2021/11/18 のログ
ご案内:「Tokoyo Ultimate Battle Stage」に山本英治さんが現れました。
山本英治 >  
流水の動きで掌底を当てて対戦相手を倒す。
敵を倒すのに、力は要らない。
まぁ、今は呪われてて強い力が出せないんだが。

倒れ込んだ相手に、手を差し出す。
対戦相手は身体硬化と腕にロケットを作り出して突撃するという
身体強化系異能『ハイメガジェッター』だった。
だが……こんな強敵にも理合を握った俺のカンフーは、
割と通用することがわかった。

「ありがとう、アンタ手強かったよ」
「ところで……松葉雷覇という男を知らないか?」
「なに、個人的に調べてるだけだ。またな」

彼を立たせて背中の埃を払い、見送る。

実況 >  
「これで決まりだぁー!! ハイメガジェッターのジェット斎藤が倒れました!!」
「勝ったのは風紀委員ッ!」
「異能オーバータイラントを失い、バチカンに治療の旅にいったという外国帰りのこの男ッ!!」

「その頭は一体どういうアフロだッッ山本英治健在ッッ!!!」

「異能を失っても彼は大陸拳法の使い手、ひっじょうに手強いッ!!」
「現時点で二人抜きの二連勝ッッ!!」
「破竹ッ!! 破竹の勢いですッッ!!」

ご案内:「Tokoyo Ultimate Battle Stage」にマスクのフォックスさんが現れました。
マスクのフォックス > アナウンサーが叫んだその瞬間、フロアに雷鳴が轟き明かりが激しく明滅する。
重々しく陰鬱なクラシックが大音量で流れ出し、壁に設置された大型モニタが突如として光を放つ。

モニタに写ったのは、バタフライマスクを身に着け、大きな狐の耳を備えた少女の姿であった。
「おい、そこの者! 2回勝った程度でずいぶんと機嫌が良さそうじゃのう!
 ここはワシがガツンと灸をすえてやらねばならぬようじゃなあ!!」

モニタの表示が消えると共に、花道に火柱がぶち上がる。
その中を悠然と歩いて来るのは、マスクのフォックスであった。
リングサイドまで来ると、ひょいとコーナーポストの上に立つ。

そっとスタッフからマイクを渡してもらうと、まっすぐに相手をみやって口を開いた。

「懐かしいのう…。 ワシもよくこのリングで暴れたものよ。 いくつもの二つ名をもろうた…。
 ”墓掘り人”、”暗黒魔王”、”破壊の申し子”、”無慈悲”…。
 どれも気に入っておるが、やはりファイターとしてはな、名前ではないんじゃよ。
 いかに”やれる”かっちゅうことじゃ、そうじゃろオイ!!」

マイクを相手の足元に投げる。 

山本英治 >  
爆音、光、明滅。大型のモニターを見る。
そこには───バタフライマスクの狐耳少女の姿。

ここで俺にお灸をすえるってわけか……なるほど。
ってかどこかで見たな。いや仮面をつけてるなら正体を探るのはマナー違反だが。

コーナーポストでマイクパフォーマンスを行う彼女に大仰に肩を竦めて見せる。
そして足元に投げられたマイクを拾ってONにする。
ってか、投げる前にOFFにするの手慣れてんな。ハウリングするもんな。

「俺は“やれる”ぜ……実況の言う通り、異能は使えなくなったが」
「関係ねぇ、リングの上では誰もが平等だ」
「だが小柄なヤツは特に、捻り潰さないように気をつけて戦わないとなぁ?」

ヒールなマイクパフォーマンスを入れる。
観客からの大ブーイング。
いやノリがいいなお前ら。

「かかってこいやぁ!!」

マイクをOFFにしてリング端に投げつけた。

実況 >  
「突如現れたマスク・ザ・フォックスぅぅぅッッ!!!」
「彼女のマイクパフォーマンスに会場が沸きますッ!!」

「ここで山本がヒール丸出し!! ヒール剥き出し!! ヒール全開のッ!!」
「お前程度捻り潰すのに何の躊躇いもないという宣言ッッ!!!」

「一気に会場のボルテージが上がります!!」
「ここまで沸かせる正体不明のマスクガールの正体や如何にッッ!!!」

「観客席から割れんばかりのキル山本コールです」

マスクのフォックス > 「よいしょ」
そっとロープを握ってゆっくり降りる。
マイクを拾ってスイッチオン。よし。

「人間同士でやりあってイキるのが、どんだけ井の中の蛙かっちゅうことじゃ!
 見た目どうこうでない力…異能を知るおぬしも知らぬわけもあるまい!」
マイクOFF。一応まだしゃべるかもしれないから真ん中に投げた。

