2020/08/20 のログ
キッド >  
「見損なわないでください。知ってたら、聞くわけないでしょう。
 ……でも、病院。そうか……、……」

溜息交じりに言い放った。流石にそれは予想外だ。
成る程、彼女が思いつめる理由がほんの少し、理解出来た気もする。
額を抑えて、首を横に振った。

少年はレイチェルの事を詳しく知っている訳では無い。
だが、バリバリの前線に出てた人物が一線を引いたのは
何かしら理由があると踏んでいる。その理由が何かは分からない。
だが、レイチェルもまた、"ツケ"が回ってきたのだろうか。

「…………」

あの日見えた、『少女』の姿が思わずフラッシュバックする。
滲む脂汗を拭い、ひと呼吸。……そろそろ、限界だな。
だから、言うべき事はただ一つ。この言葉は……。

「『貴女のせいじゃない』」

「別に、貴女が何した訳じゃない。自分を疫病神だなんて、自惚れないでください。
 それ、"間が悪かった"だけです。レイチェル先輩も、『馬鹿』みたいですし……」

そう、誰のせいでもなかったんだ。
そう言う風になってしまった。
得てして、取り巻く"不幸"はそういうものだ。

「……僕らが背負い込んだものは、確かに自分自身のものだ。
 だからって、"気負う"のは違う。……此れは、『前に進むため』の重みだ」

少年は踵を返した。
僅かにふらつく足に、必死に体勢を整えた。

「……皆のおかげで、自覚"しちゃいました"からね、僕も。
 おかげで、毎日『歩くのも辛い』油断すると、倒れてしまいそうだ」

それが全て罪だと知っていた。
それを少年だけがしょい込み、キッドだけが演(い)きていればいい。
そんな目論見は、周りの人間のおかげで瓦解してしまった。
今では、より一層自覚した罪の重さに、油断すればきっと二度と歩けないだろう。
それでもまだ、歩く理由がある。此処で潰れてたら、それこそ意味がない。
自分が生きてる、意味が。

「だから、貴女も逃げないでください。別に、辛かったら人に相談しても、足を止めても良い。
 だけど、『全部自分のせい』にするのは、あんまりですよ。華霧先輩……」

そう、此の言葉は他でもない自戒もあった。
だが……『己はそれを受け入れられない』

「"僕に程度"に言われてたら、しょうがないでしょう。
 ……貴女にも、貴女により添ってくれる人がいる」

「それ、きっと人生が満たされるコツだと思います」

「だから、たまには少し周りを見てあげてください。
 レイチェル先輩のお見舞いにも、もう行ったかもしれませんけど。
 あの人も、『女の子』ですからね……」

嗚呼、そう、だからそう──────。

キッド >  
「『貴女はこうなっちゃいけない』」

「……それだけです。生意気な後輩ですみません」

死ぬまで解けない呪いは、未だそこにある。
振り替える事無く、少年は歩き出した。
白い煙が、空へと消えていく。
……一雨きそうだな。どうせなら、振ってくれた方が今はいいかもしれない。


「…………」

『止まない雨は無い』と人は言う。
まだ終わらない悪夢を見てるんだろう、自分は。
こんなもの、あの人が見るべきじゃない。
自責の念、未だ自分を許せない少年の亡霊。


日常の光に、未だ縋っている。
帰路の中でも、ただその"光"だけを考えていた。
『御覧の通り、救いがない人生に光を』と願いながら
惨めな少年の後ろ姿は、やがて見えなくなるだろう──────。

ご案内:「慰霊碑前」からキッドさんが去りました。
持流 童男 > 「全く知らなかったな、病院に、レイチェルさんの病院にお見舞いに行かなきゃ・・!」

しっかりと真剣に言って

「・・・・ジョー君・・・」

そうキッドくんの後ろ姿を見ながらも
彼もまた、何かを背負っている。
僕もしっかりしなくてわいけないな。

「・・・華霧さん、
君にはまだ寄り添ってくれる人がいる。
僕には居ない、居た、けどね。
だから・・背負い込むのもいけどさ
頼ってあげなよ、かぎりん」

そう言ってから、華霧さんを見てから

「やればできる!!君がそばにいるなら、
希望論だけどレイチェルさんだってなんとかなるさ!
お見舞いにいってあげたらどうかな。じゃないと
僕は、あれだよ。鰤をレイチェルさんに渡すよこれ」

真面目な顔をしてからそういった

園刃 華霧 >  
「生意気なんだよ、クソガキ」

言いたいことは分かる。
気に留めてやる程度はできる。
けれど、それ以前の問題だ。

アタシは、なんだろうと立って歩くつもりでいるんだから。
この   は真に理解はされないだろう。


「……まあ、いいや。それはそれだ。
 悪くはない囀りだったよ」

へらりと笑う。

しかし

「……滅多なこと言うなよ? テメエ」

言うべきでない言葉、というのはある。
獣の眼が、童男を睨みつけた。

持流 童男 > 「おっと、怒ったかい。これは済まなかった」

そう言ってから素直に謝ろう

「うーむ、どうやら
僕は人を怒らせる天才のようだ・・
だけど不思議なんだよね。」

そうしっかりと、華霧さんを見据える

「なんであんなに暗い笑みをして、
そんな事言う割には
レイチェルさんのお見舞いにいかないんだい」

園刃 華霧 >  
「行ってないとでも思ってんのか、脳天空っぽ野郎?」

獣の眼の少女はひどく冷たい声で言葉を発した。

「不思議もへったくれもない。
 テメエの言葉は、テメエが中心でしか回ってないんだよ。
 相手みて喋れよ、その顔に付いてるのビー玉か何かか。」

ひどく冷たく、冷えて冷えて
尖りきった言葉。

「あと、テメエに気安く呼ばれる覚えはない。
 アタシらの誇りを踏みにじったテメエにな。
 この勘違い野郎、まだ治ってないみたいだな。」

底冷えするような声。

ご案内:「慰霊碑前」から持流 童男さんが去りました。
ご案内:「慰霊碑前」に持流 童男さんが現れました。
持流 童男 > 「おお、そうかい君には嫌われたようだ。じゃあ、目障りなら僕は退場しよう」

そう言ってからこの場を去る

ご案内:「慰霊碑前」から持流 童男さんが去りました。
園刃 華霧 >  
「……は、逃げやがったか。
 わかってんのか。それが一番最悪なんだよ。
 人の言葉も聞けないやつに、人に言葉をかける権利はない」

ずぎり、と何処かが痛んだ。

「あァ……クソ……ッッ」

吐き捨てるように言葉を絞り出す。


「……このままじゃ、マコト先輩もぶっ壊しちまうかもな……
 いっそ、あそこを出ちまえばいいんだろうけど……」


けれど それは できない
にげられない
にげるわけにはいかない
すてるわけにはいかない
それをしてしまえば アタシは

園刃 華霧 >  
「             


             
                   」

園刃 華霧 >  
ふと、静寂をやぶるアラーム音がした。
のろのろとそれをみやる。
今日は、何かあったっけ……?
思い出せない、けれど
のろのろと歩き始めた。

「……いこ……」

ご案内:「慰霊碑前」から園刃 華霧さんが去りました。