2023/06/20 のログ
ご案内:「フタバコーヒー」にアリシアさんが現れました。
■アリシア >
私は。
どうにも。
この行列のできる店というものが苦手だ。
しかし、異邦人街を歩いていると鼻孔をくすぐるコーヒーの香りを嗅いでしまう。
姉様たちは紅茶を好んで飲んでいたが、私はコーヒーも好きだ。
かくして私はコーヒーショップ『フタバコーヒー』に並んでいる。
しかしこの待っている時間は嫌いではない。
明確に区切られた一人の時間であるからだ。
■アリシア >
私の注文する番が回ってきたようだ。
早速、オーダーするとしよう。
「コーヒーをSサイズで頼む」
と、簡素に注文した。
■店員 >
申し訳無さそうにメニューを見せる。
「お客様、当店ではコーヒーにはいくつか種類がありまして…」
「そしてサイズはデミタス、ピッコロ、クラシコ、グランデとなっておりまして…」
「こちらの比較画像をご覧いただけますでしょうか」
■アリシア >
んん?
なんの呪いだ……Sサイズのコーヒーはないのか!?
「で、満たす……ピッコロ……」
何を満たすんだ……主語がない…
そしてピッコロは楽器の名前だっただろうか………
コーヒーを飲みたいのに楽器の話が出たな…困った……
「コーヒーの種類というのはどういうものがあるだろう」
ご案内:「フタバコーヒー」にアリシアさんが現れました。
■店員 >
「本日のおすすめはジ・オリジンのセニョリータというコーヒーとなっております」
「深い香りと上質で繊細なはちみつのように滑らかで丸みのある味わいをお楽しみいただけます」
■アリシア >
「ジオ……リジン………セニョリータ…」
「蜂蜜のような……滑らかで…?」
ダメだ呪文についていけない!!
これだから行列のできる店に入るとロクなことがない!!
後ろの行列が長くなってきている。
そう、私が人をせき止めているのだ。
特段、嬉しくはない。というか焦る。すごく。
■店員 >
だんだん行列が長くなってきた。
店員としても焦ってくる。
「そのぉ……Sサイズというのは当店ではデミタスに該当しております…」
「あ、甘めのコーヒーもございますよ!」
「こちらのメッツォ・デ・ショコラなどチョコレートソースとエスプレッソの香りが…」
■アリシア >
「メ………メッツォ……」
さっきから呪文が難解だ!!
どうしよう、姉様たちと同じ頭脳を持っているはずなのに
私だけコーヒーショップの注文もままならないほど頭が悪かったら!!
そんな益体もないことを考えている暇もない、早く注文しなければ!!
「デミタスの………メッツォ…」
■店員 >
「はい、メッツォ・デ・ショコラのデミタスでございますね!!」
「それではお支払いの後こちらでお待ちください」
内心、安堵しながら次の注文に取り組む。
■アリシア >
すごい心労だった……
十年分老けた気がする。でも13歳にしかならないか。
運ばれてきたコーヒーを受け取り、席についた。
今日も常世島は平和だ。
一口飲むと、チョコレートの味わいとコーヒーの苦味が一体となって。
苦労に見合うだけの美味に感じた。
コントラフリーローディング効果じゃないかこれ。
ご案内:「フタバコーヒー」からアリシアさんが去りました。