「いつでもいいぞ、教育してやる!」
低く腰を落として、両腕を前に出す構え。
質実剛健を地で行く、レスリングのそれである。
飛び込んでくるもよし、ロックアップからしかけて来るもよしだ。

「滾るのう…。 こうした肉のぶつかり合いは久しぶりじゃな…」
生き生きと暴れまわっていた遠い昔を、必死に頭の中からロードしながら深呼吸。
相手の一挙手一投足を見逃さんと眼光鋭く相手を見やった。

山本英治 >  
そうだ。彼女は教えようとしているんだ。
力だけが強さじゃないという、忘れそうな真理を。
──胸を借ります、☓☓☓先生ッ!!

なるほど、相手の構えはストロングスタイル(正統派)。
だったら俺のやることは……これだ。

大上段に両手を構え、相手の周りをゆっくりとステップで回った。

実況 >  
「ああっと!! 山本、マスク・ザ・フォックスの周囲を回りますッッ!!」
「古今東西、あらゆる格闘技において───」

「格下が格上の周りを回るものなのですッッ!!!」

「しかし格が上か下かで勝負が決まるなら何も面白いことなんてないッッ!!!」
「ここからはじまるのはッ死闘なのですッッ!!!」

「この割れんばかりのキル山本コール、壮観です」

マスクのフォックス > 「むっ……!」
先程の2連戦のように派手な入りではない。
相手のステップに呼応するように自分もじりじりと向きを変え、正対を保ち続ける。
硬い戦い方も十分心得ている…決して異能にまかせて戦うだけではない。
ちろりと舌で唇をなめる。 しっかりと戦う必要がある!
覚悟を決め、両腕を上げたままゆっくりと相手に迫る。

時折踏み込むような仕草を見せて、相手のテンポを崩そうとすることも忘れない。
そして、踏み込めばガッチリと組み合う距離に近づいて来たところで―――

「オラーッ!」
そのまま一気に踏み込んだ。 体格、筋力共に劣勢なのは心得ている。
ガッチリと組み合えば、自分が勝つ要素は見当たらない。
だが、それは相手と四肢が同じ場合だ。
威嚇するように、尻尾が立ち上がって揺らめいた。

山本英治 >  
!!
一気にマスク・ザ・フォックスが踏み込んでくる!!
そして相手を掴み、投げにいく。
その距離感が───殺される。

尻尾の揺らめき、それは陽炎にも似て。
生物が威嚇する際に尻尾を利用することの利と理を識るッ!!

だったら、こうだ!!

ナックルアローを大振りに振る。
回避するなら相手のターン、当たればこっちのもんだ!!

実況 >  
「山本、ここでナックルアローだぁぁぁぁ!!」
「矢の如く振り絞られた拳、どんなタフガイでも受けたくはありません!!」

「それでも、これは死闘なのです!!」
「華麗に舞うもいい、受けて返すもいい!!」

「それでもッ決してファンの心を裏切ってはならないのですッッ」

マスクのフォックス > 「ぬ”ッ!!」
相手の構えを見て姿勢を変えた。
両足、そして尻尾を床にしっかりと付け、頭で拳を受け止める。
衝撃に視界が歪み、一瞬ぐらりとゆらぎ…上体が傾ぐ。

「っふ――――ッ…!!」
どしんと音がなるぐらいに足を踏み鳴らし、その場に立つ。
相手を見上げて、にやりと笑って見せた。
そしてお返しとばかりに相手の腕を掴み、尻尾を絡ませる。

