2022/11/06 のログ
■崛葺茉璃 >
「処罰……処罰……
それは……それは、よくないのう/よくないですね。
憑かれたせいではないと? それなら、嘆願でも……」
曖昧な女はブツブツとつぶやき始める。
割と本気でどうにかしようと考えているらしい。
彼女にとっては監視対象だろうとなんだろうと。
決まりがどうだろうと、さして重要ではないらしい。
そもそも、監視対象、というものがなんたるか、を理解しているかすら怪しい
「そう。そういうこと、か。
それでしたら、まずは話を聞くところからじゃな?/聞くところからですね?」
一連の説明を聞き、やや冷静さを取り戻したかのように曖昧な顔に戻る。
「じゃあ、こう……」
曖昧な女は、届くはずもない曖昧な手を伸ばす。
その腕は、曖昧な姿ではあったが白く包帯が巻かれていることが何故かはっきり見て取れた。
包帯だらけの曖昧な腕が。その手が、指が、何もないところを曖昧につかむ。
その手を後ろに引けば……笹貫流石の中に収まっていたはずの、ナニカ、が引きずり出されてくる。
「ああ――そうじゃった/そうでした。
少し、霊と話をしたいのじゃが/したいのですが……
聞いていくかの?/聞いていかれますか?」
思い出したかのように、監視の男に目を向ける。
男は、ぎょっとした顔をして……黙って下がっていった。
「あら……どうしたんじゃろうなあ?/どうなさったのでしょうねえ?」
曖昧に笑って、流石の方をみやった
■笹貫流石 > 「いや、嘆願しなくていいって!気持ちだけ!気持ちだけ受け取っとくから!!」
(っていうか、どうせ廬山の旦那か追影の旦那の尋問…ごほん、査問タイム控えてるんだし!!)
ちなみに、後者の旦那は査問どころか即斬!してきそうで洒落にならんのだが。
あと、茉璃ねーさん、ブツブツ呟かれると怖いんだけど!?姿が曖昧だから尚更に!!
前から思ってたんだけど、監視対象っていう自覚がそもそも乏しい連中も一定数は居る。
例えば、今、俺の目の前に居る【不朽祭器】、あと夢見がちファッキンガールの【夢幻創造】とか。
――っていうか、多分だけどこの人は自分が監視対象に指定されてる自覚も無いのでは。
あと、こっちの必死の訴え?で、何とか落ち着いてくれたらしい。
本当に、霊的存在方面になると目の色が変わるというか…いや、赤目光ってた気がするけど!!
ともあれ、曖昧ないつもの状態に戻ったことにホッとしつつ。
そして、彼女の曖昧な腕が伸びて――よく見たら包帯らしきものが巻かれている?
ともあれ、その指先がこちらに近付いて――自分の中に潜んでいた、ロリパンちゃん――幼女のゴーストを引きずり出す。
(うっわ!?何か慣れないなこの感覚…!!)
ともあれ、哀れロリパンちゃんは、彼女に首根っこ?をつかまれる形で引きずり出されてしまう。
今は俺も目を開いている状態なので、ロリパンちゃんがじたばたしている様子も見える訳で。
あと、茉璃ねーさんの謎の迫力?により監視役の男は黙って距離を置いていく。
こちらとしても好都合だが、矢張り謎の迫力が無いだろうか?この人は。
「お、おぅ……えーと、だな?その幼女さん、悪気は無かったみたいだし、穏便にな?穏便に。」
いきなり全力強制昇天とか止めろよ?絶対止めろよ!?と、念を押しておきたい。
■崛葺茉璃 >
「本当であれば、此処から出ていただく、ということも視野にいれるべきじゃろうが/でしょうけれど。
それは、皆様に御迷惑かと思い……そうか/そうですか。
嘆願も、駄目……かのう/ですか」
ひらいた目には、女の周りに漂う微弱な雑霊たちが見えるかもしれない。
その雑霊たちが、ほんの一瞬だけ、檻に手をかけようとして……離れたのが見えたかもしれない。
「さて……お話次第ではあろうが/ありますが。
まずは、あなた、お名前は?」
穏便に穏便に、と訴える言葉をよそに曖昧な女は赤い目を光らせて捕獲した幼女に問いかける。
見た目からすればさながら尋問のようにも見えるが、霊が見えないものからすれば虚空に問いかけているようにしか見えない。
異様な光景であった。
「ふむ、ふむ……ロリパンツさん……?
