2021/11/25 のログ
■『調香師』 > 「『あなた』は償わなくても良いんだよ?」
首が傾く
「もう、関係なくなっちゃったお話だよ?」
記憶を消してしまった。貴女は、そこから逃げてしまった
消えた物を取り戻そうとする『意志』が無い限り
もう、私に出来る事はなんにもなくなってしまった
「マスターじゃない。おなたはお客様!
このお店の事は覚えてるかな。いひ、表に戻ろう
私には『出来る事』だけ望む
あなたの為に出来る事。香りであなたを癒す事
...大丈夫だよ?あなたの事を、夢心地にしてあげる
忘れたいなら、全部、忘れさせてあげる」
先程までの態度とは支離滅裂
それが嘆きと聞く感覚を、持ち合わせているのなら
しかしどの様にして、その声に応える事が出来るのだろうか?
■メア > 「償わなくっていいって…関係なくなっちゃったって…どういう…」
混乱する。一方的に決めつけられる。
前の私と、今の私が違うと。
「……ま、まって。私、貴方に謝らなきゃいけない。謝らなきゃいけないのに…何を謝れば良いのかわからないの」
調香師が切り替えを行って、自分のことを客として接せられても。自分は切り替えられていない。
従うべきマスターはいなくて。酷いことをしてしまった人が目の前に居て。
なのにどうすれば良いのかが、わからない。
「…いや、いやだ、失いたくない。忘れたくない」
無意識から来る、拒絶。どうして忘れてしまったのかわからない。
でも、ココロの中に、ぽっかりと穴が空いてしまったような気がして。
混乱する。こんなことは、記憶に、無い
■『調香師』 > 「忘れてる、もう
取り戻せるなんて。ふふ」
『信じられない』
忘却を司るその異能の使い手
そこに余りに自信があり過ぎるからこそ
彼女は、この苦しみを一人抱いて歩く者として居よう
貴女を連れていく事は、貴女に手を差し伸べる事は
彼女には、出来なかった
「覚えがない事に、いつまでも苦しんでちゃダメだよ?」
気付いていない訳じゃない。その口調が、少し戻っている事も
それでも、細すぎる線じゃないか!
梯子に手を掛けよう。貴女の好きな香りは知っている、貴女の身体の事は知っている
気味の悪い位に貴女の事を知っている、奇妙な店員。その関係で、私は諦めていいんじゃないかな
■メア > 「でも、私は……貴方は、私を、知ってる。私は、貴方を、わすれてしまっってる。
それって、とても、酷いことで。だから、思い出さなきゃいけないのに。」
でも。データがない。失われてしまっている。痕跡すら無い。
エラーによって除かれた破棄データを漁っても、調香師を忘れてしまった自分しかいない。
「忘れて良いはず、ないのに」
知っていた。マッサージを受けた時の感触も、ここの香りも、貰った香りも、全部知っていた。
なのに、貴方だけが、思い出せない。
「いや、いやだ、忘れたままだなんて、嫌…!」
■『調香師』 > 「だったらこれだけ覚えていたらいいよ
『あなたが私を忘れているのは私のせい』」
その言葉に、何の偽りもない
口に出すのにかかりはなかろう
「...私は戻るよ。お店、ずっと止めてるから
あなたにも『戻るべき日常』がある
このお店は『非日常』。特別な場所
3回訪れたなら、大体の『どんなこと』でも聞いてあげる」
何が出来るのか、分からないけれども
その言葉を最後に、きっと彼女は梯子を上っていく
後悔はない。苦痛が胸に残るだけで
■メア > 「私が忘れてるのは、貴方のせいって…どうして、そんなこと」
理解が出来なかった。でも合点がいくこともあった。
調香師さんが酷いことをしたのは、きっとこのことで。
私が酷いことしか出来ないのは、忘れてしまったからで。
理由は、わからないけれど。そんな歪な関係は、やりたくない。
「『どんなこと』…でも?」
反芻しながら、調香師の後についていく。
出来るかどうかは、わからない。
でも、願うことは…もう、決まった。
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』/地下空間」から『調香師』さんが去りました。
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』/地下空間」からメアさんが去りました。