2021/02/12 のログ
ご案内:「スイーツ店【ラ・ソレイユ】」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 >
「……そういえば、もうすぐバレンタインか」
久し振りに。本当に久し振りに訪れた、自らがオーナーを勤める洋菓子店。と言っても、店の外からぼんやりと伺っているだけなのだが。
偶々、風紀委員会の所用で近くに立ち寄ったので覗きに来てみたが、バレンタイン用のお菓子を買い込む女子生徒で大賑わい。
店の中も、結構忙しそうに見える。
「……こういうイベントの時は、休みとか与えた方が良いんだろうか…」
部下達のイベントの過ごし方はどんなものなんだろうか、なんて思いを馳せつつ。
繁盛している様子の店に安堵の吐息を零しながら、缶コーヒーを傾ける。
ご案内:「スイーツ店【ラ・ソレイユ】」に雪城 氷架さんが現れました。
■雪城 氷架 >
今日は早めの放課後
そういえばそろそろバレンタインが近いよな、なんて思って
母親が所属しているらしい部活の運営しているスイーツ店にでも寄ってみよう、と
寒風通る往来を歩いているといるわいるわ、女生徒の群れである
「…うっわ、超混んでるじゃん。今日はやめとくかー……ん?」
賑わいから少し離れた位置に、少年の姿を見つける
「何してんの。用あるなら臆せず突っ込まなきゃ売り切れになっちゃうぞ」
女生徒の勢いに負けて店に入れない可愛そうな客だと思ったらしい
近寄ってそう声をかける、と
「あれ、お前──」
見たことのある顔だった
■神代理央 >
投げかけられた声に、ちょっとだけ肩をびくりと跳ねさせる。
路地裏や落第街で強敵と遭遇しても、亡霊だのゾンビだのに遭遇しても驚かない自信はあるが――此の場所はまあ、ちょっと色々と。
何と言うか、色々気まずい。
「……あ、ああ、いや、用がある訳じゃ…いや、あるけど…」
よくよく考えれば、普通にスイーツを買いに行けばいいのだ。
女子生徒が多いからちょっと立ち往生していた…という事にしよう。よし。
と此処迄0.5秒。設定を大急ぎで練り上げて声の主に振り返ってみれば…。
「……あれ。えーと………雪城…?」
声の主は、目の前のスイーツ店で忙しなく働いているだろう知人と同じ名字を持つ少女。中々出会わない名字、という事もあって、その名と姿は覚えていた。
髪の色まで同じなので、姉妹か親戚かな、と別れ際に思った記憶がぼんやりと思い出せる。
「どうしたんだ……ってのは無粋かな。バレンタインの買い物か?」
この時期に、女子生徒が此処を訪れる理由と言えばまあ一つしかないかなと。
小さく首を傾げて尋ねるのだろうか。
■雪城 氷架 >
「待て」
雪城、呼んだ少年に手のひらを翳す
1秒、2秒、3秒……
「えー、と…神代!」
手を降ろすと同時にそう、少年の名字を口にした
声の調子の割にちょっと視線が泳ぎ気味、さてはあんまり記憶に自信がない
合ってるかな…?といった表情の色がまるで見て取れるようである
「ん、こほん。いや、買い物っていうか、
此処でお母さんが働いてるからちょっと見に来てみようかなって思ったんだけど」
混んでて忙しそうにしてるし、今日はいいかな…
などと言葉を続けて、その小さく細い肩を竦めた
■神代理央 >
「…正解。覚えていてくれて嬉しいよ」
ちょっと不安そうな少女に、クスクスと笑いながら頷く。
思えば、やれ鉄火の支配者だの風紀委員会の神代だので覚えられる事はあるが――こうして、普通に名前を覚えて貰って、呼ばれる機会は中々無いかも知れない。
だから素直に、少し嬉しそうに言葉を返しつつ。
「ふーん…お母様が…………………」
「……………お母様が?」
はて。ラ・ソレイユは曲がりなりにも自分がオーナーだ。
給与も従業員数も、一応学園に申請している。
従業員といってもほぼほぼ知人友人ばかりであるが――はて?
「……ええと。あの店に、雪城のお母様が働いている…のか?