「でいやぁー!」
内側から外側に回転するように、両足と尻尾を使って思いっきり回った。
いわゆるドラゴンスクリューの構えである。

山本英治 >  
そうだよな。
相手の攻撃を避けていいなら、プロレスは楽だ。

「っしゃあ!!」

ナックルアローの後、構えをとって叫ぶ。
プロレスは……相手の攻撃を基本は避けない。
覚悟の総量が並の格闘家とは段違いだ。

そうだ、プロレスは───

「………ッッ」

ドラゴンスクリューの力に逆らわずに倒れる。
脚に奔る痛み、脚を抱えて悶絶する。
ド派手な攻防に観客が湧く。

プロレスはッ!! 骨を斬らせて!! 魂で穿つ!!

片膝で立つと、相手の頭を掴む。
ココナッツクラッシュだ!!

実況 >  
「恐ろしい光景ですッッ!!!」
「ドラゴンスクリュー、その異形の技……!!」
「あえて名をつけるならフォックススクリューとでも呼びましょうか!!」

「山本、悶絶ぅぅぅぅぅぅ~~~~~~~ッッ」

「それでも立ち上がって技を掛けにいきます!!」
「あの姿勢からココナッツクラッシュ狙い!!」
「ストロング・イズ・ファンタジー!!」

「ストロング・イズ・ビューティフルッッ!!!」

マスクのフォックス > 「っしゃァー!!」
倒れ込んだ相手を見て一声吼える。
プロレスは体格差ではない。 いかに戦うかなのだ。
体格で、筋力で劣るなら、そのぶん派手な動きでアピールする。
両足を広げて大きく身体を回転させた結果、綺麗に倒れ込む相手を見て舌を巻く。
そのままアンクルホールドに移ろうと飛びかかったところで、身体が動かなくなった。

「おおッ!?」
『掴まれている!』そう悟った瞬間に身体が浮き―――
先程よりも更に強烈な衝撃が頭に、脳に叩きつけられた。

「~~~~~~ッ!!!! …ッフ、ひ、ぃッ…!!」」

あまりの衝撃に脳が揺れる。 呼吸すら満足にできないほどのショック。
視界が歪み、呻くことしかできない。
頭を押さえ、足をバタバタさせながらのたうち回るも、素早く立ち上がる。
肩で息をしながら、”来い”と相手にジェスチャーでアピールした。

山本英治 >  
脚は痛む。
でも、格下ヒールは……飛んでナンボだろ!!

よろめいているマスク・ザ・フォックスにドロップキックを仕掛ける。
まともに当てれば昏倒させることもあるこの技。
相手を必要以上に痛めつけないように脚を当てて押すように放つのが最大のポイントだ。

「っしゃあ!!」

派手に!! 避けやすく!! 見栄えが良く!!
そして、どこまでも強く高く飛べッ!!!

実況 >  
「ココナッツクラッシュがまともに決まったぁぁぁぁ!!?」
「これは危険です!! しかし悶絶、されど闘魂潰えず!!」
「フォックスの“来い”だぁぁぁぁ!!!」

「ご覧ください、会場に割れんばかりのフォックスコール!!」
「そしてキル山本コールはもうありません!!」
「山本もまた、コールで応援されます!!」

「ドロップキックぅ!! 振ってくぅ!!」

マスクのフォックス > ふらつきながらのアピールに相手が答えた。
ドロップキックである。 見た目的にもド派手でかっこいい。
その場で跳ぶタイプを選択したということは、すなわち…返して見せろという意志である。
それなら自分のやることも一つ…その場で跳んでのドロップキック!
素早く構えてから、その場で跳ぶ。しかし、ここで相打ちドロップキックを狙うのではない。
相手より高く跳び、空中戦を制するそれが一番映えるはずだ!

「んんんあっしゃァー!」
相手と同様のスタンスだ。 お互いに当たってもダウンするほどではない。
だが、ドロップキック同士の空中線となれば見栄えはバッチリのはずだ。

山本英治 >  
そう来るよなぁ……!!
そして相殺、お互いに吹き飛んでッ!!
痛そうに転がる!!

そこから立ち上がり、ファイティングポーズだ!!

