2020/08/25 のログ
■園刃 華霧 >
「うるっさい、馬鹿ッチェル!
アタシもオマエも馬鹿なんだよっ!」
思わず声を荒げる。
馬鹿は自分だ。
・・
自分だけで十分だ。
なんで、みんな馬鹿をするんだ。
自分よりよほど賢い連中のくせに……ッ
「アタシが、悪いとか!悪くない、とか!
そういう……問題……じゃっ……ッ?」
それに、たとえそうだとしても。
わかっていても、もっと早く気づいていれば。
もっと早く声をかけていれば。
そういう後悔は消えることはない。
「……なん、だよ……?」
それでも、何か、言おうと言うなら
それは、きかないと だ
■レイチェル >
「好きだ」
■レイチェル >
「華霧のことが、好きに……なっち……ま、ってた……」
胸の内の想いを、正直にそう伝えた。
飾らずに、抑えて。
■レイチェル >
「友達としてでもなく、親友としてでもなく、もっと特別な存在として……
ずっとずっと、一緒に居たいって……
寂しい思いをさせたく、ねぇって……
そう、思っち、まって……た……」
少しずつ、胸の内の思いを明かす。
■園刃 華霧 >
「ぅ……え、ぁ……?」
■レイチェル >
そして。
■レイチェル >
続く、胸の内の想い。溢れんばかりの想いは、しまって。
黙る。
黙るしか、なかった。
恥ずかしさで、耳まで真っ赤になっていたことだろう。
「……ごめん」
それだけ、口にした。
自分でも、びっくりするくらいか細い声だった。
■園刃 華霧 > 絞り出された言葉。
それが、ひどく空虚に耳から入って抜けていく。
「あやまんなくて、いい、よ」
まず絞り出せたのは、そんな言葉。
それは、大事な友人からの大事な告白。
――もっと特別な存在
きっと、それは喜ばしいこと、なのだろう。
だけれども
「……悪い……レイチェル」
続いて口から出たのは謝罪の言葉。
自分には、それしか言えない。
そして、いいたくない
その ことば
でも それは いわないと
こうへいでは ない
「アタシは……アタシは……
そういう、気持ち、が……わから、ない……
わから、ない……んだ……」
此処最近、なぜかそういう言葉をもらう機会があった。
それに、だいぶ昔にも。
それぞれに、それぞれの思いがあるのだろう。
それぞれに、それぞれの重さがあるはずだろう。
けれど、そのどれもが……自分には、わからなかった。
実感が、わかなかった。
まるで、他人事。
いや――
・・・・・・・・・・・
他人のほうがまだわかる
「だか、ら……ご、めん……
アタシ、なんて、いって……いい、か……」
嫌なわけではない、けれど。
どう応えていいのか、が。
自分には、分からない。
■レイチェル >
「良い、今は分からなくてもいい。それでいい。
悪いことなんか、全然ねぇさ」
それで、良い。
焦る必要なんて何処にもない。
だって、自分だってこの気持ちに気付いたばかりなんだ。
笑う。
今度こそ、くしゃっとした笑顔じゃない……かな。
「オレだって、完全にこの気持ちを理解しきれてる訳じゃねぇ。
だから、ここで答える必要は、ねぇ。
だから――」
笑顔を送る。
それでいいんだ、と。
■レイチェル >
「――もしよかったら、オレと一緒にその気持ちを、探して欲しい。
オレは、華霧と一緒にその気持ちを探したい」
わからないことを、一緒に探そう。
悩んだって、いい。
困ったって、いい。
一緒にいればきっと。
今のオレが伝えられる、精一杯の言葉だ。
そして紛うことなき、本心だった。
■園刃 華霧 >
「…………」
ああ……
探す?
探して、見つかるもの……なのか?
