2020/08/07 のログ
ご案内:「夢莉の自室」に227番さんが現れました。
227番 > 時は昼下がり。
外の気温はかなり高く、熱中症で倒れる人も少なくないという。
さすがの227も、これでは一人で外を歩いて回ることが出来ない。

そんなわけで、部屋の隅で伸びるようにしてくつろいでいる。
傍らには自由帳とペン。
部屋にいる時の暇つぶしはもっぱらこれだった。

ご案内:「夢莉の自室」にアールマティさんが現れました。
アールマティ > ピンポーン
インターホンの鳴る音が響く。

夢莉の自宅のインターホンはカメラがついており、来客の際はインターホンを鳴らすと玄関の映像がインターホンの親機に映る仕組みになっている。
住宅街の中でも治安の良い方の土地ではあるものの、犯罪がない訳ではない。
故にそこそこ以上のマンションでは当たり前につけられている機能だ。


その画面に映るのは、背の低い少女。
227番より少し高いくらいだろうか。大体同年代か、少し上に見える容姿。
褐色の肌と白い髪が特徴で、首にはこの猛暑日にも関わらずマフラーをしており、更に長袖の、見るからに暑そうな出で立ちの少女だ。

『失礼します。
 ユウリ隊員の自宅で間違いないでしょうか。
 ユウリ隊員の代理として227番様の身辺警護に派遣されました』

227番 > チャイムがなった。
すいっと立ち上がり、インターホンまで向かう。

落第街を離れ、もう1ヶ月がたった。
使い方も流石に覚えたので、難なく操作する。
たまにくる、勧誘の類だろうか?家主のことを知っているなら、昼には来ないはずだから。

そう思いながら画面を覗いてみると、女の子が現れた。

「ゆーりの家、だけど。ゆーり、居な……」

そういえば、変わりの人が来るとか言っていたっけ。
だいり、しんぺんけいご、はけん、よくわからないけどその人かも?

「えっと、今、開ける」

保護者の知り合いというだけでかなり警戒心が弱くなる。悪く言えば油断する。
……まだまだ留守番スキルは身についていないようだ。
玄関にへとばたばた走っていって、鍵を開けた。

アールマティ > 鍵を開ければ玄関に立っているのは、140そこそこ程度の背丈の少女。
ぶかぶかの長袖の上着はとてもサイズが合ってるようには見えず、その下は流石に軽装のように見える。
扉を開けてすぐに入ってくる外の暑い風で、外の温度は嫌でも伝わるものの…目の前にいる少女は汗一つかかない涼しい顔で227番を見つめる。
人間らしい挙動の少ない、どこか人形じみた少女だろう。

「227番様でしょうか。
 当機は公安員会第四特別教室配属、自立思考型AI、登録名【アールマティ】と申します。
 極秘任務により数日間不在となるユウリ隊員に代わり、227番様の身辺警護、及び身の回りの世話をするようにと命令を受けております。
 フツツカモノですが、よろしくお願いいたします」

随分と堅苦しく機械的な挨拶と共に、その少女は227番にぺこりと頭を下げる。

227番 > 対するこちらは、ぶかぶかのシャツ1枚と下着のみ。
だらしないとも言える格好ではある。

相手の格好に暑そうだなと思いはするもののそれには触れず、入って、と2歩下がる。
部屋の冷たい空気が抜けて行くのも結構辛い。

「うん。にーにーなな」

本人確認をされれば応えるが……続く言葉がよくわからない。
とりあえず分かった範囲で現在がどういう状況かを考える。
だいよん とか、えーあい とか、 ごくひ とかはわからないが、
とりあえず名前と身の回りの世話という情報はすくい上げられた。

「あーるまてぃ?えっと、よろしく。」

手を揃えて、頭を下げて応じる。

アールマティ > 「では、失礼します」

挨拶が終わればそのまま室内へと入る。





土足で。

227番 > 少し驚いた表情をしてから。

「……くつ、脱がないと、おこられる」

小さな声で指摘をする。
怒られたことはないが。脱ぐのだと教えられたので、守っている。
ダメだと言い切れないのは、自分はだめでもこの人はダメではないのかも知れない、という理屈だ。

アールマティ > 「む」

指摘されれば止まり、足を見る

「なるほど…」

何かなっとくしたようにうなずくと、そのまま玄関に戻り、靴をはずすだろう。

「申し訳ございません。当機はこのボディでの活動に未だ慣れてなく、また常世島での社会的常識に関してのデータ収集も不十分な状態の為、常世島内での常識から逸脱する行動をとる事が多いようです。
 警告、感謝いたします。227番様」

