2020/08/28 のログ
■園刃 華霧 >
「ン……」
やわらかい
どこか あまく
どこか すっぱい
どこか やさしい
ああ……
また、あじわった
せかいを とれる あじ
かれの もとめたのは これ だろうか
それとも もっと ほかの
「"とまれ"……?
なにそれ、信号?
なにいってんのさ」
へらっと笑う。
少しだけ其の余裕が生まれる。
流石 世界を取れる料理だ。
「本土……本土、か。
そっか。つっきー先輩、本土知ってるのな。
ふうん……本土にはない、のなあ」
常世島しか知らない自分には新鮮な話。
きっと触れることもないと思っていた話。
少しだけ興味を惹かれる。
うん……おむらいす おいしい
■月夜見 真琴 >
「此処にしかないものがある。
やつがれはそれを求めてここに来た。
常世島の風景。外側とは違う"風紀委員会"の機構。
極彩の在り方――園刃華霧。 おまえもだ」
出会うことがなければ痛みを覚えずに済んだかもしれない。
そんな後悔をするには折り返しを過ぎた学生生活を、
シンプルで強めな味を咀嚼しては飲み込んだ。
「――行ってみたくなったか?
つぎの休暇には連れて行ってやってもいい。
お互いの監視が解かれていればな。
この島のかまびすしさに慣れていると、
広いだけで、意外と普通だな――などと思うかもしれないがな」
それも経験だろう、と。
そうして穏やかな時は過ぎていく。
いつかまた、それが食卓に並ぶ時が来るかはわからないが。
めくられたカレンダーは戻らない。どれだけ望んでも。
■園刃 華霧 >
「……ン……
アタシが? アタシ、そんな大したもんじゃないと思うけど。
……まあ、うん。どっちかってーと灰色、とかだな。」
極彩、と言われるとどうなんだと思う。
アタシ、そんな大したもんじゃないと思うんだが……
まあ……げーじゅつか、とやらの目線ではそうなのかもしれない。
「……いや、うん。
もし、その時、其の気だったら……かな。
今は……いい、や。」
憧れ、のようなものがあるかといえば。
正直、どちらかわからない。
いや、どちらかといえば――"行きたくない"
……理由は、明白だ
だから、微妙な答えで濁してしまう。
ひょっとすれば、気が変わるときが来るかもしれない。
……来ないかもしれない。
時が、何かを変えることもあるのかもしれない。
■月夜見 真琴 >
「塗りつぶしたような?」
小さく笑いを零した。
それで隠したいものが隠しきれるのなら、だれも苦労しないのだ。
この世界にいて誰とも関わらないことなど不可能だ。
「―――それは、」
■月夜見 真琴 >
「――そうか」
少し意味ありげな笑みを唇に乗せて。
静かな時間が、過ぎていく。
規則的に動く秒針。
止めようと思ったところで、止まらない時計の針。
■月夜見 真琴 >
ほんの少しだけ、時計の針が進む。
■月夜見 真琴 >
空がそこにあるのは当たり前だったはずなのに、
そこに空があることを認識するという"神秘体験"によって、
月夜見真琴の人生は激変した――追想だ。
夢を見やすい。
強く感性を刺激されると、間違いなく眠りが浅くなる。
先日、ふたりで眠った寝室でひとり、
白い影は薄暗い部屋で、まくらをかき抱いてうなされている。
空調が効いていても、夏の夜は時折寝苦しく感じる。
おおきめのベッドの上で、なにかを求めるように伸ばされた腕が、
無我夢中でシーツを掴み、深い皺を描かせた。
■園刃 華霧 >
「………」
ひたり ひたり と あるく
けついの ごはんを
たべたから
「………」
ひたり ひたり と あるく
きかない
きかれない
その を
かんがえたから
「……」
ひたり と たどりつく
とびら は もう めのまえに
「…」
おもくて かるい とびら
ゆっくり て を かけて
ぎいいい と ひらいた
くらい せかい が まっていた
■月夜見 真琴 >
「……た、し……は――」
■月夜見 真琴 > 【くらいせかいは、つぎのきかいに】
ご案内:「月夜見邸」から月夜見 真琴さんが去りました。
ご案内:「月夜見邸」から園刃 華霧さんが去りました。
ご案内:「Free2」に月夜見 真琴さんが現れました。
ご案内:「Free2」から月夜見 真琴さんが去りました。
ご案内:「真琴の私室」に月夜見 真琴さんが現れました。
ご案内:「真琴の私室」に園刃 華霧さんが現れました。
■園刃 華霧 >
くらい せかいの なかで
だれかの ことばが もれる
「……」
きこえた
たぶん きいては いけないこと
でも きいて しまった
そっと そっと
しのびあし
そっと そっと
しのびこむ
「……マコト」
まだ ねている?
