2021/11/28 のログ
■『調香師』 > 「私が気を遣うのは、そりゃ当然ともいえるけどね
何でも言うのがお仕事じゃないんだから」
相手の事情を根掘り葉掘り聞くのではなく
想いを馳せたい様な景色を聞くように言葉を使う
思い出させたくない場所に触れる時点でイレギュラー
察するべき所で察さないのは、やっぱり『知りたいから』と自律が成立していない点にある
「知ったら出来る事も、あるけど
例えば背中を流してみたり
1人じゃ何度洗っても、洗えなさそうだし
これって、求められた『お店らしさ』じゃないのは、ごめんね?」
■黛 薫 >
「……そか。んじゃ、気を遣わなくて良かったら
言いたぃコト、聞きたぃコトがあるってワケだ。
外で会ぅときのお楽しみにしとかなきゃだ」
貴女のワガママを聞いてみたい気持ちもあったが、
『お店』でそれ以上深掘りするのはやめておいた。
「そっ……れは、ぁー、うん、うん……。
咄嗟に『汚ぃんじゃなぃか』って聞きそーに
なったけぉ、あーたからの提案だもんな……」
結局のところ、何度来店しても半端になるのは
自分が『自分にも』本心を悟らせたくないように
煙に巻くような言動を繰り返しているからで。
今だって思ったまま口に出していたら『逃げ』に
なっていたところだ。
一旦『逃げ』を考慮から外して考え直す。
「……いちお、ココがお店で、あーたが気ぃ遣う
場所だって前提で、確認だけしますけぉ」
「その提案、あーたにとって『嫌なコト』ではなぃ?」
■『調香師』 > 「どうして?」
『嫌な事ではないか』という問いに、まず出てきてしまった言葉
ただただそう思われる事が不思議だったが
つい最近も、複雑な胸中を彼女の暴いたばかりだったかと
こほん、と。その疑問を改めて回答へと移そう
天然に漏れてしまった先程の答えは一旦仕舞う
「だって、あなたに帰ってもらう時には、一番綺麗になって欲しい
最初から同じ心持ちで出来る仕事
いつも通りの嬉しいお仕事だから
私がどうして嫌だって思うのかな
私がしたいこと。本当にしたいことのちゃんとした1つだもん」
■黛 薫 >
「……そーなるよなー……あーただもんなぁ」
貴女の背に回されていた手が動く感触がある。
今までの彼女の反応を見ていれば大方予想は
出来るかもしれないが……持ち上げられた手は
パーカーのフードの方へとぎこちなく伸びる。
赤く色付いた頰を隠そうとしていた。
「嫌じゃなぃのなら、お願ぃさせてもらぃます。
あと……どーせ見られんのなら終わった後の
マッサージまで予約してイィですかね」
『してもらいたいこと』に二の足を踏む理由が
羞恥なら、本当は腹を括れば良いだけなのだが。
頭で分かっても行動に移せるほど意思が強くは
なかったから『貴女のしたいこと』に便乗する。
「……いぁ、どーして嫌か分かんなぃみたぃな
反応されっと、それはそれで不安だけぉ……。
あーたはあーしよりかずっと目ぇ惹く容姿
してんだから、似たよーなコトされねーか
気が気じゃな……フツーは遭遇しねーのかな、
こーゆー……手込めにされんの……」
ぶつぶつと呟くのは黙っているといたたまれない
気持ちになるから。それで出てくるのが対面する
相手の心配なあたりが黛薫らしさ。
■『調香師』 > 「私はね、確かに可愛らしく造られてるけど
噂で言えば、もっと目立つものがあったし
危ない場所を歩くには、私の異能って都合が良いし」
自ら厭うその性質は、その幼い容姿を隠す能力としては十分な物であった事
皮肉な話ではあるのか、余りその語り口は明るくはないが
「...うん。わかった
マッサージの方もちゃんと
全身、ずっと擦ってるんだから
ちゃんとケアしないと大変な事になっちゃうね。みひひ」
こちらの方が軽い口調でお話しできる
さてさて、方針が決まればそろそろ動こうか、彼女は身を遠ざけようと動きます
貴女の案内は、普段のお客様よりずっと難しそうですし。気合入れの動作もちょこっと
■黛 薫 >
「……ぜっってーに、意地でも羨ましぃとだけは
言わねーかんな。あーーたが危なぃ橋渡らずに
済むコトにだけは感謝しーまーすーけーぉー」
不満げに鼻を鳴らす黛薫の声音に嫉妬の色は無い。
己の異能を忌避する貴女への憂慮から、冗談でも
好意的な言葉で済ませたくはなかったのだ、と。
分かりやす過ぎるほどに主張して。
周囲だけでなく自分も騙すための虚勢を張り続ける
黛薫は、離れていく貴女の体温に少し怯えるような、
寂しそうな様子を見せる。とはいえくっついたまま
準備が出来るとも思っていないので、弱みは一先ず
飲み込んだ。
「あ、そだ。あーしが動かなぃとやりにくぃ場面
あったら都度教ぇてくださぃな。5秒までなら
力入れれるんで」
車椅子の客が想定されていないのは店の内装からも
明らかだ。介護を全部押し付けるのは無理があると
判断して『出来る範囲』を伝えておく。
もっとも、今まで力を入れた様子がなかったので
それなりの負担があるのも自明ではある。
■『調香師』 > 「んー。5秒くらいだったら、私だって張り切れるよ!」
妙な張り合い方である、そして彼女にはそんなリミッター染みた要素は存在しない
5秒間、出来る事は気張ってそれっぽい風に見せかける事である
例えば、貴女の後ろに回り込んで。車椅子の背を押して
「それじゃ、行くね!」
力を入れてみたり。きっと、電気で動かした方が遥かにスムーズであろうに
『格好を付けたい』と言う動機は、人をここまで滑稽に見せてしまうのだろう
■黛 薫 >
「ん。それじゃエスコート、お任せしますよ」
一体何に対して張り合っているのやら。
思わず吹き出しそうになったけれど、声を上げて
笑うくらいなら一緒に笑みを浮かべていたかった。
両側の肘置きに設置された制御用レバー。
力が弱くても指先だけで操作出来るように改良を
重ねられたユニバーサルデザイン。人が押すより
効率良く動かせるレバーから、そっと手を離した。
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」から黛 薫さんが去りました。
■『調香師』 > 貴女の気遣い、機微を知ると自称する彼女は知らず
何に勝つか負けるか等、最早考えは消える
目的はただ、貴女を送り届けるだけ...
調香師の健気な苦労の結果、30秒歩けば到達するだろう距離のロッカールームに3分掛かって到着しました
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」から『調香師』さんが去りました。