2020/07/20 のログ
ご案内:「夢莉の自室」に夢莉さんが現れました。
ご案内:「夢莉の自室」に227さんが現れました。
ご案内:「夢莉の自室」から227さんが去りました。
ご案内:「夢莉の自室」に227番さんが現れました。
■夢莉 > 「ただいまー…あっぢぃ…」
日没が遅くなり、まだ日がなんとか落ち切っていない夕暮れ頃。
1LDKの自室へと帰ってくるのは、少し前までであれば週に2,3度だったのが、今では毎日であった。
ここ最近は公安としての仕事も多少減らして、こうしてできるだけ早めに自宅へと帰るようにしているのは、つい数週間ほど前から共に生活をしている少女の為でもあった。
前は帰ってきても「ただいま」等言う習慣もなかったが…
人が一人増えただけで随分と生活の勝手は、変わっていた。
■227番 > ぴんと耳を立てて、帰宅を察知する。
足音を隠さず、玄関が見えるところまで出てきて出迎える。
「おかえり」
人が帰ってきたら、こう挨拶をすると教わって数日。
ようやく、すっと言えるようになってきていた。
■夢莉 > 「おぅ、ニーナ。おかえり言えるようになってきたじゃん」
出迎えて来た同居人……ある意味での娘を見て顔を綻ばせた。
少し屈んで視線を合わせて、うしうしと言いながら頭を撫でる。
「あー腹減った……ニーナ、メシ食った?食いに…あー、んー…
ごはん作っか」
そういいながらリビングまで入って
ソファにもたれかかってちょっぴりくつろげば、食事を用意しなくちゃとはっとする。
まだまだ今の生活は慣れない事も多い。
食事も気が向いた時になんて言えなくなったし、外食や弁当ばかりもとロクに経験のない料理もここ数日で随分作る事になった。
結果は…正直に言えば、芳しくはないが。
少女の世話の手伝いに来てくれている他の面々の方がかなり、マシなレベルで。
■227番 > 「……そう?よかった」
褒められれば、嬉しそうに笑い、
撫でられれば、そのままの表情で、わかりやすく耳が揺れる。
「ううん、まだ」
それもそのはずである。基本的に食事は彼に任せきり。
たまに昼の歩きで知った顔に会って何かを貰うことはあれど、
ちゃんとしたご飯は帰ったらあるからと遠慮したりしている。
なお、当然227も料理なんてできるわけがないので、
基本的には邪魔しないように見ているだけである。
指示をされれば喜んで手伝うのだが。
■夢莉 > 「そか。
こんな時こそカナいりゃ助かるんだけどなぁ。ま、いってられねえか」
自分の料理の腕が良くないのは分かっている。
スクランブルエッグは焦がし、パンも3回に1回は半分炭みたいにする。
挙句の果てに最初の数回、試しに仲間内で練習として作った野菜炒めはハバネロたっぷりで自分以外食えた代物にすらならなかった始末であった。
流石にニーナには食わせれないという理由で、それ以降は香辛料は封印される事となったが…
今度は味が薄かったり濃かったりと安定しない。
普通に下手、が現状の評価である。
「簡単なモンでいいか?んー、何あったかな……」
冷蔵庫まで行き、中を確認する。
一人暮らし時代はミネラルウォーターと、未成年などお構いなしで買っていたビール、あと軽い、レンジでチンすれば出来上がるコンビニに売られている軽食のパック位しか入っていなかったこの冷蔵庫も、今はすっかり食材やらが詰まっている。
尤も、自炊生活もまだ初心者。
買い物の取捨選択も上手くなく、時折冷蔵庫の隅で肉やら野菜やらがダメになっていたりもするが。
