2021/02/04 のログ
比良坂 冥 >  
くすくす
バツが悪そうにしている少年に笑みを含ませる
デート?の約束も取り付けて、ご満悦といった表情だったが…

「……仕事が趣味…。なんだかおじさんみたい?」

率直な感想を述べながら、自分の趣味を問われる
んー、と口元に指をあてて考えて…

「…今はお料理。前に理央が褒めてくれたから。
 ……その前は…なんだったかな…?あ、そうだ…園芸…?」

二つ目に口にしたのは──前任者、風紀委員立花勇利の趣味
学生らしからぬ趣味は仲間内でも一種の笑い草であったらしい

「……それで今やりたいことは、理央と一つになるコト」

じぃ…まるでヘビが絡むような視線が向けられる

神代理央 >  
「お、おじさん…か。それは何と言うか…今迄で一番ダメージがあるな…。
…まあ、父様の真似事というか、そういう生き方を真似てしまっているというか……と、此れは関係の無い話だったな」

流石に、自分の家族の話までしてしまうのは…と、話題を打ち切る。
しかしそれは、初めて少年が少女に語った『仕事』以外の神代理央の一面…だったのかもしれない。

「……園芸?園芸……か。そうか…」

立花勇利と直接面識があった訳では無い。
また、比良坂冥の監視担当であったことも、知っていた訳では無かった。
けれど、『立花勇利が園芸を趣味にしている』事は、噂話でも聞いたことがある。聞いたことがあるから――浮かべる表情は、複雑なものになるだろうか。

その表情は、次いで少女が告げた言葉に――より複雑な。困惑と、疑問を綯い交ぜにした様なものへと深まるだろうか。

「……それは、その…。言葉通りの意味で受け取っても良いのかな。
冥には、なるべく自分の身体を大事にして欲しいし…そういうのは、もう少し色んな人と出会って、本当にそうしたい相手と、するべきだと思うんだけど…」

絡みつく様な視線。
敵意には慣れている。友愛や親愛の視線も、受けた事がないとは言わない。
けれど、今少女が己に向ける視線は、その色は――。
感じた事の無い、ナニか、だった。

比良坂 冥 >  
「……ふふ。関係なくても、理央の色々、知れて嬉しいな──」

家族の話、それは文字通り距離感の近い相手にしか、普通は話さない
途中で区切られてしまったのは残念だけど、それでも少女は嬉しげに

『立花勇利の趣味である、園芸』
複雑な表情を浮かべた理央を冥は当然、見逃さない
ちゃんと、知ってるんだね、と
口には出さないまでも、その口元に深い笑みをして浮かべて──
ぱっと、冥の表情は切り替わる
ぼんやりとした、いつも通りの冥の顔

「……そうだよ。言葉通り。
 身体を大事に、って理央はいうけど。そんなに理央がヒドいこと私にするとも思えないし…。
 本当にそうしたい人は、今、目の前にいるし…今後他に出てくる可能性があるとは限らないよね」

ゆっくりとした喋りだし、ただし話し始めればスピードはともかく、饒舌

「……どうしてもえっちしたくない理由とかが、あるのかな」

蛇が軒先からするりと音もなく侵入してくるように
気づけば理央の心の内へ、内へ、と…入り込もうとする──

神代理央 >  
「……そうか。まあ、偶にはこういう話も良いかも知れないな」

己の事が知れて嬉しい、と告げる少女に照れた様にそっぽを向く。
お互いの事を、もっとゆっくり話をしても良いかも知れないな、なんて思っていた。
――しかし、そんな穏やかな思考は、浸食する様な少女の言葉に。
僅かに垣間見せる雰囲気に。ゆっくりと掻き消えていく事になる。
少女が一瞬浮かべた、深い深い笑み。
それに気付いた。気付いてしまったから。

「……確かに、酷い事はしないさ。それはまあ、約束しよう。
しかし、私は風紀委員という立場で冥に声をかけて、こうして保護している。冥の感情は、保護された事への感謝…とは、ちょっと違うかも知れないが…。何と言えば良いのか…」

