2020/08/21 のログ
ご案内:「落第街-施療院」に山本 英治さんが現れました。
山本 英治 >  
寝転がったまま黙っている。
手が重度熱傷で本も読めない。
こうなると時間の進みが極端に遅いものだ。

どうしたものか。
退屈は、アフロを殺す。
いや、今はアフロじゃないけど。直毛だけど。

マリーさん早く帰ってこないかなぁ。

ご案内:「落第街-施療院」に月夜見 真琴さんが現れました。
ご案内:「落第街-施療院」に雨夜 賢瀬さんが現れました。
月夜見 真琴 >  
「一年も経てば様変わりするものだな――確かマリーが手伝っているとか?
 いやあ、はっはっは。 また落第街(ここ)に足を伸ばす日が来るとは思わなかったが。
 ありがとう賢瀬。交通課の機馬は乗り心地が違うからな、また乗れたのも望外の幸運だ」

赤い制服に身を包み、颯爽と施療院を歩くのはどこか場違いな空気をまとった女である。
手には見舞い品の入ったバスケットを提げて。
色々な「ついで」で連れてきてくれた賢瀬に親しげに話しかけながら、
教えられた部屋にひょいっと顔を覗かせる。

「えーいじ。見舞いに来た――」

そして眼鏡の奥の銀色の瞳を丸くして、背後の賢瀬のほうに振り返る。

「――ああ、部屋を間違えたようだ。英治の病室はどこだったかな?」

雨夜 賢瀬 > 「何、礼には及ばない。仕事でもあるしな」

建前上は臨時監視役。病院に出向くのとはわけが違うので。
今日は自分も行こうと思っていた「ついで」なのだ。
まぁ、車を出すつもりがバイクを希望されるとは思っていなかったが。

「……」

ああ、そういうことか。
少し笑いを堪えてから、真琴の退路を断つように部屋へ入ろう。

「部屋はここで間違えてないぞ。ほら、入った入った」

山本 英治 >  
あっこの声!! 月夜見さんがお見舞いに来てくれた!
目を輝かせていると、月夜見さんは去っていこうとした。

「はい、山本英治ですッ! あなたは間違えてはおりませんッ!!」

淀んだ瞳で月夜見さんを見る。
俺=アフロなの? アフロは俺であり、俺はアフロなの?

「ほらー、雨夜先輩は俺を顔で判断してくれるじゃん!」
「月夜見さんも俺の顔をもっと見てくださいよ!」

冗談を交わすと、なんとも嬉しくなる。
人がそばにいてくれるのっていいなぁ!!

「来てくれたんすね、二人共。俺、嬉しいよ」
「なんのお構いもできないってか、手も足も出ないけど」

笑顔で二人を迎えた。

月夜見 真琴 >  
「まさかと思ったがそうか、おまえは英治か。
 以前から賢瀬から世界がどう視えているのかが気になっていたが、
 もしや霊体の世界でも視えているのか?
 本体がいなくなっていたから、やつがれ、すぐにはわからなかった」

度が合わなくなってたかなあ、と。
久々にかけた余所行きようの眼鏡を外して、むむむ……という顔。
ふたりぶんの椅子を引いて、ベッドの近くに。

「不謹慎な冗句はよせ、とはいえ元気そうでなによりだ」

微笑みつつ、バスケットから林檎と小さいナイフを取り出した。

雨夜 賢瀬 > 「おう、元気そうだな。体はともかく」

見た目は痛々しいが、心までボコボコにはなっていないようで安心した。
……万全とは言え無さそうだが。

「男一人で来るのもアレかと思ってな。
 ちょうど行きたそうだったから、連れてきたわけだ」

動けないなら動かなくていいぞ、と制止しながら。

「どう見えてるかって……普通に見えているが。
 目立つ部分だけ見てるとこういう時に困るんだよ」

腕を組んでフフ、と小さく笑う。
まぁ、アフロ、トレードマークだしな。仕方ないよな。

山本 英治 > 「月夜見さん今の発言……」
「眼鏡を外して美人度が上がってなかったら許されてませんでしたよ?」 
「雨夜先輩は普通です! 普通はああなんですぅー!」

