2020/08/26 のログ
ご案内:「夜の浜辺」に小鳥遊 巫優さんが現れました。
■小鳥遊 巫優 > 【待ち合わせ中です】
ご案内:「夜の浜辺」にラピスさんが現れました。
■ラピス > 「ん、それじゃ、少しばかりお時間を頂きまして。
まずはちょいと準備をば――えーと……これこれ」
ポケットに手を突っ込んで、取り出すのは青色の風船だ。
風船の吹口――口をつけて膨らます部分には、ぽわぽわと緑の燐光が着いている。
ついでポケットから金平糖の入った小瓶を取り出し、蓋を開けてから燐光に近づける。
刹那、燐光が瞬くと同時に、瓶の中身の金平糖が幾つか消えて、風船が膨らんだ。
「――っと、それじゃ、精霊さんが風船を膨らましてくれる間に自己紹介をば。
先生は、ラピスって言います。生活委員所属で、薬学の教師です。以後お見知りおきを」
にっこり、ペコンとご挨拶。
その間も風船は膨らんで、ポンポンに丸くなっていく。
やがて風船がしっかりと膨らみきったら、風船を彼女に差し出して。
「これ、割るなら掌と針、どっちが割りやすいでしょう?」
首を傾げつつ、彼女に問いかけてみよう。
■小鳥遊 巫優 > なぞの光が取り出された風船にくっついている。
とおもったら風船が膨らむ。
目の前の彼女は精霊、とはいうが。
(精霊なんてそんなの、いるんだ……)
「――え、あ。
せ、せんせい?
あ、えと、巫優、です。
小鳥遊 巫優」
よろしくおねがいします、と慌ててぺこり。
そして、膨らみ切った風船を見ながら質問には。
「えと……針、でしょうか」
と答える。
■ラピス > 「小鳥遊巫優……それじゃ、巫優ちゃんとお呼びしましょう。
先生のことは好きに呼んでください。ちゃんづけでも、呼び捨てでも」
よろしくー、とニコニコ笑顔でお返事を。
それから彼女の答えには、こくりと一つ頷いて。
「ほほう、それじゃ、巫優ちゃんはどうして針だと思ったのでしょう?
針だと思った理由を、先生に教えてくれると嬉しいかもですねー」
どうしてー? もう一度、こてんと小首を傾げてみせた。
■小鳥遊 巫優 > 「いえ…ちゃん付けは、少し……。
ラピス先生、と」
恐れ多い、とまでは言わないがあまり先生を友達感覚で呼ぶのは怖いためにやりたくない。
「針なら……えと、先端がとがっているおかげで……あの、刺さるから、穴が開きやすくて……」
ジェスチャーをしながら説明しようと。
先生、とはいっていたがどうみても小学生ゆえどこまで説明して通じるのかがわからず、変な説明になっていた。
■ラピス > 「うにょ、礼節がきちんとした良い子ですね。
まぁ、ちゃん付けはもっと仲良しになってからにしましょう」
彼女がそうしたいならそれで良い。
気にしないが故の放任主義だ。
「ん、えぇ、その通りです。掌と針では、風船に振れる面積が異なります。
もし仮に両方とも同じ力を掛けたとしたら、掌の場合は全体に力が分散します。
そして、針の場合は先っぽの尖った部分だけに掛けた力が集中する訳です」
彼女の言葉に頷きながら、教師っぽく言葉を足す。
これでもちゃんと先生なのですよ、と言わんばかりに。
「――さて、それじゃ、さっき巫優ちゃんが海に打った魔力弾は、どっちだったでしょうか?」
どっちかしら、と確認してみることにする。
■小鳥遊 巫優 > こくこく、と頷く。
よかった、流石にそこは強要されなかった。
さて、自分が撃った弾はどっちだったか。
水面を風船と例えれば。
そして、その結果。
「……掌」
そういいながら、優しく風船を手でたたく。
勿論、風船の限界を超えた力で叩けば割ることはできるが、それは求めている力ではない。
■ラピス > 問いかけに対する答えは、確かに正鵠を射ている。
それ故、へっぽこ教師は大きめに頷くと。
「その通りです。だから、さっきの魔力弾は、水面を貫通できなかったのです。
あのまま貫通させようとしたら、魔力弾じゃなくて、魔力ビームとかになっちゃいます。
同じ場所にずーっと力を掛け続けることで、水面の限界を超えようとする訳です」
ぽよん、と優しく叩かれた風船が僅かに跳ねる。
彼女の察している通り、風船の限界を超えれば、風船は割れる。
水面も同じ様に、限界を超える力を掛ければ、貫通自体は可能だろう。
しかしそれなら、魔力を放つよりも物質を射出したほうが遥かに効率が良い。
石を投げれば、それは水面を突き破って底に沈んでいくのだから。
「だけど、巫優ちゃんが練習していたのは、魔力の放出じゃなくて魔力弾の射出でした。