「卵と、肉とー……あ、冷凍のうどんはあんな。
うっわ、このニンジン腐ってんな……捨てとかねえと。ネギは…多分大丈夫か?これ…
……うどんにすっか」
結果的に楽な方に逃げがちなのは、何時もの事である。
■227番 > 「カナ……」
確かに彼女がいるときは失敗にならないのは確か。
自分も教わったほうがいいのかな、なんて考えながら思いを馳せる。
料理ができるようになったら、帰ってくるのを作って待てる。
それは、悪くないかも知れない。
…なお、227の『悪食』は味はカバー出来ないので、普通に辛いものは辛い。
食べさせなくて正解。
「うどん」
それから、出てきた献立を聞いて。箸で食べる太い麺類だ。
まだ、箸を握るのは得意ではないので、一瞬硬直する。
しかし慣れていかないとと思っても居るので……。
「が、がんば、る」
負けない、と一人意気込んだ。
■夢莉 > 「麺苦手だもんなお前」
その様子を見て少し笑えば
「んじゃっと…まぁうどんなら何とかフツーに作れんだろ……そんじゃニーナ、手洗ってちょっと待ってなー」
ぱっぱっとエプロン姿になってキッチンに立てば、食材を取り出しておぼつかない手で調理を始める
とはいえうどんだ。
冷凍うどんを温めて麺つゆをお湯で割って卵を入れたりネギを入れたり肉を入れたりすれば完成する。
10分もしないうちに調理は終わるだろう。
おっかなびっくりでは、あったものの。
「ふぃー…うし、まーまー…うん。上手くいったろ…」
それでも当人としては頑張ったほうで。出来栄えに少し満足の顔を見せつつ。
「うっし、出来たぞー。
熱いから気を付けろよな」
うどんが入った器を二人分テーブルまで持ってくれば、んじゃ、食べるかと手を合わせる。
イタダキマスもゴチソウサマも、正直ユウリ本人も慣れない習慣であるが…
最近読んだ本にも子育ては習慣づけが大事と書いてあった。
お手本を見せるのも大事らしい。
きちんとやらなければならない。
「イタダキマス」
■227番 > 「……うん、わかった」
手を洗ってこいと言われればそのとおりにして、テーブルに付いて待っている。
目はじっと背中を見ているのだろう。
足をぶらぶらさせて待っていれば、10分はすぐに過ぎた。
「……いい感じ?」
外で麺類はあまり食べないので、比較対象がない。
伺うように見上げた後、満足そうな様子をみて、よかった、と微笑んだ。
「うん、いただき、ます」
ぺちっと手を合わせる音。
習慣付け。挨拶のやり方もろくに知らなかった227だが、
生活に密着しているとなれば、覚えはかなり早い。
外でも知っている人にはちゃんと挨拶をするようにしていると、人づてに聞いているかもしれない。
「……ぁ、あつ……」
それはそうと、227は猫舌であった。
■夢莉 > 「家で作ったにしちゃいい感じだろ」
いい感じなのだ。本人的には
そういってうどんをずるずるーっと食べ始める、が……
一口目で箸が止まる。
食べらない訳ではない、訳ではないの、だが…
「味うっす……」
やはりそう突然料理が上手く等はならなかった。
「ま、まぁ濃すぎるよりゃマシだろ……醤油と塩もってくっから、味お好みで調整な。
あ、入れ過ぎんなよ?」
結局追加で調味料を入れる事でどうにかする事になる。まぁ…何時もの事だ。
それでも温かい、手作りのご飯。
スーパーの総菜とも外食の食事とも違う、おうちの味。
夢莉本人は、こんな時間も嫌いではない。
もっと上手くならないとなとは、思いつつ。
「最近どーだ? そろそろこっちにも慣れて来たか?
