2022/08/28 のログ
ご案内:「破壊神の社プライベートプール」に杉本久遠さんが現れました。
■シチュエーション説明 >
破壊神の社プライベートプール。黒い石の置かれた祭壇のある社と、庭に家庭菜園のある一軒家の裏手に建造されている。
家の手前には【プライベートプールはコチラ】と案内板が出ており、二階建ての無機質な建造物がある。
プール屋内には、まず受付があり、その奥にロッカー室と更衣室。出ると一階正面には浴槽がジャグジー、水風呂と二種類に、サウナ室とシャワー。
一階に出てすぐ左手に階段があり、二階には10*7mほどで深さ120cmの屋内プールがある。
一階二階共に窓はなく、またどちらにも男女兼用の化粧室がある。
天井は二階にあるスイッチでシャッターを開閉でき、照明もダイヤル式のスイッチで調節可能。
完全防音なため、どれだけ騒いでも外に声が漏れる心配はない。
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ご案内:「破壊神の社プライベートプール」にシャンティさんが現れました。
■杉本久遠 >
異邦人街の一角、様々な宗教施設の中にたたずむ家の裏手に、そのプール施設はある。
大人気とはいかないが、夏を中心に、年間を通して利用者のいる隠れ家的なプール施設だ。
海やレジャー施設と違って混雑する事もなく、申し込んだ利用時間の間は、誰にも邪魔されることなく過ごすことが出来る場所である。
久遠がこの場所を選んだのは、別に『想いを寄せる相手の水着を見たい』という下心があったわけではなく。
ごく単純に、人混みに紛れる必要なく、静かに夏らしいレジャーを楽しむ事が出来るから、というシンプルな理由だった。
「おおっ!
思ったよりも広いな!」
なので、さっさと水着に着替えた久遠は、更衣室から出てくるなり、施設の様子を見て、感嘆の声をあげるのだった。
施設内は空間を上手く使っているようで、実際よりも広く見える。
一階の浴槽にのんびり浸かっているだけでも、十分に満喫できそうな予感がしてくる。
いやもちろん、二階のプールで遊ぶのも楽しみにしているのだが。
極論、久遠としては『彼女』と一緒に居られるだけで楽しいのである。
そのため、『彼女』より早く場内に出て、内装に感心しながら待っていても、なにも苦にならないのだった。
■シャンティ > 太陽は、生きるものには必要な存在である。それは、盲目の女にも変わらない事実だ。しかし、時としてその太陽の眩しさは人の目を焼き、見えぬ者の目すら眩ませることも、ある。そんな太陽の下、人が戯れる遊び場……それは――
「……ふ、ぅ」
男からの誘いがあった、愚直で飾らない文面を、さらに短く要約すれば「プールにいかないか?」と。そういった内容であった。
特に断る理由もなかったので女は、この場にいる。
「そ、れに、して、もぉ……」
先入観ということもあるが、プールと言えばだいたいは多くの人で賑わう場。プライベートプールのような場を借りるというのはあまり女の頭にはなかった。
いや、実際には文面にあったかもしれない。しかし、あまり飲み込めてなかったのかもしれない。
いずれにしても、女には少しの驚きをもたらすのであった。
「ふふ……わ、かって、る、の、かし、ら……ね、ぇ……? い、え……き、っと……わか、って、ない、わ……ね?」
くすくすと笑いながら、衣擦れの音をさせる。ここに至るまでの間に、男の抱いていた感情はある程度読み取れている。そこに、ある色。ない色。その大方を。
