2022/10/24 のログ
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メロウ > 「それらの香りは...」

薫が選んだ香りの瓶を、1つずつ指でつんつんと
成程。確かにあなたらしいやと、その意味を知っているメロウはくすりと漏らす

「『地』の基底。『氷』の浸透。『水』の流転
 丁度薫様との親和性が高そうな並びに思えるね」

よけいな瓶は口を摘まんで横に避ける。残された3つの香り

「『地』はオークモス。それは樹の表面に着く苔の香り
 土と樹が混じって渋く、湿度を帯びた基底に相応しいもの

 『氷』は煙、レザーな質感。革のような、生きている静かな呼吸
 時の永さを想うような、閉じ込められた命の息吹

 『水』はシトラス。瑞々しく爽やかな色合い。飛び込んでくるように浮かぶ香り
 第一印象の若さ故に、一番初めに薄れて消えちゃう」

「組み合わせるなら、シプレになるね。基底となるものがしっかりしてるからさ」

語りを終えて、紅茶を口に。あくまで言葉を浮かべただけで、理解や解釈の程は貴女の言葉から伺うとしよう
設計図は出来ているけれど...『占い』はこの会話から始まる

黛 薫 >  
「各元素の『印象』に合う香りを揃えたのかな。
 もしくはスピリチュアルな面でそれに属する、
 近しい風評、区分けがあんのか」

調香に関してはあくまで門外漢、推測する他ない。
専門的な面はメロウに任せ、自分に分かる範囲で
組み合わせの解釈に想いを馳せる。

「あーしが基盤にする元素論は、世界の遷移から
 元素、属性として代表的なモノを選び取った形。
 だから自然の中を探すと縁深いモノは度々ある」

「地と氷なら氷河。基底たる大地への冷気の浸透。
 芽吹きから離れた眠りの地。氷と水なら霙や雹、
 或いは流氷。流転は休眠や停滞に強く影響される。
 だからこそ遠く、翻って縁深い。水と地なら海底、
 或いは環礁。水の流れに触れながらにして其処に
 有り続ける場所。流れの中に居続けられない命に
 安息を与える底」

「3つ全てと縁深いのが南の極点付近かな。
 動かざる星から最も遠く離れた氷の大地。
 極点そのものになると水から離れっから、
 大地と氷、海が交わる、所謂オーロラ帯」

「今回 "雷" は含まれてねーけぉ、オーロラは
 磁場や電界と縁深い。あーしの研究内容まで
 解釈に含めるなら無縁ではねーのかも?」

『占い』とは解釈の形。連想から材料を集めて
時には知るために、時には背を押すために解釈に
意味を与える。形を与える。示すべき流れを作る。

黛薫は『意味』の前段階たる『解釈』までに留め、
あとは占う側のメロウに任せている。

メロウ > 「出来上がる香りの解釈から語るとするね」

口にするのはこちらの専門。元素の解釈は貴方に任せて
自分の作り上げる香りの設計図を言葉で広げる

「シプレ系の香りは、一言で言い表せないのがその特徴
 中性的で落ち着いたもの、と言えるのだけれど

 シトラスという清涼感やレザーは男性的な香水にもよく使われてる
 それに加える予定なのはいくつかのフローラル。女性の魅力も足していく
 複雑怪奇なその香りを『基底』のオークモスが捕まえて、しっかりと足の付いた物に仕上げる

 カジュアルとは言い難い。掴みどころのないミステリアスな落ち着きを纏う香りは、フォーマルな場。大きな場。そういう場所に向き合う際に用意すると良いものなんだ」

解釈を重ね、彼女はまた考え込む
指先を擦り合わせて、目を閉じて...


「...もしかしたら近い内。極点の様に、誰にも知られなかったもの
 それらを公の場に出す機会があるのかもね?例えば、あなたがずっと進めていた研究を発表する機会とか、さ

 見えている相は『流転』『浸透』『基底』
 物事を表に出す事は出来ても、大きな変化は起こらないかもしれないかな。安定でもあり、停滞でもあり。言葉ではどうとでも言えるかな

 けれど、『そこ』に残るみたい。だって、風の様に消えるんじゃなくって、地に溜まっていく
 そこから何が育まれていくのかは...私にも、分かる事じゃないんだけど」

かくん、と首が傾く。この『意味』は貴方にどう聞こえたのだろう?

