2021/12/25 のログ
ご案内:「落第街の空きビル」に山本英治さんが現れました。
山本英治 >  
落第街の空きビルの片隅で、誘拐犯どもが金持ちの子供をさらっている。
ただそれだけの、ありふれた状況だ。

山本英治 >  
「良くないなぁ……」

アフロのサンタクロースは誘拐犯の前に現れる。
子供たちを守るために。
犯罪者を許さないために。

「今日はクリスマスだぜ? ワルい子はプレゼントがもらえない日だ」

アフロのサンタは誘拐犯たちの前で白いつけヒゲを撫でる。

「ああ、ちなみに15分前に風紀の仲間に連絡済みだ」
「5分でここを引き払わないとアンタら全員、地下補習って状況だ」

「だがプレゼント配りを終えたサンタさんは困った」
「犯行現場を目撃して、尾行した上で状況を見ていると泣き出した子供をお前らが殴ろうとしたからな」
「そういうのさ、俺ガマンなんねぇよ」

上虚下実。上半身をリラックスし、下半身で強く大地を踏む。

「時間稼ぎさせてもらうぜ、悪党ども!!」

異能が使えなくても。
力が衰えていても。

俺は風紀委員だ!!

犯人 >  
何がサンタだ。風紀の山本じゃねぇか。
カンフーの達人。だが異能を失って非覚醒者(マンデイン)同然になり、弱体化したって噂の。

「じゃあ俺らの答えはこうだッ!」

子供に拳銃を向けて。

山本英治 >  
子供に拳銃を向けた男に風のように飛びかかり。
相手の腕を掴んで銃口を逸らし、心意六合拳・単把(たんぱ)。
相手の胸に上から下に抉りこむように掌を浴びせた。

「お前らの相手は俺だッ!!」

単把は技の前に猫洗面という動作が入る。
猫が顔を洗うが如く、受け流す動作。
銃口を逸らすに容易く、次の一撃は虎の残酷さで打ち込まれる。

「次に同じことをしたらな、サンタの拳はてめーらの顔の骨を潰すぜ!!」

犯人 >  
単把を受け、一人が血を吐いて倒れ込む。
胸骨が折れている。それだけじゃない、全力で発勁を打ち込まれている。

「て、てめえええええええええぇぇ!!!」

拳銃、サブマシンガン、アサルトライフル。
とにかくこのフザけたサンタクロースに銃弾を撃ち込む。

ご案内:「落第街の空きビル」に園刃 華霧さんが現れました。
園刃 華霧 >  
この間の騒動から制服を新調。さあ今日も元気に……いや、その、なんだ。
"こんな日"だからって、色んなツケを返すついでに見回り手伝いなんてやったらコノザマってやつ

まさか緊急の捕物要請ってのが来るとは思わなかったわけ。
たまたま近かったから、サボるのもなー、と。
しぶしぶ現場に、一番乗り……一番? いや、こっそり覗いたらなんか変なサンタ?がいるぞ

「……」

で、よく見れば銃を持った奴らとアフロサンタ……いや、あれエイジじゃんか
なにやってんだ、アイツ……

ま、らしいっちゃらしいか
オッケー、敵味方はわかった

んじゃ、アタシのお仕事は、と

「……っし」

静かにその場を離れビルの外から、壁伝いに大きく回りこむように動く
危なげなく。空を歩くように

「派手にヤってンだ。外までは見エんだロ?」

そっと、死角の窓から中を覗き込み直す

山本英治 >  
外に園刃がいる。
俺はこの時、そのことには気付けず。
ただ、ただ。

「うおおおおおおおおおおおぉぉ!!」

自分に注目を向けるために叫びながら銃弾の雨を走って回避する。
進路上にいた銃を持った男に呂瑞芳式横拳を浴びせる。
俺の体格で走ってきて短勁を撃てば、もう轢いたに等しい。

それでもまだ犯人どもはいる!!
聖なる夜に子供の涙は似合わねぇ!!
絶対にこの状況を解決してみせる!!

犯人 >  
「ぐべ!?」

横拳を受けた男は、壁まで吹き飛ばされて気絶し、銃を落とす。

「異能だ、異能も使ってそいつを殺せぇ!!」
「今、そいつは異能が使えねぇんだ!!」
「搦め手への対処なんか、できるわけがねぇ!!」

叫びながら物陰に隠れた山本に銃を撃ちまくる。

「粘着質の糸を放出する異能ッ! 『アラクネ・ドミネート』!!」
「我が行使するは敵意に反応して空から襲いかかるピラニアを作り出す異能!! 『プレデターフィッシュ』!!」
「貫く空気弾ッ!! 『タッピングフレシェット』!!」

