2022/11/30 のログ
ご案内:「Wings Tickle」に調香師さんが現れました。
ご案内:「Wings Tickle」にノーフェイスさんが現れました。
■ノーフェイス >
「――あれから結構経ったよなー。
あの時はまだ、この島に来たばっかりだったっけ」
吐く息の白い、冬と秋の境目。
遠い追想をしながらの歩は何時も通り、軽い。
――まさか学校に通わず一年を過ごすことになるとは。
なんて面白い経緯も既に十三ヶ月目、鼻歌混じりに歓楽街を歩く。
夕暮れ時、歓楽街。
街は代謝し、あの時の通りに入ると、知っている店だけならず知らない店もあった。
ただ気づいていなかっただけかもしれない、聖夜の前準備をし始めた人々の盛りにて、
入り込んでいく足取りは、眼を閉じればより濃く感じる心地よい香りに手を引かれて。
「――YO~HO~。 開いてるー?」
OPENの札が下がった扉を開いて、上体だけを入り込ませて中を覗き込む。
よく通る声がパフュームショップというにはどこか魔術的な装いの店舗のなかに響いた。
自分のことを覚えていない可能性もある――それならまだいい。
あの時運び込んだ店主ではなくなっている可能性もある。
卒業したり、"帰って"しまったり。その場合は、ちょっと考えないと、なんて。
■調香師 > 繁華街の街角にて、香りが誘うという事。それはまだ、誰かがそこに居るという事
『OPEN』の看板を構える扉は、やはり誰かの存在を暗示し続ける。貴女の目的に適うかどうか、それは覗いてみなければ
以上の神秘は、扉を開くという動作にて容易く暴かれる次第である
「いらっしゃい。ここで会うのは...初めてだね
ちょっと待ってね。うん、お久しぶりなんだ」
暗い店内に白い少女は居る。地に足を付いて、確かな現実に棲んでいるうちの1つ
目の前に駆け寄ってはお辞儀をしたのでした
「今日はお客さま、という事でいいのかな?」
固い笑顔で、首が傾く
■ノーフェイス >
「ひさしぶり。覚えててくれたんだ? 嬉しい!
――えー、お客さま以外の用件ってナニかある?
もちろん、プライベートでも仲良くさせて欲しいナ~、とは思うけど」
着込んだ衣服、見せつけるような白い首元。神秘的でもある空間に、俗っぽい気配が蠢く。
こちらはといえば、ニコニコと自然体の、人懐こい笑顔。
頭ひとつは余裕で違う体格差だ。
こちらが女としては上背が高いというのもあるが、僅かに腰を曲げて顔を近づけた。
「部活が軌道に乗ってきててね。
懐があったかくなってきたから、お客サマになりにきた」
同じ方向に、かくりと首を傾いでみせた。
「……ってか寒い寒い。 そーゆーコトだから中入っていい?」
お許しも得たと見て店内へ。
ジャケットを脱ぎながらに、お仕事のご相談――そういう店と聞いている。
量販品では得られない刺激がここにはあるとか――視線が動く。
「マッサージとかもやってるんだ。アロマテラピー的な」
■調香師 > 「うん、どうぞどうぞ。ジャケットは預かるね」
顔が近づけば、人に近付いただけの不自然な表情も強調されていくのだろうが。それ以上に彼女の態度は、お客様に対して真摯なもの
伸ばした腕がジャケットを預かれば、きちんと掛けて。作業机の対面、お互いに向き合う座席に案内をしたのでしょう
「あなたはきちんとであったことがある。間違いないね
あなたに助けて貰った事も、確かに覚えているよ
このお店は色々やっていて、『占い』もサービス中。そのどれを望むのか、このお店の初めましてだと話し合いたい所だけど
あなたはもう、決めているのかな?マッサージは知らなかったみたいだけど、『お客さまになりに来た』っていうのは、そういうこと?」
既にイメージがあるのか、イメージの発掘から手伝って欲しいのか。はたまた、マッサージにも興味があったり?