最初から、無いのかもしれない。
それすらも、自分にはわからない。
それなら。ダメ元でも探すのも悪くはない、のかもしれない。
しかし―ー
脳裏によぎる声
――考え直す気はない、この気持ちも言葉も引っ込める気はない
「……あぁ。
多分、それがいい……ん、だろう、な。
けど、多分……公平、じゃ……ない。」
不義理だから、と。
自分の秘密を明かしてくれて、
そして結局は別れてしまった相手がいる。
自分を見失いそうになりながら、
共に道を歩んでくれ、と言ってきた相手が居た。
あれから、彼も見ることはない。
それでも、まだ居るものは、居る。
「……アタシにさ。
こんな欠陥品みたいなアタシを好きだって、言ってる馬鹿が……
レイチェルみたいな、馬鹿が、いるんだ。」
恋とか愛とか、自分に関わってきた途端になんだかわからなくなる。
ただの欠陥品ではないのか。
正直、自信はない。ろくなことにならないのではないか、と。
だから、拒絶した。
拒絶したのに、まだ食いついてくる馬鹿。
それを"捨てる"ことは、自分には出来ない。
「だから……それ、ごめん。
いいよって……簡単には、言えない」
■レイチェル >
「そっか。他にも居たか、華霧に好きって伝えた奴が」
なるほど、まぁ華霧は可愛いからな。
引く手あまたかもしれない。
「でもまぁ……オレ、馬鹿だからさ。我儘、通すわ。
オレだって、譲る気はねぇ。関係ねぇ。だって――」
それがどうしたっていうんだ。
関係ねぇだろ。
「――オレ、華霧のことじゃ絶対負けねぇからさ」
笑う。
ああ、良かった。
本当に伝えたかった気持ちはこれだ。
自分が一番、華霧のことを抱きしめてやりたいんだって。
惨めにベッドの上なんかに居るけれど。
それでも。
「大好きだから」
もう一度、言ってやる。何度だって、言ってやる。
クソ、ぜってー耳まで赤い。
でも、不思議と胸は清々しいんだ。
「しかしまぁ、欠陥……ねぇ。
確かに欠陥だらけだよな、華霧は」
いやほんとに、よく困らされた。
軽く、笑い飛ばす。
でも、それってさ。
「大雑把だし、危なっかしくて仕方ねぇし、仕事はサボるし。
セクハラはするし、いつだってちょろちょろしてるし、
真剣に話しても笑って返してくるし。
恥も知らねぇし、可愛げもねぇし、いつだって適当なフリしてるし。
でもって何より、オレの気持ちに気付いてくれねぇし。
本当にどうしようもねぇ奴。
でも、さ。
向き合ってくれる時は真剣に向き合ってくれるし、
他人の問題を抱えてくれる。悩みも和らげてくれる。
結構色々考えてる時もある。自分に誇りを持ってる。
羨ましいくらいの行動力がある。
我儘を真剣に聞いてくれる。馬鹿に付き合ってくれる。
そんでもって何より、こんなオレの馬鹿話にも付き合ってくれる」
そう、華霧にも、良いところだって沢山あるのだ。
本当に沢山の良いところが。だから、好きになる。
どうしようもなく、好きになってしまうんだ。
「欠陥なんて、誰だって持ってる。オレだって、持ってる。
で、さ。
そんな欠陥も何もかも――
全部ひっくるめてオレは好きなんだ、華霧のことが」
『全部』だ。きっと『全部』、好きなんだ。
今知っていることは、全部。
だから、全部を差し出したいなんて、
馬鹿なこと考えちまう。でも、この馬鹿はとっても心地が良いんだ。
なぁ師匠、そうだろ?
「この気持ちは、絶対に誰にも負けねぇ。負けてたまるかよ」
笑う。
笑ってやる。
辛気臭い顔すんな、オレに対して申し訳無さそうな顔すんな。
オレは、お前のことじゃ絶対に負ける気しねぇからさ。
「オレは、お前の隣で未来を生きてやる。ずっと先までな」
■園刃 華霧 >
「……ったく、ほんと……
なんだって、アタシの周りって馬鹿だらけなんだ……」
……溜息をつく。
この諦めの悪さ。本当にどうしようもない。
いずれ、諦めの悪さに、この胸の が
解消されることがあるのだろうか。
わからない。
けれど、期待はしてもいいのかもしれない。
「……ってか、好き放題、いうな……
この馬鹿チェル……クソ」
本当によくもまあ、ここまで悪口が出るもんだ。
……自覚がないわけでもない。
自分はそういう生き物だから。
それを気に入ったって言うなら、まあ筋金入りだ。
馬鹿も馬鹿。キングオブ馬鹿だ。
もう、それはいい。
どうせ議論しても無駄だろうし。
じゃあ――
「……じゃ、勝手にしろ。
けどさ」
そうだ、肝心なことだ。
あまりに突拍子もないコトですっかり忘れていた。
「じゃあ、レイチェルは……この先、どうすんだよ……
アタシの隣で、未来を生きる……なら、どうやって、だよ……」
■レイチェル >
「悪ぃな、長く一緒に居ると悪口も出てくるもんだ。
良いところも、見えてくんだけどさ」
好き放題言うに決まってる。
『好き』なんだから。
「どうやってって……その答えはもう、
お前に渡してあるんだけどな」
水族館に行ったあの日、最後に渡した――
「――まー、オレが退院したらになっちまうけど
……うちに来いよ、華霧。飯くらい作ってやるからさ。
ただとは言わねぇ。それじゃお前申し訳なく感じるんだろ?