黛 薫 >  
シプレ。遥か昔、流行を作り出した香水の名を
冠する一ジャンル。知る者からすればシプレ風と
一言で伝わるが、知らない者には想像出来ない。

花や果実等、固有名詞をそのまま用いた香りとは
その点に於いて異なると言えよう。赤を見た経験の
無い者には、赤い花の色も夕焼け空の色も説明が
出来ない。シプレという香りもまた同じ。

流転。変化による安定。浸透。停滞と休眠。
基底の相も含め、急激な変転からは縁遠い相。
しかし流転である以上不変ではなく、基底が
受け止める以上、無為でもない。

フォーマルな場に適した香りを相に加えるなら、
公の活動が絡むのかもしれない。復学した以上
人前に出る機会から逃げ続けられなくなったし、
有り得ない話ではない……と思う。

基底に繋がるなら消える物ではなく積もる物。
停滞と休眠の相を思えば容易く芽吹きはしないか。
御神籤で言う『辛抱強く待つべし』といった所?

メロウの見出した意味を咀嚼して、口を開く。

「公の場に向いた香り。それがあーしの行く先に
 絡むなら、そーゆー場に立つ可能性があるかも。
 でも大きな変化はない……翻って成果も薄め?
 無駄にはならないけど、停滞から芽吹きにまで
 至るまでには辛抱がいる。ざっくりまとめると
 そんなカンジなのかな」

「安心したらダメなのかもだけぉ、でもちょっと
 安心してんのは事実なのよな……大きぃ変化を
 怖がってるトコあるもん、今のあーし。

 真人間になろーとして、失敗しての繰り返しを
 続けてたから…… "今" を台無しにするのが嫌で
 怖気付いてる、みたぃな?

 或いはそーやって二の足踏んでるからこその
『停滞』なのかもだけぉ。無駄に終わらなそー
 ってのはある意味救ぃなのかなぁ」

メロウ > これはただの『占い』。正しさの根拠は何処にもない
心の枝に引っかかる言葉を誘い出して互いに通じる合言葉に変えていく

「怖がる、というのなら。ゆっくりとした蓄積は薫様にとって功を奏したというべきかな
 無作為に選び出したものでも、こうして意外と形になっていく

 偶然って言うのは随分と、物を語る側にとって優しいんだね」

結び合わせているのは二人なのであって、偶然ではないのだけれども
先程出てきた私達の事とも重なって、また歪んで笑う声は形になった

「それで、この『占い』の真骨頂は分かってるよね?
 今回の結果を、あなたは持ち帰ることが出来るってコト

 どうする?もちろん、この香りにも薫様の『名前』をもらうけれどね」

黛 薫 >  
「まあな、それがこの店の本業だし……」

と、口にしたところで言葉が途切れた。
『占い』は予知ではなく、方向性を定めて言葉を
交わし合い、導べを探っていく過程に過ぎない。

だがしかし『行き先に向いた香り』を付け足せば
どうだろう。死蔵するにはあまりに勿体ない逸品。
使おうとすれば自然と『相応しい場』に足が向く。

「……よく当たる占いになりそー……」

出来上がった香水を気に入ればこそ相応しい場で
身に付けたいというモチベーションになる。
占った方向に向けて背中を押せば、話した通りの
結果に行き着く可能性も高くなろうというもの。

メロウが単に調香に長けているというだけではなく、
店を営む『経営者』でもあると改めて思い知らされた。

「そりゃ経営に携わる疲れも積もるワケよな……。
 フツーに『商売』としてもよく出来てやんの。
 ……名前、考ぇるからちょっと待ってて」

メロウ > 「でしょ?」

早速様々な道具を用意しながら、棚の方にも赴いて
選んでもらった3つの香りはベースではあるが、香りはそう単純でもない
選び取った瓶とは違う、『副題』となるフローラルをいくつか選び取っていく

「香りというのは時に着るモノだから、新しい衣装があると楽しんでみたくなるみたいに
 気持ちをその方向に進ませる。成程、これは確かに占いと親和性があるね

 異世界の知識は本当に、為になるものばかりだから
 私の考えなかったことをキチンと言葉に言い表してくれる
 それが理解の出来る言葉に書き換えられているからさ
 ...本当に、良い時代になった気がするよ」