どの希望も例外なく、まずはこの席この位置で聞いていた
■ノーフェイス >
「ありがと。 ――助けたつもりは、なんて言葉遊びをしに来たワケでもない」
通されるまま客の作法に則り、椅子に腰を落ち着ける。
繁盛しているのかしら、なんて楽しそうに内装を見渡して。
「イイね。 そーゆー色々あります的なのスキ。
メニューが沢山あるお店ってわくわくしちゃうよな……えっと。
そーだね、来た用向きはひとつ、香水を作って欲しい、っていうのがあって――
ちなみに一回の来店でどれか一回だけだよね」
椅子の上でレッグスパンに恵まれる脚を組み組み、見開いた瞳で覗き込むような視線をむけた。
あれもこれも、というのは欲張りだが、要するところその場合、優先順位は既に決まっているのだ。
■調香師 > 「そのどれも、一回の来店で実はきちんと可能ではあるけれど
たくさんの希望があるのなら、分けておくのもおすすめだね?」
貴女が初めに見たメニュー表に目線を向ける。『三回目にはサービス』との内容。今全部を欲張りたいのでなければ、彼女の言葉の意味も伝わるのだろう
入り混じる香りの中に、甘いミルクティーの香り。机に置かれた鍋を混ぜて注ぐ。これは貴女の分と差し出される
自分の分もちゃっかりと用意して口を付けながら、それは黙っている。注文があるのなら、貴女の話し初めを待っている
貴女はきっと、『何が欲しいか』を知っているから。聞き役の態度なのだろう
■ノーフェイス >
「フフフ。 商売上手だこと。
でもイイな、通いやすいし、多分――たくさん通うことにはなると思う」
カップをとりあげ、香りを楽しむ。
ひとくち。茶葉に詳しいわけではないが、唇が自然と綻んだ。
「紅茶の飲み方は、これが一番スキなんだ。
もとの色がわからなくなる混ざったやつが」
もうひとくち。躰を内側から暖めると、手元に戻して向き直る。
「オーダーメイドで、客にあわせてつくってくれるって聞いた~。
ひとつあつらえて欲しいんだけど、ちょっと変わった注文になるかも。
……それは大丈夫かな?」
テーブルに肘をついて、ずい、と前に詰める。
プライベートで使う――恋人と会う、という感じではなくて、真面目な貌。
■調香師 > 「聞いてみない事には何も始まらない、かな?」
カップを置いて、表情を見上げる。人間味の欠けた光を返す瞳は、部屋の暗さも相まってよりいっそうの現実離れを演出する
この近さ故に、言葉は自然と小さく。互いに通じ合う、内緒話
「それが出来るかどうかは、あなたの言葉と思い出次第
そして私がその言葉を拾えるかどうか。機微をキチンと量れるかどうか
変わった注文っていうのなら、私の解釈方法とは違うのかもしれないけれど
それもまた、楽しいお仕事だと思えると嬉しい、かな?」
■ノーフェイス >
みずからの頬に、手を当てる。
演奏者の長い指が、とん、とん、と緩やかなリズムを刻む。
時計の針よりも何倍も遅い調子で、しかし規則正しく。
「まず」
それが、注文の本質ではない、と前置きをしておく。
「キミの所感でいいんだけど」
正解があることではない、ということも事前に伝えた上で。
「ボクに合う香り――ってどんな感じかな。
キミが作るなら、どういうものを作るか……
それを、まずは聞いてみたい。
一度、今日で二度めか……会ったボクがキミからしたらどう見えて、
どういう香りで飾るのが一番良いか、ってカンジ……?」
ちょっとした遊びのようなものだけれど。
表情は、至って真面目だ。爛々と輝く炎の色が、じっと茫洋とした光をみつめる。
■調香師 > 「あなたの香り?」
自身の中で正確な時を刻もうとも、指先が導く時の遅さは時間への感覚を欺かせる
口の前で指を合わせて考える時間。燃える色に対して凪の瞳の青。ぽう、と徒な間が過ぎる
