2020/09/27 のログ
ご案内:「風紀委員会本庁 神宮司蒼太朗の執務室」に神代理央さんが現れました。
神宮司蒼太朗 >  
「……というわけで、晴れて新部隊設立。初代部長の座は君のものだ。
良かったねえ、神代君。君の意見が反映された部隊だよお?」

良く空調の利いた執務室。
巨大な書類棚に埋もれる様に、使い込まれた椅子に腰掛けて『飼い犬』である少年に視線を向ける。
今日の朝ごはんはシスタードーナッツンの朝ドナセット。
ドーナッツなのに穴が無い。まあ美味しければ良いんだけど。

「部隊名は君に馴染みのある国から取ってるし、もう至れり尽くせり!僕ってば優しいねえ。
今のところ、所属部員は君だけだけど…まあ、勧誘とかは適当にしてくれてて構わないよ。
予算は心配しなくていいし、指揮系統としては基本的に僕の直轄になる。
此れで、君も動きやすいだろう?」

執務机の上には、簡素な書体で作られた人事異動の書類。


【風紀委員:神代理央
本日より『特務広報部』への異動を命ずる。
合わせて、特務広報部部長へ任命する】

ただそれだけ。
うんうん。書類っていうのは此れくらい簡素で明確であるべきだ。
長ったらしい文面なんていらないんだよねえ、全く。

神代理央 >  
――何と白々しい事か。

机の上の辞令を眺めながら、浮かべるのは至って真面目な表情――ですら取り繕う事の出来ない、苦々しいもの。
そもそも、己が出した草案は
『武力の誇示によって違反組織の台頭を防ぐ』
『個人の力に頼らない戦闘集団』
として部隊を設立する、というものだった。

それが蓋を開けてみれば過激派の私兵。
無用な戦闘を行う事によって、違反組織からの敵意を煽り、風紀委員会の必要性を強調する。
そんな存在意義を、求めていた訳では無い。

「……御配慮頂き、有難う御座います。若輩者ではありますが、精一杯任を果たそうと思う次第です」

それでも、この事例に逆らう訳にはいかない。
最近己に起こった様々な事案を"処理"してくれていた彼には、少なからず恩義もある。
従って、この辞令に逆らうつもりもなければ、意義を唱えるつもりもない。

「……謹んで拝命させて頂きます。きっと、神宮司先輩のお役に立ちましょう」

だから。
己はこう言うしかないのだ。

神宮司蒼太朗 >  
「うんうん。その意気その意気。
さて、早速だけど仕事だよ。…と言っても、今回はちょっと部隊の意義からは離れるけど…」

よいしょ、と彼に差し出すのはとある怪異の資料。
『朧車』――通称『裏渋』と呼ばれる常世渋谷の異界化空間。
其処から発生した怪異の討伐命令が、各委員会に通達されていた。

「鉄道委員会の車両が此の怪異に浸食されかけたらしいよお。未然に終わったみたいだけどね、残念。
それは兎も角、特務広報部の初陣は機関車狩りだ。
精々頑張って、風紀委員会の評判を上げてくれたまえよ?」

ぱくぱくむしゃむしゃもぐもぐ。
ドーナッツを頬張りながら、ぐふふ、と彼に微笑む。
完璧な風紀スマイル。

神代理央 >  
――怪異討伐。
ふむ、と少し意外そうな表情で彼を見つめる。
初陣にしては存外まともだ。真面過ぎて不気味過ぎる。
とはいえ、資料を読みこんでみれば――成程。"己向き"の仕事だ。

「………了解しました。特務広報部は此れより、『朧車』の討伐任務に当たります。
『鉄火の支配者』の力、怪異共に見せつけてやりましょう」

自信満々、という表情で彼に応えてみせよう。
こういう仕事こそ、本来己がするべき事なのだから。

神宮司蒼太朗 >  
「はいはい、元気で宜しいね。それじゃ宜しく。
あ、辞令はちゃんと持って帰ってねえ。此処にあっても邪魔だからさあ」

話は終わった、とばかりに。
ドーナッツを頬張る仕事に戻るのだろうか。

神代理央 >  
「……分かりました。それでは、失礼致します」

一礼して、彼の部屋から立ち去る。
『特務広報部』――果たして、それがどの様な組織になるのか。
それを決めるのは最早、己では無いのだろう。

ご案内:「風紀委員会本庁 神宮司蒼太朗の執務室」から神代理央さんが去りました。