2022/05/27 のログ
■調香師 > 「下手だから、薫様
きっとありす様が後手に回った時に、きっと私に踏み込んだんだろうね
下手だから。ふとした瞬間に、感情が動いちゃうって、だってそれも本心だから」
唐突に、彼女は言葉を切り出した
『にゃはは』と、普段通りの下手な笑う声も付け足して、首を傾け薫を見る
「私の事、道具として本当に想ってくれて嬉しいな
だからそのまま転がらないように、私は踏みとどまらなきゃいけないんだよね
だって、それが『お願い』だもん」
『心』を持つ事こそが答え。そして、私が貴女に『心』をあげるのは
他の誰かに、私その者が奪われそうになった時。そんな約束
フォークをパウンドケーキのもう半分に刺し、柄尻を指でくるくると回す
さて次は、ありすの方へと首が傾こうか
「私は薫様のものだよ。それは変わらない
ありすさまが進みたがってるのは、そういう道だよ?」
ただし、目の前の彼女というもの。『歩く事』に関しては、人一倍の拘りがあるそうで...
■乱桜 ありす > 「あはは、そう言われると、私も利口じゃない気がしてきますね。
良し悪しと正誤と、あまり変わらないように聞こえますけどね、私には」
虚勢も無ければ手をひらひらと振って笑う。
パウンドケーキを一口頬張って。んま。とほほ笑み浮かべ、味わってのみこんで
「あれま、それは大きな違いなのかもしれませんねー。
腕にどれだけ抱えられるのか、とか」
黛からは自分は周囲に含まれず、自分は黛を、マスターをニンフの周囲として考える必要がある。
その辺がちょっとややこしい。
「ほうほう、そう言う、というより出会いの遅さとかそう言うのもあるのかも。」
下手だからまっすぐに、なんてのは確かに、強い武器かも知れないな、なんて感想を抱いていたところで。
「踏みとどまる?
そう言うのもあるのですかー。」
確かにそれは厄介なんだろう。
真面目に思いつめれば詰めるほどつらいいばらの道。
それを示すような言葉がニンフからもかけられても、だからどうしたと言わんばかりに、笑う。
「なら、歩く道を舗装しても良いし、歩き続けてたどり着く先を楽しんでもいいんですよ。
元より、歩かない理由にはならないんですよ、ねー」
なんて笑って。
――纏めてワンセットでそう見れるか、道に引きずり込めるか、両方愛せるか、思いこもうと試した。
ご案内:「Wings Tickle」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「Wings Tickle」から乱桜 ありすさんが去りました。
ご案内:「Wings Tickle」から調香師さんが去りました。
ご案内:「Wings Tickle」に調香師さんが現れました。
ご案内:「Wings Tickle」に黛 薫さんが現れました。
ご案内:「Wings Tickle」に乱桜 ありすさんが現れました。
■黛 薫 >
「知ってる」
普段、ニンフではない『調香師』と2人きりなら
渋い声で返したはずの応答は平静そのものだった。
傷付かないように、本当に手放したくない一線を
握り込むことに慣れている。……慣れすぎている。
暗く淀んだ街で刻み込まれた、変わらない価値観。
度々漏れる本音すら煙に巻き、自分さえも欺いて。
だけど彼女には簡単にバレてしまう。
「良し悪しと正誤、変わんないよーに思ぇんのは
強みってか、幸せってか……悪ぃコトじゃねーよ。
別々に考ぇちまぅと抱えるモノの組合せが増えて
両手に収まんなくなる。で、抱えきれなくなって
潰れたりするワケな」
紅茶を口にする合間に漏れた吐息、ともすれば
見逃しそうなそれはため息だったのだろうか。
仮にそうなら、今の言葉は実感から出た本音か。
「あーしは、人様の歩む道にまでは口出ししねーよ。
てか、んな資格ねーし。んでも、イィ気持ちには
なんねーし、他の全部捨ててでも手放したくない
一線もある。だから吐くほど泣いて後悔するって
分かってても、そこは譲んなぃ。そんだけ」
それは、きっとスタンスの違い。或いは経験の違い。