なら……
そっと すべりこんで
「だいじょうぶ だから」
ぎゅっと だきしめる
■月夜見 真琴 >
「…………あ、ぅ……」
暖かな熱に抱かれた。
暑さを避けるため、人工の冷たさに守られた寝室にあって、
それがどこか自分になにかを向けていると知るや、
シーツを掴んでいた手を離し、その背に腕をまわした。
「―――――」
うなされるように。
なまえを呼ぶ。
「………………?」
その夢に、でてくるはずもない者の名を口の端に乗せたことで、
遅れて重たいまぶたをもたげ、むねのなかで彼女を見上げた。
「……かぎり……? ………なんで」
寝起きでぼんやりした頭で、彼女を見上げた。
暗い部屋のなかで、実像を結んだのは同居人の顔。
だいじょうぶ――なにが、だいじょうぶ、なのか。
■園刃 華霧 >
「だいじょうぶ……」
おこしてしまったのは すこし
ごめんなさい
それでも つらそうだったから
■園刃 華霧 >
「
」
■月夜見 真琴 >
「…………ああ、」
くちにだしていたかな、と。
彼女が子供をあやすように紡ぐ言葉に、少し気恥ずかしそうに。
背中を抱き返した腕を頭に添えて、上体を起こした。
「心配をかけて、すまなかった。
だいじょうぶ……、やつがれは、
それを、"選ばなかった"のだ」
自分の心配する彼女に甘えずに、優しく撫でてやろうとするのは、
幾らか共有できるぶんの痛みがあるとわきまえて。
そして、彼女から"もらおう"とすることへの、気遣いだ。
「――すこし、話そうか?
なにかあるから、ここに来たのだろう?」
まだ眠気の残った顔で、掠れた声で。
やわらかく微笑みかけた。子供にそうしてやるように。
指を彼女の背後に示しつつ、シーツを手繰り寄せながらベッドの上に座る形に。
小型冷蔵庫にはフレーバー入りの水とグラスが冷やしてある。
■園刃 華霧 >
「……それは わかる。
マコトは ここに いるから」
そうなのだろう
このひとが いうからには
そういうこと なのだろう
しんぱいをした このひとは
こちらを なでてくる
少し、落ち着いてきた
「……うん。
話したいこと、あったから……きた。
たぶん、はなさなきゃ……いけない、こと、と。
……いろ色。」
それでも、言葉をだすのはむずかしい
なにを どう言うべきか
かんがえるのが 難しい
■月夜見 真琴 >
「らくにしてくれていい」
無理に"そうしなくて"も。
どうせここには誰の目もなかった。
そして月夜見真琴は、園刃華霧に期待を抱いていない。
そういう部分ではとても気楽な関係におもっている。
「おまえが帰ってきた時の表情をみて、
なにかがあったのだろうとは思った。
そのとき、きちんと聞いておくべきだったかな」
ふたつのグラスを満たし、柑橘の香り。
炭酸の泡の弾ける音を聞きながら。
ベッド上に座り、壁際に背を寄せて。
隣をぽんぽん、と叩いた。寝心地のいいことは彼女も知っているはず。
「聞かないほうがいいだろうと思ったし。
まあ、そうさな、――そうだ」
少し苦笑い。
その理由も彼女にはわかってしまうのだろう。
余計な負担を架したことと、気遣わせてしまったことをすこし悔やんだ。
■園刃 華霧 >
――らくにしてくれていい
気をつかわれている
心地いい、ような
いごこち、悪い、ような
「……いい。
マコトには、マコトの……おもい、が……
あったと、思うし。」
示されたベッドに座り、
ぽつぽつと、言葉にしていく
「……マコトは、多分。
なんとなく、わかってる、かもしれないけれど。
うん。 話さない、と。」
子どものように 弱っていた目に
