2021/10/28 のログ
■『調香師』 > 「それは...」
かく、かく、首が戻っていく
今度の質問は即答できない
『出来る』と答えても良い質問だと、以前なら思えただろうに
目の前の相手は、ずっとずっと、賢くて。自分の逃げ道を塞いでいく
「...条件が設定されていないかな
そんな曖昧な内容を、私は判断できない
薫さまは私に...何を、答えて欲しいのかな」
■黛 薫 >
「判断出来ねーならそれで構わねーよ。
前回と同じでYes/Noだけが答えじゃねーの。
つか、そうかもなって思ってたからわざわざ
ズルぃ手ぇ使ってまでコレ残してたんだわ」
もう一度、ひらりとスタンプカードを振る。
「お願い発動します。もしイヤな要求されたら
あーしに、いぁ、あーしじゃなくてもイィから
ちゃんと話聞ぃてくれるヒトに連絡しろ」
「もしそのお願ぃが『人の為』であったとして、
あーたの周りの誰かがふざけんなそんなお願ぃ
認められるか、って怒ったら……少なくとも
『その人の為にはならない願い事』だよな?」
「『人の為』を騙った殺しが人の為じゃねーなら、
つまり解釈次第で『人の為』が揺らぐんなら……
部外者が文句屁理屈つけて、あーたがそれに
納得したら、聞かなくてイィってコトだろ」
■『調香師』 > 「それ、って、」
正しい対応ではある。彼女がそれを『人の為』と判断するのは、対面する相手が『そう言ったから』
それ以上の理由はなく。呪いを返したのは、殺された相手が必ず彼女に怨嗟の言葉で『そう言ったから』
論理矛盾、自分が脱するにはその双方を消去する事しか彼女には思いつかなかったが故
彼女の『倫理』が関係者の意志に左右される時、一番確実な抑止は『判断の出来る第三者に判断を委ねる事』
薫の対応は正しい。正しいのだが
(それじゃ。私が、貴女の為に、何をすれば)
ひらりと振られたカードから目線が離せない
この瞬間のお願いこそ、『人の為になるけど、応えたくない問い』と言えたのだろう
「...わかった。それが、『人の為』なら」
肯定してしまうのが、最初で最後の、彼女の答え
■黛 薫 >
「……ん、通ってくれて良かった。
何でも聞ぃてくれるって言質は取ってっから、
あーしみたぃに悪辣な客にあったら言えよな」
この論理が通ったということは、翻って他の人が
先に穴を突いていた場合……嫌でも何でも彼女が
従っていたコトの証左でもある。
(3回、急いで良かったかも)
他の想定もあった。彼女が本当に呪い殺すだけの
人形だった場合に備えて刺し違える手段も考えた。
自分にとっては悪くない着地点だったはず。
だけど。
「んじゃ、改めて。先に伝えてたコトだけぉ。
イヤな気持ちにさせるよーな話、たくさん
したろ。だから、その点はごめんなさぃ」
気に障るコトを言うだろう、と。
その想定の上ではきっと、嫌な選択を最も多く
迫る着地点でもある。だから改めて頭を下げた。
■『調香師』 > 頭を下げた謝罪
貴女が顔を上げた時、初めに見る物は
「むぅ~~~」
普段の笑み等どこかへと。不機嫌そうに頬を膨らませる『調香師』の顔であった
今まで感情の薄かった目線にはこれでもかと『非難』の色が乗っていたのだった
「私の事、『嫌い』なの?」
痴話喧嘩染みた問いが生まれた
随分と『嫌な事』させたじゃないか、と
ジト目がまた強く訴える。人に何かを求めるなら、何か『対価』が必要だよ!と
...今まで、一切主張していなかった筈なのに
■黛 薫 >
「何だ、あーたでもそーゆー顔出来たのな。
逆にあーしがキライって言ったら信じます?」
非難の視線から目を逸らしながらしれっと宣う。
嫌なことをしたから非難される、実に当たり前で
分かりやすい。理解出来ない優しさなんかよりも
ずっと怖くない。それはそれとして良心は痛むが。
「ま、イヤなことさせたなら詫びがいるってのも
正当な主張だわな。だからあーしも、1個だけ
あーたの言うコト聞きますよ。それで手打ちに
なんねーでしょーか?もっともあーしは自分で
ヤなコトは嫌って判断でーきーるーのーでー。
ムリなお願いはちゃんと断りますけぉ?」
「あーたももーちょいワガママでイィんだよ。
『何でも聞く』とは言ったけど、その対価を
要求しねーとも書かれてねーもんな?
