2020/06/13 のログ
深雪 > 「……ん……っ………。」

強引に、食むようにその唇を奪って…ゆっくりと身体を離す。
七生を見つめる深雪の瞳は、どこか、満足気で、嬉しそうなのに。

「……逃がさないわ、絶対逃がさない。」

そう呟くように言う言葉は、どこか、切実だった。
それからゆっくりと、腕を解いて、七生の身体を解放する。
降りるもそのままそこに居るも、七生の自由だ。

東雲 七生 > 「だから逃げないってば。」

解放され、元の七生が深雪に覆い被さる様な体勢に戻り。
深雪の言葉に七生は少しだけ困った様に笑った。
心の底から逃げるつもりはないと言うのに、どういえば伝わるのだろうと。

「まあ、絶対に捕まえてくれるだろうから、いっか。」

もし、万が一自分の意に反して深雪から離れる事があったとしても。
愛しいこの女性は、必ず自分の手元へと七生を引き戻すのだろうと、そんな確信が今の七生にはあった。

ふふ、と一人満足気に笑うと、そのまま深雪の胸元へと顔を埋めるように倒れ込む。

深雪 > 「…えぇ、そうね。絶対、絶対捕まえてあげる。」

優しく、愛おしむように、深雪の手のひらが七生を撫でる。
七生の言葉に嘘は無いと、もちろん分かっていた。
その気持ちは、心は、しっかりと伝わっていた。

「………貴方と出会えて良かったわ。」

その言葉は、小さく囁くように。
けれど七生にはしっかりと聞こえるように。
胸元に顔を埋めれば、ひんやりとした深雪の体温と、柔らかな膨らみ。
そして香水のような香りが、七生を包み込むだろう。

東雲 七生 > 「それ、なんか深雪が死んじゃいそうだから今際の際まで言うの禁止。」

結論出すの早過ぎ、と撫でられながらもムスッとした顔で深雪を見上げる。
まだまだもっともっと良かった、って思える事があるかもしれないし、と口を尖らせて不満を告げる。
言われて嬉しいけど、嬉しかったけど禁止、と。

「それに、言われなくても判ってるし。
 はぁ~……深雪の匂いー」

言うだけ言って満足げに頭を擦り付ける。
俺この匂い好きー、と臆面も無く宣言したり。

深雪 > 「ふふふ、何よそれ。私は死なないわ…絶対に、何があっても。」

おかしそうに笑ってそう言ったが、七生の言葉を聞けば…それもそうね。と、納得したように頷く。
もしかしたら本当に、このリボンを解いてくれるかもしれない。
いや、解くことは出来なかったとしても…こうして過ごす時間は幸せだった。

「…………………。」

胸元に七生の顔があって、七生が動くたびに、すこしだけくすぐったい。
それ以上に、匂い、なんて言われると、それだけで少しだけ…

「…………。」

…恥ずかしかった。
お返しにと、無言のまま、ぎゅっと頭を抱き締めて、押し付けてやろう。
匂いだとか言っていられないように、苦しいくらいに。

東雲 七生 > 「知ってる。」

微笑みながら短く肯く。
きっと自分の方が先に死ぬのだろう、と漠然と考えながらも口にはしない。口にすればきっと、深雪が怒るから。

「わわっ……深雪?」

急に抱き締められて、匂いが強くなる。
さすがに恥ずかしかったのかな、などと思いつつ、ふと。

「おやおや、深雪さんもしかして少し苦しい思いをさせてやろうと思ってる?
 だとしたら少し自己評価が過大ではー?」

服も着てるし目を瞠るほど大きい訳でも無い胸元は、割と隙間が一杯作れる。
呼吸をするにはまだ少し苦労しないのだった。悪い気はちっともしないけど。

深雪 > 決して貧しい体格なわけではない。
けれど確かに、豊満と言うほどでもない胸。
気にしている訳ではないし、それを指摘されても怒りは湧かない。

「……このまま、ぐしゃって空き缶みたいに潰されたいの?」

だからそれは、深雪の強がりだ。実際にそうするつもりなんて勿論ない。
ぎゅっと自分の胸に押し付けた七生を見て、その表情を見て…少しだけ、深雪の体温が上がったのが、七生に全てを教えてしまうだろう。

