2020/06/18 のログ
■ヨキ > 「有難う。誰よりも努力家のお前に認めてもらえるのは、心地がいい。
お前のくれたきっかけは、ヨキにとって大きな一歩だったよ」
獅南が胸に挿した万年筆と、彼の顔とを交互に見て微笑む。
「ああ。お前の相棒にしてくれ」
誕生日についての答えに、そっか、と短く呟いて。
「……いや。
ヨキの教え子に、異能のために満足に友人を作れぬ者があってな。
季節のイベントを、満足に楽しむことも出来ん。
それを思うと、その教え子のことも、お前のことも、ヨキが生きている限りは祝福してやりたいと思うてな。
真にやりたいことをやれるだけの人生を、思うままに過ごして欲しいと思うのだ。
ヨキがこうして、人間の生を謳歌しているようにな。
ふふ。もしかすると、ヨキは人を甘やかしすぎておるやも知れんな」
■獅南蒼二 > 「事実を言っただけだ…まぁ,バイクに関しては,私の影響かも知れんがね。
まさか私より先に免許を取るとは思いもよらなかった。」
バイクの話になれば,少しだけ,楽しげに笑う。
軽く胸の万年筆を触って,そうしよう。と素直に頷き…
「…この島には,そんな人物など掃いて捨てるほど居るだろう。
落第街にでも顔を出せば,それこそ,な。」
…そう返しはしたものの,貴方の言葉には…小さく何度か頷く。
誕生日を祝われた記憶など,頭の片隅にふわりと残る程度。それがいつのことなのかも,分からない。
少なくとも,弟が生まれる前のことだろうとは,思うが…
「…まぁ,お前の目指す理想としては,実に“らしい”と思うがね。
お前が祝福できる人数,お前の両腕に抱えられる人数は限られている……そうだろう?」
その中の一人が自分だということは…そう,悪い気はしない。
けれど…
「…そこから零れる教え子を,お前は見てみぬふりができるのか?」
■ヨキ > 「そのうち、お前と一緒に走りたくてね。海沿いの道が綺麗なんだ」
獅南の表情の変化は少ない。だからこそ、その微笑みを大事なもののように見つめる。
そうして、獅南の言葉に少しだけ目を伏せる。
ヨキの腕は長い。心は広く、余裕はある。それでも。
取り零してしまったものは、ある。
悔いるように、懐かしむように目を細めてから、生クリームの甘さで感慨を溶かす。
「うん。……うん。そうだな。
ヨキは見て見ぬふりなど出来ぬ。絶対に。
だからヨキは、ずうっとこの島で教師をやり続けるのだろうと、そう思う。
零さぬように子を育て、育てた子らがまた新たな子らを支えてゆけるように。
そうすれば――間接的には、取り零しがなくなるだろう?
お前からすれば、屁理屈に過ぎぬだろうがね」
笑う。ほんの少しのワインでも、獅南との空気に酔うように。
「ヨキは人間になって、随分と色々なことが変わったが――
この夢見がちなところは、いつまでも変わり映えがせんな」
それこそ、初めて会ったときから。
「こればかりは、ヨキが教師を続けるための糧だ」
■獅南蒼二 > 「いつでも行ってやると言っているだろう?」
無免許運転でいいなら。けれど,貴方はそれを許さない。
貴方が育てた教え子が,また誰かに手を差し伸べる。
理想論に過ぎないが,貴方一人の腕で全てを抱えるよりは,よほど現実的だ。
ふと,自分自身の教え子たちが頭を過る。
教え子に自分と同じ道を歩んでほしいなどとは,思っていない。
ただ,努力と研鑽に応じた力を得て,理不尽な力に対抗できるような人間になってくれればそれでいい。
きっと,“取りこぼす人数”は自分の方が多いだろう。
などと心の中で呟いて…
「…いや,お前らしい考え方だ。」
…小さくそうとだけ呟く。理想論と屁理屈を足して割ったようなものでも,貴方にとってそれは大切なものだと知っている。
ケーキをまた一口,頬張った。
きっと毎年祝うというその言葉に偽りはなく,来年も同じように祝ってくれるのだろう。
まったく,どこまで物好きなのかと,呆れてしまう。
けれど,何十年かぶりに食べたバースデーケーキは……美味しかった。
「夢見がちなのは私もそう変わらんだろうさ…
…それと,私を祝福してくれるのは構わんが,次からはワインではなくウィスキーにしてもらえないか?」
■ヨキ > 「……、」
しわくちゃな顔になる。
無免許運転と、獅南とのツーリング。すごくすごく、葛藤している顔だ。
「…………。行く。行きたい」
それで、折れた。ついに。
「教師としては、まったく“ヨキらしい”のに。
お前のことになると、つい“らしさ”を外れてしまうな。
まったく、誰よりも甘やかしてしまうよ」
次からはウィスキーをと乞われると、ふっと吹き出して。
「ふ、はは。甘さは控えめにしたつもりだが、お前には甘すぎたやもしれんのう。
判った、次からはウィスキーにしよう。それに合うケーキも、きちんと考えておくから」
どうしたって、誕生日にはケーキが不可欠らしい。
「友人にしては甲斐甲斐しすぎるか?
