2020/07/18 のログ
ご案内:「或る少女の見た夢」に227番さんが現れました。
■227番 > 黒い影が覆い隠す記憶の断片。
■227番 > ……ここはどこだろう。
暗闇だ。光も一切ないのか、自分の目をもってしても、何も見えない。
■227番 >
『227、起きて?検査(テスト)の時間だよ』
声がする。視界が明けていく。どうやら、目をつぶっていただけのようだ。
おかしいな。全く自覚がなかった。
だから、すぐに夢だと理解した。
いざこの夢を見る時になると、思い出してしまう。
抗えないことも、わかってしまう。
状況を確認しようと、私は周囲を見渡す。なんとも無機質な部屋だ。
目につくものは、水回りと3つのベッド、大きなガラスの窓。
おそらく鍵がかかっているだろう扉。そして、二人の子供。
私も、子供も、同じ白い服装をしている。
《ああ、この夢か……》
■227番 > 『あ、起きた……おはよう』
赤い髪の少女――226はにこりと笑う。
この子はここに来る前からの付き合いだ。名前はたしか……
「おはよう、り―『こら!ここでは番号でって言われたでしょう?』
『はぁ。全くいつになったら覚えるんだ』
悪態をついている黒い髪の少年は、225。彼はここに来てから出会った。
時間の感覚が鈍い私に呆れながらも付き合ってくれる、いい子だ。
『さ、準備して。廊下でセンセイが待ってるから』
■227番 > センセイ。白衣でメガネををつけた、白髪の人。
孤児院にやってきたときは、なにか調査と言っていた。
それから、226と私が選ばれた。あんまり気乗りしなかったけど、
孤児院に支援を貰えると聞いたので、役に立てるならと受け入れた。
今居るこの施設が、何処にあるのかは寝ていたのでわからない。
逆に言うと、寝れる程度には移動の時間は長かったので、遠くではある。
今日は最初の検査の日だった。検査の部屋の前の廊下で待つ。
225から…つまり番号順に、目の前の扉に入っていく。
『なんかね、この研究所は"戦争"を終わらせる研究をしてるんだって』
「誰に聞いたの?」
『センセイだよ。"戦争"が終わったら、孤児院、少しは楽になるかな』
「……なるといいね」
『うん。そのためにも、私達も協力しなきゃ……っと、順番だ。それじゃ、またね』
「うん、またね」
《……ダメだ。彼女を行かせてはいけない、止めて!》
■227番 > しかし、身体は動かない。決められた線をなぞるように。。
記憶に従って再生されているこの夢の結末を、捻じ曲げることは出来ない。
……225も、226も、部屋からは出てこない。退屈だ。
足をぶらぶらさせて待っていると、私の番になった。
扉を開ける。センセイと同じ格好の人が数人居て、225や226の姿はない。
促されて、検査用ベッドに横になると、急に視界がぼやけてフェードアウトする。
■227番 > やがて視界が戻ってくる。耳に違和感を感じるし、光がなんだか眩しい。
『すばらしい、ナンバー227。"君は"成功だよ』
「成功?どういう事?」
『我々が何の研究をしているかは、さっき聞いていたね』
「戦争を終わらせる……」
『そう。戦争。戦いを終わらせる方法で一番確実な方法はわかるかな?』
「……?」
『ナンバー227。戦いはね、相手が居ないと出来ないんだ。つまり、相手が居なくなれば、終わる。』
「戦いは、相手が、居ないと、できない……」
『そう。君は、我々の研究の大きな一歩の存在となる。
さて、そろそろ部屋に戻ろうか。二人が待っているよ』
《悪夢は、ここからだ》
■227番 > 程なくして、私は部屋に戻る。そこには225が居て。
『来るな!化け物!』
その視線の先には、グロテスクな"何か"がいて。
『ァ……XXXX……』
私の名前を呼んで、こう言った。
■226 > 『殺して』
■227番 > 状況から判断するに、"これ"が226なのだろう。
何故か自分はとても冷静に状況を見ていた。
だから、当然、私は躊躇った。
というか、殺すにしてもどうすれば良いのかもわからない。
グロテスクなそれは、呻きながらこちらを見ている。
立ち尽くしていると、視界になにか黒い影のようなものが浮かんで。
[指令。失敗作達を処分せよ]
身体の自由が奪われた。といっても、夢を見ている自分は、ずっとその状態だが。
グロテスクな"それ"へと、爪を立てて引き裂き。
そして、隣で恐怖に顔を歪める225の首へと、爪を──
■黒い影 > 『君はまだ……まだ忘れていたほうが良い。XXXX。』
その夢を、黒い影は覆い尽くす。
■227番 > 「……うぁあっ!」
飛び起きるように目が覚めた。怖い夢を見ていた気がする。
寝汗もすごい。結構うなされていたのか。
「ゆーり、どこ?ゆーり……」
ふらふらと寝床から離れていった。
ご案内:「或る少女の見た夢」から227番さんが去りました。