「…………意地悪ね。」

ぷいっとわざとらしくそっぽを向く。

東雲 七生 > 「へへ、図星ー。」

きゃー、なんてわざとらしく悲鳴を上げながらも腕の中から逃げる様なそぶりは見せない。
そんな事は絶対にしない、という確信ゆえに。

「ごめんごめん。
 それにほら……これ、金具が痛い。」

深雪がそっぽを向いたのを見て、少しだけ困った様に笑いながら謝る七生。
そしてそのままもにょもにょと言い訳をしながら、フロントホックを外してしまおうとしている。

深雪 > はしゃいでいる七生を、一瞬、頭蓋骨が軋むくらいぎゅっと抱きしめる。
けれど、苦しめたいわけではないから、すぐに開放した。

「……後で、って言ってなかったかしら?」

ホックを外そうとする七生に、深雪はそうとだけ言ってから…外しやすいように、少しだけ腕の力を緩める。

東雲 七生 > 「はぅあ!……い、いたたた。」

ぎゅっ、と頭を締め付けられれば、さながら気分は孫悟空。
解放されると同時に反省しつつ、てへ、と舌を出して。

「そうだよー、後で。これはただの準備、っと。こうか。」

不慣れな手つきで制服のシャツの上からホックを外せば、再び顔を埋めるように摺り寄る。
うん、痛くないと満足げに呟いて、そのままぎゅーっと自ら押し付けに。

深雪 > 「次は本気でやるわよ…?」

なんて言葉には怒気を込めようとするが、七生は怖がってもくれないだろう。
舌を出して笑う表情は、可愛らしかった。
でも、七生は、可愛らしい男の子。そう思っていたのは…

「………………もう。」

…間違いだったかもしれない。下着を外されて、シャツ越しに貴方を直に感じる。
きっと七生は、すこし柔らかくて、だいぶ温かくて…

「覚えてなさい?」

…少しだけ汗ばんだ深雪の、淫靡な匂いに包まれるだろう。

東雲 七生 > 「しっかり覚えとく。」

ふふっ、と笑い先程と同じ様に息を吸い込む。

「……うん、こっちの匂いも好き。深雪の匂い。」

すんすん、と鼻を鳴らしながら匂いを堪能していたが、ふと我に返る。
牛乳とピーチティーが悪くなってしまう、と身を起こして。

「深雪深雪、早く飲んじゃおう。後でお腹壊したら台無し!
 ……そんなことで中断したくないし、ね?」

最後の方だけ、やけに吐息が熱っぽくなったのは気のせいだろうか。

深雪 > 「…………。」

自分でも、汗ばんでいることが分かる。
七生にその匂いを嗅がれるのは、恥ずかしいけれど、嫌ではない。
その匂いが好きだと、七生がそう言ってくれるのは嬉しくて……それなら、もっと嗅がせてあげたい、なんて、自分でも変なことを考えていると思っていた。
それなのに、七生はすっと起き上がってしまう。

「…………。
もう……本当に調子乗ってるわね、七生。」

深雪はそうとだけ呟いて、ピーチティーを手に取った。

東雲 七生 > 「そんなことないって。」

急に何さ、と調子に乗ってると言われて否定する七生。
既にグラスの牛乳を半分ほどあけており、白いひげを作っている
その姿はどこまでも子供っぽい。いつもの七生である。

「良かったー、思ったほどぬるくなってないや。
 深雪の方は?ピーチティー、まだ冷たい?」

さっさと飲んじゃおうね、と声を掛けながら深雪を見やって。

「………。」

素肌にブラウスだけという状態で、さらに微かに汗ばんだ深雪の姿に思わず目を釘づけにされる。
殆ど自分でやった事なのにも関わらず、だ。

深雪 > ふー、とピーチティに息を吹きかける。
グラスが凍り付いて,急激に冷やされているのが分かるだろう。

「何か言ったかしら?」

すこしだけ得意げにそう告げる。
それを半分くらい飲んでから、その視線に気付いたのか…グラスをテーブルに置いて、身体を寄せる。

「……七生ばっかり気持ち良くなってたら、許さないからね?」

耳元で、小さくそう囁いた。

東雲 七生 > 「はひっ」

耳元で囁かれ、慌てて意識を引き戻す。
何処を見ていたのかと言及してこない深雪にほっとしたりしつつ、

「……うん、それはがんばるけど……
 でも、深雪さ。俺が気持ち良い時が一番気持ち良さそうだよ?」

少しだけバツが悪そうな顔をしながら、深雪をじっと見つめる。
そういうとこだぞ、と言われても仕方ないくらいにはまだ鈍感であった。

深雪 > 七生の視線と、純粋な言葉。

「………そう…それじゃ、覚悟するのね?」

図星を突かれた気恥ずかしさは、きっとこの後、七生にぶつけられるのだろう。

東雲 七生 > 「ひぇ……お、お手柔らかに。」

ぞわ、と背筋が寒くなるのを感じる。
海水浴場での顛末を思い出し、先の予想が出来ない恐怖と。

「……夕飯作る余力は残しとこうね?」

上気した頬でグラスに残った牛乳をあおる。
その顔は間違いなく、期待の色も浮かんでいた。

ご案内:「異邦人街・深雪の家」から深雪さんが去りました。
ご案内:「異邦人街・深雪の家」から東雲 七生さんが去りました。