お前の世話を焼くのは、まだまだ辞められそうにないよ」
■獅南蒼二 > 貴方が“ルールを破る”ことを認める…それがどれほど稀なことか。
その葛藤も,しっかりと見ていた獅南は苦笑して…
「……まぁ,免許くらいすぐに取れるだろう。」
…小さくそうとだけ告げる。
無論教習に通うつもりはなくて,試験で一発取得を目指すはずだ。
もしかしたら魔術でチートするかもしれない。
らしさを外れてしまう。その言葉に獅南は苦笑する。
甘やかしてほしいなどと僅かほども思わないが…悪い気はしない。
「……ケーキ以外の何か,という選択肢は……無いんだな,そうか。」
表情で分かったのか,そこは素直に引き下がる。
「まぁ,恐らく異常だろうな。
他に友人と呼べるような者もいないから,比較は出来んがね。」
■ヨキ > 「!」
獅南の言葉に、ぴょんと背筋が伸びる。
顔中から、えらいぞ獅南、というオーラが迸っている。
「よかった……ヨキも公安を警戒する心配がないというものだ……」
思わず目頭を押さえてしまう。
「ケーキ以外に食べたいものがあるなら、何でも言ってくれていいんだぞ。
幸いにも、ヨキはほとんどのリクエストに応えるだけの腕があるからな」
ふふん、と鼻を鳴らす。
が、異常という言葉には口をへの字に曲げる。
「…………。辞めないからな」
そこは頑固だった。
コップに残ったワインをぐっと飲み干し、手酌で二杯目。
獅南にも注いでやりながら。
「教え子に、家族や“いい人”は居ないのかと訊かれてな。
お前のことでも話そうかと思ったが、止しておいた。無用な混乱の元だからのう」
■獅南蒼二 > 「……大袈裟すぎはしないか?」
後日,きっと1発で取得してくることでしょう。
魔術を使ったかどうかを聞くなんて,無粋なことをしてはいけません。
「知っているよ…まぁ,お前が食べたいもので構わん。
…このケーキも食べ慣れないのは確かだが,味は良いからな。」
度々差し入れを持ってきてくれているのだから,その腕はよく知っている。
そして貴方は,貴方の好きなものを作っても必ず,こちらに配慮した味付けにしてくれていた。
「…だろうと思ったよ。だから異常だと言うのだ。」
楽しげに笑って,こちらもワインを一口。
「賢明な判断だ…こんな馬鹿げたことを聞かされては,教え子が困るだけだろう。」
■ヨキ > 「何を言うか。教師が公安にしょっぴかれるなど、あってはいかんのだ。絶対に」
この話題になると、何故かしょっぴかれる前提だ。
「任せてくれて光栄だよ。
ヨキがお前を信頼しているくらい、お前もヨキの腕を信頼してくれているのだからな。
ふふふ。その褒め言葉ひとつで作った甲斐があった」
ケーキを食べ終えて、残りのワインをちびちび。
「何しろ、他に“いい人”が出来る見込みも、作る予定もなくてな。
さりとてここへ通い詰めでは、教え子から何か訊かれるのも時間の問題やも知れん」
軽い調子で笑う。
弁当箱だの、フードコンテナだの、お重だのといった食事を運ぶ姿は、もはや恒例となっている。
「よし、今夜はここへ泊ってやろう。
朝になったら、意味ありげにここから帰ってやる」
悪戯めかした顔で笑う。
とは言っても、この部屋に泊まり込むのも日常茶飯事で、今や大した出来事でもないのだけれど。
■獅南蒼二 > 「まぁ,言わんとしていることは分からんでもないがね。」
苦笑交じりにそうとだけ告げてから,ワインを飲み干す。