すこしだけ 力がもどる
あいてを見上げて
しっかりと口にする。
「……うん。まず、レイチェルは……
まだ、すぐには退院できなそう。」
少しずつ話し始める
■月夜見 真琴 >
「そうか」
目が覚めたのは聞いていた。真っ先に華霧に連絡が入ったのだから。
行く理由もないので、彼女に見舞い品をもたせたのが今朝のこと。
心身の問題はすぐには解決するものでなし、それは分かりきったことだ。
――好都合だ。
「ただでさえ"風紀中毒"の多い風紀委員会だ。
休める機会に休んでもらったほうがいいだろう。
理央も復帰して、英治もそろそろ――だそうだし。
現場はそれで安定するだろうさ」
グラスで喉を潤す。
浮かび上がる感情のすべてを、冷水で流して。
「レイチェルはもともと――"似合いの"デスクに齧りついてた。
現場には、いまのところ大した影響はないだろう。
士気の面ではあるだろうが、"黒い灰被り姫"の活躍もあったことだしな」
色々な報告は読んでいる。
どこか遠くを眺めるようにして、アトリエから。
「――で、伝えたいことは。
そうした書類上の云々、ではないんだな?
個人的な問題、おまえがあんな顔で帰ってきた理由、か」
■園刃 華霧 >
これは最初のおはなし
あたりまえの 確認 みたいなもの
とうぜんのように 受けながされる
でも、ここから
「……うん。
でも、さ……
レイチェルは……『どうしようもなくなる前に』『相談する』って。
そう、いったのに、さ」
まずは、恨み言
もう、誰に言っても聞かせても
むいみである はずなのに
「……『どうしようもなくなってたことに』『きづかなかった』って……
レイチェルは……」
そこまでなっていることに 気が付かなかった
そうまで壊れていることが わからなかった
あたしは なんて ばかなんだ
「ほんとうに……ばか……」
それは誰に向けていった言葉か
■月夜見 真琴 >
ひとこと。
彼女の言葉を聞き終えたあと。
華霧だけ伝えるようにしずかに、呟いた後。
「《時空圧壊》が使用者にもたらす負担――
只人であれば余裕で死ねているほどのものだったとか。
どうにか無事に済んではいるが、まあ、
"運が良かっただけ"だろう」
グラスを軽く揺らしてから、淀みなく。
「それについておまえがみずからを責める必要はない」
そう告げた。
「負傷そのものはあれの"事故"であり、
内臓の損傷もまた健診を行ってこなかった"怠慢"だ。
――自己への"過信"ともいえる。
傷つかない。死なない。大丈夫。なんとかなる。
そういう時はな、大体逆の結果が引き寄せられる。
それでも言葉は交わせたんだろう? 退院もできる。
であれば、今後はしっかり、おまえが悔やまないように。
あれのことを診ていてやればいいだけだ」
ため息が溢れた。
華霧をなだめるつもりで、不満は溜まっていく。
「元気そうだったなら、目出度いことさ」
■園刃 華霧 >
「それ……は……」
囁かれた、そのことば
それは、受け入れたくない
それだけは、みとめたく、ない
けれど 心に ソレは 入り込んで くる
「や、だ……そん、なの……
や、ぁ……」
だだっこのような言葉が もれる
だって あたしは もう すでに
「だって……
あたし…… もう、一回、
信じないって…… そういう、こと、いっちゃった……」
ぼろり、とくずれた
なにかが くずれる おと
「ちを すえば だいじょうぶ って……
そんなの……あたしの ち なんて いくらだって あげる。
あげるの に……ほんとうに だいじょうぶか しんじられ、なくて……」
いやだった
いいたくなかった