ぺこりと頭を下げる。やはり固い

227番 > なれてない、じょうしき。

「……わたしも、あんまり、詳しく、ない……大丈夫」

知らなかったものは仕方ない。
これまで沢山それを許してもらって来ているのだから、
目の前の人が知らなくても、それを咎めるつもりはなかった。

アールマティ > 「存じ上げております」

靴を綺麗に整えながら、227に言う。

「227様について、ユウリ隊員が発見、保護までに得た情報は当機のデータベースにも保存されております。
 落第街にて放浪していた所を発見、身辺調査の結果常世島以前の記憶が欠落、身元不明である事が確認された事。
 数度のコンタクトの後にユウリ隊員が保護をしたと記録しています。」

大体は合っている情報だ。
勿論ユウリにそんな堅苦しい思惑は存在しなかったし、227を保護したのも、成り行きに近いのだが。

「それらの情報を照らし合わせた結果、当機と227番様は類似点の多い個体と断定しております」

227番 > 「……、えっと……」

難しい言葉が波のように押し寄せてきていて、理解が追いつかない。
ゆーりがみつけた、らくだいがいで、ゆーりが保護をした。
ダメだ、知らない言葉が多すぎる。難しい言葉を使うあの人とは違ったベクトルの難しさ。
彼の言葉は難しいが短かったので、なんとか推測できていたのだが……。

「るいじてん?」

アールマティ > 少し?マークを頭の上に浮かべている様子の227を見て、表情は変えずに続ける。

「当機も第四特別教室、四方阿頼耶室長代理によって、大破した当機本体を転移荒野から回収されました。
 その際、転移による衝撃で内部メモリの大部分を損傷、記憶域を破損しております。
 227番様がユウリ隊員に保護されたのと、細部は異なれど似通った経緯によりこの場に立っている、と言って相違ないと当機は判断しております

 227番様にも分かるように言うのであれば、記憶喪失で、一人でいた所、拾われた……という事になります。」

だから、似ている。と
目の前の少女はそう言いたいのだろう。
まばたきのしないその目でじぃ、と見ながら、やはり難しい言い回しであれど、少女はそう言った。

「兎も角
 当機は数日間、227番様の身の回りの対応をさせていただきます。
 何なりとお申し付けください。」

227番 > 「……似てる、ところ、あるのが、類似点……」

わかるように話せるのなら最初からそうして欲しいとはちょっと思ったが、言わなかった。
慣れたほうが、多分言葉への理解が進むから。
わからない単語はちょっとずつ意味を聞いていこう。

「うん、わかった……何かあったら、言う」

もともと保護者は昼は空けていることが多いので、
ご飯の時間までは特になにもないのだが。

アールマティ > 「よろしくお願いします」

再度ぺこりと頭をさげ、そのまま、リビングまで上がっていく少女。
普通ならば多少なり遠慮をするのかもしれないが、残念ながらこの少女にそのようなものは無いらしい。

「では…本日は227番様の生活の流れを把握する為、1日同行させていただきます。
 現在は、何をなされていましたか?」

227番 > 227も遠慮はあまり知らない。
そう見えている動作も、だいたいは知らないものに警戒しているだけだ。
なので、無遠慮な素振りに対しては、すごいなと少し感心した。

「……いま?……特に、何も……」

冷房の風に当たりながらゴロゴロしていた。
広げてある自由帳はちょっと前に扱ったものなので、今は触っていない。

アールマティ > 「何も」

なにも。

「では、当機はこの場で待機します。
 要件があれば声をおかけしください」

そういうとリビングのど真ん中に立って、そのまま動かなくなる。
何か言わないと動かないらしい。
しかも、まるで人形のように微動だにしない。
呼吸をしてるのかも怪しいほどに動かないで、リビングのど真ん中に立っている。

正直、不気味かもしれない

227番 > 「……」

不気味、というよりは不思議に感じている。
行動が自分から見ても"普通じゃない"のはもちろんだが、
明らかにここに居るのに"気配"を感じない。

多分来訪者が来ていなかったらうたた寝していたところだが、
すっかり目が覚めたので、今はそうも行かない。
用はないのでなにも声をかけたりはしないのだが、じっと観察する。
おそらく、動く気配はないのだろうが。

