2022/08/29 のログ
■シャンティ > 「あ、ら……それ、は……エス、コート……失格、ね、ぇ……? ふふ。」
くすくすと、いつもの笑いを浮かべる。女にとって準備があろうとなかろうと、大した問題ではないのだから。
「ふふ……どう、せ……そん、な……とこ、ろ……だ、とは……思った、わぁ……? そ、も……ああ、それ、は……無粋、だ、わ……ね。」
一瞬口をつぐむ
「え、ぇ。別、に……不慣、れ、でも……いい、わ、よぉ…… 私、は……そこ、は……気に、し、ない、もの。だか、ら……逆、に……難、しい……わ、よ?」
くすり、と謎めいた笑いを一瞬だけ浮かべる。そこには、怒も哀も含まれることはない。
「ん……そう、ね。本。それ、が……ちょ、っと…… だか、らぁ……バタ、足……と、いう、の、だ、った、かし、らぁ……ああ、いう、の、なら……だ、けれ、どぉ……ね? だか、ら……エアー、スイム……で、空、に……浮く、の……少し、楽し、かった、の、よ……ね?」
水にただ、浮く。それだけでも本を持って行うしかなかった。それが故に、あまり水に入ることをしてこなかった。だから。ただ、浮くのに本を持っていてもあまり気兼ねがいらないエアースイムに女は惹かれたのであった。
「思え、ば……人、と……本、以外……に、興味、もった、のは……初め、て……だった、かも、しれ、ない、わ……ね、ぇ」
■杉本久遠 >
「むむ――どこを気にされてるのか、確かに難しいな。
ただ、うん――そうだな。
君を退屈させないようにだけは、頑張ってみるさ。
君が楽しそうに笑ってくれるようにな」
不思議な笑みに首を傾げるが。
すぐに、自信満々に胸を張って応えた。
「しかしそうか――それでエアースイムに興味を持ってくれたんだな。
はは、君の初めてがオレの大切なもので嬉しいな。
そしたらやっぱり、海水浴のシーズンが過ぎたら一緒に泳ごうか。
思いっきり泳ぐ楽しさも、是非経験してほしいしな」
話しながら、穏やかな水音を鳴らしてゆっくり歩きだす。
静かな水の中をかき分けて歩む感触は、海とも違うプールならではの心地よさがあると久遠は思っている。
「ただ、今はプールだしな。
一緒に泳いでみるか?
君を抱えながら泳ぐくらいなら、できなくもないぞ」
と、繋いだ右手はそのままに、左腕も広げて見る。
■シャンティ > 「ふふ――そこ、は……おい、おい……わか、る、と……いい、わ、ねぇ……もし、か、した、らぁ……わか、ら、ない、ほう、が……いい、か、も……だ、けれ、どぉ……?」
くすり、と笑う
「そう、ね、ぇ……海、は……」
ふと、女の消えない記憶から釣り上げてしまった形容し得ない何かが浮き上がった。浜辺の側にはそういった理外の遺跡も存在していただろう。
「ま、あ……どう、と、でも……なる、か、しら、ねぇ……なら、なけれ、ば……それ、まで……だ、し」
思い出した記憶を奥にまたしまい込み、女はつぶやいた。
「海、と、は……ま、た……違う、わ、ねぇ……プール……ふふ。抱え、なが、ら……ね、ぇ? 水、の、中……だ、し……久遠、なら……でき、そう、ねぇ……? いち、ど……や、って、み、て?」
■杉本久遠 >
「お、やってみるか?
