2020/06/17 のログ
ご案内:「違反部活群 拠点近くの広場」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 御約束待ちにて
ご案内:「違反部活群 拠点近くの広場」にラウラ・ニューリッキ・ユーティライネンさんが現れました。
■神代理央 > 「何を殲滅させろと命じられたか、か。成程、確かに私が命じられたのは違反部活の拠点に対する攻撃。それ以上でもそれ以下でもない。
少なくとも、貴様が救った様な子供達や、違反部活の構成員では無い者を攻撃しろとは命じられていない」
意外な程素直に。そして殊勝に彼女の言葉を肯定する。
彼女の言葉の先。風紀委員会による命令がどの様なものだったのか、というものを包み隠さず打ち明けて――
「……だが同時に"殲滅するな"とも命じられていない。そして、重ねて伝えておくが落第街の住民は学園の認知するもので無い以上、そもそも書類上は其処に存在しない。
貴様が私の上司なら私を弾劾すると言ったな。しかし残念ながら、私は弾劾も批判も受けず、こうして風紀委員として此の場に立っている。
逆なんだよ、ユーティライネン。私が組織を利用しているのではない。私の様な過激な行動をある程度支持する者達が、私を使っているのさ」
とはいえ、利用される様に仕向けてもいるのだが、それを彼女に告げる事は無い。
緩く彼女の手を引いて此方に引き寄せれば、心底愉快そうに。無邪気な少年の様に、或いは老練な政治家の様に。
仄暗い感情を纏わせた笑みと共に、彼女の耳元で低く囁くのだろうか。
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「つまり『攻撃するなといわれていないし、彼らのような存在は認知していない。
私のような存在を都合よく思っている輩がいて、その指示に従っている』と?」
彼の言葉を反芻する。それは彼にその発言一つ一つの言質を取る様に。
そして悪びれる様子がないどころか、また自分の行為の正当性を主張するどころか、
いったいどこに問題があるのかという表情。
その愉快そうな表情とは逆に、こちらの表情は極めて不愉快そうに歪む。
「風紀委員は、軍隊に似た組織だと思っていましたが、想像以上に腐っているようですね。
それとも、腐っていることを認知させないほどに貴方が周到に隠蔽しているか。
貴方みたいな存在は組織にとって都合がいいわけない。
命令を正確に実行できず、普遍的な倫理観も、欠如している。
そんな存在は兵器でも、兵士でもない。ただの欠陥品で、化け物に近い」
彼の低い囁きに、未だに手を挙げていないのが不思議なほどだ。
もし私が彼の上官だったらすぐに左遷しているだろうし、
部下ならすぐさま報告書を書いて提出しているところだ。
現場で目の当たりにしたのなら、真っ先に黙らせているところだ。
それをしないのは、同じ組織ではないという理性が、寸でのところで引き留めているからにほかならない>
■神代理央 > 「腐っている、とは随分な物言いだな。少なくとも、学園の認知した島民の治安を委員会は全力で保護している。
それに、落第街の住民が保護を求める事や、戦闘地域から脱出する事を阻止する事も無い。貴様とて、風紀委員の勧告があったから子供達を救い出せたのだろう?」
腐っている、と告げられた事にも特に義憤する様子は無い。
彼女の言葉を否定するかの様に言葉を紡ぐが、それも単なる反論であり、其処に所属する委員会への忠誠心は見られない。
「では言い方を変えようか。組織の中の一定の者にとって、都合が良いだけの事。倫理観や道徳心では風紀委員会が抱える問題を根本的に解決出来ないと思う集団が存在する。それだけの事だ。
大体、綺麗事や倫理観で武力組織が成り立つものか。そんな甘い考えだから、遥か昔、貴様の所属していた軍とやらは、共産主義の大国に敗北したのではないかね?」
と、一通りの反論を述べるも、それらの言葉には感情が籠っていない。表情こそ僅かな愉悦の笑みを浮かべているものの、彼女に相対する己の態度には彼女の思う通り"そもそも何が間違っているのか"と言いたげなものなのだろう。
だが、彼女が最後に告げた言葉。己の事を化け物と称したその言葉に、きょとんとした様な表情を浮かべた後――
「……く、ハハハハハ!そうか、化け物、化け物とはな。中々に愉快な比喩だ。私の様な若輩者を、其処迄過大に、そして醜悪に表して貰えるとは。
……とはいえ、興覚めだ。人でなしだのなんだの、倫理観の欠如を弾劾される事には慣れてしまった。貴様が満足する迄私を罵倒すると良い。全て受け入れるとも、自覚はあるからな」
面白そうに、可笑しそうに。高らかに笑みを浮かべた後、ぴたりと感情の起伏は止む。
そして感情の色を失った瞳を彼女に向けると、胸倉を掴まれた儘小さく肩を竦めてみせる。掴んでいた彼女の腕も、玩具に飽きたかの様に離してみせるだろうか。
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「守る理由がないから、保護する義理がないから、
助けを求める声が耳に届かないから、悪党と見わけもせずに一緒に処分していいだなんて、
そんなの軍だろうが、民間だろうが、人間だろうが獣人だろうが間違っています。
今までのあなたの行動を、誰もが黙認してきたというなら、私が今ここでとめます」
目の前にいるこの青年は、誰かの言葉で説き伏せられるくらい柔らかい考えなど持っていないだろう。
私もそういう風に言われることがままあるが、そんな比ではない。