じわじわと、心の中へ。
次第に、少女の言葉を否定する言葉が、勢いを無くしていく。

「……別に、そんな理由があるわけじゃない。私だって健全な男子だ。冥くらい可愛い女の子に迫られれば、思う所もある。
しかし、冥にはもう少し健全な出会い、というか。学園で素敵な出会いがあるんじゃないか、とも思うんだ。
今の儘ではその…身体目当てで、冥を保護した様な…そんな風に、なりたくは、ない」

それでも、未だ首を縦には振らず。
"保護している"という想いが強いからこそ、少女にはもっと相応しい相手がいるのではないか。その出会いを、自分が取り上げているのではないか、との危惧が強い。
己の様に、仕事ばかり。その仕事も暴力沙汰。そんな男より、相応しい男が居るんじゃないかと、困った様に笑うのだ。

比良坂 冥 >  
「──そっか」

少女は最後まで理央の言葉を、話を聞いてそう零した

「……そんなことに拘らなくてもいいのに。
 触れ合って、お互いの距離をなくして、溶け合って…
 それでようやく、素敵な出会いだった…って気づくものだと思うな」

「──…身体も触れ合えないのに、心が触れ合えるわけがないもの」

身体というガワがある分、心は体よりも遠い
少女が言わんとしていることは、倫理的には通らない
しかしその在り方、それに求めるもの…
それだけはとても素直な欲求だという想い
それは、確かだった

「……じゃあ、どうして理央は自分よりも素晴らしい人がいる、なんて思うの?
 私は理央が一番なのに。…お仕事で、あんまり構ってあげられないから…?
 それとも…女の子を誰か、不幸にしたことがある……とか?」

ずるり、ずるり
まるで這いずるような速度でその心に絡みついてゆこうとする──

神代理央 >  
「…身体からの関係というのも、一概に否定はしないが…。
しかし、それは……」

それは、己にとって果たして正しい事なのだろうか。
仮に、少女の言葉の儘に躰を重ねたとして――それは単に、己の欲望を発散させる為の手段になってしまわないだろうか。

純粋で、素直な欲求をぶつける少女と、自縛の精神を拗らせた少年。
しかし、陰謀策謀の類なら兎も角――そういった心理戦は、少女に一歩、一日の長がある。

「それは……そうだな。大凡、冥の言う通りだ。
私は仕事…公務に重きを置く。現に今も、冥に寂しい思いをさせて、いる。
……それに、不幸にした事だって、ある。私の仕事は、危険の伴うものが多い。唯でさえ、傍にいる時間も少ないのに、その内容だって誰かに心配をかける事が多いものばかりだ。
だから…だから…」

かちゃん、とカップがテーブルに置かれる音。
正しく蛇の様に己の心に這い寄る少女に、嘘をつく事も出来ず、否定も出来ず。
最後の砦は、己の欲望を律する精神だけ。それだけを頼りに、少女から視線を逸らし、俯き加減に言葉を零すのだろうか。

