2021/12/08 のログ
園刃 華霧 >  
「ふ、ム……そッカ。流石、プロだナぁ。
 気に入ったものしか必要ない、か……なルほど、ナ―……」

言われてみれば、と思うことはある。
気ままで好き勝手にしてるんだからまあ、そりゃ当然か。

でも、あってすぐにそこまで予想できるのは大したもんだ。


「ン……アー……」

食べ物の匂い。
確かに、それなら違和感とかはないかもしれない。
そういや、果物の匂いとか試されたっけか。
せっかくなら、ちょっと真面目に考える。

「確かに、美味ソうな匂いは好きだナ。
 たダ。甘いモのも嫌いジゃないケど、濃い甘イ匂いハちっとナぁ……って感じ。」

濃い匂い自体があまり好きではない。
鼻がバカになる。

ただまあ強すぎなきゃ割といける、かも?

『調香師』 > 「じゃあ、直接甘い香りじゃなくって
 甘いものを連想させるスパイスの様な
 清涼感も交えて、纏うのにしつこ過ぎない香りとかどうかな

 例えばシナモン。甘い香りだけど体に纏わりつかないように
 そういう風に調香するのが、私のお仕事出来る事」

瓶を1つ、貴女の前に移動させる。香り付けの王道
それ故に思いつくものがいくつかあるだろう

『何が』とは、今回は告げないでおこう
貴女がどんな事を想像するのか。それを探る、表情を見るのも彼女の趣味

園刃 華霧 >  
「アあ、そレ。そうイうのナら行けルかも!」

試してみないことにはわからないが、いけそうな感じはある。
問診っていうのか、なんかこういう話して決まっていく雰囲気も悪くない。


「シナモン、か。なンかリンゴとかニ使わレるやつダっけ?
 あンま詳しくナいけど」

妙に感心したように瓶を見つめる。


「で、コれとナんかヲ混ぜタりすンの?」

興味深げに瓶を眺め続ける。

『調香師』 > 「リンゴ。アップルシナモン
 2つの甘さが合体。お店で食べたくなる組み合わせ
 ベストフレンズって気持ち、成程真っ先に出てきてもおかしくないね」

彼女も深く頷きました。構成される香りには特に深く趣がありますので
しかしながら、今回リンゴの香りをそのまま使うのは難しい
甘くなりすぎる危惧がある。プラスはハーブ、そういう風に今は設計図を組み上げている

と、意識を他所に向けていた所で質問が飛んできた
視線を戻して、彼女は笑みを向けている

「ううん。これはシナモンのサンプル
 混ぜる物は、また別のオイルだけれど

 ここで質問。この香りって早めに欲しい?
 それとも、あなたの目の前でゆっくり、もうちょっと通って作っても良い?」

通常通りなら、ここで作業に移っても良いのだが
貴女に贈る香りを作るには、どうにも精査したい部分がある
時間をくれるならまた後日、尋ねた時に香りを完成させようと
そんな言葉が彼女の口から出てくる

園刃 華霧 >  
「ダーよナ―。まあ、ベタ!ッテ感じもあルけど。
 他だとクッキーとカ、紅茶トかカ?
 紅茶ハこだわンないかラ、あンまわかんないケど」

同意を得られてちょっと楽しくなる。
ベタベタすぎて不評かと思ったので、割と気分は良い。


「ン?
 あーイや、別に。
 誰カにアげるモンじゃナし。慌てル理由はナいヨ?」

詳しく知ってるわけではないので、作る苦労もあまり分かっていない。
ただ、素人頭では、そこそこ時間かかるもんかな、とは思ってた。


「うン。だカら、ゆっクり作ってクれていいヨ。
 そノ方が良いモン作れルなら尚更だ。
 待てバいいノ?」

急いで貰う理由もないのに、急かせてもいいことはない。
この際、なんなら時間かけてでも良いもの作ってもらったほうが良いだろう。

『調香師』 > 「待てばいい、って言うよりも。また来て欲しい、かな?」

今日が終われば『設計図』もきっと完成している所だし
貴女が好きなタイミングでまた訪れてくれれば、それでいい

回数来ると、私にとっても都合のいい事もあるし
そんな風に、1枚のカードを瓶に変わって貴女に向けて差し出しました

1つの翼のスタンプ、空欄は2つ。合計3つ、何かが起こりそうなポイントカード

「また来てくれると、このスタンプが押せるからね
 3つ貯まると、『どんな事でも』...うん、殆どお手伝いするよ
 サービス。気に入ってくれると嬉しいなって」

園刃 華霧 >  
「フーん?」

渡されたカードをしげしげと眺める。
自分には縁遠い、何処か綺麗で洗練された感じのあるポイントカード。


「おッケ、了解。
 絶対来るワ。ひひ、三回でソレは随分気前いいナ」

けたけたと笑う。
相手のことも気に入ったし、少なくともそれだけで来る理由にはなる。
……あれ、そういえば


「そーダ、一応。
 アタシは園刃華霧。まタ、よロしくナ。
 えーと?どウよべばイい?」

客としての礼儀で、名前くらい言わないとな

『調香師』 > 「私の事は『調香師』、そう呼んで
 うん。私はそれ以外の何者でもないから。みし」

随分と下手な笑う声と共に、彼女は立ち上がる

「華霧さま、今後ともこのお店と付き合ってくれたら嬉しいな
 だから今日は、暫くのお見送りって事だよね

 今日は来てくれてありがとう。受け止めてくれてありがとう
 うん。そして、最後の言葉はお店の外で」

扉を開く。香りが抜ける、寒空の路地裏
お見送りの時間、貴女が来るのを待っている

園刃 華霧 >  
「あァ、だいぶ気に入っタよ。
 『調香師』、アンタも、この店モ」

促されるまま、外への扉へ赴く。

「うン、まタ来るヨ。
 だカらマぁ……元気デいてクんな? 無理スんなヨ?」

最初の様子を思い出しながら、ついつい口にする

「そンじゃ、またナ?」

『調香師』 > 「うん、無理はしないようにしないとね
 私にはまだまだ出来る事があるし、したい事もあるし」

今日は油断していた結果なのだろうけれども
ただただ静かに止まる訳にもいかないのだ

「またのお越しを!」

立ち去っていくだろう背中に頭を下げる
彼女はそうしていつも、誰かの背中をお見送りする
看板を出し入れする以外では、かなり珍しい外出タイミングなのは、まだ貴女は知らない所

ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」から『調香師』さんが去りました。
ご案内:「歓楽街路地裏『Wings Tickle』」から園刃 華霧さんが去りました。