言葉が通じないなら、次に交えるは弾丸だ。
やや乱暴に彼の胸倉をつかんで居た手をほどけば、ギターケースがその重い蓋を大きく開ける。
そしてその中から出てきたM2の銃口を、彼へと向けた。
「甘い考えで成り立たないからといって、理想の実現に向けて努力を怠るなら、
それは怠慢だ。自身の不甲斐なさや、不完全さを認めたうえで、理想は追わなければならない。
ここで私があなた一人を始末したところで、あの町はなくならない。
でも、今後あなたの歪んだ考えで犠牲になる人間を、私は見捨てたりしない。
それがどれだけ残酷な選択で、きれいごとで、矛盾をはらんでいたとしても。
全てを受け入れるなんて、そんなの嘘だ。
なら、今向けられているこの弾丸だって受け止めて見せろッ!」
金属がこすれる重い音を響かせて、薬室に弾を装填する。
そしてその引き金を容赦なく引くのであった>
■神代理央 > 「では、貴様は自分が正義だと断言するのだな。私は間違えていて、貴様は正しい。だから、貴様は私を弾劾し、止めると宣言した。
それはそれで構わんよ。得てして、正義を名乗る者が正義であった試しなど、歴史上少ないとは思うがね」
振り解かれ、僅かによろめいて彼女から離れる。
次いで向けられた銃口には、僅かに瞳を細めて――
「だが、その手段が暴力によるものであれば貴様は私と変わらない。言葉では無く、暴力で他者を止めようというのは、唯の弾圧だ。所詮は、私と同じ穴の狢。民に圧政を敷く独裁者と違いは無い。
弾丸を受け止めてみせろと?ならばその言葉、私が落第街の住民に向けても構わんのだろうな。致死に至る弾丸で意見を通そうというのなら、私も同じ事をしたとして責められる筋合いはない」
パチリ、と指を鳴らせば己の眼前に召喚される大楯の異形。
防御に特化したその異形は、盾に打ち付けられる弾丸を甲高い金属音と共に受け止め、擦り減っていく。
同時に、先程迄違反部活の拠点を砲撃していた異形達は、その砲身の尽くを彼女へと向け、轟音と共に砲弾を吐き出す。
こじんまりとした落第街の広場は、数舜の内に内戦状態の都市さながらの轟音へと包まれるだろう。
■ラウラ・ニューリッキ・ユーティライネン > 「正義?私が?笑わせるな。
私が、我々が、一度だって正義の名のもとに引き金を引いたことなどあるものか。
正義や倫理観で止まらない化け物を、きれいごとの代わりにこうして化け物が止めるだけだッ」
今までこの銃を引いた時に、それが正義のためであったことなどない。
種族のため、軍のため、正義なんて大それたもののためなんかじゃなかった。
「私とあなたが同じ?
ええ、そうでしょう。上からの命令でどんな汚れ仕事でもやる。
その行動の理由に正義や倫理観がないのもおよそ同じだ。
だが私は、私たちは関係のない市民を巻き込むことも、戦地にいた民間人を殺すことも、
やらなかったッ!」
同じ化け物でも、一緒にするな。人間風情。
9ヤードのベルトが次々と吸い込まれ、銃口からは0.5インチの弾がばらまかれていく。
対して彼を取り巻く異形たちも、およそ規格化されたとは言えない不格好な砲をこちらに向け、
無尽蔵ともいえる砲弾を浴びせてくる。
ただひたすらにお互いに弾を撃ち合うだけ。こちらの弾は異形が盾となり、
あちらの砲は異能で生み出される加速度が盾となる。
一瞬のうちにベルトの弾を打ち尽くせば、M2を棄てて彼へと駆け出し、距離を詰める。
「『殺したところで何の得もない』
貴方のことだからそう言うものだと思って見過ごしてきましたが、今日の言葉は聞き捨てならない。
あの一言さえなければ、同じ化け物として甘んじていても良かったんだッ!」>
■神代理央 > 「正義も無く引き金を引くのか?ではそれこそ、獣か何かかと変わらんな。気に入らないから撃つ事に変わりは無いのだろう?ならば、正義を盲信する連中より質が悪い」
正義というものは明確ではない。全ての者に受け入れられる正義など存在しない。
しかし、武力を。暴力を振るうならお題目となる正義は必要だ。暴力を振るう理由そのものが、原始的な正義足り得る。
それを否定するというのなら、彼女の振るう力は果たして何に依って立つものなのかと、緩く笑みを浮かべて首を傾げる。
「はて、其処は私も同意見だが。
私は関係の無い"一般生徒"も、島の住民も巻き込んではおらんよ。事前に他の風紀委員が勧告し、避難を誘導した。無関係の住民など、巻き込んではおらぬが…」
はて、と首を傾げる仕草。しかしそれは実にわざとらしいもの。
彼女が銃を捨てて突貫してくれば、その仕草は確信犯めいた閃きを見せる様な笑みに変わり――
「…ああ、成程。貴様が救った様な落第街の連中か。あれは別だ。登録されていない連中は、生きようと死のうと島の人口統計に変化は無いからな」
魔術によって肉体を強化。華奢な己の体躯からは想像も出来ない様な魔力による強化が施される。硬く、強靭に。異形達を指揮する要塞の如く、己の肉体に魔力が充填されていく。
そして、迫る彼女を迎え撃つ為に、銃弾を受け止めていた大楯の異形はひしゃげた身体を疾走させて彼女へと駆け出す。
「……同じ化け物、か。否、それは違う。それは否定する。
貴様を化け物と呼ぶ者はおるまい。無辜の者の為に力を振るう貴様を、化け物とは言わせんさ。
化け物は、私だけで十分だ。胸を張って、正義を名乗ると良い」
激高する彼女の言葉に、ふと。ほんの一瞬。
自嘲する様に、自虐する様に、力無く笑みを浮かべるのだろう。
尤も、そんな主を彼女から隠すかの如く、大楯の異形が彼女に迫っているのだが。