全メガネ好きを敵に回しつつ笑顔で頷いて。

「お、リンゴですか。美味しいですからね、リンゴ……」
「ありがとうございます、でも手が使えないのでー」
「剥いた上で食べさせてくれると大変喜ばしい」

ニヒヒと笑ってベッドの上で寝返りを打った。
なんとかかんとか、体は治ってきている。
厄介と思っていた異能に、守られているんだ。

雨夜先輩に制止されると、大仰に両手を向けてノープロブレムと呟く。

「雨夜先輩は気遣いができる人だなぁ……」
「月夜見さんクラスの美女を連れてきてくれるとは」

ばつが悪そうに前髪を見上げて。
今はさらっさらのストレートヘアー。

「調書を書きに来た同僚が俺を見て笑ったんですよう」
「雨夜先輩も次に近藤と桐谷に会ったら言ってやってくれよなぁ……」

ああああ。楽しい。人と話すの楽しい。

月夜見 真琴 >  
「偶に《雷雲》山本英治の通り名を聞くだけで、
 思わず肩をふるわせてしまうほど面白いのは狡いと思うなやつがれは。
 ――確かに、目立つ部分を除くと英姿颯爽たる男前な顔貌。
 賢瀬は英治をよく見ているんだな、やつがれのことも?」

林檎を器用にくるくると回しながら、
楽しそうに脚を揺らしつつ、賢瀬のほうに視線を向けて。
紙皿の上に置かれるのは飾り切りのされた林檎。

「ふふふ。 無論だとも。
 ふたりともみてくれみてくれ。うさぎさんの林檎だ。
 賢瀬もつまんでいいぞ、ほら、あーん」

同じく上品な飾り串に林檎を通すと英治の口に運んであげる。
そういえば、と。

「華霧の見舞いはどうだった?なかなかの女ぶりだったろう?」

雨夜 賢瀬 > 「俺が普通かというとそうでもない気がするが」

腕を解いて適当に腰掛ける。

「わかった。まぁ俺は交通課だからいつ会うかわからんがな」

便利屋ゆえのゆる解答。
肩を竦めて、うさぎさんを一瞥すれば。

「ほう、器用なもんだな。
 見ている、か。説明するのも難しいが……
 まぁ、異能の関係であまりすぐ変えられる容姿に依存する気にならんだけだよ」

腰掛けたまま、うさぎさんを1個手にとって、また腕を組んで二人を見守る。

山本 英治 >  
「雷雲……俺の通り名は、雷雲………」

もっとかっこいーのが良かったなぁ!!
鉄火の支配者とか! そういうのがー!!

「そうだぜ、俺は男前なんだぜぇ………みんなしてアフロが本体みたいに言うからさぁ…」
「お、飾り切りが上手いねぇ月夜見さん。あーん」

食べさせてもらった途端に園刃先輩の話題が出て。

「グブッ」

咳き込んでしまう。でもリンゴは吐き出さない。
リンゴに罪はないから。

「むぐ………園刃先輩はまぁ、その…綺麗でしたが?」

キョドりながらリンゴもぐもぐ。

「先輩は交通課だから、会ったらでいーんですよ会ったらでー」
「そういや雨夜先輩の異能知らないなぁ、シェイプシフター型なんすか?」

ああ、良いリンゴだ。甘くて、酸味がマイルドで、香りが芳しい。
本物のリンゴという感じがする。美味しい。

「って、人の異能を不躾に聞くのは良くねーな……すまねぇ」
「雨夜先輩もどうぞ、美味ぇぜ」

月夜見 真琴 >  
「容姿に依らず人を見れる、というほうが得難い資質に思うがね。
 やつがれはどうしても見目を気にしてしまう、自他ともに。
 たとえば今はわりと幸せだ、偉丈夫に囲まれている。
 いやはや――女冥利に尽きるな」

英治に林檎を食べさせてあげながら。
嫉妬を買ってしまうかな、なんて悪戯っぽくささやく笑い声。

「いまは華霧(あれ)を拙宅に住まわせていてな。
 いろいろ"女"を仕込んでやっている。
 華霧にどんな服を着せたい? 楽しい話をしようじゃないか」

そして、ふと。
すっと視線を向けた。なるべく仕事の話はしないように。
"風紀委員"として、英治にどう声をかけたものか。
それは今、世捨て人の自分の管轄ではない。すっ、と視線を賢瀬に。

雨夜 賢瀬 > (何か有ったな)