ナガラ殿/ナガラ様にいただいた名前?
なるほど、なるほど。」
取り憑かれた男を置いてきぼりで会話が進む
「……間違っておらぬか?/間違っておりませんか?
此処で嘘をつくようであれば……」
幼女の幽霊を捕まえながら、笹貫に問う。
しかし、嘘をつくようであれば――のあとの句は告げられない
■笹貫流石 > 「いやぁ、それは無理っしょ?俺がもう一人の監視対象さんを”唆した”みたいなもんだしさ?
だったら、俺の方が重いペナルティーを受けるのも当然だし。
むしろ、多分だけど茉璃姉さんが一人嘆願した所で無理だと思うぜ?
そもそも、監視対象が同じ監視対象を”擁護”してもしょうがねーと思うし。」
と、苦笑いを浮かべるが自分ももう一人、違反を犯した【叫喚者】を出来る限り庇いたいとは思う。
どちらにしろ、自分ではそれくらいしかあの少女にしてあげられる事が無いのが歯痒いが。
開かれた双眸は、雑霊の微弱な姿も見えているが、一瞬だけ檻に手を――掛けずに離れた。
(まぁ、霊的対策もされてるしなぁ。茉璃姐さんは”規格外”だから構わず干渉できるぽいけど)
だからこそ、檻越しにとはいえロリパンちゃんを引き摺りだされたのだけど。
「……で、俺は置いてけぼりになってる気がするんだけど?」
彼女とロリパンちゃんの尋問?詰問?を眺めつつぼそりと呟く。
流石に霊的存在の『声』までは聞こえないが、霊を見て触れるまでは出来たりする。
そういう死者=霊魂を含めた、死に関わる概念を認識出来るのが自分の異能だ。
「あーー待て待て待て!ロリパンツじゃなくて、正式にはパンプキンロリゴースト!!略してロリパンちゃん!!パンツは関係ないぞ!!!」
と、そこは全力で訂正しておきたい。まるで俺が変態スケベロリコンみたいじゃないか!!!
あと、姉さんが中途半端に言葉を区切って、目線すらこちらに向けず問い掛けてきたので、正直怖い。
(うぅ、だからこの姉さん、嫌いじゃないんだけど苦手なんだよなぁ…。)
■崛葺茉璃 >
笹貫の全力の声が届いてしまったのか否か。
監視の男が、微妙に反応したようにも見えたような見えないような。
いや。単に女の奇妙な挙動に怯えただけなのかもしれない。
しかし、曖昧な女は其処にはなにも関心を持たない。
「ふむ、ふむ、ふむ……ロリパンさん、と。
それで、ナガメ殿/ナガメ様が名付けた、ということで間違いないようですね。」
うんうん、と一人得心する。
「悪いものではなさそうじゃな/なさそうですね。
とはいっても、雑霊……というのとも趣が違うようじゃ/ようです。
『化外殺し』殿/『化外殺し』様であれば、また違う結論を出すかもしれぬが/しれませんが」
同じような能力を持つ者同士、じっくり話したいのだけれど何故か話させてもらえないのです、と不思議そうな顔をする
「ということで、困ったものじゃな/困ったものですね。
妾/私としては、迷えるものは祓うのが基本なのじゃが/基本なのですが。
普通とは違うようなので……どう思うかの?/思います?」
きょろきょろと、幼女と男の顔を交互に見る。
霊の要望も聞くつもりなのだろうか。
「……きこえておるか?/聞こえてます?」
そこで、根本的な質問をした。
今更である
■笹貫流石 > どちらにしろ、聞かれても聞かれていなくても自分の立場が変わる事は”今は”無い。
それこそ、自分の処遇が正式に決定しない限り、良いも悪いもないのだから。
彼女と意味合いは違うが、少年も少年でもう男に注意は向けていない。
どのみち、【死線】と【不朽祭器】。”疫病神”が二人揃っていれば、敬遠の気持ちや嫌悪の感情もあろう。
むしろ、ここに【化外殺し】が居合わせていないだけマシなのだけれども。
「おぅ、死んで年月が経過してる?のか、記憶が曖昧なのか自分の名前分からんみたいでさ?