比良坂 冥 >  
「……」

ソファから立ち上がり、椅子に座る理央の後ろへ
そのまま両腕を首元にまわして、後ろから…ゆったりと抱きしめるように

「……私は理央の側にいても不幸にならないよ」

少しだけ抱く強さを強めて、耳元で小さくそう囁く

「……寂しさは、好きだから感じるもの。
 理央ならちゃんと、その隙間を埋めてくれる。さっきだって、デートの約束、してくれたよね…?」

後ろから抱きしめる冥の表情は理央からは伺えない
笑っているのか、いつもどおりの表情なのか、穏やかであるのか、声色からは読み取れず──

「……理央のために私が何かを犠牲にしたり、傷つくことだって、ない。
 理央が、それを喜ばない人だってことは、なんとなくわかるから──」

擽るような少女の声
見透かすような、心に直接囁くような、異質な感覚──
そっと、冥は腕を解いて、一歩だけ、後ろへさがる

「──…貴方が私を嫌いにならない限り、私は幸せでいれる。
 ……少しくらいは、我儘も言ったりすることもあるかもしれないけど」

薄く瞳を細めて、微笑う

神代理央 >  
首元から感じる、少女の柔らかな感触。
そして、耳元に囁かれる言葉。

「……不幸にならない、か。その自信が何処から沸いて来るのか、不思議に思うよ」

憎まれ口の様な言葉ではあるが、その言葉に力はない。
少女の表情を伺う事も出来ず、唯、耳元を擽る少女の言葉が耳から響くばかり。

「……本当に、冥は私の事を良く知っているな。
……本当に、驚くくらいに、私の事を理解している」

普通の人間であれば、心の奥底まで見透かす様な少女の言葉を。
心に直接言葉を刷り込む様な少女を、きっと忌避するのだろうか。
――しかし、言葉を交わし合う少年と少女は、そうはならなかった。
少なくとも少年は、元より少女に対して庇護の感情を抱いてた。
仕事で保護したとはいえ、精神面が不安定に見える少女を守ってやらねばと思っていた。
そして、健気に純粋に己に想いを訴える少女に絆されていないとは――決して、言えないのだ。

「……私が冥を嫌いにならない限り、か。…私は、冥が悪い事をしない限りは、決して嫌いにならないよ。
冥の我儘くらいなら、可愛いものだし」

一歩距離を置いた少女に、振り返って視線だけ向けて。
瞳を細めて微笑う少女に、クスリと笑ってみせるのだろうか。

比良坂 冥 >  
「……だって、私は理央を否定しないもの。
 貴方の仕事が危険な仕事だって言うなら、無理にその側に行こうとも想わない。
 ちゃんと、此処で理央の帰りを待ってる。どこにもいかない──」

長い時間一緒にいたい気持ちは変わらない
けれど、それで理央の仕事に着いていったりすることはない

「……こんなに広い家に帰ってきて、誰もおかえりって言ってくれる人がいないのは、寂しいもんね」
 だから、ちゃんと理央が帰ってくる限りは…私は幸せ、不幸にならない。
 ……その代わりちゃんと帰って来てくれないと、困るけど」

振り返り、笑みを見せる理央

「……私も、理央が私を嫌いにならない限りは、悪いコト、しないけど」

笑い合う
光景だけを見れば…ある意味不器用な人間同士の他愛のない、心温まる会話にも見えるだろうか
しかし──

「……ところで理央って──」

「──異能が使えなくなっても、お仕事続ける?」

神代理央 > 「……なら、きちんと帰って来ないといけないな。
冥がお帰り、って言ってくれるなら、私はただいま、と言わねばならないだろう。……迂闊に寄り道はしない様にしなければなるまいな?」
 
そう、不器用で穏やかで。
傷を持つ者同士が、ゆっくりと距離を詰める様な。
そんな会話――だった。

しかし、少女から続けて投げかけられた言葉には。
一瞬その意味を測りかねる様に首を傾げつつも、直ぐにゆっくりと首を振るのだろう。

「…いや、続けるさ。例え私が異能を使えなくなったとしても、それでもきっと、何か出来る事が有る筈だから。
……まあ、今ほど前線で役に立つ事は出来ないかも知れないけど、それでも私には守ってやらねばならない部下達もいるしな」

思い浮かべるのは、特務広報部の面々。
己が飼う猟犬であり、今では随分と頼りになる部下達。
相変わらず素行は悪いが、それでも大切な部下である事には変わりないのだ。

だから――"彼等の為にも仕事は続ける"と、穏やかに微笑んで、少女に告げるのだろう。

比良坂 冥 >  
「……そう。ほら、異能って急に使えなくなったり…みたいな人もいるみたいだから…。
 そうなったら、少し心配だな、って、思ったけど……」

昏い瞳が薄く、細くなってゆく

「……大事な部下さんが、いるんだ。
 戦えなくっても、お仕事はやめられないんだね」

そっか、と
表情を笑顔に作り変え、やっぱり笑う

──じゃあ、全部なくなったらお仕事いかなくなるのかなあ

「……たくさんお話したら疲れちゃった。そろそろ…寝ようかな…?──一緒に寝る…?」

クスリと、笑みを交えた冗談じみた言葉
まだ彼が…理央が自分を受け入れるにいまいち踏み切れないことは十分に理解っている
帰ってくる答えも、それなりに想定済みの、軽いジョーク