それなのに
■園刃 華霧 > 「
」
■月夜見 真琴 >
「――――血を?」
視線をするりとそちらに向けて。
その言葉の意味を考えるように、目を細めて暫し。
グラスをサイドボードに置くと。
そっと彼女の体に覆いかぶさった。
照明の落ちた薄闇のなかで。
胸を重ね、その耳元に唇を寄せた。
指先が嵌められた首輪の上を――そして喉を。顎先へと。
くすぐるように這い上がった。
ささやく。
■月夜見 真琴 >
「……それ以外には、なにをいわれた?」
■園刃 華霧 >
「ち ちが ちが ぅ 」
ちがう
そんな こと ない
だって
だって だって
そんなのは――
でも
でも それが ほんとうに
きこえて しまう
だから つぎの はなしが するりと
「……それ、いがい……?」
それいがい
なにか
ああ――
そういえば
「……すきだ って
しんゆうより もっと とくべつな そんざいとして
いっしょに いたいって」
いわれたことを おもいだす
そして そのときの ことも
「あたしは そういうの わからないの
だから こたえ られなかった」
だいじな ともだちの だいじな うったえ
それに あたしは こたえ られなかった
だめな あたし
■園刃 華霧 >
「
」
■月夜見 真琴 >
「…………なるほど?」
凡そ、予想通りのことだ。
彼女が思いつめていたことは、要するに。
「恋人に、なって欲しいと」
唇にのせた、ささやく甘い声はどこか嗤うように。
腕を伸ばし、彼女の顔を正面から見つめた。
白い肩の上を、白い髪がするりと流れて。
彼女の体の横に垂れる。外界から隔絶するように。
園刃華霧を我がものとするように。
■月夜見 真琴 >
「華霧は……どうしたい?」
体を重ねる。
そして、耳元に唇を寄せた。
耳朶に指を這わせて、指先が艶かしくその柔らかさをこねる。
■園刃 華霧 >
「…………」
耳にのこる言葉
それは とても 分かりやすくて
すとん と こころに落ちてくるようで
納得 してしまいそうで
でも みとめられない
認めたくない
ああ 信じたくない
でも
確かに "分かってしまう"
そして "なっとくできない"
「……………」
かんがえる
悩む
「……アタシ、は……」
重い口は、すぐには開かない。
■月夜見 真琴 >
「――――。
わからないなら、すぐにこたえをださなくてもいい」
頭の良い子だ、とおもう。
重ねた胸の、裏側の、心拍の音を感じさせる。
耳朶にふれた指は、くすぐるように内側のかたちを探り。
もう片方の手は、彼女の手首をとらえて、ベッドへ。
押さえつける。優しく。
「それは、"そう"なってしまう。
どれだけそれを尊いものと信じたくても。
相手のことを信じようとしても――」
それだけでうまくいくなら、誰も悲しまない。
美しく名付けられた感情こそ人を傷つける薔薇の棘だ。
そして目の前の少女は、そういう事情のなかで、
もっとも傷つきやすい性質をしているように見えた。
動脈の息づきを感じる掌を這わせ。
掌同士を、重ねる――指を組み合わせる。
――そして。
■月夜見 真琴 >
「…………」
そうして、ぶつけた想いのこたえを。
視線を交わらせながら、待つ。
■園刃 華霧 >
押さえつけられ
のしかかられ
語られる ことば
「……」
そうだ
そうか
思えば さいしょの
あの時から そうだった
たとえ なっとく できなくても
一つだけ たしかな ことがある
「……ああ」
そうか
そうじゃない
今 ようやく "りかい"した
「……うん
マコトと、いっしょに……さがして ……
ううん、かんがえて、みる」