咽る様子をじっと見る。
恐らく個人間の事情だろうし、追求はしないが。

「ああ、まんま変身する異能だ。
 別に隠してるわけじゃないが、特に使い所もなくてな」

そう言いながら、貰ったリンゴをつまむ。
うん。リンゴだ。可愛らしく切られた、紛れもないリンゴである。

「見目が気になる、か。気にするに越したことはないだろう。
 自分が気にならんからと言って気にしなかったら、
 この場も男一人で来ていたんじゃないか?」

感性の問題なので、説明が難しい。

視線を貰えば……特に何も返さなかった。
話を続けていい、と言わんばかりに山本を見る。
仕事として来ているが、仕事の話をするつもりは無かった。
相手が気になっている様子があれば、その方針は変えるだろうが。

山本 英治 >  
「俺も見た目には気を使いますよ。だから今はその辺が不便で…」
「アフロ径が40cmないと落ち着かないみたいな」
「そっかー、いい感じの偉丈夫になれるよう早く傷を治さないとなぁ」

林檎を食べさせてもらうと。
なんだか体に必要な成分が染み込んでくるような気がする。
人間、糖分と会話って大事だなぁ!!

「園刃先輩が……月夜見さんちに………!?」
「女を……仕込んで……………」

鼻血が出そう。いや興奮して鼻血が出るなんて都市伝説かも知れないけど。

「え、んじゃ可愛い系より綺麗系の格好? 園刃先輩似合うって」

雨夜先輩の異能を聞けば、なんとも意外だった。
戦闘系の異能ではないとは思っていたけど。
変身する異能かぁ。不思議な一面を知れた気がする。

「なんすか、雨夜先輩も月夜見さんもー」
「アイコンタクトしちゃって、聞きたいことがあるなら聞けばいいじゃないのぉ」

「ちなみに22歳です」

ジャブ代わりの冗談を浴びせて。

「雨夜先輩は格好いいので、普段から良い香水使ってるイッメェーズィ」

イメージをへんてこな発音でリリース。

月夜見 真琴 >  
うさぎさんを作るのに出来た端切れの部分をもくもくと食べる。
英治が怪我人でなかったらこっちを英治に食べさせていたところだった。
賢瀬が何も言わないのを見るや、
眉をひょいと上げて、そして笑みを深めた。
わかりやすーい了解の合図。

「大事なものを見落としてはたまらないということさ。
 観察と論理的思考、刑事課ではよーく言われたなあ」

懐かしいなあ~、って笑いつつ。
だから賢瀬は信頼できる。良い男だ。

「フム。承知した、幾らか見繕っておこう。
 ――英治、おまえの意馬心猿、なかなか見てて面白い。
 華霧の見目も"内側"も、綺麗なものにしておくよ?」

そっと身体を乗り出して、英治の耳元にぽそぽそささやく。

「――香水に詳しい男は浮気者、とも言うな」

肩を竦めた。

雨夜 賢瀬 > 「……だそうだが、何か聞きたいことはあるか?」

真琴に視線を向ける。
自分はただのお見舞いのつもりなので、
調子が確認できれば十分、ほかは何もない。

「ああ……香水か。匂いも大事だな。例えば俺がここで女性に変身しても、
 匂いがそのままなら違和感が出るはずだ。
 それに気付けるかはまた別だが」

つまり多少は気を使っているようだ。多少は。
そしてどことなく経験があるようにも聞き取れる。

了解の合図を受ければ、小さく頷く。

「ああ、ほとんど基礎だな。俺は交通課だが」

またフ、と笑った。

山本 英治 >  
「大事なもの………なるほど、わからん」
「論理的思考ニガテですぐ直情的に突っ走ってしまうんすよね…」

マリーさんにもこんな感じで食事を取らせてもらっているが。
はっきり言って相手にとって相当の負担であろう。
起き上がれるようになったら埋め合わせをしなくては。

「イバシンエン? ってなんすか?」
「う、内側……園刃先輩の………ッ!!」

わなわなと震えていると、耳打ちされて。

「……モテないうちから浮気者認定はヒデェや」

そういうの、せめて一度はモテてから言ってほしい。
モテた奴は猛省して。発言にも気をつけて。

その時、雨夜先輩から爆弾発言来る。

「女性に変身できるのぉ……!?」

ズギャアアアン。
今のが俺の脳内効果音。

「雨夜先輩ならさぞ美人になるはず……!!」
「あ、そういや雨夜先輩。今度バイク欲しいんで見繕ってくださいよ」
「大型のバイクがいい、サイドカーつけたいしィー」

そのために頑張って貯金してきたのだった。
いや、風紀委員って前線に出ると結構手当出るよねという話でもあるけど。

月夜見 真琴 >  
「やつがれに捜査権はないからな~。
 お役目を拝領するのもしばらくご無沙汰だしな~」

賢瀬の視線を受けると肩を竦めながら。

「理央が復帰したそうだ。おまえもしっかり休んで治せ。
 抜けた穴は大きいが、そうした時にも苦難を分け合えるのが、
 風紀委員会の機構《システム》であると考えている。
 大いに頼れ。そしてこれからも、"独り"では戦うな。
 ―――いいな?」