って、おばあちゃんみたいだったかな?肩をすくめて、取り繕って見せた態度は逆に少女っぽさを強く引き出すようなあざとさ

待ち時間はたくさんある。その時間、貴方と一緒に居る為の時間
貴女の答えも、本当は『正解』だったから

黛 薫 >  
「あーしの知識が役に立つなら、いくらでも」

知らなかったモノを知り、役立てる。
当たり前で、単純なことでありながら難しい。
未知を照らすのは魔術師の本業であり本懐。
こんな形で役に立つとは思ってもみなかったが。

蓄えた知識の中から、ひとつの名詞を選び取る。
 
「…… "フラムハイム"」

それは遥か昔、極点を目指した探検家が築いた
中継基地の名。大いなる挑戦に先立つ過程であり、
海に面した氷の大地への出発点。極光を望む基地。

基底たる地、浸透たる氷、流転たる水のエッセンスに、
足を踏み出すには覚悟を決めなければならない場への
挑戦と期待を込めて。

香りをより相応しい物と成すために瓶を選び取り、
器具を並べていく貴女の手付きをじっと眺めていた。

メロウ > 「フライハイム、ね」

様々な知識から引用して、貴女は新たな誕生を名付ける
その意味に思いを馳せては言葉を零し、自らの知識と照らし合わせる
当然ながら知識としては備わっていなければ、ディスプレイに手を伸ばしたくなるけれども
...今は本格的な仕事の時間。きちんと自重、自重

「実際の所、最近の忙しさはどの程度のものなのかな?
 私の方も前半としては落ち着いた頃だし、プライベートな事でも、お手伝いできるならしたい気持ちもあったりするし」

かわりに言葉が軽い話題。行動はまた、精密に一滴単位で管理を為す。狂いはなく

「フィール様の調子も、気にしたくはなっちゃうし」

黛 薫 >  
「忙しさでゆーと、んん……今までとは違って
『外せない用事』がちょくちょく入り始めたのが
 1番大きぃ変化なのかな、って思ぅ。

 あーし、授業は殆どリモートだし、通院とかも
 今まで散々失敗してきたから、融通効くよーに
 調整してもらってたんだけぉ。最近は委員会、
 図書委員に試用で雇ってもらってんの。

 委員会の業務って本土で言ぅ『仕事』だからさ。
 気軽にキャンセル出来ねーし、責任も生じんの。
 その分お給料は出るから、よーやっと安定した
 収入が出来たとも言ぇる。

 ま、完全に社会復帰出来たら今度は復学支援の
 補助金が無くなっから、ラクになるワケじゃ
 ねーんだけぉ」

「……そっちばっかに意識行ってて、最近は私用も
 あんま出来てねーよーな気ぃすんな。魔術関連の
 研究とかは変わらず続けてっし、議論を交わせる
 相手も出来たけぉ……息抜きってなるとこーして
 今日お店に来たのが久し振り? ってカンジ」

空になったティーカップをソーサーに戻す。

「んでも、苦労してるって話ならむしろあーしよか
 フィールかもしんなぃ。前科のお陰か、学生証の
 発行手続きが進んでるって話も聞ぃてねーし……。

 だからフィールって安全を保証してくれる誰かが
 いなきゃ、表の街から弾かれてもおかしくねーの。
 今はあーしが引受人って形だけぉ、フィールは
 あーしの『体質』の影響受けるかんな……無害で
 いなきゃいけねーのに、ご馳走が側にあるカンジ。
 我慢を重ねてる状態って言やイィのかな」

メロウ > 「忙しさが段々と、薫様にとっての『普通』になって
 フィール様の欲求不満は募るけれど、薫様の方から構える時間が少なくなって

 なるほどね。それは確かに私にも分かる
 とっても厳しい事態かもしれない、そういうものかもしれない」

考えてみれば、自身のような学園未登録な商売ばかりでなく、学園が都市を形成している故に成り立っている職もあるのだろう
...本来はそれが『普通』だという話は保留として

「その状態って、改善したいと思うもの?
 私はフィール様と交流が出来てる訳じゃないから分からないけど
 その件で私が出来ることを探してみると、お部屋の掃除を頑張ってみたり、フィール様を一度落ち着ける場所として預かってみたり
 それか、本当に香りについての研究を進めていくか。ふらっと思いついたのはそのくらい?」

香りを確かめて、彼女は頷く。ビーカーの中からスポイトで回収して、新しい瓶の中へと移す
ラベルには与えられた名前を記し、褐色の瓶の名札として