2020/09/17 のログ
マルレーネ >  
「なるほど。」

何かしらに語る相手を見つめながら。
少しばかりの思案をしたかと思えば。

「わかりました。
 いつ頃行くんですか?」

さも当然という顔で、首を回す。

「風紀が勝つという言葉は知りませんが。
 私は、真正面からぶつかってやりあうなら、負けませんよ。」

他人の声に、心を奪われている間も無い。
とんでもないことを言い出す女。
 

山本 英治 >  
「あのねぇ、マリーさん」

幻影が見えない角度に回り込むように彼女をのほうを向いて。

「普通、男がそう言ったら送り出してくれません?」
「なんで男と男の決闘に割り込もうとするかなァー……」

なんで当然みたいにすごいこと言い出したのこの人!?
ちょっと変で、かなり痛快。
なるほど、やっぱりマリーさんだ。

「俺がやるから……俺がやるから…!」

ったくもう。本当に……良い姉貴分だな。

マルレーネ >  
「悪魔祓いはどっちが本職だと思ってるんです?」

少しだけ笑って、目を細める。
悪魔以外も、何でもかんでも払ってきたけれど。

「一対一で迎え撃ってくれるんですか? その悪魔は。

 送り出しますよ。
 万全に、今残っている力を全部ぶつけられるように。」

微笑む。
マジな顔をしている。
 

山本 英治 >  
「……ったくもう…」
「わかった、わかったよ。今日は根負け」

「ちゃんと送り出してもらうから……」

手のひらを見せて降参のポーズ。
そして眉根を寄せて。

「だから……お互いちゃんと退院しないとな」

マルレーネ >  
「………よろしい。」
「姉の言うことは聞くものです。」

にひ、と笑いながら、もう一度引き寄せて、ぽん、っと撫でて。

「じゃ、早めに退院しなきゃいけませんね。
 認めて貰えればいいんですけど。」

よいしょ、っと立ち上がって、ぱちり、とウィンク一つ。
 

山本 英治 >  
「わかったよ、姉さん」

冗談めかして言って、頭をぽんと撫でられる。
手を下ろして、逆の手で時計を指差す。

「そろそろ看護師さんの見回りの時間だぜ、慌てず騒がず、落ち着いて帰るといい」

開かれた窓から吹き込む風が、心地いい。
こうして俺は、守りきれなかったけど守った。
自分でもよくわからんけど、そういう感じだ。

マルレーネ >  
「よろしい。」
んふ、と満足げな表情を浮かべながら。

「眠れない時は連絡してね。
 私も多分起きているから。」

輝に買ってきてもらった携帯電話のアドレスをぽん、と渡して。
最近、ようやく教えてもらったんですよ、なんて。

変わらぬままの女は、鼻歌交じりに帰っていく。
 

山本 英治 >  
彼女が帰っていった後に思う。
俺の戦いは俺一人の戦いじゃなかったということを。

いつだって俺は心を守られながら戦っていた。
だから、今回も。
そう考えながら瞳を瞑った。

先行きが見通せないなら。瞼の裏を見ていたほうが落ち着く。
そう言っていたな……師父。

ご案内:「常世学園付属常世総合病院」からマルレーネさんが去りました。
ご案内:「常世学園付属常世総合病院」から山本 英治さんが去りました。