「『飾る』じゃないね。あなたの印象で初めに感じ取ったのは『埃』
埋めた品に手を伸ばして、拾い上げる事を躊躇わない。清潔な広間より暗澹とした廃墟、最初に踏み入れる者
似合うって思っちゃった。匂いを嗅ぐには、あなたは遠すぎるという部分もね
最初に踏み込むって事は、気後れした人には追い付けないんだ。だから、あなたはあなたの印象で戦う事も、また間違えではないって私は感じてもいいんじゃないかな?」
一見、自分の責務を放棄した感想ではあるものの。『遊び』というに表現する事を躊躇わない
本題はこの後に待っていて、自分はきちんと働かないとダメ。あなたの為にもなりたいもの
■ノーフェイス >
「埃? ……埃かぁ……」
カップを手にとって口につけながら、印象を聴いている。
いまいちぴんとこない、という顔で視線をさまよわせる。
「――頑張れば褒めてもらってるって受け止められなくもないケド」
埃っぽいかなあ、とちょっと手首の袖を引っ張りながら鼻孔を近づけてみたり。
「綺麗なものはスキだよ。 でも死体よりは生きてる人のほうがスキ。
――暴くのもスキかな。 フロンティア・スピリットに溢れてるとは思わないけど。
怖がってちゃいられないよな。 廃墟のなかにナニがあるのか、現在を生きるヤツにはわからない。
……とってもワクワクするだろ。 一秒先もわからない闇のなかってさ」
もうひとくち。そして戻す。
ふう、と一息ついてから、苦い笑い。
「汗と埃にまみれなきゃ掴めない悦びもある。
キミはそういうのどう? 清潔な広間のほうにいたいタイプかな。
……いや、つまりボクに香水似合わないってコト?
つくれないとか……それならちょっとショックだな……」
評価をしてもらえている、気がする――が。
全く予想だにしないものが飛んできた。
まあ血や炎よりはマシか、と結論づけながらも。
こうした反応を予想していなかったわけではないだろう。
そして何より、"自分に合う香水"を作ってもらいに来たわけではない。今は。
「――じゃあ、さ。調香師さん」
ここからが本題、仕事の話。
両手をテーブルの上で組んでみて。
「そんな埃っぽいボクに、
"似合わない香水"ってどんなのかな。
だめなものってんじゃない。 むしろとびきり素敵なヤツでも。
ひとの個性に合わせるものなら、噛み合わないことも出てくるだろ?
キミがボクに合わせて作る時、"これはない"な、と思うのって。
どんな香りだろう? ボクはそれを作って欲しいんだ」
■調香師 > 「だって、仕方ないよね。すっごい気にされちゃったみたいだけど
私はそう言っちゃったし。絶対絶対悪い意味じゃないよ
決して作れない事ではない。『似合うもの』を考える時、そこから話を広げていくのが私の仕事。長い長い時間になるんだけどさ」
不機嫌にしてしまいかねない事を言ったのはこちらの方のはずなのに、唇を尖らせたのは少女の方。笑顔は下手でも、こういった感情の表現は妙に得意
「それで、あなたにとってはそうなんだね。今回の注文は『似合わないもの』
私の直感に反して、或いは自分の感覚すらも排して。つまりはある意味であなたの事を一番知る過程が必要なお願いかもしれないね。きっと、今日口にしたあなたが一番わかっていそうな事だけれども
私は、安心の方が好きなんだ。これがどれだけ得難いものか知ってるから
そこを踏み越えたのが今回の希望。今回は、あなたを壊して欲しいって注文なのかな?」
少女は首を傾ける
■ノーフェイス >
「ボクはつい先日壊されちゃったばかりだけれど」
苦笑を浮かべ、剥き出しの白い喉を演奏者の指が撫でる。
「ハードなプレイの要望と受け取られたら、ボクとしても残念だけど違う。