「……さ、て……ふふ。それ、じゃ、あ……どこ、から……い、こう、か、しら、ぁ……?」
笑いながら、持ち込んだものに身を包んでいく。
上から……下まで
「じゃ、あ……いき、ま、しょ、う……ね?」
こつり、こつり、と小さな硬い音を響かせて、女は更衣室を後にする。
「今日、は……どう、なる、の……か、しら、ね、ぇ……?」
見えない空を一瞬だけ仰いで
「……」
こつり、こつり、と小さな硬い音を立てるブーツを履いたまま、静かに、施設の内へと入っていった。
■杉本久遠 >
一階の浴槽、水風呂を眺めて、壁に用意されたシャワーと洗面設備。
サウナ室の中まで、順番に眺めて、うーむ、と唸る。
「まさか、スイムだけでなく、こんな経営の手腕もあるとは」
ここを建てたのは、言ってみれば、久遠の憧れの『エアースイム』の選手である。
予約の際に直接話が出来て感動したものだ。
ただ、先ほど受付の際に『あらー、あの男の子が彼女連れで来るなんて! 時が立つのは早いなぁ』なんて、からかわれたりもして、赤面してしまったが。
「――むむ。
いや、二階の様子も確認しておこう。
シャンティに不自由させるわけにはいかないしな」
そう思って踵を返し、階段の近くまで行くと。
こつこつ、と足音。
それに振り向いてみれば――。
■シャンティ > 『そこには、ジャグジーバスが設置されていた。それに、水風呂。壁にはシャワーが並び、洗面設備が整う。奥にはサウナ室への扉がある……』
謳うような声とともに、女は歩み出る。足には見るものが見ればわかる、ブーツのようなS-Wing。そして、これも男にはわかるかもしれない。黒を基調とした、長袖タイプのスイムスーツ……それはどこまでもわかりやすい、とあるスポーツの競技姿であった。
「あ、ら……おふ、ろ……? プール……だ、と……聞い、て……きた、の……だ、けれ、どぉ…… 違っ、た……かし、ら……ね、ぇ?」
くすくすと女は笑う。
「な、ら……これ、も……じゃ、ま……か、し……ら、ぁ」
するり、とブーツ型の魔道具を脱いで、綺麗にその場に並べ置く。
「これ、も……ね、ぇ?」
スイムスーツを小さくつまみ、男の方を見やるようにする。
■杉本久遠 >
「――お、おお。
まさかそっちのスーツで来るとは思わなかったな。
いや、しかし――」
彼女の姿を、上下に往復しながら見つめて、大きく頷く。
黒い、ボディラインのよく出るスーツは、とても彼女の美しさが際立っている。
「うむ、とても似合うな!
これはもう、今度は一緒にエアースイムもしないとなぁ」
スイムスーツは、それ単体なら水着としても機能する。
この場で着ていても何も問題ないだろう。
「プールは二階なんだ。
そっちは天井も高いし、水の上だからな。
スイムをしても大丈夫だろうし、普通に泳ぐのも楽しいと思うぞ」
そう笑って、彼女に右手を差し出した。
■シャンティ > 「ふふ……久遠、の……こと、だか、らぁ……こっ、ち……か、と……思っ、たの、だ、けれ、ど……ね?」
つまんだスーツはそのまま、小さく首を傾げる。
「そう、ね……それ、は……けれ、ど……場、に……相応、しく……ない、か、らぁ……舞、台……を……歪、める……の、も……本意、で、は……ない、わぁ?」
差し出された手を取る
「だ、から……今日、は……プール、かし、ら? それ、とも……おふ、ろ?」
くすくす、と笑った
■杉本久遠 >
「あはは、たしかに、なにをしようともつ敢えてなかったな!
