2021/11/09 のログ
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」に『調香師』さんが現れました。
『調香師』 > 今日の少女は動かない
瞳を閉じて、首を傾け
そうして香りに包まれる中、木が軋む音に髪が揺れる

眠っている訳ではないのだろう
嗅覚ではなく聴覚に身を委ねて

...これは遊びである。『次に来る人は知り合いか否か』
足音で分かるかなと。そんな試しである

『調香師』 > 「......ん?」

椅子が傾く

「あれ」

側面への衝撃。目を開ける
冷たい木の壁に寄りかかり、棚は真上に
そして今まで意識を傾けていた扉は横向きに

「倒れちゃったね」

起き上がろうとして、やめた
底にたまる様な『重い香り』をすん、と嗅ぐ
掃除は毎朝しているし。今日くらい、いいかと


床に寝ころぶ奇妙な店員がそこに誕生したのであった

『調香師』 > 香りに、音に。暫く彼女は意識を留めていたものの
次第に瞬きを繰り返すようになる

(意識。また、途切れちゃうのかな)

人間でいう眠り。機械の身ではスリープ
けれど私にとっては

目覚めた時に、誰も私の事を知らない世界になっていたとしたら?

(...その前に、誰か起こして欲しいけどね)

払拭するような思考も微睡みに飲まれてゆく
彼女は、そのまま目を閉じた。呼吸を知らない人形、目覚めるまであと...

ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」から『調香師』さんが去りました。