2022/02/01 のログ
ご案内:「常世総合病院 中庭」に笹貫流石さんが現れました。
■笹貫流石 > 「『…と、いう訳で【凶刃】さんは順調に回復中。今の所は大人しく入院してます』…と、送信ー…。はーやれやれ、雑用係は大変だぁね。」
常世総合病院。その中庭の一角にあるベンチにのんびりと腰を落ち着けながらスマホを弄る。
誰かとメールのやり取りでもしているような自然体だが、実態は定期報告みたいなもの。
「――しっかし、まぁ廬山の兄貴が見舞い来るとはねぇ。一級監視対象が二人揃うって割と異常事態なのに。
…でもまぁ、ちゃんと必要書類を律儀に提出した正式な面会って話だし。どちらにしろ監視されてただろーし…。」
呟きながら、件の【凶刃】が入院している個室の窓の辺りを見上げて苦笑気味。
お陰で、『監視対象を監視する』みたいな雑務を押し付けられたこっちは大変だ。
他に適任者は居たのだろうが、第二級監視対象で内情をそれなりに把握し、フットワークが軽く…。
何より、所在がちゃんと把握されており、余計なしがらみもない、となると自分くらいしかおそらく居ない。
その辺りのストレスを紛らわすように、耳にイヤホンを突っ込んでから、携帯に保存してある音楽データを読み込んで。
■笹貫流石 > 流れ始めた曲のタイトルは――『Anthem』。
かつて、一世を風靡したアイドルユニット『EssEnce』…もとい『EE』のデビュー曲にして代表曲の一つだ。
3人組のアイドルユニットで、若年層を中心にかなりの人気を誇っていたが――…
既に今は事務所の意向とやらで活動停止となっている。
衣装は煌くそれでありながら、ダークな曲調や転調が多い曲だったりと個性的だった。
ファンの間では、今も活動休止に付いて議論や憶測が展開されているようだが…。
「んー…やっぱ音楽はいーねぇ…。」
のほほーん、とした糸目で空を仰ぎながら両耳に差したイヤホンから流れる曲に身を委ねる。
そう、彼は知っている――…いや、事前情報として聞いている。この、アイドルユニット3人の内の一人が――…
「――良い声持ってんじゃーん、【叫喚者】さん。…今はもうやっぱ思い切り歌えないんかねぇ。」
小さく、何処か残念そうに笑う。ファンでも何でもないが、その歌は気に入っていた。
正直、『触り』だけしか同じ監視対象の彼女の事情は聞いていない。監視対象を監視する雑務の一環として聞いた程度。
まぁ、事情も経歴も当然だがそれぞれバラバラだ。自分がそもそも高位の監視対象と知らない者だって居る。
(知らない方が割と気儘に過ごせるっつーのもありそうだがねぇ。…んや、窮屈なのは変わらねーかぁ。)
よくもまぁ、例のリストの13人含めて監視対象連中は暴発しないもんだなぁ、とつくづく思う。
いや、影で暴発してる可能性もゼロではないんだが。まぁそこはどうせ公安辺りが把握してそうだし。
■笹貫流石 > その後も、世に出ている『EE』の曲を全て一通り聞いた後、音楽を止めながらゆっくりと息を吐く。
――監視対象はみーんな、何かに縛られていると個人的に思っている。
それは、異能だったり魔術だったり、立場や種族的なあれこれ、政治的な理由やら経歴やら。
各々、監視対象になっているからには縛られるのは当然といえば当然だ。
それに異論は無いし、自分だってこれでも縛られている――例外は無い。
「ほーんと、人生ってーのは儘ならんもんだよなぁ。」
イヤホンを付けたまま、頭の後ろで両手を組みながらベンチに深く背中を預けて。
見上げる空は昼下がりの良い陽気。…おっと、ちょっとシリアスになってるな俺。いかんいかん。
「そうそう、俺ってばそういう真面目ちゃんキャラじゃねーのよ…っと。」
■笹貫流石 > ――一歩、ベンチから反動を付けて起き上がるようにして立ち上がった所で。
…あ、なーんか嫌な予感とばかりに”薄っすら目を開いて”上を見上げた。
「…わーお、鉢植えが落ちて来るっぽい……鉢植え!?」
反射的に横に飛び退いてギリギリ回避。ガシャーン!と、陶器製の鉢植えが盛大に割れる音が中庭に響く。
呆然としていると、頭上から「すいません!お怪我はありませんか!?」の声が。
どうやら窓際にあった鉢植えを看護師さんか誰かがうっかり落としてしまったらしい。
「あーーいえいえーー!こっちは俺も含めて誰も怪我とかないっすよーー!!」
と、糸目に戻りながら何時もの笑顔で軽く右手を振り返しておこう。いやぁ危なかった。
「やーれやれ。俺はどっかの【悪運】さんと違って運はフツーなんだけどねぇ。」
■笹貫流石 > 取り敢えず、その後に慌てて中庭に来た看護師さんに改めて大丈夫な事をご報告。
鉢植えの片付けなどはかるーく手伝ってから、看護師さんの平謝りに「や、ほんと気にしないでいっすよー」と。
なんとなーく、こういう空気も苦手なのでさりげなくそのまま笑顔と会釈は忘れずに退散するのだ。
「やー、駄目だねぇどーにも。別に悪気は無かったんだし、あそこまで謝らんでも気にしないってーのに。」
実際、驚きはしたがもう気にもしていない。切り替えは割と早い方だ。
取り敢えず、他の監視対象の動向チェックにまた向かうとしよう…誰か変わって欲しい。
「えーと…次は【電子戦線】さんと【化外殺し】さんかぁ……いや、片方所在不明なんだけど??」
と、困り顔を浮かべながらも、そのまま病院を後にする男なのであった。
ご案内:「常世総合病院 中庭」から笹貫流石さんが去りました。