あ、何か欲しいモンとかあったら言えよ?全部は無理かもだけど必要そうなのはまた休みの日とかにちゃんと買いにいくからよ」
薄味のうどんに醤油をちょっと垂らしてから食事を続けつつ、そんなとりとめのない話を始めた。
■227番 > 「ふー、ふー……」
1本ずつなんとか拾い上げて、息を吹きかけている。
うどんでよかった。ラーメンだと途方も無いことになっていた。
「……たしかに、薄い……けど、これはこれで、好き、かも」
同意するが、味の調整はしない。
調味料の塩梅もよくわからないので、どうしてもじゃなければ使わない方向だ。
人と一緒に食べるのは、"あっち"ではほぼ無かった。
食事を提供してくれていた彼は、どちらかというと見守る感じだったし、
他の人も、それこそ道端の野良猫にエサをやるような、そんな雰囲気。
……227は、この時間は、とても好きだ。
だから、外でご飯に誘われても一度は遠慮する。
食べ物貰うのは遠慮しないが。食い意地はまだ解消されていない。
「慣れ……てる?わかんないけど、ふべん?はしてない」
少なくとも、この少女は我が家の様にくつろいでいる。
"あっち"で必須だった周囲警戒も、あまりしなくなってきた。
「欲しい、もの?……あたらしい、メモ帳と、ぺん……」
道を覚えるのにずっと書き込んでいたので、あっというまに使い切ってしまったようだ。
今持っているのは、とある先生から貰い受けたものである。
■夢莉 > 「そっか」
四苦八苦しながらも食べてる姿と、その言葉に笑みを溢した。
一人なら確実に労力に見合わないから、料理をする事なんてなかっただろう。
今は苦労しつつも、楽しい。
作ったものを食べて、おいしい、好きと言われるのは、心の何かが満ちてくるような気がしてくるから。
「え、もう使いきったのか?すげえ使ってんな……」
あまり言葉を覚えていない故に、ニーナは説明というのは得意ではないものの、それでも何かがあった時は大抵の事は毎日の会話がてらに聞いている。
偶に勉強を教えてくれている先生がいる事や、マジックを見せてもらった事。色んな所を見に行ったり、色んな人に会ったり。
知らない人についてったらダメだぞとは言っておきつつも、落第街に比べて治安のいいこの辺りは、あまり心配はしていない。
深夜の徘徊は流石に、出来る事ならやめてほしいが。
どうしてもという事なのでスマホやサイフ何かはちゃんと持つ事と、何かあったらすぐに連絡する事を条件に許可をしている。
「んじゃ、新しいの買ってこねぇとなー。
ほんっと色々準備に時間かかっちまったから使いきってるのに気づかなかったな………あー、そうだ
ニーナ、あー、んー……今後お前、どういう名前で過ごしたい?」
思い出したように、急に切り出す。
■227番 > 1本ずつちまちま食べながら、たまにそちらをみて、目が合えば無邪気に笑う。
「うん。おかげで、道、結構覚えた」
ここに来てそうそう、迷子になった。
公安の人に見つけられて届けてもらった経緯もあって、
227はまず迷わないようにすることを考えるようになった。
その結果が、この使い切られたメモ帳。相変わらず文字は書かれていないが、
ページを進めるにつれて線が綺麗に引かれるようになっている。
夜の徘徊……は、夜しか星が見れないのだから、仕方ないのである。
基本的に行き先は公園で、寄り道はなるべくしないようにしている。
なるべく。心配かけるのは不本意なので。
「名前?……私は、227……ゆーりは、ニーナって呼ぶ。それじゃ、だめ?」
■夢莉 > 「んー……」
少し難しそうに悩んでから、説明を始めるだろう。
「ニーナの住民登録…あー、常世島で、ちゃんとニーナって人間がこの島に住んでるっていうのを役所…まぁ、島を管理してるトコに認めてもらう必要あってな。
大体の手続きは済ませてんだけど、ほら…ニーナって呼び方は、オレや他の奴らが勝手にお前の事をそう呼んでるだけで…他にも色々な名前で呼ばれてんだろ?えーっと……フツナとか普通にニニナナとか?
お前は本当の名前が今ん所わかんねぇし、あるかも分かんねえから、今回の住民登録の時に決めていいらしくってさ。
で、流石に色んな事情で227番って登録する訳にもいかなくてな……
お前の好きな名前を一つ、登録しようって事になってさ。
勿論他の呼ばれ方されちゃダメって訳じゃねえよ?
ただ、227番じゃなくて、それが自分の名前だーって、胸張って言える名前を決めてほしくてさ」
今すぐじゃねえから、考えて決めればいいと言いながら。
ユウリは少女に、自分の名前を決めてくれ、とおねがいするだろう。
■227番 > 「えっと、つまり……番号は、とうろく、できない……?」
どうしよう。
227を名乗るのをやめるのは、これを手放しても良いと思えた時、と決めていたから。
未だ唯一の、過去の自分から地続きである物、227番という番号。
これを取り上げられるのは、とても、とても不安だ。
だから、まだ、その時じゃない気がする。
確証はないが、おそらく"本当の名前"も、あるような気がする。
ただ、それを取り戻せたとして、自分が名乗るのかもわからない。
しかし、決めなければ先に進めないというのなら。
少女は妥協点を探る。
「……それって、後から、変えられる?」
変えられないのなら、仮に227番で登録するのが可能だったとしても、確かに問題だとは思う。
変えられるのなら、仮の名前を登録して、変わらずにいるのも可能なのでは無いだろうか。