それなら――そうだな、背中を向けてくれるか?」
そうして、彼女の背中に回って、後ろから脇の下を通して、彼女の胸の下辺りで緩く腕を組む。
ほとんど密着だが、今のところ、久遠な意識しないで居られているようだ。
「これで沈まないから、ゆっくり力を抜いて、オレに体を預けてくれ。
そうしたら、自然と足が浮き上がるから」
そう順番に説明して、彼女の力が抜けて、体が浮き始めれば。
久遠も床を蹴って、水の中をゆっくり進みだすだろう。
格好としては、二人重ねの背泳ぎのようで不格好だが、確かに少しの距離。
数メートル程度だが、一緒に泳ぐことには成功する。
そうすれば、後ろから彼女を抱えたまま、足をついて一息つく。
「――ふう。
はは、久しぶりにやると難しいもんだな」
以前は小さい子供相手に、こうやって遊んでいたりもしたが。
同年代の女性が相手となると、思っていたよりもうまく行かなかったようだ。
■シャンティ > 「ん……」
男に言われた通り背中を向ける。モノキニの背中は、褐色の肌を晒していた。密着すれば、直にそれに触れることになるだろう。
「力、を……ぬい、て……ね。そ、う……わか、った、わ?」
捕まえた女の体はだらりと力が抜け、まるで人形のように脱力しきった。自然、体は亡骸が浮くかのように浮き上がる。
「へ、え……?」
ゆっくりと進む。それ自体の感慨は特に記することもなかった。しかし、二人羽織のようなその泳ぎはたしかに不格好ではあったが、そのようなことは関係なく不可思議な感覚が女には面白かった。
「あ、ら……私、が……重、かった、り……?」
泳ぎは止まっても、奇妙なくらい力が抜けた状態のまま女は聞いた
「ふふ。それ、でも……面白、か、った、わぇ…… あぁ、そう、だ…… 久遠、は……プール、では……なに、を……する、の? 泳ぎ、は……なに、が……得意? 私、は……せい、ぜい……浮か、ぶ……だけ、だった、か、ら。昔、は……それ、こそ……浮き輪、に……ひっか、かって、とか……で、本、を……読ん、で……いた、わ」
ともすれば、プールサイドで座って本を読むような有様ではあった。それはやむを得ず入らないといけない場合、のはなしであった。
■杉本久遠 >
「重くはないぞ?
重さよりも体積の問題だな。
大きさの違いがあればあるほど、浮かばせてあげやすくなるからな。
以前は子供相手にやってたからもう少しやれたんだがなぁ」
そう、後ろから、脱力して足を浮かせる彼女を抱きながら話す。
こうして完全に身を任せてくれているのが、なんだか嬉しく感じる。
とは言え、改めて意識すると、彼女のシルクのような肌に触れているのは、やはり気恥ずかしくもあるが。
「面白かったなら何よりだ。
――んー、一人で泳ぐときはなんでもやるぞ。
トレーニングのために来るのがほとんどだったからなぁ。
妹と来るとよくクロールでタイムを競ったりなんかはしたもんだが」
彼女が、浮き輪で浮かんで本を読んでいる様子は、容易に思い浮かべられた。
それもまた、とても絵になるのだろうなあ、と。
「――はは、想像すると、なんか可愛いなぁ」
そう言いながら、彼女を後ろからしっかりと抱きしめ。
肩に顎を乗せるようにして、静かに、長く息を吐いた。
■シャンティ > 「……あぁ、そう、ねぇ……や、っぱり、そう、いう……感じ。わか、り……やす、い、けれ、どぉ……質問……どの、くらい、泳ぐ、に……して、おいた、ほうが、よか、った、かし、らぁ?」
娯楽というよりは鍛錬。鍛錬であるからには必要なものを必要なように行う。そこには大きな溝がある。
「…………」
そして、少し考えるように黙った
「さ、っきの、話、と……今、の……こと、ば……子ども、相手……、と、かわい、い……」
小さく、つぶやくように、口にする
「こど、も……あつ、かい……か、しら? それ、な、ら……考え、も……ある、の、だけ、れ、どぉ?」
くすくすと、腕の中で笑う
■杉本久遠 >
「どのくらい、かぁ。
疲れるまで――じゃあ、さっきの答えとあまり変わらないか」
彼女の耳元で、はは、と笑う。
「いや、いくらなんでも、子ども扱いなんてできないぞ。
ただ――夏祭りの時も思ったが。
君は綺麗で、不思議なだけじゃなくて、女の子らしくて、可愛いところもあるんだな、って思ってさ」
密着していると、ゆっくりと体温が伝わってくる。
自分と違う体温。
温かさを感じると、とても安らいだ気持ちになれる。
「あの、さ。
少し、このままでいいか?