異能認知学。
異能の名を叫ぶことで、周囲に異能の存在を認知させ。
異能の出力とコントロールを高める小技。

子供たち >  
しばし、泣きながら戦いの様子を見ているしかできなかったけれど。

「お兄ちゃん、あれ……」

妹が兄の肩を叩いて、指差す。
窓の外に、女のひとがいる。

園刃 華霧 >  
「……うっワ。暑苦シいナ相変ワらズ……ット」

そろり、と窓から入り込む。静かに、静かに降りたって。
そこからはガキどもは割と近く


「そロっと、ナ」

と。そこで、なんか物騒なこと言い出してるな、こいつら

「しゃーネ―! 同時、ダ」

取り出した石をとりあえず、なんか構えてる異能を使いそうな連中に向けて打ち出しながら、疾走る
もうバレるとかなんとか、言ってる場合じゃない

「ガキども、伏セろ、ヨ!」

走る、走りながら、投石は続け……

山本英治 >  
柱の影に隠れていたが、回り込んで空中から襲いかかるピラニアのような魚。
覇王観陣の構えを取る。
防御的な構えから幻想の魚を全て堤手(ていしゅ)……
払う手で全て叩き落とす。

粘着質の糸に触れないように注意深く動き、殺意を読んで銃弾と空気の砲撃を避ける。

「おいおい、大丈夫かお前ら」
「牢屋でお仲間に『サンタさんにやられた』なんて言えるのか?」

挑発してさらに相手の注目を引くよう心がける。
間違っても子供たちに殺意なんか向けてくれるなよ。

異能の猛攻が収まる。
誰かの支援だ!! そしてこの声は!!
園刃か、ありがてぇ!!

「どっち向いてやがる!!」

混乱する犯人どもに一気呵成に飛びかかる。
翻子拳。長勁(ロング・パンチ)の連打を特徴とする拳法。
ボクシングにも似た軽やかなステップから、誘拐犯の鼻っ面に拳を叩き込む。

冷。寸勁のような突発勁。
弾。スプリングのように弾き出させる勁。
脆。テキパキと歯切れのよい炸裂音の鳴る連続打。
快。快速の身のこなし。
硬。強烈な一撃。

全てを手にした時、翻子拳は。

大口径の機関砲となる!!

犯人 >  
「!?」

石が飛んでくる、山本が仕掛けてくる!!
もう風紀の増援が来たのか、それとも!?

考えているうちに、仲間の大半を山本に叩き伏せられてしまい。

「お、おいおい………降参だよ…」
「ふ……風紀委員は武器を捨てた奴に暴力を振るうのか?」

主犯格の男は武器を捨てて両手を上げる。

園刃 華霧 >  
「……ット」

おーおー、いい感じにエイジがぶん殴ってるからこっちは楽だ
ガキどもの前に滑り込んで、とりあえずこっちは確保
万が一がないように、とりあえずアタシが前に立っておいて