乱桜ありすは幸せのために許容の懐を広げることも
辞さない。黛薫の方は、幸せは繋ぎ止めていないと
失われる、奪われるものだと思っているようだ。
恐らくは失った、奪われた経験が染み付いている。
■乱桜 ありす > おや?そう、おや?という疑問だ。
抱えきれない、両手に収まらなくなる、潰れたりする。
そこへの反応を聞いて、眉があがった。
「腕のキャパシティ、そう言う考え方もあるんですかぁ。
……。」
少しの沈黙。
目の前の彼女は他に抱えているものがあるんだろうか、そんなことにふと思いを馳せた。他にも馳せたものを、ちょっと心の棚に覆い隠して。
「私も道に口出しする資格はないんでしょうね、けど。
我だけで掴める物なんて、そんなに多くないんですよ。
我だけで手放せるものや、壊せるものは多くても。
歩く道が誰かの邪魔をするかもしれない、崖かもしれない。
トライアスロンかも知れないし戦場の横断なんてこともあるかもしれない。
高速道路のへりを歩き続けたり新幹線の通る橋だったりするかも知れません。
それでも歩く事をやめるより、ずっといいってそんな感じなんですよね。
給水所は必要ですけど。」
足を止める事への忌避、そんなものを匂わせて。
給水所と、口にしたところで無意識にニンフの方へと視線を向けたあたり、本音が視線に透けてそうだ。
黛薫が幸せをつなぎとめようとするように、
乱桜ありすは困難な道だろうが、他にどんなものが歩いていようが走っていようが、歩かなければ得られない。
疲弊にも困難にも耐えて長くぶっ続けで、歩き続ける。じゃなければ休めもしないのだとも、少なくとも当人はそう考えている。
■黛 薫 >
パウンドケーキを切り分けていた黛薫の手が止まる。
小狡くペースを握り続けていた彼女が珍しく思考に
時間を割いていた。
言葉だけ聞けば、進むことを良しとする前向きな
考えだと皮肉ることも出来た。しかしほんの少し、
匂わせる程度に『視線』に混じったのは忌避の情。
「あーたにとって『足を止めるコト』って。
『イヤなコト』? それとも『悪いコト』?」
「……いぁ、やっぱイィ。答えなくて」
良し悪し、好悪、正誤。似ているようで異なる。
分からないなら分からないままで良いと言った
矢先に問うてしまう程度には引っかかりを覚えた。
『立ち止まれない』苦しさに覚えがあったから。
僅かな逡巡。踏み込むのは余計なお世話だろうし、
他人の歩む道に口出しはしないと話したばかりだ。
それに相手はどうか分からないが、此方としては
仲良くするより優先してガードしたい関係もある。
「歩きながらの給水以外にも休み方はあんだろよ。
そーゆーの、苦手なら得意な相手に頼みゃイィ」
視線でニンフの方を示して、一旦気持ちを切り替える。
一般的な交友の範疇でもニンフを引き合いに出すのは
若干苦々しく思えたが……初対面の相手に感じ取った
危うさを見て見ぬ振りするのも据わりが悪かった。
■調香師 > 話を聞きながら、双方から符合暗号のように目線を受けながら
彼女はゆっくりと、ミルクティーを啜る。お菓子も味わった、その後の時間
意図して口を出す回数を減らしているのはお互いに察しうる所だろう
痛い部分に触れ合うのは違いなくとも、話題の仲介をその存在に留めるのは
(薫様、ありす様。きっと、噛み合う所あるんだよね
優しくて、遠ざけそうになるけれど。2人とも、欠けちゃって
私に惹かれちゃうくらいだから、似てるのかなって考えてる
『出来ない事』だって。でも、それを私から言っちゃうと、お願いになるんだろうね)
そして二人とも、優しい人だから拒まない。だから、私は話さない
どう言う付き合い方をしたいのか。お互いから知って、私だって考えたい
■乱桜 ありす > 「それは…」
足を止める事について、答えようとして、そうですか?と首を傾げた。
そう言う問いかけが来ることに、手ごたえを感じかけて、するっと抜けた感覚がして。
まぁ、いいか、とゆるりと行こうと切り替えて。
さっき道に口を挟まないと言ったばかりだしなぁ、とそんな感覚。
「それは…たし、か、に?
