2019/02/06 のログ
ご案内:「教室棟情報処理室」にセシルさんが現れました。
セシル > 試験期間が近いが、授業の中には試験の他にレポートを課すものもある。
レポートというものは基本的に形式が決まっており、中には「手書き不可」というものもある。
この世界に昔からいる人々の流れを汲む生徒であれば「手書きのみ」こそ苦痛であっても「手書き不可」が問題になることは少ないが、ここは異邦人の駆け込み寺としての側面も持つ学園都市である。

「………。」

放課後、モニターの前で若干渋みのある表情をしているセシルも、異世界出身故にどちらかといえば「手書き不可」に苦しめられるタイプの生徒であった。
…それでも、かつてに比べれば随分慣れたのだが。

セシル > (えーっと…)

キーボードを叩く指は、安定して使われているのは右手が3本、左手が2本。
基本的な打鍵のスピードは「ああ、ゆっくりめに打つ人いるよね」くらいなのだが、その割に、ミスがとても多い。

「…あ、ああっ…」

ふと、何かの間違いに時間差で気づいたらしい。絞り出すような声を出してがっくりと背もたれに体を預け、手で額を覆った。

セシル > (やはりレポートを一旦手書きで完成まで持っていくべきだったかな…)

デスクの傍らには、レポートの着想をまとめたらしいメモが置かれている。
この手の機器に慣れてきたものとして、今回は手書きはメモまでに留め、レポート本体はここで完成させるつもりだったらしい。
…結果として、思わずがっくりするほどの何かがあったようだが。

「………よし」

しかし、ガックリしているだけではレポートのミスは直らないし、ましてや完成もしない。
セシルは、眉間を軽く揉みほぐしてから、気合いを入れる掛け声を小さく発して体を起こした。

セシル > まずは、問題となっている文章を大幅に削除する。
まとまった文面であれば切り取ったり書き換えたりしてどこかで活用出来そうなものだが、何か違うらしい。

「………。」

小さく鋭い息を一つ吐いて、改めてモニターに向かい、キーボードを叩き始める。
…とはいっても速度が速度だし、ミスが減ったりもしないのでスラリとした外見との落差は尋常じゃないのだが。

これでも嘗てよりはだいぶ慣れたのである。これでも。