「……降参、ネぇ?」

こういう手合の降参はどこまで本気か疑わしいところがあるが
まあとりあえず、判断はエイジに任せておいてこっちは様子見にしておく


「コッチはオッケー。そっチは任すヨ、エイジ!」

とりあえず、ひと声かけておく。

山本英治 >  
「ああ、助かったよ園刃」

両手を上げる男の前に近づき。

「風紀委員は戦闘の意思を無くした者に暴力を振るうことはない」

大仰に肩を竦めて、ぶんぶんと手を振って拳の血を飛ばして。
直後に大振りの右拳で男を殴り飛ばす。

「だからこれは子供を泣かせた悪漢へのサンタさんの怒りの鉄拳だ」

犯人 >  
「ぶげッ」

吹き飛んで気絶する。服の袖から隠していた拳銃が転がり落ちた。

園刃 華霧 >  
「あーア」

吹き飛ぶ男を見てため息一つ。
いやはや、無駄な抵抗ってやだねえ。

「……全治六ヶ月ッテとこカ?」

まあ自分じゃないし、いいや


「サ、て。もー少しダけ大人シくしとケ?」

ガキどもには声をかける

子どもたち > 「は、はい!」
「うん!」

園刃 華霧 >  
「よシ、いい返事ダ」

そこでエイジの方を向く


「……とンだサンタもいタもンだナ?
 手錠のプレゼント?」

けらけらと笑った

山本英治 >  
「手錠だけじゃ寂しかろうと思って鉄拳もくれてやったところだ」
「悪い子も良い夢を見てる頃さ」

気絶した全員を呆れた視線で見下ろして。

「さーて、良い子にしていた君たちへのサンタさんからのプレゼントはだな」
「これから両親の元へ安全に帰すことだ」

「トナカイのソリじゃあないが…お母さんとお父さんにいっぱい甘えるといい」

子供たちに事情を聞くのは後でいい。
そう、別に聖夜じゃなくていいさ。

「園刃、ありがとう。おかげで子供たちは無事だ」

園刃 華霧 >  
「やレやれ、仕事熱心ナこったナ?」

肩をすくめる

「よリによッテ、極悪サンタに見ツかるタぁ、コイツラも運がナい」

気絶した馬鹿を見渡す

「アタシは、ほットんどナんもシてナいよ。
 いつモのイイとこドり。大体エイジのヤったコトでしょ?」

けらけら笑う

「ン、で。ドーよ、最近は?」

山本英治 >  
「サンタさんは良い子の味方なのさ」

汚れた手をハンカチで拭って。
白い袋を担ぎ直す。

「極悪はねーだろ、こんなに素敵な髪型のサンタさんに向かってさ」

冗談めかして言って肩を揺らして笑う。
最近どうだと聞かれれば。

「今日の話なら、子供たちにプレゼントを配ってだな」
「この子たちがさらわれるのを見て尾行してこれだ」

「本当に、この頃の話なら……例のアレがまだ治ってなくて」
「いつ気が狂ってもおかしくない状態、だそうだ」

溜息をつく。このヒトにだけは知られたくなかったが。
嘘だけはつけない。

園刃 華霧 >  
「サンタは血まミれニゃ、ナらンだろーニ」

やれやれ、と肩をすくめる
このノリは相変わらずだな

「ハー、なルほドなー。
 んデ、プレゼントは……そいツ見る感じ、まダ配り終ワってナい?
 ってカさー。正直、ガキに泣カれタりしテなイ?」

じっと担がれた袋と、そしてさらわれた子どもたちを見たりしながら
からかうように言う

いやでもマジで、インパクトひどすぎるだろこの絵面

「ン。そッカ。
 まダ、駄目? 引きコもッテなイ分、マシかと思ったンだけド。」

ついで告げられた現状に
さらりと、言葉を返す

「ま、ドーせ言っテも聞かンって感じナんダろーケど。
 いーヤ、ほレ。頭貸せ」

こいこい、と手招きする

山本英治 >  
「俺だって好きで血塗れになったわけじゃあないさ」

ああ、借りた衣装が返り血でドロドロだ。
全く、どう言い訳すればいいんだか。

「いいや、終わったさ。これは余りだ」
「余らせるくらい持ってないと咄嗟のアドリブが効かないからな」

突然、別のがいいとか言い出す子供はいるのです。
本物のサンタさんも大変だ。

「なんすか」

訝しげに近づいていって。

園刃 華霧 >  
「ソりゃナー。好きデやッテなイだろーケどサ。
 エイジらシイっちゃエイジらしイ……いや、やッパ好きデやってンじゃネえ?
 もウちょット器用ニ生きロって気もスるナ?」

ふむ、とちょっと考えてみる。
別に血まみれになりたいわけでもないだろうが、
コイツの行動の結果、そうなるんだからやっぱ意図的じゃん、と思うわけだ。

「マ、そーユーとこ嫌いジゃなイけドさ」

おかげで、自分が救われた部分もあるのだから


「ソっか、ンじゃ手伝オーかと思ったケど。
 いらンお世話ダったかネ?」

配り終わってたらしい
わざわざ無駄に多く持ってきてる辺り、らしいっちゃらしいなあ

「ほレ、ボーシ。ズレまクってンだろ」

激しい戦闘で振り回され、アフロにギリギリ引っかかってた帽子を取る

「オマケ。よーシよし、ヨーがンばったナ?」

頭をなでて……みるん、だが毛が多いな、これ
もふもふとしかしねえ

「ほい」

で、帽子は戻す

山本英治 >  
「器用に生きたら楽だろうけどな」
「それじゃ助けられないものもいっぱいあるんだ…」
「と、サンタさんは考えてまーす!」

ニカッと笑ってニヒヒとわざとらしい笑い声。

「そう? じゃあ好き?」

ハハハと笑顔で聞いてみる。
俺の気持ちは継続中だ。

「園刃に手伝ってもらえるなら仕事をサボるんだったな」

そして頭を撫でられると。
くしゃりと表情を歪めて。

「ありがとう…これはお礼だ」

白い袋からクマのぬいぐるみを取り出して渡して。

「メリークリスマス、園刃」

外からは遠く、サイレンの音が聞こえてきていた。

聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな。
クリスマスの夜に、こんな小さな奇跡があったっていい。

そうだろ?

園刃 華霧 >  
「ま、ソーだナ。
 エイジらシいわ、ホント」

おどけて応える声に。言葉に。
けらけらと、笑って返す。
けらけらと。

「ン、あア。
 そーダな……」

さらりと問われたその言葉
けれど、その裏には別の思いがあるのも、わかる

「……少ナくとモ。
 身の回リの、大事なヤつってクらイにはナ」

わずかの間を置いて
精一杯の答えを、口にする

未だに、答えは、でていない

「……あァ。
 なンか悪いナ。」

白いくまのぬいぐるみを受け取る。
少し、考えて……結局抱えて持つことにする

「うン、メリークリスマス、だ。エイジ」

考えてみれば、こんな行事を意識したのは本当にごく最近のことだ。

――もしも、聖夜の奇跡、とやらが本当に在るというのなら
――せめて、この不器用な男に祝福を

そう、思わざるを得なかった

だって
そういう都合のいい話っていうのが、奇跡ってヤツだろ?