2021/11/23 のログ
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」に『調香師』さんが現れました。
■『調香師』 > 連続稼働時間、...
ぱちり。目を開いた時には香りも薄れていた
(スリープ、してたんだ)
自身の選択で拒絶しても尚、襲い来るこの時間
呵責が未だ続いる。けれども、そこからは容易に立ち上がる程度の余裕を与えてくれたらしい
きし、と。軋んだのは椅子だけではなく
自分の身体も錆び付いたかのように
(ううん...?)
服だけではなく、衣装もだと気付いたのはワンテンポ遅れて
黒ずんだ赤色はぱりぱりと、白いフリルから零れ落ちていく
時間経過。自分か如何に、無心で数日間過ごしていたか
遺跡に迷い込んだあの日を思い出して、背筋に薄ら寒い物を感じる
ここから離れなかったのはひとえに『未練』を持っていたから?
...まずは開店準備をしよう
衣装の替えが無いのは、仕方のないこと?
香を焚き、扉から漏れ出し始める
■『調香師』 > そうして今日も日が暮れる
足繫く通っていた彼女を今、通えない様にした影響なのか
ここ最近は中々お客さんも来てくれないな、と
看板に手を伸ばして、取り込みかけた所でやめた
今日はもうちょっと、悪いお店になっても良いのかな
決まっても居ない営業時間、その延長
彼女は再び店内に戻る。そう、遊び心を持ち直そうとして
閉じた扉の『OPEN』の看板は揺れる
■『調香師』 > 結局、気まぐれながらお客様はやってこなかったけれど
彼女はもう一度、表に出る
香りに満ちた部屋を抜けて、ビル風すさぶ路地裏から星を見る
繁華街の明かりが届き、数える程しかその瞬きは知れないのだろう
(まずは、向き合えれば、いいな)
約束を想う。そんなに大層な内容でもなかったかもしれないけれど
私を覚えてくれる人が居る。ここから居なくなる、なんて考えてはダメ
この世界から疎外感を覚えてしまわないよう、得てきた縁をどうにか手繰る
意識出来ている間は、私はまだ『調香師』
(私は、大丈夫)
看板を手に、彼女はまた店内へと戻る
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」から『調香師』さんが去りました。