ですから、魔力弾の一発一発で、それぞれ水面を突き破りたいと思ってるのではないかな、と。
その場合は、風船を水面に例えるなら、魔力弾をどんな風にしてあげればよいでしょうか?」
まずはイメージをしてもらうことが先決かしら、と考えての問いかけだった。
滔々と言葉を紡ぐ少女は、講義をしているかのようにノリノリだった。
■小鳥遊 巫優 > 「ん……と……」
先端をとがらせてやればいい。
針とまではいわないにしても、鋭角を持たせてやる。
ただ……。
「……先生。
あの……魔力って、変形させることって、できるんですか?」
例えるなら粘土のように。
こねて形を変えることが出来るものなのか、と。
魔力がどういった物かもよく知らず。
ゆえに集めて圧縮しか発想できなかったが。
■ラピス > 「ん、飲み込みが早くて素晴らしいですねぇ」
思索する彼女の様子に、満足げなへっぽこ教師である。
先の話から答えを得てくれるなら、イメージについては問題ないはず。
その場合は、次の引っ掛かりがあるかを探すつもりだが――。
「……ほほう、魔力の変形、ですか。なるほど。
それじゃ、まずは今の巫優ちゃんが魔力弾を作る時の事を確認です。
魔力弾を作る時、巫優ちゃんはどうやって作っていますか?」
魔力弾を作り出す様子や放った結果は精密鑑定で確認済みだが、それは彼女の動作で生まれた事実のみだ。
彼女の思考やイメージなど、内面的な部分については、聞いて見るより他はない。
どんな感じなのかしら。知的好奇心とお節介に突き動かされながら、次の問を放り投げた。
■小鳥遊 巫優 > 「魔力弾の作り方……」
先ほどまでどう意識していたか。
「……魔力って、小さい球体、だと思ってるんです。
だからそれを集めて、ぎゅって押し固めて。
弾っぽくしたらそれで撃ってます」
まともにやれば、5の魔力でできるはずの弾。
それを、無意識で圧縮させ、さらに魔力を詰め込み。
結果として千や万の魔力を持って弾っぽく見せ、撃ち出している。
そしてそれらは結合させていないゆえに撃ち出した瞬間から霧散し、形を崩しながら飛んで相手にぶつかっている。
■ラピス > 「ふむふむ、つまり、巫優ちゃんにとっての魔力は、小さい球体。
そして、その通りになる様に魔力を固めて打っているのですね?
――それって、巫優ちゃんのイメージ通りに魔力の形を変えられているのでは?」
彼女にとってのイメージ通り、彼女の集めた魔力は変わっている。
ぎゅっと圧縮した魔力の玉を生み出して、打つ。そのイメージ通りのことが起きている。
ただ魔力を圧縮するだけだから、放った後は圧縮する力が無くなり、拡散していくのだ。
だとすれば、イメージを変えてみたらどうか。ふむむ、と頭の中で考えを練ってから。
「それじゃ、ですね。魔力弾を作る時のイメージを変えてみたらどうなるでしょうか。
打ち出すものや貫くものを意識するなら、矢とか槍とか弾丸のイメージとか。
一度、魔力は形を自由に変えられるものだと思って、やってみてはいかがでしょうか?」
今なら先生が見てますよー、と安心材料も提示も忘れずにしてみる。
これでも薬学教師で生活委員だ。怪我や体調不良の治療ならお手の物である。
■小鳥遊 巫優 > 「変えられ……てるんでしょうか?」
自分では認識できていない部分。
しかしもしかしたらそうかもしれない。
いや、そのように意識して、やってやれば。
「魔力は、形を変えられる……。
矢、槍、弾丸……」
魔力を手のうちに収束。
ほんの少しだけ集めた魔力を、まるで粘土をこねるかのように揉み動かし。
出来上がるのは矢ではない、しかし槍でもなく弾丸でもない。
先端は尖っているが、細長く、でこぼこの魔力塊。
図画工作は、苦手分野のようだ。
■ラピス > 「ん、少なくとも、魔力を集めて小さな球体にすることは出来ていますからね。
球にすることが出来るなら、イメージ次第でそれ以外にも出来ると思いますよ?」
眼前では、彼女が魔力を集め、練り上げ始めている。
その様子を見守る少女は、どきどきわくわく、興奮気味だ。
収束した魔力は、彼女のイメージに従ってその形を変える。
生まれたのは、何やら細長く、所々に凸凹がある魔力の塊だった。
とは言え、球体から大分変化したそれは、彼女が魔力の形を変えた何よりの証拠だ。
初めて魔力を弄ったのならば、成果としては十分なはず。ぱちぱちと拍手をしながら。
「ふふ、しっかり形を変えられましたね?
