2021/02/13 のログ
雪城涼子 >  
さて、しばらく厨房は別の人に任せて今度は売り子に回ろう。
なにしろ、こちらの手も回らない。
この時期のお菓子屋は戦争なのだ。

「あ、はい。そうですね。
 お手軽に、ということであればこちらのアマンドショコラなど、いかがでしょうか?
 キャラメリゼしたアーモンドにチョコをまとわせた、多くの方に人気の一品です。」

いわゆる定番商品。
概ね誰にあげてもそうそう外れのない一品というやつである。
値段もまあ、だいたいお手頃価格でお財布にも優しい。

ついでにいえば、こう……義理でも多少の見栄えはする。

雪城涼子 >  
「え……あー……そうですね。
 ええ、と……大人の男性に向けて、ですか?
 ううん……その方、お酒、お好きですか?
 もしそうであれば、あまりお出ししていない品があるのですが……」


ひょっとして本命だろうか。
だとしたら、ちょっとこうほろ苦い感じになりそうな気もするけれど。
いやいや、ひょっとしたら単に普段のお礼かも知れないし。
そんなこんなの想像を微妙に働かせつつ、こっそりと奥にしまった品を出してくる。


「はい、こちら。
 長い時間を掛けて、アルコール度の高い洋酒に漬け込んだドライフルーツを使い。
 さらに、時間を掛けてケーキ自体にも洋酒を染み込ませていって作り上げたブランデーケーキです。
 非常にアルコールの強い一品となっているので、未成年の方にはお出しできないのですが……」


なお、自分用にもちゃんと確保してある。
正直、原材料の分量的には洋酒のほうが多いであろう冒涜的な一品である。

雪城涼子 >  
「はい、ケーキですね。
 でしたら、やはりチョコレートケーキでしょうか。
 サイズ控えめのケーキや、冷凍ケーキなどもありますよ?
 勿論、冷凍ケーキは一度解凍してしまうと再冷凍はできませんが
 小分けにすれば多少は保たせることもできます。」


ああ、めがまわるめがまわる
こんなときは、オーナーの手も借りたいというものだ
……なのだけれど

その肝心のオーナーは影も形も見せていない

これは、教育が必要なのではないだろうか?


「あー!!待って待って待って!!
 そっちはまだ出せないやつ! あっちから持っていってっ!
 あとそっちは、アルコール系だから注意してね!」

一瞬、何かを思ったけれど。そんなことを真面目に検討する間もなく、
ばたばたと結局せわしなく動き回ることになる

雪城涼子 > 戦場は まだ続く
ご案内:「スイーツ店【ラ・ソレイユ】店内」から雪城涼子さんが去りました。