給水所と言うよりは宿泊みたいな……」
そう言う意味だろうか、とちらっとさらにニンフへと視線を向けて。
ただ。…歩く日程が長いから給水所が宿泊になっただけで、歩きながらから離れていない。
根本に歩かない選択肢がなかった。
けれど、ニンフが口を入れる回数を減らしていることは察してはいる。
その上で……
飲みこんださっきの問いへの回答が思考をぐるりと回る。
パウンドケーキの甘味と共に、それを飲み込もうと一口。
■黛 薫 >
「……ありす、休むの下手そー」
どの口がそれを言うのか。少なくとも傍で話を
聞いている調香師は黛薫の休み下手を知っている。
「あーしはありすがニンフに色目を使うのはヤだし、
そーゆーキモチがあんだろな、って思ってっから
知らないトコで会ってんのも内心穏やかじゃなぃ。
んでも、このお店はニンフの続けたい場所だし、
客として来てくれるコトに文句付けたかねーし。
休むの下手な相手からリラックス出来る場所を
取り上げるほどあーしも鬼じゃねーし。
ま、あーしが何言ったって、ありすはニンフに
会いに来るんだろ。ならありすの休み下手とか
あーしが気にするまでもねーワケで」
言葉の内容は乱桜ありすに向けられているようで、
迂遠な本意は寧ろ会話を聞いている調香師に向く。
身も蓋もない通訳をするなら『どうせ今後も通いに
来るんだから上手に休ませてやって』といった具合。
自分から言うのは癪だしブーメランだし、そもそも
上手に休めない自覚あるからアドバイス出来ないし。
それはそれとして、やっぱり調香師と乱桜ありすの
距離が近付くことは快く思っていないという牽制も。
■乱桜 ありす > 「……自覚はあります。あります?」
一つ目は回答を、そして二つ目は問いかけ。
え、あると思ってたけど、足りてない?みたいな確認だ。
「その辺はまぁ、私や黛さん以外にもいるんだろうな、とは、思ってますからね。
その辺のお気遣いはいろいろありがたいんですよ?
とは言えど、確かに何言っても会いに行くのは事実そうですしね。
それが、ニンフのやりたい事の尊重だからだとしても、ありがとうございます、なんですよ。」
そう言って深ーく、深く。頭を下げました。
視線が向かず、その感情は伏せられたままに。
ただ、その表情は笑顔だったのは、少し覗けば見える範囲。
道は閉じてはいないから、ならずっと歩けるのだから。
■黛 薫 >
無言でパウンドケーキを口に運び、ティーカップに
手を移す。イニシアチブを取り続けるために発話の
タイミングまで測っていた黛薫が調子を乱したのは
乱桜ありすの休み下手を憂いたときと、今このとき、
率直な感謝を伝えられたときの2回だけ。
たったの2回、けれどそのきっかけとなった発言を
思い返す余裕があるなら、未だ仮面を外す気のない
彼女の内面も多少は透けて見えるだろうか。
「……ニンフからは、何か言ぅコトある?」
各々思惑はあれど、ある意味渦中にいる調香師は
双方の関係を取り持とうとしていたのだろう、と
黛薫は推測する。
乱桜ありすの感謝の言葉を皮肉も拒絶もせずに
受け取った時点で黛薫のスタンスは概ね確立した。
調香師と深い仲になること、なろうとすることを
良くは思わないけれど、それを理由に遠ざけたり
害したりするほどには敵視していない。
故にその区切りとして2人の対話を眺めていた
調香師に話題を振ったのだった。
■調香師 > 「と、く、に...かな?」
両の頬杖をついて、最後の方は『観客』みたいな気持ちで
脚を一定のリズムで、ぱた、ぱたと。揺らしていた彼女は、不器用な笑みでそう答えた
独占欲も飛び交いながら、お互いどこか、隠しきれない微妙な気遣いの気持ちを覗かせ続け
しかし、2人ともを知る彼女は、言葉からその機微を測り続ける
話した事も、それよりもずっと多い『話していない事』も
ただ、一度だけ薫の方に目を向けて、首を傾けておこう
その意図は、声に出して伝えてはダメな事
『私の事は、最後まで呼ばないのかな?』...なんて
■乱桜 ありす > 仮面は外れつつも、外す気のなさそうな、いや、ある意味大事な部分を隠し続けあったような、それが当然のような。
さらけ出した部分から、見えるものは恐らく多い。
自分が見えたものはきっと勘違いもあるだろうけど、多分そこそこ。そんな感覚を持って。
「そう……?」
ニンフへとむけられた水は不器用に、難しいのか挟みにくいのか、それとも。