そういうタイプだし……だから、その……
血をさ……ちょっと分けてくれるとその……嬉しい……けど」
あー、駄目。
これは駄目だ、恥ずかしい!
クソ! 顔が真っ赤だ。
思わず目だけ背けてしまう。
でも、悪い提案じゃねーだろ?
って、オレは華霧の方を見てやった。
■園刃 華霧 >
「んだよ。
無駄に几帳面で、妙に可愛い物好きだったり、
頑固で、やたら過激なことはするし、変にお節介だし、
そのくせ、自分の身体がぶっ壊れるまで無茶するし……
あと、やたら胸でかいし、なんなのさ。ボール?」
言いたい放題言われたのだ。
こっちだっていい加減言いたい放題言い返したくなってきた。
決して、いい話で終わらせてやらない。
「……ああ、アレ。
いいよ、約束だし。勿論。
それで、レイチェルがどうにかなるなら……
血くらい、なんでもない。」
其のおまけについてくるものも、別に気にしない。
そもそも、そういう行為にあまり興味もない。
「……でも、さ。
正直、これまでの無茶がたたったりとか……
ちゃんと相談してくんなかったりとか。
アタシは、とても、気に入らない。」
そう、そこだ。
引っかかっているのは、それだ。
最初から、今だって、信じている。
だけれど、其の信用と、これは別問題。
びしり、と指を突きつける。
「だから、ちゃんと大丈夫ってアタシが納得できるまで。
レイチェルんとこ行くのは無しだ。
だいたい血を吸うだけなら、それでも別にいいだろ?」
多分、レイチェルにとってそれは意味のあることだ。
わかってる
ことわりたくない
でも それで
また たがえられたら
もう だから
ああ なんて ずるい
■レイチェル >
「うぐ……言ったな、この……」
まるで子どもの喧嘩である。
あの日のように。
でも、それが心地よかった。
いい話だけで終わらないこの話が、本当に心地よかった。
「……ああ、本当にそこは。
悪かったよ、悪かった……ごめん、ほんと……華霧を、
裏切るようなことをしちまって……」
改めて謝る。ほんと、いくら謝ったって足りないのだ、
今回のことは。
「……わ、分かった。それなら、大人しくする……
華霧を待ってるよ……」
びしり、と指をさされれば、耳が垂れる。
このことに関しては本当に、強気に出られない。
我ながら犬みたいで情けないものだ。
そこでふと、視界がふらつく。
そうか、薬が……。
「……こんな無茶なんて、もう……絶対しない……から……さ……
華霧を、二度と心配……させたく……ない……から……あんしん……
して……」
……ああ、クソ。
もっと、もっと話していたいのに。
もっと華霧を、感じていたいのに。
こんな、時に。
睡魔、が。
「……ごめ……かぎ………また……」
………。
■レイチェル >
「……あり、がと……」
■園刃 華霧 >
「……まったく。
アタシと話すために、さ……」
睡魔に敗北して眠りに落ちていく親友を見つめる。
本当に、もう――
「馬鹿だな、チェルちゃん。
それがもう、無茶じゃんかさ」
呆れたようにため息を付き。
それでも、少しだけ安心した笑顔を見せる。
「……ァ。
……土産の話、忘れてた。」
まさか、そんな下らないことで起こすわけにも行かない。
諦めて、持ってきた袋をベッドの側にそっと置く。
そして、最近やたら仕込まれた生花の手入れ。
持ってきた花と、飾られている花と。
一通りの作業を終わらせて……
病室を後にする。
残されたのは、
誰かが焼いたクッキーと
オレンジガーベラ
ご案内:「レイチェルの病室」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「レイチェルの病室」から園刃 華霧さんが去りました。