すまんすまん」
そう言えば思い付きでプールに行こうと誘っただけだった。
「うむ、それならプールはプールとして楽しもう。
エアースイムは、また今度。
君と水も空も泳げるなんて、嬉しいな」
そう、照れ臭そうに笑いながら、手を引いて二階に上がる。
二階は広々としていて、テーブルや横に慣れるようなデッキチェアがプールサイドに用意されている。
メインのプールは、少人数で使うには十分な大きさだ。
さすがに、競技用の大きさはないが、10mの奥行があれば、普通に泳ぐのに問題はないだろう。
また、壁沿いには自販機もあり、飲料や経色が買えるようになっていた。
「おお、ほんとに至れりつくせりだな」
彼女の手を引いて、慎重に階段を上った久遠は、そんな感想を零した。
■シャンティ > 「あら、あ、らぁ……本当、に……貸し、切り……ね、ぇ……?」
女は考える。プールはそもそもそれなりのサイズがあるものである。それを差し引いても、二人で扱うには少々大きい場だ。そこに、見て取れる存在は自分と男を含めて二人なのは間違いない。
「ふ、たり……で……そう、ね……防音、も……しっか、り……して、そう……ふふ。あ、ら……あら……これ、は……なに、が……あ、って、も……わか、ら、ない……か、も?」
くすくすと笑う
「そう、いえ、ば……エアー、スイム……で、泳ぐ、のは……みた、けれ、どぉ……久遠、およげ、る、のぉ……?」
■杉本久遠 >
彼女が感じ取った通り、間違いなく貸し切りである。
しかも、魔術的にも科学的にも防音防諜保護がされており、中で起きた事が外に漏れる事は、まず無いと思っていいだろう。
「ああ、ほらこの前の夏祭り。
楽しんでくれたみたいだが、人があまり多いと大変そうだったからな。
ここなら、君にだけ意識を向けていればいいし、安全に遊べるだろう?」
そう言って笑う。
気遣いを隠したり、誤魔化したりはしない。
素直に想ったことを実行し、言葉にして伝える、久遠らしい実直さと言えるだろう。
「はは、なにをいってるんだ。
それを言うなら、なにが起きても安全、じゃないか?
利用者のバイタルだけは管理人が分かるようになってるらしいからな。
万が一があってもすぐに助けてもらえるはずだ」
もちろん、この久遠である。
彼女の言葉の意味なんて、くみ取れるわけがなかったのだ――!
「おお、もちろんおよげるぞ!
エアースイムのコーチング資格を取るには、水泳技術も必修なんだ。
それに水難救助のライセンスもあるからな。
たまに、ビーチやプール施設で監視員のバイトもしたりしてるんだ」
スポーツ関係には、意外とオールラウンダーである。
これで山も登れるし、クライミングも出来るのだから、陸海空とレジャーもスポーツも楽しみ尽くせる能力があったりするのである。
■シャンティ > 「……ああ」
男の心の色は読めている。何を感じ、何を抱かず、何を成し、何を成さないのか。それでも、真なる心の内まではわからない。それが、女の限界でもある。だから、その言葉で納得する。
「そう、いう……ああ――そう、ね……そう……」
ただ、気を使った。それだけのことだ。それに、女はひどく納得する。
「あ、あ……ら、しい、わ、ねぇ……ふふ。それ、に……や、っぱ、り……わか、って、ない、わ……ね」
くすり、と女は笑う
「ふふ。久遠、水、関係……色、々……でき、る、の、ね?それ、な、ら……溺、れ、ても……平気、そう、ねぇ……なん、て。で、も……な、ら……これ、やっぱ、り……いま、いち……か、しら」
くい、と小さくスイムスーツを引っ張る
「じゃ……ぬい、じゃ、お」
スイムスーツに手をかけ――するり、と。体から引き抜く
■杉本久遠 >
「うむ、そういうやつだ。
オレが君と純粋に遊びたかったからな!」
彼女のため、とは言わないのである。
それは、久遠が『誰かのために』という言葉がどこか空虚であることを感じているからかもしれない。
だから、あくまで自分のために、彼女が楽しめるだろう場所を用意したのだ、と。
「む、すまん、なにかまちがった――か?」
首を傾げる。
やはりこの男、何もわかっていないのである。