神代理央 >  
「…確かに、そういう症状に見舞われた者の話も、聞いたことが無い訳ではない。しかし、大丈夫だよ。少なくとも、異能が使えなくなっても委員会活動は出来るし…冥の夕食代くらいは、きちんと稼いでみせるさ」

先程までの、穏やかなやり取りがあったが故に。
少女に対して、少しだけ心を開いてしまったが故に。
――その真意に、気付く事が出来ない。少女の深淵に気付かない。
向けられる敵意に聡く、多くの生死の危機を乗り越えて来た経験があったとしても。――少女のソレは、決して敵意では無いが故に。

或いは、既に囚われ始めているのかもしれない。
比良坂冥、という少女に。ゆっくりと。しかし、確実に。
だから、作り変えられた少女の笑みに…穏やかに、素直に、微笑み返してしまうのだ。

「……別に構わないぞ?勿論、大人しく寝る事が条件だけどな」

だから、少女の冗談めいた言葉には…悪戯心を交えた声色と共に、頷いてみせるのだろう。
少女を未だ完全に受け入れる事は出来ずとも、褥を共にするくらいは…まあ、良いかと思ってしまう程に。

尤も、その場合辛いのはきっと己の方であるだろうという事には、思い至っていないのだが。

比良坂 冥 >  
まるで蛇が獲物をゆっくりと、ゆっくりと飲み込んでいくように…
巻き付き、縛り、奪い、少しずつ少しずつ──

心の奥底、素直に向けられる好意を押し上げるモノはドス黒く
愛が深く、強すぎる故に
他を排斥し、押し潰し、蹂躙し──誰かをひたすらに求め続ける
そこに悪意はなく──ただ、必死に、それだけだった

「──じゃあ、おやすみなさい。…──へ…?」

答えはわかっている、と言ったようにくるりとドアに向かおうとして、立ち止まる
聞き違いでなければ、構わないと言ってくれたように…

「……えっ、あっ」

まったく想定した言葉ではなかったのか、見るからに狼狽しはじめる冥
顔も赤く、視線もどこかゆらゆらと揺れて…

「……じゃ、じゃあ…その、一緒、に……」

不意を突かれてぷしゅう…といった感じに赤くなる
それでも心の底から、嬉しそうに、言葉を絞り出す

──きっとその日の夜は理央の言いつけ通り、大人しく…ただしすごくくっついて、眠るのだろう
理央少年が落ち着いた夜を過ごせたのか、ちゃんと眠れたのかは…どうだろうか───

神代理央 >  
見てて愉快な程に狼狽する少女。
悪戯成功、と言わんばかりにちょっとだけ意地悪な笑みを浮かべていたのだが――少女の表情が、熟れた林檎の様に真っ赤になる様を見れば、此方も何だか気恥ずかしくなってしまう。
何と言うか、予想以上の効果をもたらしたというか。齎してしまったと言うべきか。

「……意外と、押しに弱いところもあるんだな。そういうところ、もっと見せてくれても………いや、うん。まあ、早く休もうか」

ふるふる、と首を振って、嬉しそうな少女に小さく微笑んだ。
普段寂しい思いをさせているのだから、今夜くらいは甘やかしても良いだろう、と。

――まあ、『鉄火の支配者』とて極々普通の健全な男子高校生。
少女に密着された儘、此方は眠れぬ夜を過ごす事になったのは――自業自得、なのだろう。

ご案内:「神代理央 自宅――その自室」から比良坂 冥さんが去りました。
ご案内:「神代理央 自宅――その自室」から神代理央さんが去りました。