格子インな未来は、結構あり得た話。
それ故に、結構真面目にぶんぶんと首を振る。だって此処スイーツとかなさそうだし。


「…どのくらい、かと問われれば正直余り知らないな。
元二級学生、といったくらいだ。どんな生活をしていたのか。どんな出会いがあったのか。
私は『園刃華霧』という人間を、知らない」

知らないのに、彼女が真理に挑むのを一応止めようとしたのだから薄っぺらい話だ、と。
少し自嘲する様な笑みを浮かべた後、彼女の問い掛けに応えるだろう。

園刃 華霧 >  
「ヒヒヒ……此処は、いイぞぉ……三食昼寝付き……」

うらめしやー、みたいな口調で声をかける。
まあもっとも、風呂も洗濯も週1とか絶対耐えられないだろうなー、りおちー

「……ン、まあそンなモンだヨね。あんマ詳しくするト、長くナるしざっクり言うとサ。
 アタシ、捨て子ナんだカまアよくわかンないンだけド。
 もウ記憶はっきリしてル頃は、アタシ以外、何も周りニなかッタのナ。
 ソイツが『空っぽ』の始まリ。」

親も兄弟も頼れる誰かも、
家も食事もささやかな寝床も、
名前も言葉も何もかも
何もなかった。
空っぽだった。

「ダから、なンもカんも、自分で全部かキ集めて手に入れテ……デ、大物が正規学生と、風紀委員ってワケ。
 なンだけド……結局、アタシは心底デ、本気で手に入っタ、なンて信じテ無かっタみたイ。
 『どうせ、いつか無くなる』……そう、疑ってタんだローなぁ。だかラ、満たさレなかった。」

思い返せば、多分、そういうこと。
生まれた時から信じられるものがなくて、
生まれた時から持ち続けられたものがなくて。
だから、何もかもの永遠を信じられなかった。

神代理央 >  
「…いや、一応収監中なんだから昼寝は控えろよ昼寝は。
何でお前は休暇満喫中のOLみたいなノリなんだ」

呆れた様に笑いながらも。
風呂洗濯週一という恐怖を、少年はまだ知らない――


彼女の言葉を、瞳を閉じて静かに聞き入れる。
園刃華霧という人間を形作ってきた時間、歴史。
それらを、じっと受け止める。

「…アイデンティティ。自我同一性の消失。
お前を『園刃華霧』たらしめる要素を、見失っていた。或いは、最初から持ち合わせていなかったということか」

人は先ず、親から自己の存在意識を得る。
そして生まれた場所や周囲の環境から、『個人』の認識を得ていく。
それが、この少女には存在しなかった。この少女を『園刃華霧』だと認めるものが、何もなかった。

「…正規学生も風紀委員も、お前と言う存在に付随するものではないからな。言わば、後付け。お前と言う存在を補強するモノでしかない。
補強する土台の『園刃華霧』が希薄であるなら、満たされないというお前の言葉もさもありなんと言ったところか」

彼女の言葉を否定せず。
緩やかな肯定と、相槌代わりに自分なりの意見を述べながら、彼女へと言葉を返す。
そして何となく。あの日、廃神社で彼女を引き留めようとした理由が。何故己が彼女を引き留めようとしたのか。何となく、分かった。

彼女と己は逆なのだ。
自己に強い矜持を持ち、過剰な自我を持つ己と。
自分自身という存在すら空っぽだと告げる彼女は。
それが何となく伝わったから。あの日、彼女を止めようとしていたのかもしれない、と。