2020/09/26 のログ
ご案内:「学園地区から続く川沿い」にオダ・エルネストさんが現れました。
オダ・エルネスト > (部屋設定文)
午後は雨上がり、秋らしく涼しくなりつつある。
 
学園地区から南へと続く川沿いの歩道を往く。
 
異邦人街に近づいた時に花屋が一軒ありました。

オダ・エルネスト > 朝から続いた雨は止み、午後からは晴れ間も見えている。
まだ空には雲があり、時折太陽を隠しては天使の梯子を地上へと下ろしていた。

最近まで人様の住居に我が物顔で居座っていた―――本人は、留守番でかの極東のむかしばなしにある武蔵坊弁慶のように死してなおこの場所を守護るのだとかなんだとか意気込んでいたりしたわけだが。
その場所にもようやく主人が帰った。

というにも関わらず、かの修道院へ足を向けてしまったのには苦笑してしまった。
なんだかんでしばらく留守にしていたのもあって忙しいのではないかと思うので、暇人たる自分が行くのもアレだなと男子寮へ足を向けはじめて、気づいた。



―――この道、通ったことねぇな。



という小学生かそれ以下の並の好奇心にて、川沿いの歩道を歩く。

オダ・エルネスト > 川沿いの道を歩いてみれば、赤い花が綺麗に一本の伸びた茎から咲いている。

彼岸花、と呼ばれる花だということは大うつけである青年も流石に知っている。
しかして、こうして川沿いの道に咲いているのを見れば、
赤いガイドラインのように見える。

「確か、お彼岸だったか……?」

《大変容》前から続く日本の――というか仏教の――文化だったか。
夏にはお盆というのがあったが、青年には差がよく分からない。
異文化はあまりちゃんと勉強してこなかったのだ。

オダ・エルネスト > しかし、雨上がりの冷えた空気は、歩いてやや上がる体温に心地よい。
だいぶ距離を歩いていると視界に一軒の花屋が目に入った。

黒いバケツに幾つもの花が置かれ、手書きの値札が貼られている。
華やかな季節花からどこか地味に感じる花まで置かれている。

「たまには、覗いてみるのもいいか」

これまで青年にとっては花とは魔術に使えるか使えないか、
食べれるか食べれないかという程度の認識しかなかった。

何か特別な用事があるわけでもないので
花屋へと足を踏み入れた。

オダ・エルネスト > 店に入れば、店員らしき人物がいらっしゃいませと声を上げた。
どうやら、お店の名前は『シガン』と言う名のようだ。
なにかお探しですか、と声をかけられるが、

「気にしないでくれ、ただの冷やかしだ」

と笑って応えた。
店内に入れば、外にあった花々よりも色鮮やかなものが置かれている。
恐らく外にあるものより管理が必要な花、というものなのだろう。
小さなサボテンとか、小さなビンに入ったマリモなんかも売られている。

オダ・エルネスト > 小物なんかの販売を見ていていいな、こういうのもとビンに入ったマリモを購入する事にした。
そんな時に一人、来客があった。

その来客は、少年のようにも思えたし、少女のようにも見えた。
幾つもの影が重なっているように見えた。
ただの人間のようで亜人のようで、そもそも人型ではないような。


―――しかし、


店員は、青年が来た時と同じように声を掛けて


『なにかお探しですか?』


と声をかけた。
すると、《影》は わからない と震えた。

『迷われているのですね、それではこちらをどうぞ』

そう言って、小さなおはぎ一つを手渡しする。
すると《影》は笑みを浮かべて頭を下げて、店を出ていく。

オダ・エルネスト > 青年は《影》が気になって、追うように店を出た。
すると《影》は歩道を越えて川へと足を伸ばしているところだった。

まるで、階段がそこにあるように影はゆっくりと上っていく。

ゆっくりと、―――その場所に陽の光が降りてくる。
光の眩しさに瞬きをしたら、《影》は消えていた。


「なんだったんだ……」

と足元を見れば、白い彼岸花が一輪だけそこにあった。
来た時には見かけなかったはず。

「っていうか、買おうとは決めたけど会計をしてな―――」

手に持ったビンに気づいて店に戻ろうと振り返れば、そこは廃墟だった。

オダ・エルネスト > お彼岸最終日の雨上がりの午後。

白昼夢でも見ていたかのような気分だったが、
手にした瓶だけは本物であった。


目に見えない、階段―――あるのかなと空中に踏み出して川に落ちたよ。

ご案内:「学園地区から続く川沿い」からオダ・エルネストさんが去りました。