だから、まぁ仮の名前っつぅ感じで。ちなみに憑依されたのはハロウィン前後で場所は【常夜街】だな。
それ以外に、そこのロリパンちゃんが俺に憑依したタイミングに心当たりが無い。
つーか、その時に一度遭遇してたから、タイミングは間違いないと思うぜ。」
実は、その時にちょっと一緒に行動していたのだがそこは黙っておくスタイル。
多分、それで気に入られて憑依されてしまった、のかもしれないけれど。
「あーー…”アイツ”は止めといたほうがいいような…つーか、茉璃姐さんが対処した方がまだマシな気も。」
【化外殺し】の名に、露骨に嫌そうな表情を浮かべていて。何せ少年の『天敵』でもある。
”色々あって”何度殺されかけたか分かりやしない。しかも責任押し付けられた事もあるし。
あと、アイツとこの姉さんの接触も多分”ヤバい”気がしてならない。
だからこそ、上の連中も二人が遭遇する可能性を極力回避したいのだろう。
そもそも、監視対象が同じ場に二人…は、兎も角として3人以上居合わせるのはまず無い事だが。
「あー、俺としては実際、俺じゃどうしようもねぇから茉璃姉さんに任せるのが妥当かな?と考えてはいたんよ。
ただ、強制的に昇天させるのもなんかなぁ、と思ってはいたんだけど。
…あー、やっぱ普通の雑霊と比べたらちょっと変り種なんか。そんな気はしてたが。」
そもそも、自我や存在率が霊魂の中でも比較的”ハッキリ”しているタイプだろう。
ともあれ、こちらとロリパンちゃんを交互に眺めながら質問してくる彼女に
「あーー、俺としては、成仏させるなら”この場から外に出して”欲しいかも。
この檻、霊的存在も中に封じちまって外に出せないからさ。今、姉さんが抜き出してくれたからいいんだけど。」
正直、成仏して貰った方がロリパンちゃんの為にもいいと思う。
ここに”取り残される”よりはその方がいいし、このまま外に出して逃がす、というのは茉璃姉さんが許さなそう。
ならば、せめて彼女の手で外に連れ出してから、静かに昇天させてやって欲しい。
何だかんだ情に弱いというのもあるが、やっぱり数日間とはいえ”憑かれていた”間柄だ。
「あ。ちなみに俺は姿が見えるし、触れもするけど『声』だけは聞こえないんだわ。」
と、彼女の質問に肩を竦めてそう答えておく。
■崛葺茉璃 >
「なるほど、それで取り憑かれた、ということじゃな?/ということですね?
あとで精密に見ないとじゃが/見ないとですが、影響はなさそう、と」
証言をうけて、本人なりにまとめていく
曖昧な女が、やや輪郭を持って動いているようにも見えるが、
逆により曖昧になっているようにも思える。奇妙な様子だ。
「ちょっと、勘所が……違う、ようで……成仏……
これは、うーん……困ったのう?/困りましたねえ。
うん? ああ、聞こえておらなんだか/聞こえておりませんでしたか。」
独り相撲のような状態で置いてきぼりにして喋っていたことをようやく理解する。
そのあたり、普段から気にせず霊と会話しているので仕方のないことかもしれない。
お陰で周囲から引かれまくっているのだが、当人は気づいていない
「え? ああ、はい。なるほど。
ああ、それはそれで? 今回はありやもしれぬな/ありかもしれませんね。
じゃあ、伝えるかのう/伝えますか」
そんな横で、少しだけ解放されたロリパンちゃんがぽそぽそと何事かを女に告げる。
それだけみればほほえましい光景にも見えるが、なにしろ、曖昧な女と幽霊の幼女。
本当はものすごくシュールである。
「ええ、と。ロリパンさんは『おにいちゃんといっしょがいい』、と。
妾/私としては、害がないなら雑霊扱いで"有り"としても良いかと思うのじゃが/思うのですが……」
そこで、ふと気づいたように
「そういえば、除霊の依頼、を受けたわけではなかったのう/受けたわけではなかったですね。
此処へは、お見舞い……いえ、お参り……いえ……面接? 面談?