と、聞く、というよりは風紀委員の先達として。
件の"査問委員会"の記録を見て、状況は幾らか把握している。
最後だけ眼を細めて、そっと言い含める。
あの戦い――いや負傷の由来。山本英治が過分に背負い込もうとしたのではないか。
心配と警告だ。年寄りの冷や水。世捨て人の戯言。

「まあ賢瀬と男女の関係になりたいというなら止めはしないが、
 ここに女が居るのに素通りして口説きにかかるというのは些か傷つくな。
 それとも全国大会というのは口説いた女の数を競う大会なのかな?」

ギプスの落書きを目ざとくみつめて、楽しそうに笑った。

雨夜 賢瀬 > 「出来るが」

容姿は自在なので基本は便利な美人にするが。
まぁ、ここでする必要はないだろ。無いよな。

「ああ、バイク選ぶって話だったな。
 例の件から夏季休暇入ってバタバタしていて行けてなかった。
 休み明けて生徒が戻ったら余裕もできるだろう」

任せておけ、と姿勢をなおす。
自分のバイクは特注だが、普通のバイクもそれなりに知識はある。
そうじゃなきゃ"アレ"の設計に関わってない。

「ま、そういうことだ。
 こういう時のために俺が居るから心配はいらない。
 今はしっかり休んでくれ」

それから、真琴の言葉に一言添える。
もともと人が少ない時期。更に一人や二人欠けたところで大きくは変わらない。

山本 英治 >  
吉報が来れば安心したように笑って。

「神代先輩が? そりゃー良かった、死ぬような人じゃないし、死んでいい人でもない」
「……風紀委員会の、システム………」

その時、ようやく月夜見さんの言葉の意図に気付いて。

「はい、わかりました……」

風紀委員会は、一枚岩じゃない。
それでも、穴ができればそこを突く輩は必ず出る。
そして園刃先輩に言った通り。危険な目に突っ込まない。
そのことを肝に銘じなければならない。

誰かに死ぬなって言って、自分が死ぬのは愛じゃない。

「待て待て待て、誤解だ月夜見さん」
「俺はバイクに建悟やニーナや園刃先輩を乗せて走りたいだけでな……」

足を見ると、『目指せ! 全国大会優勝!!』と書かれている。
なんの大会だよ、園刃先輩。

出来るが……?
出来るのか……!?
人が持つ可能性ってスゲェなぁ!!

「うんうん、色々あったからね……雨夜先輩のお力を借りるぜぇ」

そして、雨夜先輩のしっかり休んでくれ、という言葉に。

「……俺、結構ワーカホリックだったみたいっすね」
「色んな人から言われますよ、それ」

「ええい、だったら休むのにも全力だぁ」

ニヒヒ、と笑って両手を伸ばした。
イテ、と顔を顰めて。今度はバツが悪そうに笑った。

月夜見 真琴 > そっと英治の耳元に唇を寄せて、なにがしかささやく。
月夜見 真琴 >  
そして英治の肩をポンポン、と叩くと。

「どいつもこいつも背負いすぎ、働きすぎだ。
 リンゴを飾りきりする余裕もないときた。それでは結局見落とすさ。
 勤務時間や連勤日数でも競っているのかと、常々で心配でならん。
 賢瀬も――旅館でも働いていたからな。おまえもちゃんと休んでいるのか?」

先んじて立ち上がる。
連れてきてくれた同行人の腕も軽く叩いて。

「ふたりとも壮健でいてくれよ?
 "正義"のためには、そうであってもらわなくては困るから。
 ――では英治、ゆっくりな。
 賢瀬もあとは頼む。葡萄とかもあるから……
 やつがれはシスターに挨拶をしてこようと思うが」