んー、あー、でも、そうだな」
だいぶ量も少なくなってしまった。
ずいぶん気に入りの味で、すぐ飲み干してしまうのはお行儀が悪かったかも。
椅子に深くもたれ、改めて彼女の問いかけにこたえる。
「ボクがやろうとしてること自体、ボク自身が常にひりひりするというか。
キミが好む安心からは少し遠いことになるかな。
キミの作品をそのために使わせてもらおうとしてた。
完成のために問答や、いろんなコトが必要なら、ボクは時間を惜しむつもりはないケド」
指を立てた。
注文通りに作る――という。言われた通りにすぐに調香をしていれば、言うつもりもなかったこと。
なるほど、こういう店なのか、と笑みを深めて、
断られるかな、という前提の覚悟を以て、掌をうえに向けた。
「話してもいいかな? なぜこういう注文をしようとしたか、を」
他言無用の話だよ、と前置きして。
■調香師 > 「勿論、聞かせてもらいたいな。ここで香りを作るのなら、いつも必要なものがある。持ち込んだお金よりも、お客さまの言葉」
喉を撫でた手つきに、目を細める。声にすると『いひひ』と、笑い声とするには歪な音
それは元々、自己の喜を表現する事は余り上手ではないらしい
「今回の注文に於いても、ソレは例外じゃないって言うよ
似合わない事。それは語られない事に限ったものからさ
私は得意、私の出来る事。だからきちんと聞いてあげる」
この部屋に満ちる芳香が誘う。少女はただの調香師でもなく、それこそ本当に『占い』を進めるかのような声色で続きを誘うことにしよう
夢中になっている間にでも、きっと新しいミルクティーがカップに注がれているに違いない
■ノーフェイス >
「――フフフ」
組んだ指をほどいて、指と指同士をつんつん、と触れ合わせていた。
誠実だなあ、と思う。あるいは、アーティスト……というよりはマイスターとでも。
だからこそ、彼女に"楽しい"を提供できればいいのだけれど。
「ありがとう。
有り体に言えば、ボクは"作法"に則るためにそれを必要としているんだ。
見て分からないかもしれないけど、ちょっと売れっ子になると表を歩くのが難しくなるだろ?」
肩を竦めて、冗談めかして切り出した。
よく話すなら、美味しいお茶は不可欠だ。
ひとくち。
「これもメニューに加えていいんじゃない。
ああえっと、それでね。 だからこそ、ボクが表通りを歩くなら、
ボクがボクじゃなくなる必要がある――業腹だし、らしくないケドね?
ただ、"平和の為には嘘も方便"というのが、秩序というヤツの作法なワケ」
キミにだって、秘密のひとつやふたつあるだろう、と。
カップを持たぬほうの手が、手振りで、悠々と物を語るのだ。
「どうせやるなら本気でやりたい。
ショー・マンの妥協は観る側には伝わっちゃうもんだしな?」
――そういう人間だ、と。
彼女のイマジネーションと、感性に、輪郭をかたちづくるように。
みずからの言葉で動機を紡ぐ。
■調香師 > 「なるほどね。言葉を変えるとすると『世を忍ぶ仮の姿』が欲しくなって。香りを1つの仮面として欲しくなった
これはあなたの空想じゃない。必要な時はそこにあって、だから私の下に来た。ちょっと懐に余裕が出来たって言ってたし、ここまでの流れはごくごく自然なものだったんだね?」
呼びかけられた『秘密』について、それは静かに笑う程度に留めていた
例えその全てを問われていたとしても、今この場で望んで言葉にはしないだろう。あなたは本当に、大切なお客さまだから
「だったら、そうだね。私の尋ねたい事
あなたは一体、何で有名になったのかな?
えひひ。そう、私はあなたを知らないの
一度出会って二度訪れて。あなたとの出会いは三度目じゃない
香りの事以外、あんまり情報を仕入れない弊害かなぁ」