何をどう、というのは分からないけれど、何かしらの疑問がある様子で。
視線を二人へと交互に向けたまま、反応を待つ。
自分のスタンスは、すでに口にした後で。付け加えは表向きはないのだし。後はどうなるやら、と見守りへと。
■黛 薫 >
「ん゛、ぐ、む……」
小首を傾げて見せただけ。たったそれだけの仕草の
本意を読み取って、黛薫は呻く。気を許しきれない
相手との対話でも殆どペースを乱さなかった彼女も
絆された相手にかかればこんなもの。
「……今?」
躊躇っているのはタイミングの問題ではなく、
独り占めして見せたい相手の前だからだろう。
視線は調香師ではなく、乱桜ありすの方へ。
しかし助けを求めていると受け取られたくは
ないのですぐに目を逸らす。前髪で隠れていて
分かりにくいが、視線がうろうろしている。
■調香師 > 「名前は今日の私を作る。今日って『ニンフ』としか呼ばれてないから
でもそこからなんにもないよ。本当にね?」
彼女曰く、『好きにしたらいいんじゃないかな』との言葉の意味は、
貴女に何を伝えたのだろう。隠すという事は時に、表現を欠くという意味も含んでしまう訳で
「ありす様、薫様。ちゃんと感想を言わないとね
二人ともが作ってくれたお菓子、とっても美味しかったよ
私のそれも、今日の為に作ったからね。ふひ、聞かせてくれたら嬉しいな」
『香り』を作る彼女のパウンドケーキ。ちゃんと味はしてくれたかな?
■乱桜 ありす > あ、なんか視線が向いた。
と思ったら、すぐに隠して……。
「え。あー。」
うん。ニンフの反応で察しました。
一人占めしたいんだろうなぁ、けどなー。
と、どっちにするんだろう、的な思いはあるにはある。けど、逆の事もあるので。
「ん、とってもおいしかったし、優しい味と香り、だったよ。
穏やかで、どういう気持ちで作ったのかは…ある程度は、くみ取り切れてないとこはあるだろうけど。」
仮面を最初に被ったとはいえ、はがされてからは接近気味に、笑顔で、その上で前言をひっくり返すこともなく。ただ、掴み損ねは多かっただろうけど。
仲良くなろうとする動きはしてきたつもり、だ。
で、その上で。
「ちなみに、ニンフは、私、単独でなら言う事、あったりした、かな?また次の機会ならそれでもいいんだけど」
なんて聞いて見せて。
それは黛さん次第できっと後になるんだろうなぁ、なんて思いながらも。
■黛 薫 >
「そりゃ……美味しかった、ってか、いっつも
作ってくれるやつ、全部美味しぃけぉ……。
あーしもありすも休むの下手だから甘い香り
強めで用意してくれたんだろなって」
お茶菓子の感想、自然に名前を口に出来る絶好の
機さえ日和って逃す。汲み取れていないと言った
乱桜ありすへの対抗心からか、読み取った意図は
きっちり口にしている。
さておき言外に強制ではないのだと伝えられたが、
自分が一緒にいた日の彼女を『ニンフ』のままで
終わらせるのは嬉しくない。
かといって、独占欲の赴くまま秘していた名前を
乱桜ありすの前で呼ぶのもそれはそれで悔しい。
呼ぶも呼ばぬも独占欲が邪魔をする。
「……あーし、今日はもーしばらく居座るから」
妥協案、というより半ば意地を張った答え。
乱桜ありすが帰るまで粘る宣言をした黛薫は
深いため息と共に、ごつんと音を立てて頭を
テーブルに預けるのだった。
顔を伏せたのは、今なら乱桜ありすだけに向けた
言葉があっても見なかったフリをする……という
意思表示なのかもしれない。
■調香師 > 「くひ♪」
なんだか勝ち誇ったような態度
彼女の内面が意外と、ただの機械と侮るには悪戯の気配が濃いという事
度々、こうして表に出しながら。伏せてしまった相手から、ありすの方へと目線が移る
声を出さずに、唇だけの動きで
『かわいいよね』
また、首を傾ける仕草で同意を誘う
彼女の目線はそうしてニュートラルな方向へと戻ったのだった
「うん、ありがとう。今回も上手に出来た様で良かった良かった
もうちょっと居るなら、ミルクティーのおかわりを注ぐね」
いそいそと、そんな作業。こういうお仕事をしている時は特に、生き生きとしていたのだとか
ご案内:「Wings Tickle」から調香師さんが去りました。
ご案内:「Wings Tickle」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「Wings Tickle」から乱桜 ありすさんが去りました。