男二人仲良くなにかあれば出ておくよ、なんて素振り。

雨夜 賢瀬 > 「ま、熱心なのは良いことだがな」

やりすぎれば始末を付けるのは他の人間だ。
そこも自分の仕事だったりするが。
とにかく、分かってるなら何も問題はない。

それから、真琴の動きには感づいて視線を向けるが、聞こうとはしない。

「何、書き入れ時というものだ。ちゃんと加減はしている。心配ない」

何を隠そうこいつもかなりのワーカーホリックだ。
まぁ、普段の業務はかなり力を抜いてやっているので負担にはなっていないが。

「ああ、挨拶に行くのは構わないが……。
 一応俺はお前の監視役で来てるんだから、変な気は起こさないでくれよ」

話すこともほとんど終わったし、特に何もないのであるが。
このまま帰っても構わないとは思ってはいる。

山本 英治 >  
彼女からその名を囁かれるとハッとして。
肩を叩かれると、少ししゅんとした表情になってしまう。

「……確かに、疲れは溜まっていた………のかも…」

言い訳をする子供みたいな口調になってしまう。
ああもう、昨日から格好つかねぇなぁ!!

それにしても。月夜見さんも知っていたのか。
ああ、ああ……忘れてはならないんだ。

「元気でいるさ……風紀を保つ人間が不健康なんて悪徳に浸ってちゃいけない」

苦笑いを浮かべて、雨夜先輩にも語りかける。

「雨夜先輩が過労で倒れたら今度は俺がリンゴでウサギちゃん作ろーか?」
「……今日は二人共ありがとう」

「助かったよ、どうにも気が滅入ってたらしい」

「それじゃ二人とも帰り道、気をつけてな!」
「あと雨夜先輩、退院したらバイク屋の約束! お互い忘れないようにしましょう!」

名残惜しそうに二人を見送って。
また小刻みに異能を発動させて、傷を治すことに専念しよう。

熱心なのは良いことだがな、って雨夜先輩は言った。
情熱的なのは良いことだけど、それだけじゃ足りない気も最近はしている。

俺の手………早く治んねぇかな。

月夜見 真琴 >  
「不健康という悪徳!素晴らしい!快男児らしい受け答えだ!
 今のおまえは雷雲ではなく青天白日だからな、英治。
 いいか~? 関わった者に倒れられるとな、ふたりとも。
 やつがれに疑いの目が向くんだ、と言っているんだ。
 "風紀中毒"も結構だが、やつがれに余計な負担と心配をかけてくれるな」

肩を竦めて、現場から遠いところから好き勝手言う。
ただでさえ最近身の回りに居るものは、自分を追い詰め過ぎたり。
訓練中に事故起こして入院したりしている。
さて、と去りがてに、ふと。

「ああ、来る途中に賢瀬には言ったが」

言っていたらしい。

「元気になったらレイチェルも見舞ってやってくれ。
 華霧も行けるようになったそうだ――まあ。
 眠っている者の見舞いなど、なにが楽しいのかやつがれにはわからないが」

行く奴の気が知れんな、と肩を竦めつつ。
行っている者がいるのだ。見舞う者は多いほうが良かろうさ。

「ああ、本当に。ゆっくり休めよ、英治。大事にな。
 では行こうか賢瀬。そろそろ考え直してくれただろう?
 ――やつがれも、バイク。運転したーい。
 帰りは代わって欲しいな~?雨夜せんぱーい?」

なんて言いながら帰路につこう。
無事で良かった。

雨夜 賢瀬 > 「出来るのか?器用そうには見えないが」

容姿で判断しないと言っておいてコレ。つまるところ冗談。

「気が紛れたならなによりだ。
 ……バイクはもちろん、快気祝いもやろう。
 そん時は俺の奢りだ」

稼いだ金の使い所だ。
楽しみにしている、と言って立ち上がる。

「青天白日じゃ1本も残ってないんじゃないか……?」

小声でツッコミながら。
続く件には特に触れない。
心配はしているが、心配しているだけだ。
自分が行ったところで、というもの。

「じゃあ、またな。山本。
 
 ──仕方ないな……というわけがないだろう。俺は交通課だぞ。
 どこかの私有地でやるか、免許を取ってきたら考えてやっても良い」

やれやれと肩を竦めつつ、真琴にヘルメットを渡した。

山本 英治 >  
「また会いましょう、二人とも……」

去っていく二人を見て。
思う。

レイチェル先輩にお見舞い、結局行ってなかったなって。
元気になったらまず行くか。
そう考えて、鼻歌でも歌おう。

ご案内:「落第街-施療院」から雨夜 賢瀬さんが去りました。
ご案内:「落第街-施療院」から山本 英治さんが去りました。
ご案内:「落第街-施療院」から月夜見 真琴さんが去りました。