「まだ……終わっちゃいねーぜ!!」

叫んで相手を呼ぶ。
そろそろばっちりキメてくれよ、フォックス!!

実況 >  
「ああっとドロップキックを!! 同じ技で相殺したぁぁぁぁ!!!」
「非常に美しい、それでいて苛烈な技の応酬!!」

「戦いはクライマックスへ!!」

「どちらが勝っても、私は双方を拍手で迎えたいと思います!!」
「しかしそれを語るにはまだ早い!!!」

マスクのフォックス > 「その意気やよし!!」
久しぶりのハードワークである。 ちょっと走ってゲロをはいたあのときから、
頑張って身体を鍛え直していたけれど、それでもきつい。
しかし、疲労を魅せる事無く、再度構える。

「っしゃ――ッ!」
普通にぶつかっても相手と自分の体格差は歴然。
そんな状況で小さい方が”勝った”ことを示すには、これだ!

一気に飛びかかる。 狙う先は、相手の上半身…ではない!
さらにその上、肩口だった。 素早く相手に飛びつくようにして後ろに周り、
尻尾と両足を使ってホールド、更に細い腕を首に回さんとする。
立ちの姿勢から、しがみつくようにしての全力チョークスリーパーだ。
相手がそのままギブするか、あるいは振りほどくか…それ次第で、この勝負は決まる!

山本英治 >  
チョークスリーパーが。完全な形で入る。

「~~~~~ッッ!!」

顔を真っ赤にしながら、それでも倒れることはしない。
闘士(ファイター)が倒れる時は、諦めた時だけだ!!

なるほど、ホールドのタイミングも。
締める力も。
完璧だ………アンタ。

観客に見えるように派手に相手の腕を二回叩いてギブアップ。

アンタ……最高のファイターだよ。
その場に膝をつく。

実況 >  
「決まったぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「チョークスリーパー!!」
「これはッッ苦しいぃぃぃぃぃッ!!」

「山本、堪えきれずにギブアップ!!」
「ここに勝敗は決しました!!」

「しかし、終わってみれば非常に美しいバトル!!」
「古式ゆかしく、丁寧で、真剣で、真摯なプロレス!!」
「私はここに、拍手を惜しむことはしません!!」

「今夜を総括するならこの言葉………ワンダフルッッッ」
「この一語!!!」

マスクのフォックス > 「んぬあァ――――!!」
しっかりと両足を踏ん張り、尻尾を絡めてロックした上で、
細腕を相手の首に回し、ひねるようにして相手を締め上げる。
さっきの頭への2連撃が聞いているのか、意識が揺らぐ。
朦朧とする中、『早くギブしてくれ』と祈り続けて……。
それが10秒なのか、10分なのかもわからない中、たしかに相手がタップしたのを感じて、手を離した。

ぱっと相手から手を離し、その場に倒れ込む。
膝をつく相手と、倒れ込む自分。 試合に勝って勝負に負けたということだろう。

「クソ―、結局なんだかんだ言っても人ならざるものの利点を魅せることができなかったんじゃよ…。
 尻尾で延髄斬りしたり、尻尾を使ってSTF決めたり、そういう事もできたはずなんじゃが…。
 修行が足りんのう! 普段なら『またかかってこい!』というところじゃが…。
 また挑戦させてもらうからな!」
ひとしきりつぶやいてからのろのろ立ち上がり、相手に声をかける。
苦い勝利である。 そして、いいプロレスだった。

山本英治 >  
一方で俺は相手に言葉をかけない。
負けたからじゃない。
言葉以上に雄弁に語り合ったという確かな満足感があるからだ。

そしてがっちりと握手を交わし。
リングを降りていった。

今日は良い夢が見られそうだ。

実況 >  
「男、山本ッ!! 無言です!!」
「無言の握手!! それは漢の詩ッ!!」

「おこ………フォックスに惜しみない拍手が!!」
「会場いっぱいの歓声が!!」
「どこまでも続く賛辞が!!」

「今、響き渡ります!!」

「それでは本日は私、田中大鉄が実況をお送りしました」
「皆さん、忘れ物に気をつけておかえりください!!」

ご案内:「Tokoyo Ultimate Battle Stage」から山本英治さんが去りました。