ああ、お顔を見に来たのじゃったな/見に来たのでした」
今更ながらに目的を思い出した。
即除霊という見立ては間違いがなかったようで、すっかり考えがそちらによっていたようだった。
「はて、ではナガメ殿/ナガメ様。
特に害はなかったのじゃよな?/害はなかったのですよね?
どうします? どうしたいのじゃ?/どうしたいのです?
そちらに戻そうかの/戻しますか。」
今までの話はどこへやら。
当然のように聞いてきた。
曖昧な顔の赤い目は、輝きを失い。ただ暗く鈍く見つめていた
■笹貫流石 > 「精密にってのがよく分からんけど、まぁロリパンちゃんが憑依していても、俺に負担とかは無かったぽいしなぁ。
いや、まぁ俺が自覚して無い分で負担があるのかもしれんけど、そこは茉璃姉さんとかじゃないと判断出来ないだろうし…。」
結局、その道に通じる人に見て貰うのが一番という事だろう、
まぁ、精密検査よりも先に、まずはロリパンちゃんの処遇をどうするかが先だろう。
(しっかし、茉璃姉さん、輪郭が曖昧で姿もハッキリしねぇのに、なんとなーく表情?とか朧気に分かる気がするんだよなぁ。)
実際の所、輪郭や体型が曖昧な時点で、表情だって例外なく朧気でハッキリ分かりはしない。
それでも、白髪に赤目というのはしっかり認識できるし、曖昧なのに彼女が『崛葺茉璃』だというのは確信できる。
「あー…まぁ、姿が見えるし触れもするから、ジェスチャー?とかで或る程度は意思疎通は出来るんだがさ。」
と、まぁそんな感じで口にしつつも、女と幼女の会話に割り込む事は出来ないので…
何かぽつーん、と置いてけぼりを食らってる感じだけど大人しくしておこう。
なにやらぼそぼそと会話しているのをぼんやり眺めつつ、取り敢えずロリパンちゃんが無事に成仏?出来ればいいんだけどなぁ、と考えていた、が。
「え?ああ、成程―――いや、待て待て何でそうなる!?
俺に憑依したままでも良い事なんて無いぞ!?下手したらもっと面倒な事になるかもだぞ!?」
何せ、この後に【査問】とかある立場だし、相手が第一級のどちらか…どっちにしても”気付かれる”。
そうしたら庇い切れないかもしれない。何せ自分はそこまでの力は無いし、今はそもそも能力制限バリバリされている。
「…まぁ、アレだ。茉璃姉さんが”除霊しなくても大丈夫”ってんなら、それに賛成で。
ただ、俺の中に戻すのはなぁ。結果的に俺っていう存在にその幼女娘を縛り付けることになるし。
えーと、縁っていうか、そういうのはもう出来ちまってるだろうけど、うーん…。」
既に憑依もされていて、縁というか繋がりが出来ている以上、戻すのが手っ取り早いのは確か。
実際の所、少年自身にそこまで負担は無いし、ロリパンちゃんに莫大な力がある訳でもない。
ともあれ、最終的に戻す/戻さないは彼女の判断・見立てとロリパンちゃんの意志に任せる。
「うん、俺は怪我人とか病人じゃねーし、神様でもねーし、ついでに言うと就職面接の場でもないからな?
普通に面会でいいんだよ、面会で。…本当、相変わらずマイペースっつぅか掴み所が無いっていうか。」
こっちが主導権を握れる気配が全くしないんだが。あと、実際見た目が曖昧で”文字通り”掴み所が無い。
ともあれ、ロリパンちゃんの意志と、彼女の見立て、そしてこの後の自分の状況を考えると――
「とりま、ロリパンちゃんに害が無いのは確定として除霊は無しで。これ最優先な?