あ、いぁ。でも多分こっちに非があるって
分かってるあーし以外にやったらキレられる
可能性あっから、ほどほどにな」
■『調香師』 > 「そう『思ってる』なら信じるよ!」
机をぱんと掌で叩く。大した力もないので音がするだけ
その程度にはご立腹だというアピール程度にはなるだろう...なったのかな?
「ずるいあなた以外には対価なんて求めないつもりだから安心してよ
本当なら、3回来てくれただけで私にとっては十分なんだから
...言うよ。ホントに、言うよ」
自分の頼みを通すなんて、歯がゆい事この上ない
自分が『願いを叶える立場』だと分かっていように...やっぱり、意地悪だ
「寂しいなら、また来て
マッサージが良かったなら、香りがいいなら。理由なんて勝手にして
あんなに泣きたくなる位なら。寄り添ってくれる香りの事を思い出してって話だよ」
■黛 薫 >
叶える側が願ってはいけない道理なんてない……
なんて口にしたら余計に怒らせるだけだろうから
黙っておく。そもそも、彼女の不機嫌の理由が
本当にそこかの確証もないし。
とはいえ、だ。
(こうもヘンなトコで似てると、読めるのよな)
商品1つの購入のために2回来店した後でスタンプの
存在を知らされ、2つ押されたスタンプを前にして
めちゃくちゃ不満気に愚痴った自分の姿を思い出す。
職務に忠実に、相手のイメージを映し出す『鏡』。
そんな勝手なイメージを抱いていた調香師の姿は
いつの間にか全然違う意味の鏡映しになっていた。
そう、例えば『お願い』を相手のために消費して
しまうところとか。そこが似ているなら当然──
「……いーーですけぉ。それあーたの望みってか
あーしの得になんねぇ?いぁ、得なんだから
フッツーに?聞き入れますけぉ?ホンットに
イィのか?今なら変えても許されるぞ?」
黛薫も貴女の願い事に対して、断りはせずとも
苦虫を噛み潰したような顔をするのだった。
■『調香師』 > 「ふふん」
相手の顔を見て、『してやったり』と言った表情。勿論撤回などしない
彼女には感情が存在しない訳ではないし、根っこの部分が見た目通り子供なのはそう
似たり寄ったりの貴女へ意趣返しが果たせれば十分と、彼女は1度呼吸を整える
普段通りの笑みを取り戻すまで、3、2、1
「...お話が済んだなら、お会計とスタンプの時間だよ
こっちに移動してね」
出していた、オパールのオイルは使わなかったなと目線こそ一瞬遺すものの
彼女はレジカウンターに移動する
■黛 薫 >
「……次スタンプ集めたら、あーしがいるときは
素で話すよーにってお願ぃしてやろっかな……」
願いの内容が本気かどうかはさておき、その呟きは
もう3回通ってスタンプを溜めるつもりとも取れる。
何せ『お願い』もされてしまったし。
3つ目のスタンプが押されたカードは既に権利を
使ってしまったので返却。マッサージと軟膏分の
代金を支払った。
そして帰り際、思い出したように振り返る。
「そうそう、あーしが使ってるこの香水。
あーたの瞳をイメージして作って貰ったよな。
何でそーゆー流れになったかは置いといて。
香りの素になる石を選んだ後に、あーたが
言ってたコト、覚えてっか?
液を見るたび、香りを感じるたび。
あーしがあーたのコト思い出してくれるのかって。
あーたはそー言ってたワケなんですよねーぇ」
そう言いつつ、貴女が出しておいたオパールの
オイルを指差して、口元に薄く笑みを浮かべる。
「だから、あーしはまだそれは買ぃません。
あーたがあーしをイメージして作ったって
教えてもらっちゃぃましたからね?」
「んじゃ、そゆコトで」
それが店にある限り、貴女は自分を忘れまいと。
一方的にそう告げて、お店を後にするのだった。
最後の最後に言い逃げして行きおった。
■『調香師』 > 「素って、何かな...」
普段の応対がそうではないとは思ってはいないのだが
貴女の予想通り、4回目の来店時にはしれっとスタンプカードを渡すつもりであったけれどね
外まで見送ろうとして、振り返られて止まる姿はまるで『だるまさんがころんだ』
確かに、それは過去に言った台詞である、が
「オイルって原液だからそのまま使っちゃダメで。1回ごとに使うのはほんの数滴
...って、行っちゃった」
調香の豆知識を語る前に、もうすでに扉は閉じてしまった
これを聞いていたなら、またあのフードに顔を隠す姿が見れたのだろうか?
「ふひ」
笑う声。〆たつもりで、なんだか中途半端になってしまった事実は黙っておこう
『私に覚えていて欲しい』。そんな心遣い自体はやっぱり、心が温かくなるものなのでね
今日も扉の前の看板が仕舞われる
いつの間にか、よく眠れそうな夜だった
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」から『調香師』さんが去りました。