こうしてると、なんだ――すごく、安心できるんだ」
そう、珍しく甘えるような我儘を口にした。
■シャンティ > 「そ、う……ね、ぇ……読み、間違、い……だ、わ。想、像……以上、に……想像、どおり……ま、ぁ……だ、から……面白、い……の、だけ、れ、どぉ……」
人生がエアースイムに侵食されている……という見方もできるかもしれない。しかし――と女は思う。どちらかというと、これはこの男の自然、なのだろう、と。ある意味究極の天然、とでもいうべきものか。
「きれい……ふしぎ……おんな、のこ、らし、い……かわ、いい……」
並べられた言葉を反芻してみる。そして、なにかで見た自己理解の方法を女は思い浮かべた。自分で分かる自分、他人も分かる自分、自分は分からないが他人には分かる自分、どちらもわからない自分。それらを知ることで自己理解を深める、というものだったか。
そうしてみると、それは自分ではわからない自分、だろう。……本当に、そうだろうか。
「あ、ら……久遠、か、ら……おね、だり……なん、て……めず、らし、い……わ、ねぇ…… この、あと……雨、でも……降る、か、しら、ぁ……? ま、ぁ……屋根、は……ある、みた、いだ、し……ここ、は……平気、そう、だ、けれ、どぉ?」
くすくすと男の頼みに笑う。他愛のない頼みごとだ
「ふふ――ま、あ……いい、わ、ぁ……別、に……こま、る……こと、ない、し……私、は……力、ぬく……だ、け……だ、し……いい、わ、よぉ……?」
片手に持った本を少し持ち直し、また、だらりと力をぬいたままにする。
「……安心、ね、ぇ……?」
女の肌を通して、小さな、そして乱れることの静かな鼓動が男に伝わるかもしれない
■杉本久遠 >
「――ありがとう」
いい、と言われれば、律義に感謝を言葉にする。
伝わってくる体温と静かな鼓動は、常に動き回って、走り続けている久遠に新鮮な安らかさを与えてくれた。
「なんていえばいいんだろうな。
こうしてると、君がちゃんと、ここに居るんだって感じられるから、かな。
時々、思うんだ。
君が、いつの間にか、消えていなくなってしまうんじゃないかって」
それくらいに彼女は。
美しく、謎めいていて、愛らしく――儚かった。
「――すまん、もう大丈夫だ。
なんだか、すごくリラックスできた気がするよ」
そうして、少し腕を緩めれば。
密着していた体が少し離れる。
彼女の体温が離れるのが、なんだかとても惜しく感じた。
「よし、仕切り直して――」
惜しい気持ちを振り切るように、努めて明るく声を出す。
「まだまだ時間あるし、のんびり遊ぶか!
泳げなくても出来る遊びはあるからな――あ、多少子供っぽい案でも許してくれよな?」
そう笑って、彼女の手に自分の手を重ねる。
彼女がまた、意味ありげに微笑んでくれれば。
久遠は少し子供っぽい遊びを提案しながら、時間いっぱいまで彼女との時間を楽しもうとする事だろう。
少しでも多く、彼女との思い出を重ねていくように。
■シャンティ > 「そ、う……」
いつの間にか、消えていなくなる――
なるほど、と女は思う。男にそう思わせたのは、スポーツマンならではの直感か、はたまた野生の勘じみたなにかか。
いずれにしても
何時 何時 何が起こるか
それは女の持つ魔本でもわからない。それは現在ではなく、未来の出来事だから。
女が光を、音を失ったのも……そして、なにか大事なものを失ったのも突然のことだった
いずれ、そういうこともあるかもしれない
「ふふ……いい、わぁ……それ、な、ら……好き、に……すれ、ば……」
小さくつぶやき、女は笑う
「……そ、う……ね。ま、だ……陽、も……たか、い……み、たい……だ、し? シェフ……に、まか、せる、わ……?」
くすくすと笑った
太陽は、やはり眩しいものだ。のんびりと天を見上げる格好の女はそう思った。
そうして、彼らは陽が沈むまで遊興に浸るのだろう
ご案内:「破壊神の社プライベートプール」から杉本久遠さんが去りました。
ご案内:「破壊神の社プライベートプール」からシャンティさんが去りました。