もちろん性欲はあるのだろうが、それ以上に鋼にも匹敵するほどの理性があるのか、単純に鈍感なのか。
まあ恐らく後者である。
「水に関してもそうだが、レジャーやスポーツに関しては一通りのライセンスはあるぞ。
エアースイムになんの技術が役に立つか、わからないから――な?」
笑いながら答えていたが、目の前で彼女が脱ぎだすと、その表情のまま固まる。
突然の事に、反応がおいつかないのだった。
■シャンティ > 「ま、あ……別、に……そこ、は……いい、わ、ぁ……わか、って、いた、こと、だ、し……確認、み、たい、な……こと、だ、もの。ど、ちら、で、も……あ、まり……問題、の、ない……話」
真意の確認。それと、男の感性の確認。前者はどうあろうと発見であり、後者は――女にとってはどちらであろうと、どうころぼうとも構わないこと、であった。
「あぁ――本当、に……そこ、は……ら、しい、わ、ねぇ……貪欲、な……感じ、と、いう、より……真摯、と、いう、べき……なの、か、しらぁ……?」
ぱさり、とほぼ全身を覆っていたスーツが地に落ちる。中から現れるのは褐色の肌と、暗緑地のモノキニ。
「……あ、ら……なに、か……期待、し、た……?」
固まる男に、くすり、と女は笑った。
■杉本久遠 >
「う、い、いや。
少し驚いただけで――」
と、頭を掻いて――。
「いや、すまん。
期待とは、ちがうが、少し不埒な事を考えた」
正直に答える。
嘘やごまかしをしない。
それはこの場合美徳になるのだろうか?
とりあえず、久遠は顔が真っ赤になっている。
「しかし、なんだ。
その――とても、似合う。
すごく、綺麗だ」
と、ぎこちなく。
それでもしっかりと、彼女の姿に見惚れているのが分かるだろう。
■シャンティ > 「あ、ら……そ、う? 不埒、な……ね、ぇ?」
くすくすと女は笑う。ただ、普段よりも子どものような笑い方に見えるかもしれない。
「お褒、め……に、あずか、り……光栄、で、す……なん、て……ふふ。ま、ぁ……私、に、は……わか、ら、ない、か、ら……あり、がた、く……きい、て……おく、わ、ねぇ」
くるり、と男の方に向き直る。
「さ……この、後……どう、す、る……の? 久遠?」
そう、口にして首を小さく傾げた
■杉本久遠 >
「いや、その――詳しくは聞かないでくれ」
彼女に笑われると、顔をますます赤くしながら、がっくりと肩を落とした。
少しでも如何わしい事を考えた事に罪悪感を覚えているらしい。
「――う、むう。
そうだな」
彼女と向き合うと、頭を一度二度と振って雑念を追い払う。
今日は彼女と楽しく遊びに来たのだ。
「うむ、少しストレッチをしてから、水に入るとしよう。
折角きたのだから、泳がない理由もないしな」
そう言いながら、彼女に軽いストレッチ、準備運動になるものを教えるだろう。
その間も、視線は彼女にくぎ付けとなっているが――そこは仕方がない。
朴念仁だって男の子なのだ。
■シャンティ > 「そう、ね……スト、レッチ……」
笑みがわずか消え、どこか真面目に説明を受け止める。
「……ん」
女の細い体は水着になったことでよりわかりやすくなる。痩せすぎということはないが、決して鍛えてある肉付きのものでもない。慣れない運動に、ややぎこちなく体を動かしているだろうことは見ていればよくわかるだろう。
「案、外……スト、レッチ、と、いう、のも……たい、へん……ね、ぇ……」
普段の気怠い声も、それだけではないような色を帯びて聞こえたかもしれない
「……これ、で……?」
■杉本久遠 >
「お、ああ。
ちゃんとやると意外と大変なんだよ。
だが、これを疎かにすると怪我に繋がるからな」
動かし慣れない身体を一生懸命に動かしている様子に、見惚れているばかりでなく、微笑ましさも覚える。
これくらいが、インドアな普通の女の子なんだろうか、と考えたりも。
「――よし、そろそろいいだろう。
プールには――お、スロープになってるのか。
シャンティ、こっちだ」
そういって、彼女の手を引いてゆっくりと案内する。
プールの四隅のうち、一画はスロープ状になっていた。
これなら、踏みはずしたりなどという事もなく、プールに入れるだろう。
「水温は三十℃くらいか?