初めて形を変えたのなら、十分上出来だと思いますよ。
そうしたら次は、形を整える練習をしてみたらいかがでしょうか?」
凸凹が無くなって、スッキリとした棒状になれば、きっとしっかり真っ直ぐ飛ぶはず。
そうしたら、彼女が欲する、水面を貫通する魔力弾を実現できるかもしれない。
そんな事実が、可能性が、へっぽこ教師には自分のことのように嬉しかった。
■小鳥遊 巫優 > 「あ……はい。
ありがとう……ございます」
こんな不格好な魔力塊を見られて恥ずかしいが、しかし拍手されてしまい照れ。
照れながらこねこねと続けて、とりあえずはマシな形になっただろうか。
ボウガンの矢のような形にはなってしまっているが。
「……こ、こんな感じで、大丈夫、でしょうか」
■ラピス > 「ん、恥ずかしがる必要はありませんよ。初めてなら、必ずどこか直したくなりますし。
むしろ、初めてなのに自分のイメージに親しい形を作れたなら、上出来ですよー?」
基本褒めて伸ばすタイプの教師は、ニコニコ笑顔で褒め称える。
やる気な彼女はそのままコネコネと形を変えて、微調整を繰り返す。
その内生み出されるのは、ボウガンの矢のような形状の一本で。
「ん、大丈夫だと思いますよ。それじゃ、打ってみましょうか。
とりあえず、海の方に向けて、海に突き刺すような感じで!」
果たして棒状の魔力弾は、海面で霧散せずに貫通できるだろうか。
わくわくどきどき。結果が出ることを祈りながら、見守り継続中である。
■小鳥遊 巫優 > 見た目通りの優しい先生。
いや、むしろこの見た目で苛烈な先生だったらそれはそれで怖いのだが。
「は、はい。
えっと、それじゃ――シュート」
今度は指だけを海に向ける。
魔力矢は指先に従うように浮かび、合図で海へと放たれる。
飛行速度自体に変化はない。
が、問題はその後。
魔力矢が水面に触れた瞬間――。
爆散はせず、逆に無音で水中へと消えていく。
魔力光のおかげである程度はわかるが無事に水中へと潜ったようだった。
■ラピス > 放たれた魔力弾は、夜の闇を切り裂く様に疾駆して、黒い海面へと突き進む。
しかし、先程とは違うのは、海面に触れた瞬間に魔力弾が爆ぜなかったこと。
へっぽこ教師が花火かと思っていた破裂音ではなく、静かにとぷんと水中に消えていく。
それから、しんと静まれば潮騒の音。どうやら、彼女の魔力弾は無事に水面を貫いたらしい。
「……!!ふふ、出来たじゃないですかっ!おめでとうですよー!
ちゃんと爆発しないで、水面よりも向こうに行きましたねっ!よかったー!」
そのまま、海中を進んで彼方に消えていく魔力の光。
その名残を見送りながら、へっぽこ教師は喜色満面。
下手すると、魔力弾を打った彼女より喜んでいるかも知れない。
■小鳥遊 巫優 > 「……」
水面で爆発せず、すぐに減衰していったのを感覚でとらえたが。
しかし目標は達成できた。
貫通した。
「先生、ありがとうございます。
やり方、わかったと思います」
撃った本人はそれほど喜ぶ様子を見せないが。
しかし内心は嬉しく。
先生に向けてしっかりとお辞儀をして、その心を現そうとする。
■ラピス > 精密鑑定の異能を用いていないが故に、水面や水中での減衰まではわからない。
とは言え、彼女の欲していた水中に貫通する魔力弾という目標は達成できた。
それこそ喜ばしいことだから、へっぽこ教師は深く気にすることはなく。
「ん、いえいえ、先生は少しヒントを出しただけなのですよ。
考えて、努力して、実行したのは巫優ちゃんなのですからね。
巫優ちゃんは努力家ですから、感覚とコツを覚えれば、すぐに上手くなると思いますよ?」
しっかりとしたお辞儀を見届けて、ちょっぴり面映ゆくて照れ笑い。
真正面から感謝されると、それはそれでむずむずするものなのである。
■小鳥遊 巫優 > 「はい、あとは自動化と水中での減衰の対策とか、考えないと何ですけど……。
それはまたあとで。
今はこれをしっかりできるようになります」
これを最速で作り出し、連射が出来るようになるのが目標。
それができるようになるのはまだまだ先だろうけども。
「遅くまでありがとうございました先生。
もう、結構遅い時間なのに」
深夜とまではいかないが、日付変更は近くなってきている。
ここまで手伝ってくれた彼女は、ヒントをくれただけの人ではない。