で、俺の中に戻す話だけど、正直そこは反対なんだわ。可能なら、茉璃姉さんの手で”外に放す”か何かして欲しい。
ただ、ロリパンちゃんの意志もあるし、また戻ってこられても困るしな…。」
なら、どうするか。彼女ならおそらく可能だろうから、こう頼み込む、
「そこで、茉璃姉さんにお願いっつーか頼みがある。
ロリパンちゃんが俺の”中”に潜っている間は、霊的気配が他の奴にバレないように隔離というか遮断?まぁ、要するに霊の気配を消す細工をして欲しい。」
これは、正直彼女に頼むのはお門違いの気もするが。
せめて、これくらいは対策しないと今後のロリパンちゃんの身が心配だ。
■崛葺茉璃 >
「具体的に伝えるならじゃ/申し上げるなら。
霊視、触診、内診……辺りを丁寧に。
それだけしてなにもなければ、なにもないじゃろう/ないでしょう。」
しっかり解説はしてくるが、どちらかというと医療じみた発言であった。
ある意味検査なので似たようなものなのかもしれない。
「外に出すだけはあまりおすすめはできぬのう/できませんね
ナダレ殿/ナダレ様に未練ができて戻ってくる、が最良。
悪いと半端に縛りのない彷徨霊になって延々と彷徨うか、外の力に触れて邪霊になるか。
それをお望みなら、そうするのじゃが/そうしますが……」
そこまで説明する。
けれど、結局のところ結論は決まっていて。
無難に関係存続という提案にまとまったようであった。
「ああ、よかったのじゃ/よかったです。
それなら安心して――」
そこで、曖昧な女が曖昧に首を傾げる
気配を消す、という話を聞いてのことだ。
「……え?
それでいいのかの?/それでいいのですか?」
確認した
曖昧でありながら、どこか一部がはっきりとして
「なるほど、考えないでもなかったのじゃが/考えないでもなかったのですが。
そちらから申し出ていただけるとは……大胆じゃな/大胆ですね。
でも、その気持ち、受け取ったのじゃ/受け取りました。」
曖昧な女ははっきりとした目で、力強く言葉にする。
その言葉だけは、曖昧なくせに妙に耳に残った。
「安心せよ/ご安心ください。
縁はつながっているので、時間はかからぬ/時間はかかりません。
少々の呪だけ、お待ちを」
答えを聞くまでもなく、曖昧な女はどこか嬉々として
「ことほぐ ここに ことほぐ
かのものと このもの えん むすび つなぎ
かは こに こは かに とけ まざれ」
呪を唱えた
■笹貫流石 > 「そこまでするのは――あーー、流石にこれ、面会だし時間制限もあるしで無理な気がしてきたぞ?」
そもそも、監視対象同士の面会な上に、少年は監視対象の規定違反者――まぁ、罰則を待つ身だ。
お互い、存在を忌避されたり畏怖されたりしている所もあれど、どのみち良い顔はされまい。
実際、無視される形で少し離れた場所から睨みを利かせる男も、何処か畏怖を感じているように見える。
「―――だよなぁ。正直、そうなると今度こそ茉璃姉さんとか、祭祀局の連中は除霊しか選択が無くなるだろうし。
と、なればやっぱ俺に憑依――つうか中に潜って貰って普段は”そこ”で過ごして貰うのが妥当かねぇ。」
つまり、そういう事だ。彼女が疑問符を覚えるのも無理は無いが…。
少年としては、別にロリパンちゃんを自分に縛り付けたり、封印するつもりは無い。
しかし、いざという時に彼女に『隠れ蓑』は必要だろうし、”眠れる場”もあった方が良い。
そういう意味で、あまり負担に感じず懐かれて縁も出来ている自分の”中”は最善だろう。
(…っていうか、あれ?姉さん、何か曖昧なままなのに、妙に”ハッキリ”してきてるというか。)
あくまでごく一部でしかないが、存在が固定されているというか、曖昧さが薄れてハッキリしているというか。
あと、大胆なんだろうか?これ。俺としては、他に良い方法が思い浮かばないからそう提案したまでなんだが。
(実際、俺が憑依された状態が続くのは変わらんしなぁ。まぁ、そこはしゃーない)
なるようになる、って奴だ。彼女の唱える『呪』はよく分からないが、そこはスペシャリストだ。
悪いようにはならないだろう、と彼女を信じる事にする。
「おぅ、じゃあいっちょよろしく頼む。あまりダラダラしてると怪しまれるしな!」
既に怪しまれている気もするが、逆にそのせいでこちらに近付こうともしない看守の男。