ケーキも最後のひと欠片を頬張って…
「…一つだけ注文だ。量はもう少し考えろ。」
…そんな風に付け加えて,笑う。
「私にそれを聞く生徒は居ないだろうからな…聞かれるならお前だ。
どう答えるのか,どんな反応を返すのか見物ではあるが…」
泊まる,と貴方が言いだせば溜息を吐く。
まぁ,そうなるだろうとは思っていた,とばかり。
「まったく,何がしたいのやら…
…泊まるのは構わんが,ソファが狭いとか,構えとか,はやく寝ろだとか,あれこれ言ったら叩き出すからな?」
■ヨキ > 獅南から付け加えられた注文に、眉を下げてふっと笑う。
「判ったよ、次からはもう少し考える。
そう言いつつ、全部食べてくれるのは有難いところだがね。
お前と過ごす時間は何でもかんでも楽しいからな。
ヨキが正直に答えるあまり、お前にも流れ弾が飛んで行くやも知れんぞ。
学生からの、お前を見る目も変わるかも」
良い方にではないかも知れないが、と笑って。
泊まることについて、あれこれ言ったら叩き出す、と言われてしまうと、途端に顔がしゅんとした。
言うつもりだったらしい。
「い……言わぬ。大人しくしておる。
だがくっついて寝ることくらいは許せよ」
いそいそと獅南の隣へ近付いてゆく。
が、その顔は叩き出されることを警戒してもいる。
どこまでやったらNGか、窺うみたいに。
■獅南蒼二 > 「そうは思わんな…
…お前が私に脅されている,とか,洗脳されている,とでも言われるのがオチだろう。」
苦笑交じりにそうとだけ言ってから,貴方の表情を見て察した。
図星だったな,と。
楽しげに笑いながら…隣に近付いてきた貴方を見て,
「…残念だが,休憩はここまでだ。
寝る前に今手を付けている部分くらいは,形にしておく必要があるのでな。」
■ヨキ > 「…………。お前、普段学生らからどんな目で見られておるんだ……」
苦笑い。漏れ聞こえてくる演習や試験の過酷さを思えば、さもありなん、だ。
獅南に制止されると、それこそ犬のようにぴたりと止まる。
「う……判った。今日はお前の誕生日で、お前が主役だ。
邪魔はせぬ。……邪魔はせぬから、無理はするなよな」
それだけ言って、ソファの隅まで引き下がる。
肘掛けを枕にごろりと横たわれば、間もなく寝息が聞こえてくる。
いくら簡素といえども、祝いの準備で気が張っていたのだろう。
酒気と穏やかな空間とに中てられて、夢の中に沈み込むのは早かった。
ご案内:「魔術学部棟第三研究室」からヨキさんが去りました。
■獅南蒼二 > 「……………。」
口には出さなかったが…妙に物分かりが良いな,と,そう思っていた。
宣言通りに作業に戻ったが…やがて貴方の寝息が聞こえれば,溜息と共に立ち上がる。
寒い時期ではないが,適当なタオルケットを貴方に被せて…
「……無理をしているのはお前の方ではないか?」
…小さくそうとだけ告げて,机へと戻った。
貴方が目覚めた頃には,獅南もまた,対面するソファで寝息を立てているだろう。
ご案内:「魔術学部棟第三研究室」から獅南蒼二さんが去りました。
ご案内:「ある日の落第街」に山本 英治さんが現れました。
■山本 英治 >
巡視中である。
落第街を風紀が大手を振って歩けば、当然ながら良い顔はされないのだが。
そこはまぁ、十分に気をつけて歩いている。
兎にも角にも髪型が目立つ。
それは満足しているのだが。満足していいのか?
とにかくアフロを揺らしながら落第街を歩いている。