私の記憶が間違えていなければ、そんな年齢の方は働いていなかった様な気がするんだが。店を間違えているんじゃないか?」
強いて言えば、関連するのは同じ苗字の雪城涼子、だろうけど。
まさか…まさかなあ。なんて思いながら、大きな疑問符を空中に浮かべつつ、不思議そうに首を捻ってみせるのだろうか。
■雪城 氷架 >
「よし。なかなかの記憶力だろ?」
正解、と言われればふふんとちょっとドヤった
「そうそう。なんか部活に入ったとかこないだ聞いてさ。
あ、フツーに学生やってるんだけどさ、私のお母さん」
ずらずらと列をなして甘い香りと共に店から出てくる女生徒達
そして入れ替わるように次の集団が入ってゆく
そんな店を眺めて、結構繁盛してるじゃん、と嬉しそうに零す氷架
「イヤ、合ってるよ。
まぁちょっと若く見えるかもしれないけど…。
ん、記憶?何、常連?じゃあ知ってんじゃないか?」
眼から髪の色なんかは私もお母さんによく似てるけどー、と
自慢のツインテールを手にさらりと梳かしてみたりする
水銀を水に梳いたような銀髪に、少しだけ蒼の深さが違う碧眼は少年の知る雪城涼子のものととてもよく似ていた
■神代理央 >
正解、と告げてドヤ顔を浮かべる少女には、ちょっとだけ可笑しそうに笑みを零す。
感情が豊かというか、ころころ表情が変わる子だなあ、なんて思っていた――のだが。
普通に学生。此の店であってる。雪城という名字。
髪の色も似ている、と告げられれば思い至った――というか、まさかなと無意識に除外していた――様に、驚いた表情で彼女の純銀も霞む様な美しい銀髪と、その顔立ちをマジマジと見比べて。
思い当たる生徒は一人しかいない。
出来れば、外れていて欲しいのだが。
「…………常連、というか、なんというか…。
というか、その、もしかして、いやもしかしなくても…。
雪城涼子…の、娘、なのか?」
無神論者だが、今なら神に祈る。
どうか、外れていて欲しいと。
■雪城 氷架 >
「なんだ、やっぱり知ってんじゃん」
無慈悲な肯定
仮に二人が並んでいたら、それはもう年もそう違わない姉妹にすら見えるだろう
物腰や、落ち着いた雰囲気、受け答えなどから涼子のほうが年上であるという印象くらいは持つ、だろうが
「あれ、もしかして似てない?
結構似てるって言われることもあるんだけどな…」
やっぱガサツな性格が顔つきに出てるのか…?なんてぶつぶつ言いつつ小首を傾げていた
「でも良かった男の客もいるんだな。
時期柄か女ばっかじゃん、今日の客。お前みたいな育ちよさそうなヤツも客にいるなら安心って感じ」
客層の話を言っているのだろうが、勝手に常連に仕立て上げた上に育ちが良さそう、などと来たものである
■神代理央 >
「……もう一度聞く…聞かせてください。
姉、じゃないんだな?母親、なんだな?
……母親……あいつ、母親、子持ち………?」
最寄りの心療内科は何処だったかな。
仕事ばっかりだったし、本当に休みが必要なのかもしれない…と、軽く現実逃避。
とはいえ、其処は腐っても風紀委員。取り敢えず鉄火の支配者。
受け入れ難い現実も、受け入れなければならない。のだ。
「……いや、良く…良く似てるよ…。
姉妹かな、とか、親戚かな、とかは思ってた…けど…。
まさか、まさか親子だとは思いもしなかったぞ…」
似ているのは間違いない。
涼子の方は令嬢めいた物腰と、見た目に似合わぬ世話焼きなところから年上に思う様な事も多々あった。
一方彼女は、溌剌としていて感情表現も豊かかつ元気いっぱい、という感じ。
……やっぱり姉妹じゃないんだろうか?
「…まあ、この時期は仕方あるまい。あと一か月もすれば、男女比が入れ替わるかも知れんしな。しかし……」
常連扱いされるのは、まあ構わない。
育ちが良さそう、というのも間違っていないから構わない。
しかし、本当に彼女が雪城涼子の娘であるならば。
「……ええと、その。私、一応、あの店のオーナー、なんだ。
お母様には、何時も店の件で大変世話になっている。
彼女がいなければ、店を切り盛りするのも難しいだろう。
私も色々個人的に世話になった事もあるし……。
お母様は素晴らしい部員であり、素晴らしい女性だ。
彼女の様な部員を持てて、私も誇らしく思うよ」
『雇用主が従業員の家族に接する』というのはこういう感じかな。
多分違う。
でもまあ、店の事も、個人的にも世話になっているのは間違いないので。
取り敢えず、ぺこりと彼女に頭を下げてみせるのだろうか。
■雪城 氷架 >
「だから、お母さんだって。
まぁ姉妹とよく間違われるけどさ。
髪の色とか、外人の血が混ざってたりとかするしそれで若く見えんじゃない?」
指先でツインテールをくるくると弄びながら、なぜか認識を食い下がる少年に言葉を向ける
どうも少女の言葉だけでは片付かないような気もするが
事実は小説より奇なりとはよく言ったものである
「なんなら会った時に左手の薬指見てみたら。お母さんよっぽどじゃないと結婚指輪外さないから」
言ってしまえばあの二人が一緒にいると子供の自分でもうへえって思うくらいの空間が展開される
まぁ、父の多忙もあって最近はそれを見る機会もあんまりない、というのが少女からすると逆にもにょっているのだが
それはそれとして
「…ん?オーナー…?
マジかよお前お坊ちゃんなの?」
雪城家も随分とお金持ちではある、が
この年齢で店のオーナーなんてしれっと言ってしまえるあたり、筋金入りではなかろうか
「いやいや、頭下げるのこっちのほうだって…。
…うちのお母さん、お菓子作りが趣味でさ、ストレスが貯まるとものすごいその、作るんだよ。
お父さんが忙しくなってからは特に増えてさ…私もおかげで随分大食いになっちゃってっていいかこの話は」
「まぁ、うん…そういうの、活かせる場所が出来たのは、嬉しいな。ありがとう。
お母さんの作るお菓子、めちゃくちゃ美味しいから神代もいっぱい食べてよ」
そう言って、こちらこそとぺこりと頭を下げた
口調はがさつ、だけれど礼儀を知らないわけでもなかった