アールマティ > じっと観察をすれば…動かない

右から見ても、左から見ても、動かない
触れば流石に触った分動くだろうが、そうでなければ、ただ、冷房の風で髪の毛や衣類が多少なびく程度で、それ以外は、ほんの1ミリさえも動かないだろう。


そうしていると…

ぐいっ

唐突に227の方を向く

「何が御用でしたか?」

227番 > やはり動く気配はない。
227の知識では生きてるか死んでるかもあやふやに感じる。

「!」

不意に相手が動く。
ぴっと跳ねてソファの裏に回って、覗き込むように。

「……ううん、なにも……いや、不思議、と思って」

正直。

アールマティ > 「不思議?」

頭をこてんとして

「何か当機の挙動に異変等がありましたでしょうか」

227番 > 「……ほかのひとと、違う?
 なんて、言えばいいか、わからない」

現状人として認識しているが、無機質な振る舞いで人のように感じられない。
と言ったことを説明するには227はまだ語彙力が足りない。

覗き込む姿勢はそのまま。

アールマティ > 「他の人と違う…成程」

一瞬考えるようにする。
動いていれば、多少は人間味を感じるかもしれない。
それでも少しの違いでしかないが。

「当機は、自立思考型AIです。
 227番様に分かるように言うならば、アンドロイド…ロボットと呼称するべき存在になります。
 このボディも、第四特別教室によって用意された、汎用作戦活動用のボディになります。

 どちらかと言えば、そこにある、エアコンに近い存在と言って良いでしょう」

エアコンと同じというのもそれはどうなのかという感じではあるが。
機械のボディという意味では、間違いではない

227番 > 「えーあい……あんどろ……ろぼっと……?」

分からなかった。そう、横文字は……まだ苦手である。
しかし続く言葉で機械であるとは伝わったようで。

「……?えあこんは、考えて、お話、しない。ひと、じゃない」

エアコンの方を見て、もう一度アールマティに視線を向ける。

アールマティ > 「当機もヒトではありません。
 外装を似せているだけで、内部構造は更に複雑化されたエアコンというのが正しいでしょう」

そう言いながらマフラーを外す。
外したマフラーの先には、首から先の部分は普通の人のようにはなっておらず
むき出しの機械のパーツになっているだろう。

227番 > 「すごい……でも、体、機械だと、ヒト、ちがうの?
 わたしも、ねこのみみ、あるから、ヒトと、ちがう?」

金属が露出する機械部品の体を見せられ、
興味深そうにじっと見ながらも、疑問を素直に口にする。

それからはっとして。

「……それ、見せたら、だめな、やつ?」

自分が帽子を被るのと同じ理屈だと気付く。
耳を人に見せてはいけない。もしそうならば謝らねば。

アールマティ > 「偽装用のマフラーではありますが、第四特別教室の皆様は承知しております。
 ユウリ隊員の関係者である227番様に把握されるのは問題ではないと考え、お見せしました」

なので、大丈夫ですと言いつつ

「少なくとも、生物としてのヒト、とは当機は相違する存在であると認識しています。
 構成組織、思考回路において、当機とヒトには相違点が多すぎます。
 構造だけの観点で論じた場合、当機は凡そ、エアコン当が類する家電、機械の発展、進化した存在と定義するのが正しいと思われます。

 分かりやすく言うのであれば、魚と犬のように、種として分類が別の存在であるという事です。
  

 …しかし、自分の思考で行動するもの、としてヒト、と仰られているのであれば。
 それ自体に間違いはありません。
 当機は自律思考をし、経験から状況を判断し、行動しています。
 それに関して、ヒトと当機の行動メカニズムに違いはあまりありません。
 その点に関して、当機はヒトに類似すると判断しても良いかもしれません。
 当機は、さほどそれに重要性は感じませんが」

227番 > 「大丈夫……わかった。わたしも、耳、見られてるし、おあいこ」

そういうことにしておこう。
もちろん見せなくても相手は知っているのだろうけど。

頭を通り抜けていく難しい説明を、なんとかかいつまんで話を理解する。
そうして、不思議に思う感覚の正体には気が付いた。

「……つまり?
 機械のひと、初めて、見たから、不思議だった、かも」

少女は、目の前のロボットを「ヒト」として扱う。


生物としての"人間とロボット"の違い。
在り方としての"ヒトとそれ以外"の違い。
少なくとも機械から獣人に悪魔まで異邦人として存在する、ここ常世島において、
ヒトの定義は後者の"在り方"なのだが、もちろん227は知らない。