詰めが甘いというか隙だらけの気もするし、それで大丈夫か?とも思うが、。
(ま、今だけは好都合ってな。しっかし俺がゴーストの保護者になるとはねぇ)
今後、影響が出ないとは限らないが、一先ずは【不朽祭器】の気配遮断の呪に期待しようと。
■崛葺茉璃 >
「そうじゃのう/そうですねえ。なので、実際の検査は後ほどにするしかないかとは。
見たところでは問題なさそうじゃから/問題なさそうですし。
死ななければ死なないじゃろ/死なないでしょう」
のんびりと不穏なことを、他愛のないことのように口にする。
今まで色々心配をしていたというのに、である。
「まあ、それはそれとしまして――
はい。これで契約は成ったぞ/成りました。」
こともなげに呪を唱え終わり、そのように告げる。
続く言葉は――
「これで、ナダレ様と、ロリパンさんの縁は繋がれました。
ナダレ殿の内に入っている間は、ナダレ殿として認識されるじゃろう。
まさに、一心同体、といったところですね。
さもなければ、守護霊と本体、というところじゃろうか」
そのような”解説”であった。
「縁の分、地縛ならぬ人縛霊といった趣もあるかもしれませんが……
それなりに自由もあるし、まあ問題はないじゃろう」
からから ころころ くすくす
曖昧な女ははっきりとした曖昧さの中で、曖昧な笑いを浮かべる
「怪しまれる? 大丈夫でしょう。
そう、妾も貴方も、何も悪いことはしておらぬしな」
にこにこと曖昧な笑顔を浮かべて、絶対の自信を持って女は語る。
視界の隅で、雑霊たちが看守の周りに集まって踊り狂っているのが見えたかもしれない。
むろん、看守にソレが見えるわけもないのであるが……
「……時間は……問題かもしれぬが/問題かもしれないですが」
■笹貫流石 > 「…個人的に、医療的にも霊的にも関わらず精密検査の類は嫌なんだけどなぁ。」
自分が、監視対象になる直前の■■■を思い出すから。
まぁ、その忌避感も当時に比べたら幾分かはマシになっているとしても、苦手な事に変わりは無い。
死ななければ、という不吉な付け加えの言葉に「不吉すぎんだろ!!」と、いう突っ込みは忘れなかったが。
「おぉ、思ったよりすんなり行ったなぁ、さっすが茉璃の姉さん。
縁はまぁ、元から憑依時点で結ばれていたようなもんだし、姐さんの『呪』でしっかり『整えられた』っつぅ感じと俺は認識してるよ。
あ、守護霊っつぅのはいいな!俺を守護してもロクな事にならんと思うけど、まぁそこは仕方ない」
ロリパンちゃんは男を見る目が無かった、と諦めて貰うしかあるまい。
ともあれ、ロリパンちゃんには一度自分の中に憑依で戻って貰うとして。
「…つぅか、どうせならちゃんとマシな名前付けてやった方がいいかもしれんなぁ。
仮の名前っつぅのもアレだし…流石にロリパンちゃんのままだと誤解されそうだし…。」
まぁ、明らかにネタ的な名前になっているのは分かってはいるのだ、うん。
ともあれ、ちらり、と看守の男に視線を向けて。少年には雑霊の姿ははっきり見えている。
(うわ、派手に踊ってるみたいですっげぇこう、何と言うか、すげぇがシュールというか)
と、そんな感想はさて置き。ロリパンちゃんについては一段落したので、軽く一息零してから。
「ま、折角だ、時間はそんなに無いにしても面会に来てくれたんだし。
ちょっと、適当に話に付き合ってくれよ、茉璃姉さん。
次は何時会えるかわっかんねーし、ずっとぼっちでダラダラ過ごすのも精神的に良くねーしな!」
と、彼女もぼんやり覚えがあるかもしれない、この少年らしい陽気な軽い笑顔。
曖昧な存在とも言える不朽の祭器と向かいあいながら、死線の少年は気心が知れたように気さくに。
「――っていうか、茉璃姉さんって、あんまり行動制限とか無かったっけ?」
とか、雑談?にしては些か不穏な話題になるかもしれないが、そうやって束の間の面会時間を楽しんでおこう。
■崛葺茉璃 >
「私/妾?
行動制限?
いいえ? ああ、でも……黄泉の穴にはいかないように、と……」
聞かれたことに素直に応えながら……
どこかとぼけたような、どこか不穏なような
そんな会話がなされたことだろう。
ご案内:「特殊懲罰房」から笹貫流石さんが去りました。
ご案内:「特殊懲罰房」から崛葺茉璃さんが去りました。