冷たく感じるだろうから、ゆっくりと入ってくれ」
彼女より少し先にプールの中に足を入れて、スロープを降りながら水に浸かっていく。
もちろん、彼女の歩みに合わせて、ゆっくりとだが。
■シャンティ > 「運動、は……や、っぱ、り……苦手、ねぇ……」
女は元々から本を愛好し、本とともに在り、本を友として生きてきた。それゆえに、運動などは当然のように習慣になかった。そのためだろう。ストレッチで、わずかではあるが息があがっていた。
「ん……」
女は手を引かれながら、少し考える。女の持つ本は魔性の魔本。水程度ではどうとなることもない。合わせて、念のために防水の魔術もかけてある。しまうことはいつでもできる、そう考え、そのまま引かれていった。
「ん……体、感……温度、と、いう……やつ、よ、ねぇ……思っ、た、より……ふふ。冷、たい……か、も? 海、と……同じ、ね」
静かに、ゆっくりと、引かれるままに女は水に侵入っていく
「あ、ぁ……いま、さら……だ、けれ、どぉ……泳ぐ、の……は、得意、じゃ、ない、か、ら……ね?」
思い出したように、女は告げた。すでに、体はだいぶ水に浸っていた。
■杉本久遠 >
「ははは、流石に君が運動が苦手なのはわかってるさ。
でも、コツをつかむのは上手そうだからな。
練習すればすぐに得意になってしまうかもな?」
彼女は運動が苦手と言うが、久遠は単純に経験が少ないだけだと感じていた。
もちろん、体のハンデがあって難しい事もあるだろうが。
それでも、彼女は経験さえすれば、すぐに学んでいってしまうような気がしている。
「まあ、無理に泳ぐものでもないさ。
このまま、水の中を二人で歩くのも、気持ちよくて楽しいと思うぞ。
――とはいえ、オレもこうして女性とプールに来るなんて初めてでなぁ。
こういうのって、どうやって遊ぶものなんだろうな?」
たはは、といつもの少し気の抜けた笑い方をして。
水深は120cm。
久遠の長身からすると胸のあたりまでだが、彼女がスロープを降り切れば、肩まで浸かる事になるだろう。
■シャンティ > 「……あ、ら」
男の発言にくすくすと笑う
「私、も……初め、て……だ、けれ、どぉ……久遠、ひょ、っと、して……なに、も……考え、て……なか、った、り、したぁ……?」
くすくすと くすくすと 小さな笑いが響く
「そも、そ、も……女性、と……おで、かけ……も、どこ、ま、で……なれ、て、るの、かし、ら、ねぇ……?」
小さく首を傾げる
「ま、あ……泳ぐ、で、も……いい、け、れ、どぉ……それ、なら……教わ、らない、と、ね?」
■杉本久遠 >
「おう!
何も考えてなかったな!」
わっはっは、となぜか胸を張って笑う。
一緒にプールに行ったら楽しいだろうな、という想い付きだけで行動したのが露見したのであった。
いや、最初から気づかれていたかもしれないが。
「うーむ――好いた女性と出かけるのも、君と経験したことが全部初めてだな。
不慣れで、その、がっかりするか?」
首を傾げた彼女に、不器用にたずねた。
「君が泳ぎたいなら、もちろん教えるさ。
とはいっても、まったく泳げないわけじゃないだろう?
ああでも、手を使うなら、本を持ったままじゃ難しいの、か?」
久遠は彼女の本について、あまり詳しい事は聞いていない。
それは、彼女の核心とも言えるものに繋がっているだろうから。
彼女が自分を心から信じて、話してくれるまで待つつもりでいるのだ。
ただ、だからこそこういう時にどう対応するべきなのか、少しだけ迷うのである。